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第2章 学校編

第45話 ハムギルVS進化したヘルウィー

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「くっくっくっくっく…」

息絶えたはずのヘルウィーから声が聞こえる。

「なに!?」

ヘルバーがすぐさま剣を拾い、息絶えたはずのヘルウィーへと構える。

「全く人間は愚かだ…」

ヘルウィーの身体が次々と再生していく。

「おいどうなっているんだよ…」

「これは私も知らねぇな…」

ヘルウィーの身体は以前よりも一回り大きく、赤く、角は鋭利に、翼は広く、まるで別の生物になったかのように再生した。

「ぐへっへっへっへ」

「何が起きたんだ!?」

「これは私も初めて見るな…」

ヘルバーとアシューは再生したヘルウィーを見て少し退く。

「知らないようだな…悪魔は第2の命があるってことを!」

「第2の命だと!?」

「俺様は生まれ変わったのさ!
つまり…進化したんだ!」

「進化…これは少し厄介なことになったな」

「ぐへへへへ!第2ラウンドの始まりだぁ!」

ヘルウィーが以前とは比べ物にならない速さで、ヘルバーに向かってに攻撃を仕掛ける。

「まずは弱い貴様からだ!」

「俺かよ!?」

ヘルウィーの爪がヘルバーへと向かっていく。

「ぐぁ!」

ヘルウィーの爪がヘルバーに届く直前、強い重力場が発生する。
ヘルウィーは重力場によって動きが鈍る。

「助かったぞ姉ちゃん!」

ヘルバーが後ろへ退き距離をとる。

「お前の相手は私だ」

アシューは動きが鈍っているヘルウィーに拳を喰らわせる。

「邪魔するな!」

ヘルウィーはアシューの拳を咄嗟に腕で防ぐ。

しかし、ヘルウィーはアシューの力によって後ろへ吹き飛んでいく。

「馬鹿力め!【ブラッドレイン】!」

ヘルウィーは力じゃ勝てないと察したのか、アシューに向けて【ブラッドレイン】を唱える。

「その攻撃は無駄だ!モードチェンジ【ウィンドソード】!おりゃあ!」

後ろで待機していたヘルバーが【ブラッドレイン】をすぐさまかき消す。

「くそっ!邪魔だぁ!【カースブラッド】!」

ヘルウィーが怒りのままにヘルバーに向けて魔術を放つ。
赤黒く毒々しい小さな血液がヘルウィーの指先から放たれる。

「モードチェンジ【ライトソード】!」

ヘルバーは光を纏った魔剣で、ヘルウィーが放ってきた魔術を打ち消した。

「なんだこれ…!」

【カースブラッド】を打ち消したはずが、魔剣の光はどんどん弱くなっていく。

悪魔の魔法には光属性である【ライトソード】が有効だ。

しかし、【カースブラッド】は違った。

【カースブラッド】、別名【光属性殺し】

その名の通り光属性を殺す為に悪魔によって発明された魔法だ。

ヘルバーの魔剣に当たった【カースブラッド】は、魔剣の光を次々と飲み込んでいく。

「俺の魔剣が!?」

【カースブラッド】はやがて光を全て飲み込み、魔剣は力を失った。

「モードチェンジ【ライトソード】!」

魔剣が微かに光る。
しかし、直ぐに【カースブラッド】によって飲み込まれてしまう。

「モードチェンジ【ライトソード】!」

何度やっても結果は同じだった…

「お前はもう下がれ!」

「わかった!姉ちゃんあとは任せたぞ!」

「おう、任せろ」

ヘルバーは剣をしまい、街の方へ逃げていく。

「これで邪魔はいなくなったなぁ~」

ヘルウィーが爪を舐めながらアシューと対峙する。

「【ブラッドレイン】!」

空が曇り赤い雨が降り注ぐ。

「くっ」

雨がアシューを打ちつける。

「何だこの雨は…力が…」

アシューの力がどんどん抜けていく。

「ぐへへへへ、おりゃ!」

ヘルウィーは力が抜け動けなくなったアシューに拳を喰らわす。

「咄嗟に重力を軽くして威力を弱めたが、このままだと負ける」

アシューはヘルウィーに殴り掛かる…が、しかし、アシューの拳には力が入っておらず、ヘルウィーに軽々と躱される。

「どうした当たってないぞ?えい!」

「くっ…」

ヘルウィーの攻撃は致命傷にはならないものの、このまま戦いが続けばいずれ体力が尽きて負ける。

この展開を変えられる何かがあれば…



◆◆◆



「なんだあの赤い雨は!?」

俺は今全速力で街へ向かっている。

「ヘルウィーのやつ相当暴れてるみたいだな…
早く向かわないと!」



俺が街に着いた頃には既に大きな被害が出ていた。

門の付近には兵士が地を流して倒れている。

「これは酷いな…」

俺は閉ざされた門を押し開ける。

「これは…!?」

遠くに見えたのは懐かしい銀髪の女性と姿が変わったヘルウィーだった。

「あれはアシュー師匠!?
それにあれは本当にヘルウィーなのか?」

アシュー師匠が負けるはずない…そう思っていたが見ていると少しばかり押されているように見える。

あの強さは本当にヘルウィーなのだろうか…

以前よりも一回り身体が大きくなった気がする。それに強さも数十倍強くなっている。

とにかく俺も加勢しないと!

「死ねぇ!」

ヘルウィーがボロボロになったアシューにトドメを刺そうとする。

「【ライトアロー】!」

「おっと、危ないじゃないか」

俺はヘルウィーの頭目掛けて【ライトアロー】を射ったが、ヘルウィーに軽々と防がれる。

「久しぶりですね!アシュー師匠!」

「その声は、ルイスか?」

「はい!」


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