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20・三バカトリオ
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七月。
中間試験も終わり、学校の雰囲気は、もうすぐ到来する夏休みで、だんだん騒がしくなってきた。
みんなで海外旅行に行く計画とか、終業式までに告白し 必ず成功させて 夏を青い春にするとか。
みんな青春の一ページに情熱を燃やす 落ち着かない雰囲気の中、無事 補修を免れることに成功した俺は、松陽高校で三バカトリオと呼ばれる三人と一緒に、昼飯を食っていた。
その 三バカトリオについて説明をしよう。
バカ その一。
朝倉 海翔。
松陽高校オタク代表。
前にも説明したが、俺の幼馴染みであり、そして攻略対象の一人だ。
現在 美少女アニメ情報サイトを見ながら昼食を食べている。
「やったー。ついにあの美少女ゲームの金字塔がアニメ化されるんだー。これはチェックしないと。
ねえねえ、一緒に見ようよ」
「見ねえよ。俺は二次元よりリアルの美少女を追いかける」
と俺が答えると、続いてもう一人が同意した。
「まったくだ。女はやっぱり生じゃないと。二次元の女とはわけが違うぜ。あの感触は現実じゃないとな」
バカ その二。
五十嵐 武士。
松陽高校チャラ男代表。
金髪ロン毛に日焼けした肌。
休みの日には安物のブレスレットなどをつけて、街でナンパをするのが趣味。
しかし ナンパに成功したという話を聞いたことがない。
入学したばかりの頃は、学校の女子にも声をかけまくっていたけど、誰にも相手にされず、全滅。
「おまえ 女とヤッタことないだろ。一度やれば病みつきだぜ。二次元の女は話にならねぇ。それはそれは もう タマんねぇんだ。みんな 俺のテクでメロメロに蕩けた 女のあの表情。くぅー。今年の夏は百人目を達成してやるぜ」
やりまくってるからアレがうまいんだぜオーラを醸し出しているつもりらしいが、それが童貞臭さを これでもかと漂わせている結果になっている。
なんと こいつも攻略対象の一人。
ゲームではヒロインが転入してくると、早速ナンパするが、それがきっかけで知り合うことになる。
選択肢でこいつと会うことを多く選んでいると、色々イベントが発生し、こいつはヒロインを一途に思い始め、ナンパを止めてヒロインだけにアタックするようになると言う展開になる。
最終的にヒロインと結ばれると、女にもてたくてやっていたギターの才能に目覚め、ヒロインとロックバンドを結成するエンディングになり、ロックスターへの階段を二人で上がり始める。
ちなみに現実でも、最近ギターをやり始めた。
俺も少し聞いたけど、女にもてたいだけの理由の割には けっこう上手で、ロック魂に目覚めれば、本当に才能を発揮するかも知れない。
「三人とも下劣な欲望を制御することを覚えるでござる。美少女にそんな欲情を抱くとは、全くもってけしからん。美少女は愛でるもの。そして 守るものでござる」
バカ その三。
高畑くん。
松陽高校ロリコン代表。
座右の銘は、
「イエス・ロリータ。ノー・タッチでござる」
さすがにこいつは攻略対象じゃなかった。
前世の妹がこいつをゲームでとはいえ攻略していたら、俺はこいつを始末しなくてはならなかった。
そんな高畑くんは、松陽高校に入学した直後、近所の小学校の女子集団に、
「手品じゃないトリックなしのスプーン曲げができたら、チュッてしてあげるよー」
と、言われたことがある。
女子小学生たちからしてみれば、ロリコンをからかっただけのつもりだったのだろう。
しかし 高畑くんは、チュッをしてもらいたいがために、本気でスプーン曲げに挑み、そして マジで曲げた。
繰り返そう。
トリックなしで 本当にスプーンを曲げた。
超能力に覚醒したのだ。
ロリコンをこじらせて超能力に目覚める真性のロリコン。
それが高畑くん。
しかし女子小学生たちは、手品ではないトリックなしのスプーン曲げを見たとたん、
「「「化け物だー!!!」」」
と、悲鳴を上げて 脱兎の如く逃げていき、高畑くんには二度と近寄らなくなった。
しかし 高畑くんは怒ることも 悲しむこともなく、
「これで良いのでござる。安易な気持ちで大人をからかえば、どんな手痛い目に遭うかわからぬ。拙者一人が化け物扱いされる程度で、愛らしい女子小学生たちが危険に近寄らなくなるのであれば、それ以上のことは望まぬござるよ」
その言葉に俺は、高畑くんは真の侍であると感服したのだった。
この三人が松陽高校で三バカトリオと呼ばれている。
しかし、影では もう一人バカがいるらしい。
その人物を入れて、バカ四天王とも呼ばれているそうだ。
だが 俺は その人物の名を聞いたことがない。
四人目の人物……
いったい何者なのだろう?
海翔が呟く。
「そう言えばさ、バカ四天王の四人目のバカって誰なんだろうね?」
そう、こいつも知らないのだ。
海翔だけではない。
五十嵐も これ見よがしにギターをいじるのを止めて、
「ああ、どんなバカなのか、一度 会ってみたいぜ」
高畑くんも思案顔で、
「一体 誰なのでござろう?」
三バカトリオも知らない四人目のバカ。
いったい誰なのか、果てしない謎だった。
隣で女子グループが、
「みんな 自分だって知らないのって、ある意味 幸せよね」
とか言ってたけど、なんの話だろう?
