45 / 140
第2章 学校編
第45話 ハムギルVS進化したヘルウィー
しおりを挟む「くっくっくっくっく…」
息絶えたはずのヘルウィーから声が聞こえる。
「なに!?」
ヘルバーがすぐさま剣を拾い、息絶えたはずのヘルウィーへと構える。
「全く人間は愚かだ…」
ヘルウィーの身体が次々と再生していく。
「おいどうなっているんだよ…」
「これは私も知らねぇな…」
ヘルウィーの身体は以前よりも一回り大きく、赤く、角は鋭利に、翼は広く、まるで別の生物になったかのように再生した。
「ぐへっへっへっへ」
「何が起きたんだ!?」
「これは私も初めて見るな…」
ヘルバーとアシューは再生したヘルウィーを見て少し退く。
「知らないようだな…悪魔は第2の命があるってことを!」
「第2の命だと!?」
「俺様は生まれ変わったのさ!
つまり…進化したんだ!」
「進化…これは少し厄介なことになったな」
「ぐへへへへ!第2ラウンドの始まりだぁ!」
ヘルウィーが以前とは比べ物にならない速さで、ヘルバーに向かってに攻撃を仕掛ける。
「まずは弱い貴様からだ!」
「俺かよ!?」
ヘルウィーの爪がヘルバーへと向かっていく。
「ぐぁ!」
ヘルウィーの爪がヘルバーに届く直前、強い重力場が発生する。
ヘルウィーは重力場によって動きが鈍る。
「助かったぞ姉ちゃん!」
ヘルバーが後ろへ退き距離をとる。
「お前の相手は私だ」
アシューは動きが鈍っているヘルウィーに拳を喰らわせる。
「邪魔するな!」
ヘルウィーはアシューの拳を咄嗟に腕で防ぐ。
しかし、ヘルウィーはアシューの力によって後ろへ吹き飛んでいく。
「馬鹿力め!【ブラッドレイン】!」
ヘルウィーは力じゃ勝てないと察したのか、アシューに向けて【ブラッドレイン】を唱える。
「その攻撃は無駄だ!モードチェンジ【ウィンドソード】!おりゃあ!」
後ろで待機していたヘルバーが【ブラッドレイン】をすぐさまかき消す。
「くそっ!邪魔だぁ!【カースブラッド】!」
ヘルウィーが怒りのままにヘルバーに向けて魔術を放つ。
赤黒く毒々しい小さな血液がヘルウィーの指先から放たれる。
「モードチェンジ【ライトソード】!」
ヘルバーは光を纏った魔剣で、ヘルウィーが放ってきた魔術を打ち消した。
「なんだこれ…!」
【カースブラッド】を打ち消したはずが、魔剣の光はどんどん弱くなっていく。
悪魔の魔法には光属性である【ライトソード】が有効だ。
しかし、【カースブラッド】は違った。
【カースブラッド】、別名【光属性殺し】
その名の通り光属性を殺す為に悪魔によって発明された魔法だ。
ヘルバーの魔剣に当たった【カースブラッド】は、魔剣の光を次々と飲み込んでいく。
「俺の魔剣が!?」
【カースブラッド】はやがて光を全て飲み込み、魔剣は力を失った。
「モードチェンジ【ライトソード】!」
魔剣が微かに光る。
しかし、直ぐに【カースブラッド】によって飲み込まれてしまう。
「モードチェンジ【ライトソード】!」
何度やっても結果は同じだった…
「お前はもう下がれ!」
「わかった!姉ちゃんあとは任せたぞ!」
「おう、任せろ」
ヘルバーは剣をしまい、街の方へ逃げていく。
「これで邪魔はいなくなったなぁ~」
ヘルウィーが爪を舐めながらアシューと対峙する。
「【ブラッドレイン】!」
空が曇り赤い雨が降り注ぐ。
「くっ」
雨がアシューを打ちつける。
「何だこの雨は…力が…」
アシューの力がどんどん抜けていく。
「ぐへへへへ、おりゃ!」
ヘルウィーは力が抜け動けなくなったアシューに拳を喰らわす。
「咄嗟に重力を軽くして威力を弱めたが、このままだと負ける」
アシューはヘルウィーに殴り掛かる…が、しかし、アシューの拳には力が入っておらず、ヘルウィーに軽々と躱される。
「どうした当たってないぞ?えい!」
「くっ…」
ヘルウィーの攻撃は致命傷にはならないものの、このまま戦いが続けばいずれ体力が尽きて負ける。
この展開を変えられる何かがあれば…
◆◆◆
「なんだあの赤い雨は!?」
俺は今全速力で街へ向かっている。
「ヘルウィーのやつ相当暴れてるみたいだな…
早く向かわないと!」
俺が街に着いた頃には既に大きな被害が出ていた。
門の付近には兵士が地を流して倒れている。
「これは酷いな…」
俺は閉ざされた門を押し開ける。
「これは…!?」
遠くに見えたのは懐かしい銀髪の女性と姿が変わったヘルウィーだった。
「あれはアシュー師匠!?
