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57・マスクドライダー
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ホテルのパーティー会場には、すでに人は集まっていた。
前方に赤い絨毯が敷かれたちょっとした階段に、王族が座るような椅子が三つ。
セルニアたちが座るのだろう。
セルニアたちは支度しているけど、本人にどうやってごまかしているのだろうか?
俺は一応タキシードに着替えて着席。
それでも血統書付きの顔ぶれの中では浮きまくっていた。
空中浮遊が出来るくらい浮きまくりまくっていた。
しかし俺は気にしない。
なぜなら俺は底辺から成り上がった大物ラッパー。
品格だの礼節だのくそ食らえ。
お隣の人が、アメリカ大統領演説で隣にいた議員であるとかなんて気にしない。
さらに隣が英国王族の顔であることも気にしない。
でも気になるのは、日本 若手実力派 俳優、藤守竜一。
テーブルを挟んで俺の正面にいる。
俺が子供の頃、マスクドライダーに主演して以来、数々のドラマや映画に出演し、いくつもの賞を取った、人気絶頂の俳優。
俺はこの俳優のファンで、映画やドラマは全部チェックしている。
内心 めっちゃ 挨拶して サイン欲しいとか思っているけど我慢。
我慢して、遠くからビュッフェの内容をチェックして、お食事タイムになったら取りに行く計画を心の中で立てる。
「お兄さま、相変わらず図太い神経ですね」
「俺は大物ラッパーだから」
「まあ、お姉さまの誕生日を祝福してくれて何よりです。
集まった人たちは千人以上いますが、本当にお姉さまの誕生日を祝福してくれている人は少ないんですよ。
吉祥院グループの令嬢ですから、気に入られて、あわよくば取り入ろうとしているだけの人が大勢です」
「それは なんとなく想像ついた。そう言った意味じゃ、玲や上永先生は祝福しているな」
そういえば、あの二人はどこだ?
「あらー、これも美味しそうですね-」
「あぁーん、このソーセージがアレの形に似てるわぁーん」
ビュッフェのところですでに皿に取ろうとしていた。
俺は全力ダッシュで捕まえに行く。
「二人とも何してんだよ。まだ取っても良い時間じゃないだろ」
「でもー、お腹すいてー」
「先生も我慢できなぁーい」
「大物ラッパーでも我慢してるのに、いい年した大人が我慢できないってどういうことだ。いいからこっち来い」
俺は二人を引きずって席へ。
「お兄さまも大変ですね」
「俺 以上の大物だった」
周囲からひんしゅくの目で見られていて、大物ラッパーの俺でもこれ以上は耐えられないかも知れない。
ふと、藤守竜一のほうを見ると、その姿がなかった。
「あれ? 藤守竜一は?」
ビュッフェのところで皿に取ろうとしていた。
そして、周りが取りに来ないのを見ると、慌てて席に戻ってきた。
……誤解させてしまった。
玲と上永先生が皿に取ろうとしていたから、もう食べても良いと思ったらしい。
そして藤守竜一もひんしゅくを受けていた。
なんか居心地悪そうな表情の藤守竜一。
俺は一応謝っとく。
「あの、なんかすいません、うちの二人のせいで」
「いえ、良いっすよ」
なんとも言えない雰囲気が漂った。
湖瑠璃ちゃんは、
「そうそう。今日はお祖母様も来られています」
湖瑠璃ちゃんやセルニアのお祖母さま?
やっぱり厳格なのか、それともすごい美老人なのか。
以前、北海道で鷹狩りをやっていたとかって話を聞いたな。
「とてもフレンドリーな方ですよ。たぶんお兄さまと気が合うと思います」
その言葉は信用しても良いのだろうか?
伊藤春樹さんがアナウンスする。
「それでは会場の皆様、まもなくパーティーを開催します」
もうすぐセルニアの誕生日パーティーが始まるのだった。
前方に赤い絨毯が敷かれたちょっとした階段に、王族が座るような椅子が三つ。
セルニアたちが座るのだろう。
セルニアたちは支度しているけど、本人にどうやってごまかしているのだろうか?
俺は一応タキシードに着替えて着席。
それでも血統書付きの顔ぶれの中では浮きまくっていた。
空中浮遊が出来るくらい浮きまくりまくっていた。
しかし俺は気にしない。
なぜなら俺は底辺から成り上がった大物ラッパー。
品格だの礼節だのくそ食らえ。
お隣の人が、アメリカ大統領演説で隣にいた議員であるとかなんて気にしない。
さらに隣が英国王族の顔であることも気にしない。
でも気になるのは、日本 若手実力派 俳優、藤守竜一。
テーブルを挟んで俺の正面にいる。
俺が子供の頃、マスクドライダーに主演して以来、数々のドラマや映画に出演し、いくつもの賞を取った、人気絶頂の俳優。
俺はこの俳優のファンで、映画やドラマは全部チェックしている。
内心 めっちゃ 挨拶して サイン欲しいとか思っているけど我慢。
我慢して、遠くからビュッフェの内容をチェックして、お食事タイムになったら取りに行く計画を心の中で立てる。
「お兄さま、相変わらず図太い神経ですね」
「俺は大物ラッパーだから」
「まあ、お姉さまの誕生日を祝福してくれて何よりです。
集まった人たちは千人以上いますが、本当にお姉さまの誕生日を祝福してくれている人は少ないんですよ。
吉祥院グループの令嬢ですから、気に入られて、あわよくば取り入ろうとしているだけの人が大勢です」
「それは なんとなく想像ついた。そう言った意味じゃ、玲や上永先生は祝福しているな」
そういえば、あの二人はどこだ?
「あらー、これも美味しそうですね-」
「あぁーん、このソーセージがアレの形に似てるわぁーん」
ビュッフェのところですでに皿に取ろうとしていた。
俺は全力ダッシュで捕まえに行く。
「二人とも何してんだよ。まだ取っても良い時間じゃないだろ」
「でもー、お腹すいてー」
「先生も我慢できなぁーい」
「大物ラッパーでも我慢してるのに、いい年した大人が我慢できないってどういうことだ。いいからこっち来い」
俺は二人を引きずって席へ。
「お兄さまも大変ですね」
「俺 以上の大物だった」
周囲からひんしゅくの目で見られていて、大物ラッパーの俺でもこれ以上は耐えられないかも知れない。
ふと、藤守竜一のほうを見ると、その姿がなかった。
「あれ? 藤守竜一は?」
ビュッフェのところで皿に取ろうとしていた。
そして、周りが取りに来ないのを見ると、慌てて席に戻ってきた。
……誤解させてしまった。
玲と上永先生が皿に取ろうとしていたから、もう食べても良いと思ったらしい。
そして藤守竜一もひんしゅくを受けていた。
なんか居心地悪そうな表情の藤守竜一。
俺は一応謝っとく。
「あの、なんかすいません、うちの二人のせいで」
「いえ、良いっすよ」
なんとも言えない雰囲気が漂った。
湖瑠璃ちゃんは、
「そうそう。今日はお祖母様も来られています」
湖瑠璃ちゃんやセルニアのお祖母さま?
やっぱり厳格なのか、それともすごい美老人なのか。
以前、北海道で鷹狩りをやっていたとかって話を聞いたな。
「とてもフレンドリーな方ですよ。たぶんお兄さまと気が合うと思います」
その言葉は信用しても良いのだろうか?
伊藤春樹さんがアナウンスする。
「それでは会場の皆様、まもなくパーティーを開催します」
もうすぐセルニアの誕生日パーティーが始まるのだった。
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