上 下
2 / 2

質問タイム2

しおりを挟む
「あの~。のっぺらぼう先生はなんか~、黒板に文字書いたりしてるから、見えてるみたいじゃないですか~?どこで見てるんですか~?」

 ぶつぶつ、なんだか呪文を唱えるような声です。

「ええと、それも実は股間です!!股間で見ています!!」

 のっぺらぼう先生は元気よく答えます。妙子さんはちょっと顔を赤くして、むすっと微笑んでいます。

「すごいー!!目も見えるなんてー!!」

「すごすぎるー!!すごすぎる股間だー!!」

「万能じゃないか!!」

 絶賛の声。盛り上がる教室。しかし、異議を唱えるものがいた。たかし君だ。

 バン!!

 机を叩き、立ち上がる。

「おかしい!!おかしいよ!!股間で見るなら、ズボンで隠れて外が見えないはずだよ!!おかしい!!おかしいよ!!」

 怒っています。でも、もっともな反論です。

「ごめんなさいねたかしくん。誤解なんです。実はこのズボンはマジックミラーになっていて、外側から内側は見えなくても、内側から外側は見えるようになっているんです。そういう仕組みなんです。」

 のっぺらぼうさんが答えました。

「すごいー!!すごいズボンだー!!」

「すごいズボンと股間だー!!」

「ワンダフルー!!ワンダフルー!!」

 教室のボルテージは最高潮に達しています。サッカーのワールドカップ決勝のような空気です。

「すごいー!!すごいー!!」

「すごい股間ー!!すごい股間ー!!」

 すごい、すごい空気です。爆発してしまいそうです。

「見せてよ!!」

 鋭い声が空間を切り裂きました。たかしくん、再びたかしくんです。

「見せてよその股間!!僕に見せてよ!!」

 力強い声。決して疑っているわけではないようです。ただ、ただ見てみたい。強い好奇心と意志がビンビンに伝わってきます。隕石のような力強さです。

「う~ん、それはちょっと、、、法的にちょっと、、う~ん。」

 のっぺらぼうさんは困ってしまいました。困ってしまったのっぺらぼうさん、顔をうろうろさせて、里見先生の方を向きます。助けを求めているみたいです。

「う~ん。じゃあ、先生が確かめて判断しますね、じゃあちょっと、のっぺらぼうさん、すみません。」

 のっぺらぼうの股間の辺りに目を向けます。

 ビヨーン

 のっぺらぼうさんは先程のマイクがついていたあたりを広げて見せます。

「指差し確認、いち~!!」

 里美先生はそう事務的に叫び、指を指します。のっぺらぼうの股間のあたりを指差しし、覗き込みます。

 チクタク、チクタク、チクタク、チクタク

 束の間の、沈黙......。

 顔を上げる先生。無言で黒板の方へ歩き出します。グッと息を飲む生徒たち。教室自体が息を潜めているようです。

 カッカッカッカッカッ!!

 白いチョークで小気味よく描き始める。そこには大きく「NG」の文字が.......。

「ええっ!!えええええっ!!」

 落胆の声を上げるたかし。

 メソメソメソメソメソメソメソメソメソ

 周りの生徒たちは静かに涙を流しています、、、、、。

「くそっ!!見れると思ったのに!!くそっ!!」

 一人感情を爆発させ、机を叩いているたかし。

 しくしくしくしく、、、、

 周囲のすすり泣きが一層たかしの激しさを際立たせます。

「もういいよっ!!」

 バーンッ

 机を蹴り、窓から外を眺めるたかし。目には涙が浮かんでいる。夕暮れ、夕焼け空が綺麗だ.....。

 ツカツカツカ

 のっぺらぼう先生が歩み寄っていく。

「大丈夫。夢は叶うよ。絶対にね。」

 のっぺらぼうはそういうと、たかしの肩にぽんと、手を置いたのだった。

 完
しおりを挟む

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

JKがいつもしていること

フルーツパフェ
大衆娯楽
平凡な女子高生達の日常を描く日常の叙事詩。 挿絵から御察しの通り、それ以外、言いようがありません。

就職面接の感ドコロ!?

フルーツパフェ
大衆娯楽
今や十年前とは真逆の、売り手市場の就職活動。 学生達は賃金と休暇を貪欲に追い求め、いつ送られてくるかわからない採用辞退メールに怯えながら、それでも優秀な人材を発掘しようとしていた。 その業務ストレスのせいだろうか。 ある面接官は、女子学生達のリクルートスーツに興奮する性癖を備え、仕事のストレスから面接の現場を愉しむことに決めたのだった。

雌犬、女子高生になる

フルーツパフェ
大衆娯楽
最近は犬が人間になるアニメが流行りの様子。 流行に乗って元は犬だった女子高生美少女達の日常を描く

スケートリンクでバイトしてたら大惨事を目撃した件

フルーツパフェ
大衆娯楽
比較的気温の高い今年もようやく冬らしい気候になりました。 寒くなって本格的になるのがスケートリンク場。 プロもアマチュアも関係なしに氷上を滑る女の子達ですが、なぜかスカートを履いた女の子が多い? そんな格好していたら転んだ時に大変・・・・・・ほら、言わんこっちゃない! スケートリンクでアルバイトをする男性の些細な日常コメディです。

お漏らし・おしがま短編小説集 ~私立朝原女学園の日常~

赤髪命
大衆娯楽
小学校から高校までの一貫校、私立朝原女学園。この学校に集う女の子たちの中にはいろいろな個性を持った女の子がいます。そして、そんな中にはトイレの悩みを持った子たちも多いのです。そんな女の子たちの学校生活を覗いてみましょう。

令嬢の名門女学校で、パンツを初めて履くことになりました

フルーツパフェ
大衆娯楽
 とある事件を受けて、財閥のご令嬢が数多く通う女学校で校則が改訂された。  曰く、全校生徒はパンツを履くこと。  生徒の安全を確保するための善意で制定されたこの校則だが、学校側の意図に反して事態は思わぬ方向に?  史実上の事件を元に描かれた近代歴史小説。

校長先生の話が長い、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
学校によっては、毎週聞かされることになる校長先生の挨拶。 学校で一番多忙なはずのトップの話はなぜこんなにも長いのか。 とあるテレビ番組で関連書籍が取り上げられたが、実はそれが理由ではなかった。 寒々とした体育館で長時間体育座りをさせられるのはなぜ? なぜ女子だけが前列に集められるのか? そこには生徒が知りえることのない深い闇があった。 新年を迎え各地で始業式が始まるこの季節。 あなたの学校でも、実際に起きていることかもしれない。

処理中です...