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第3章 世界編

第124話 討伐と復活

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俺はマナヒュドラと対峙する。

「やってやるよ…俺1人で!」

と、意気込んだはいいものの、こいつは再生能力持ちだ。
再生する前に全ての首を切り落とす必要があるのか?

そんなの、再生を妨げる何かがないと無理ゲーに決まって……

「ヒュア、ヒュア…」

再生能力を有するヒュドラが痛がる声を上げる。

よく見ると、ヒュドラの腹部には焼けた跡が残っている。

「あいつのお腹の傷はなんだ?どうして再生しない…?」

…まさかあいつの弱点は!?

そうか…そういう事か…!
繋がった…!全部が繋がったぞ!

「あいつは最強かもしれないが、弱点が無いわけじゃない!
いける…俺たちでマナヒュドラを倒せるぞ!」

「何か分かったの?」

「ああ、全て理解した…あいつの弱点をな!」

「さすがルイスだね」

「あいつのお腹を見てくれ」

「焼け…跡?」

「ああそうだ。恐らくあれはシシーの魔術で付いた跡だろうな」

「でも魔術は効かないんじゃ…」

「効かないわけじゃない。あいつが魔術を打ち消していただけで、打ち消されないように魔術を放てば当たる」

「でもそんなのどうやって…」

「打ち消しの反応速度が間に合わないくらい至近距離で放つんだ。
結果、シシーの放った魔術は直撃している」

「至近距離…」

「それと、あの焼け跡が再生しておらず、火を避けるように突進してきたことから、あいつの弱点は炎だ」

「じゃあ炎魔術で焼けば…!」

「再生されずに倒すことができる!」

「それならルイスのあの凄い魔術で勝てるね!」

「…すまないが【インフェルノサイクロン】は使えない。
発動するだけの魔力がもう残っていないんだ。
それに【インフェルノサイクロン】はアオやシシーにも被害が及ぶかもしれない」

「じゃあ何か策があるの?」

「簡単な話だ。
【転移】で至近距離に移動し、首を一つづつ焼いていく」

「そんな無茶な!魔力は少ないんじゃ…」

「ああ少ないさ。でもやるしかない」

「ヒュアァァァ!」

「相手も待ってはくれないみたいだしな」

「僕は何をすればいい?」

「アートはみんなを守ってくれ」

「わかった!」

さてと…

俺はまなヒュドラと対峙する。

「ヒュアァァァ!」

こんなに気持ちが高ぶるのは久しぶりだな。

(時雨丸、まだ戦えそうか?)

〈余裕なのじゃ!〉

「よし、じゃあ行くぞ!【転移】!」

俺はマナヒュドラの1番右端の首間近に転移する。

この位置なら反対側の頭は向かってこれない。
向かってきたとしても多くて3頭。
それくらいなら剣術で捌ける。

それと、なるべく魔力を温存する戦い方で行こう。
時雨丸で首を斬れば焼く面積も小さくなるし、高火力の魔術を使わないで済む。

「まずは1頭目!はぁ!」

俺は右端の頭を切り落とす。

「そして【ファイアバレット】!」

切り口を【ファイアバレット】で焼き、再生を阻止する。

「ヒュアァァァ!!」

右から2番目の頭が口を開けて向かってくる。

「2頭目!【転移】!はぁ!」

首の横に転移し、即座に首を切り落とす。

「【ファイアバレット】!」

残り7頭!
このペースなら魔力も持つ!

「【転移】!【ファイアバレット】!【転移___」

残り6…5…4…3…2…

「これで残り___」

「「___ヒュアァァァ!!」」

「なっ!?2頭同時に!」

間合いをミスった!
残り2頭だってのに、同時にこられたら斬れない…!

一旦引くか…?
いや、引いてしまったら魔力が足りなくなる。
魔力はかなり限界だ。
尽きてしまったら即ゲームオーバー。

ないのか…この状況を打破する何か…
避けるのに【転移】を使うことも出来ない…

「「ヒュアァァァ!」」

ヒュドラが口を大きく開け、俺に噛み付く。

ピコンッ

《致命的ダメージを感知致しました。『結界の護り』を発動致します。本日、残り使用回数0回》

『結界の護り』も発動した。
もう攻撃を防ぐ手段が___

「___うぉぉぉぉ!【ウィンドバレット】!【ウィンドバレット】!」

「アート!?」

アートが【ウィンドバレット】で加速してこちらに向かってくる。

「はぁぁぁ!【ウィンドエッジ】!」

至近距離まで接近し、【ウィンドエッジ】でヒュドラの首を一つ切り落とす。

よくやったアート!
やっぱりお前しかいないな!

「【転移】!これで最後だ!」

【転移】を使い最後の首を斬り落とす。

1頭ずつ焼いていたらもう片方に再生されてしまう。
残り魔力は少ないが、アートがいるなら勝てる!

「アート!まとめて焼くから力を貸してくれ!」

「わかった!」

「【ファイアストーム】!」

「【ウィンドストーム】!」

俺とアートは同時に魔術を唱える。

《初回クリアな為、クリア報酬が与えられます。
奥の祭壇にお進み下さい》

ダンジョン攻略のアナウンスが流れる。

「倒した…倒したぞ…!」

「俺たちは最強の魔物に勝ったんだ…!」

かなりぎりぎりの戦い方だったが、何とか勝てた…
アートが加わってくれたのは本当に感謝だな。

「シシー、アオ、もう戦いは終わったよ」

「さすがルイスとアートだよ!ありがとう!」

「…ありがと…」

2人ももう大丈夫そうだな。

「じゃあ報酬を受け取ろうか」

《レベルエンハンスダンジョンの攻略を確認しました。
追加で特別報酬が与えられます》

祭壇が強く光る。

これが最後の『神の欠片』…

俺はいつも通り『神の欠片』を手に取る。
そして…

「これは間違いなく『伝説の薬』…!」

「やっとメリアを生き返らせられるんだね」

「ああ…【収納】」

俺は2つの瓶を大切に収納した。

《報酬の受け取りが完了したので帰還致します》

身体が光に包まれ地上に帰還する。

「…やっと地上…」

「みんな、早速だがメリアを生き返らせてもいいか?」

「もちろんだよ!」

「【取り出し】…」

俺は大事に収納していたメリアの身体を取り出す。

「メリア…」

『伝説の薬』の蓋を開け、ゆっくりとメリアの口に注ぎ込む。

「「「………」」」

「んっ…」

「「「メリア!!!」」」

「みんな…アオまで…」

「良かった…良かった…メリア!」

俺は嬉しさのあまりメリアに抱きつく。

「えっ、あっ、ルイス…!?」

「もー2人でいちゃいちゃしないでよー!」

「べっ、別にいちゃいちゃじゃないわよ…!」

「顔真っ赤だよー?」

「「あはは!」」

ああ…良かった…
いつもの日常だな…

「メリア…おかえり!」

「みんなただいま!」

こうしてメリアを生き返らせ、俺たちの世界を回るという目的は果たされた。



=====================



第3章世界編はこれにて終了です!

読者の皆様、第3章 世界編はどうだったでしょうか?
是非、感想などをコメントしてください!

次回からはいよいよ最終章 デスティザーク編です!

もうそろそろ物語の終わりが近づいてきています。
最後まで読んでくださると、大変嬉しい限りでございます!
これからもこの作品をよろしくお願いします!


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