それにあれは本当にヘルウィーなのか?」
アシュー師匠が負けるはずない…そう思っていたが見ていると少しばかり押されているように見える。
あの強さは本当にヘルウィーなのだろうか…
以前よりも一回り身体が大きくなった気がする。それに強さも数十倍強くなっている。
とにかく俺も加勢しないと!
「死ねぇ!」
ヘルウィーがボロボロになったアシューにトドメを刺そうとする。
「【ライトアロー】!」
「おっと、危ないじゃないか」
俺はヘルウィーの頭目掛けて【ライトアロー】を射ったが、ヘルウィーに軽々と防がれる。
「久しぶりですね!アシュー師匠!」
「その声は、ルイスか?」
「はい!」
32
お気に入りに追加
106
あなたにおすすめの小説
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
落ちこぼれの烙印を押された少年、唯一無二のスキルを開花させ世界に裁きの鉄槌を!
酒井 曳野
ファンタジー
この世界ニードにはスキルと呼ばれる物がある。
スキルは、生まれた時に全員が神から授けられ
個人差はあるが5〜8歳で開花する。
そのスキルによって今後の人生が決まる。
しかし、極めて稀にスキルが開花しない者がいる。
世界はその者たちを、ドロップアウト(落ちこぼれ)と呼んで差別し、見下した。
カイアスもスキルは開花しなかった。
しかし、それは気付いていないだけだった。
遅咲きで開花したスキルは唯一無二の特異であり最強のもの!!
それを使い、自分を蔑んだ世界に裁きを降す!
世界最強で始める異世界生活〜最強とは頼んだけど、災害レベルまでとは言ってない!〜
ワキヤク
ファンタジー
その日、春埼暁人は死んだ。トラックに轢かれかけた子供を庇ったのが原因だった。
そんな彼の自己犠牲精神は世界を創造し、見守る『創造神』の心を動かす。
創造神の力で剣と魔法の世界へと転生を果たした暁人。本人の『願い』と創造神の『粋な計らい』の影響で凄まじい力を手にしたが、彼の力は世界を救うどころか世界を滅ぼしかねないものだった。
普通に歩いても地割れが起き、彼が戦おうものなら瞬く間にその場所は更地と化す。
魔法もスキルも無効化吸収し、自分のものにもできる。
まさしく『最強』としての力を得た暁人だが、等の本人からすれば手に余る力だった。
制御の難しいその力のせいで、文字通り『歩く災害』となった暁人。彼は平穏な異世界生活を送ることができるのか……。
これは、やがてその世界で最強の英雄と呼ばれる男の物語。
加護とスキルでチートな異世界生活
どど
ファンタジー
高校1年生の新崎 玲緒(にいざき れお)が学校からの帰宅中にトラックに跳ねられる!?
目を覚ますと真っ白い世界にいた!
そこにやってきた神様に転生か消滅するかの2択に迫られ転生する!