そんな日。
俺も夏を青い春にするために、少しは行動しようと思った。
ようはに夏休み中に、セルニアとの仲を進展させるのだ。
まずは探りを入れよう。
続く……
中間試験も終わり、学校の雰囲気は、もうすぐ到来する夏休みで、だんだん騒がしくなってきた。
みんなで海外旅行に行く計画とか、終業式までに告白し 必ず成功させて 夏を青い春にするとか。
みんな青春の一ページに情熱を燃やす 落ち着かない雰囲気の中、無事 補修を免れることに成功した俺は、松陽高校で三バカトリオと呼ばれる三人と一緒に、昼飯を食っていた。
その 三バカトリオについて説明をしよう。
バカ その一。
朝倉 海翔。
松陽高校オタク代表。
前にも説明したが、俺の幼馴染みであり、そして攻略対象の一人だ。
現在 美少女アニメ情報サイトを見ながら昼食を食べている。
「やったー。ついにあの美少女ゲームの金字塔がアニメ化されるんだー。これはチェックしないと。
ねえねえ、一緒に見ようよ」
「見ねえよ。俺は二次元よりリアルの美少女を追いかける」
と俺が答えると、続いてもう一人が同意した。
「まったくだ。女はやっぱり生じゃないと。二次元の女とはわけが違うぜ。あの感触は現実じゃないとな」
バカ その二。
五十嵐 武士。
松陽高校チャラ男代表。
金髪ロン毛に日焼けした肌。
休みの日には安物のブレスレットなどをつけて、街でナンパをするのが趣味。
しかし ナンパに成功したという話を聞いたことがない。
入学したばかりの頃は、学校の女子にも声をかけまくっていたけど、誰にも相手にされず、全滅。
「おまえ 女とヤッタことないだろ。一度やれば病みつきだぜ。二次元の女は話にならねぇ。それはそれは もう タマんねぇんだ。みんな 俺のテクでメロメロに蕩けた 女のあの表情。くぅー。今年の夏は百人目を達成してやるぜ」
やりまくってるからアレがうまいんだぜオーラを醸し出しているつもりらしいが、それが童貞臭さを これでもかと漂わせている結果になっている。
なんと こいつも攻略対象の一人。
ゲームではヒロインが転入してくると、早速ナンパするが、それがきっかけで知り合うことになる。
選択肢でこいつと会うことを多く選んでいると、色々イベントが発生し、こいつはヒロインを一途に思い始め、ナンパを止めてヒロインだけにアタックするようになると言う展開になる。
最終的にヒロインと結ばれると、女にもてたくてやっていたギターの才能に目覚め、ヒロインとロックバンドを結成するエンディングになり、ロックスターへの階段を二人で上がり始める。
ちなみに現実でも、最近ギターをやり始めた。
俺も少し聞いたけど、女にもてたいだけの理由の割には けっこう上手で、ロック魂に目覚めれば、本当に才能を発揮するかも知れない。
「三人とも下劣な欲望を制御することを覚えるでござる。美少女にそんな欲情を抱くとは、全くもってけしからん。美少女は愛でるもの。そして 守るものでござる」
バカ その三。
高畑くん。
松陽高校ロリコン代表。
座右の銘は、
「イエス・ロリータ。ノー・タッチでござる」
さすがにこいつは攻略対象じゃなかった。
前世の妹がこいつをゲームでとはいえ攻略していたら、俺はこいつを始末しなくてはならなかった。
そんな高畑くんは、松陽高校に入学した直後、近所の小学校の女子集団に、
「手品じゃないトリックなしのスプーン曲げができたら、チュッてしてあげるよー」
と、言われたことがある。
女子小学生たちからしてみれば、ロリコンをからかっただけのつもりだったのだろう。
しかし 高畑くんは、チュッをしてもらいたいがために、本気でスプーン曲げに挑み、そして マジで曲げた。
繰り返そう。
トリックなしで 本当にスプーンを曲げた。
超能力に覚醒したのだ。
ロリコンをこじらせて超能力に目覚める真性のロリコン。
それが高畑くん。
しかし女子小学生たちは、手品ではないトリックなしのスプーン曲げを見たとたん、
「「「化け物だー!!!」」」
と、悲鳴を上げて 脱兎の如く逃げていき、高畑くんには二度と近寄らなくなった。
しかし 高畑くんは怒ることも 悲しむこともなく、
「これで良いのでござる。安易な気持ちで大人をからかえば、どんな手痛い目に遭うかわからぬ。拙者一人が化け物扱いされる程度で、愛らしい女子小学生たちが危険に近寄らなくなるのであれば、それ以上のことは望まぬござるよ」
その言葉に俺は、高畑くんは真の侍であると感服したのだった。
この三人が松陽高校で三バカトリオと呼ばれている。
しかし、影では もう一人バカがいるらしい。
その人物を入れて、バカ四天王とも呼ばれているそうだ。
だが 俺は その人物の名を聞いたことがない。
四人目の人物……
いったい何者なのだろう?
海翔が呟く。
「そう言えばさ、バカ四天王の四人目のバカって誰なんだろうね?」
そう、こいつも知らないのだ。
海翔だけではない。
五十嵐も これ見よがしにギターをいじるのを止めて、
「ああ、どんなバカなのか、一度 会ってみたいぜ」
高畑くんも思案顔で、
「一体 誰なのでござろう?」
三バカトリオも知らない四人目のバカ。
いったい誰なのか、果てしない謎だった。
隣で女子グループが、
「みんな 自分だって知らないのって、ある意味 幸せよね」
とか言ってたけど、なんの話だろう?
そんな日。
俺も夏を青い春にするために、少しは行動しようと思った。
ようはに夏休み中に、セルニアとの仲を進展させるのだ。
まずは探りを入れよう。
続く……
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