そんな玲緒のチートな異世界生活が始まる
初めての作品なので誤字脱字、ストーリーぐだぐだが多々あると思いますが気に入って頂けると幸いです
ノベルバ様にも公開しております。
※キャラの名前や街の名前は基本的に私が思いついたやつなので特に意味はありません
異世界あるある 転生物語 たった一つのスキルで無双する!え?【土魔法】じゃなくって【土】スキル?
よっしぃ
ファンタジー
農民が土魔法を使って何が悪い?異世界あるある?前世の謎知識で無双する!
土砂 剛史(どしゃ つよし)24歳、独身。自宅のパソコンでネットをしていた所、突然轟音がしたと思うと窓が破壊され何かがぶつかってきた。
自宅付近で高所作業車が電線付近を作業中、トラックが高所作業車に突っ込み運悪く剛史の部屋に高所作業車のアームの先端がぶつかり、そのまま窓から剛史に一直線。
『あ、やべ!』
そして・・・・
【あれ?ここは何処だ?】
気が付けば真っ白な世界。
気を失ったのか?だがなんか聞こえた気がしたんだが何だったんだ?
・・・・
・・・
・・
・
【ふう・・・・何とか間に合ったか。たった一つのスキルか・・・・しかもあ奴の元の名からすれば土関連になりそうじゃが。済まぬが異世界あるあるのチートはない。】
こうして剛史は新た生を異世界で受けた。
そして何も思い出す事なく10歳に。
そしてこの世界は10歳でスキルを確認する。
スキルによって一生が決まるからだ。
最低1、最高でも10。平均すると概ね5。
そんな中剛史はたった1しかスキルがなかった。
しかも土木魔法と揶揄される【土魔法】のみ、と思い込んでいたが【土魔法】ですらない【土】スキルと言う謎スキルだった。
そんな中頑張って開拓を手伝っていたらどうやら領主の意に添わなかったようで
ゴウツク領主によって領地を追放されてしまう。
追放先でも土魔法は土木魔法とバカにされる。
だがここで剛史は前世の記憶を徐々に取り戻す。
『土魔法を土木魔法ってバカにすんなよ?異世界あるあるな前世の謎知識で無双する!』
不屈の精神で土魔法を極めていく剛史。
そしてそんな剛史に同じような境遇の人々が集い、やがて大きなうねりとなってこの世界を席巻していく。
その中には同じく一つスキルしか得られず、公爵家や侯爵家を追放された令嬢も。
前世の記憶を活用しつつ、やがて土木魔法と揶揄されていた土魔法を世界一のスキルに押し上げていく。
但し剛史のスキルは【土魔法】ですらない【土】スキル。
転生時にチートはなかったと思われたが、努力の末にチートと言われるほどスキルを活用していく事になる。
これは所持スキルの少なさから世間から見放された人々が集い、ギルド『ワンチャンス』を結成、努力の末に世界一と言われる事となる物語・・・・だよな?
何故か追放された公爵令嬢や他の貴族の令嬢が集まってくるんだが?
俺は農家の4男だぞ?
称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~
しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」
病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?!
女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。
そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!?
そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?!
しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。
異世界転生の王道を行く最強無双劇!!!
ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!!
小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!
異世界転生はどん底人生の始まり~一時停止とステータス強奪で快適な人生を掴み取る!
夢・風魔
ファンタジー
若くして死んだ男は、異世界に転生した。恵まれた環境とは程遠い、ダンジョンの上層部に作られた居住区画で孤児として暮らしていた。
ある日、ダンジョンモンスターが暴走するスタンピードが発生し、彼──リヴァは死の縁に立たされていた。
そこで前世の記憶を思い出し、同時に転生特典のスキルに目覚める。
視界に映る者全ての動きを停止させる『一時停止』。任意のステータスを一日に1だけ奪い取れる『ステータス強奪』。
二つのスキルを駆使し、リヴァは地上での暮らしを夢見て今日もダンジョンへと潜る。
*カクヨムでも先行更新しております。
異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~
宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。
転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。
良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。
例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。
けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。
同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。
彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!?
※小説家になろう様にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる