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処女は腹筋がお好き3※
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「ひ、やあああっ」
私は、処女だ。
当然大人の玩具なんて使ったことはない。しかし今、人間の舌という玩具とは比較にならないだろう自由な動きをする異物が、秘所をじっくりと嬲っている。
全体をゆるゆると優しく舐めて蕩けられさせ、両の親指でしっかりと花弁を開いてから蜜口に唇をつけられる。そして直接、蜜を啜られた。
「や、そこ。そこ、きもちいっ」
「ここにキスされるの、好き?」
「好きっ」
気持ちよさについ『好き』だと口にすると、しつこいくらいに何度も蜜口を虐められる。軽く啄むようにキスをされ、舌先を穴にゆるく埋められ。つい腰を動かして気持ちいいところに舌を当てようとすると、どこを舐めて欲しいのか察した翼にねっとりと舐め上げられた。
「は、ふ。ああっ! んっ」
お世辞にも可愛くない喘ぎ声を聞かれるのが嫌になって口に手を当てると、翼に不思議そうな表情で見つめられた。
「声、聞かせて」
「で、でも。可愛くないから」
「世界一、可愛いから。お願い」
「や! ああああっ!」
甘えるように言った後に、翼はクリトリスを吸い上げる。私は口に手を当てているのが意味のないくらいの喘ぎを上げて、激しくイッてしまった。
「もっと聞かせて」
「あっ、やぁっ!」
吸い上げられて赤くなったクリを、指で何度も擦られる。刺激がビリビリと体中を走り、息を荒くしながら悶えることしかできない。気持ちいい、けれど鮮烈すぎる。
「つばさ、つばさ」
快楽に翻弄され、上手く思考を働かせることができない。名前を呼びながら手を伸ばすと優しく指を絡められ、あやすように指の腹ですりすりと指を擦られた。
「つらい?」
「気持ちよすぎて、怖いっ……」
「ごめんね。でも解さないと挿れる時が大変だから」
軽々と上半身を抱え起こされ、膝の上に乗せられてから、胸にそっと抱きしめられる。そしてよしよしと頭を優しく撫でられた。張りのある胸に頬を擦り寄せていると次第に気持ちが落ち着いてくる。指で押すと、胸はしなやかな弾力を返した。
……翼が、なんというか甘ったるい。
歴代の彼女にもこんな感じだったのだろうか。じゃあどうして、毎回別れてしまうんだろう。こんなにお姫様みたいに甘やかされて、『好き』だの『可愛い』だのと言われたら、ふつうの女の子なら別れるという選択肢は生まれないように思う。
……それとも、こんな態度は一瞬だけなのかな。ありがちだけど、ヤッたら冷たくなるとか。
「るな。なにか余計なこと考えてるよね?」
こつりと額同士を合わせられ、すりすりとされる。
「そりゃはじめてだし。色々考えるよ」
「そっか、そうだよね。もっと感じさせて、甘やかして、大事なはじめてを一生記憶に残るようにしないとね」
「は?」
なにを考えていたか追求されないように苦し紛れに発した一言は、妙なスイッチを入れてしまったらしい。翼は浮き立った表情で、私の顔中にキスを降らせた。
「待って、そこそこ気持ちいいくらいで……ひゃ!」
指が秘所に触れて、蜜穴にぐちりと埋まった。まだ指一本しか入っていないのに、妙に異物感を感じる。私はつい不安になって翼を見つめた。
「大丈夫、力を抜いて。ゆっくりゆっくり解すから」
翼は何度も優しくキスをする。そして指を一旦隘路から引き抜いた。
「気持ちいいこと、いっぱいしようね」
甘く囁かれ、後ろから抱きしめるような形に抱き直される。足をそっと開かされて、指先でクリトリスに触れられた。小さな果実のようなそれを指先で弄ばれると、信じられないくらいに気持ちいい。
「あっ。ああっ」
翼は片手でクリを虐めながら、もう片手の指で蜜口に触れる。そして入り口のあたりで指を浅く出入りさせた。そうしながら私の耳を食んだり、耳穴に舌を入れたりするのだから器用すぎる。これが、経験値の差……!
「つばさ、そんなにいっぱいはっ……」
「なに? 聞こえない」
「やぁっ、きこえないふり、しにゃいでっ、ああっ!」
「はぁ、可愛い。好きな子には俺、ご奉仕型だったんだなぁ」
翼がなにかを呟いているけれど、色々なところから与えられる刺激に夢中で聞き取れない。蜜口に侵入した指はいつの間にか二本になっていて、内側をやわやわと優しく刺激しながら開いていく。わずかに感じる違和感や痛みは、与えられるたくさんの快楽で溶けていって。いつしか内側を嬲られる感覚まで、快感へと変わった。
存分に膣内を解してから、翼は収めていた指を引き抜く。その引き抜かれる刺激にも感じてしまい、私は嬌声を上げた。
「そろそろ、いいかな。挿れたい、るな。俺のものになって」
優しく、体を横たえられる。視界の隅で翼がズボンごと下着を引き下ろすのが見えた。そして赤黒く、そそり立ったものが飛び出すのも。
「残念だけど、ゴムは着けないとね。……残念だけど」
……残念だけど、と二回も言われた。
翼は自分のバッグから取り出したゴムを手慣れた手つきで着けてから、私の足を抱え上げながら開かせる。そして入り口に熱杭の先端を押し当てた。大きい、よくよく見るととんでもない大きさだ。
「つばさ、それ、はいんない……あぅっ!」
「ごめんね、るな」
ぐぷっと太くなっている先端が入り口に埋まった。翼は一気に奥に進めることはせず、浅いところで慣らそうとするように杭を動かす。くぽくぽと甘く入り口を嬲られていると、じわじわと体が熱くなってくる。思わず腰を動かすと、熱が少しだけ奥へと進んだ。
「すご、やらしい下のお口が俺のを咥えてる」
「や、そんな言い方……ああっ!」
翼がゆっくりと腰を進め、ずるりと熱が入ってくる。さんざん翼が慣らしてくれたからか、思ったよりも痛みを感じない。けれどお腹が熱くて、苦しくて。眉根を寄せていると、優しい手つきで頬を撫でられた。
「つらい?」
そう訊ねてくる翼の方が、なんだかつらそうな顔をしている。慣れない私のために我慢をしてくれているのだと思うと申し訳ないのに嬉しくて、思わず笑みが零れてしまった。
「平気……」
頬に添えられた手に手を重ねてそう囁く。するとへらりと笑った翼に優しく口づけられて、とてもくすぐったい気持ちになる。翼はたくさんの啄むだけのキスをした後に、ゆるゆると腰を動かしはじめた。
ぐちぐちと結合部からやらしい音が立つ。お腹の中をすりすりと頬ずるように擦られて、じわりとした気持ちよさが広がっていく。
どうしよう、誰かと一つになるのがこんなに気持ちいいなんて。
……誰かと、じゃなくて翼とだから。だから気持ちいいの?
「るなの中、気持ちよすぎる」
感極まったように言われて気恥ずかしくてたまらない。
逞しい体をぎゅっと抱きしめながら揺さぶられていると、まるで両想い同士で抱き合っているみたいだ。
「気持ちいい、つばさっ」
「ほんと? 嬉しい」
平気そうだと判断したのか、腰を打ちつける速度が少しずつ速くなる。奥を突かれるたびに湧き上がる快感が強くなって、甘い声が止めどなく零れた。
「あっ、ああっ。つばさ、つばさ」
「るな、後で婚姻届を出しに行こうね」
「こんいん? なんでっ」
「るなをこんなにやらしくした責任を取らないと。結婚したら毎日セックスしよう。そしてたくさん俺の子供を産んで? ねぇ。お返事して、るな」
なんだかとんでもないことを言われているような気がする。だけどまったく悪い気はしなかったから、私はこくこくと何度もうなずいた。
「嬉しいな。ああ、るなが俺のお嫁さん……」
「ひゃぁんっ」
体が不意に持ち上げられ、翼の膝の上に乗せられる。自分の体重がかかって熱杭が奥深くまで刺さり、その衝撃で私は大きく体を震わせてイッてしまった。
「……もう……」
「ごめん。ぎゅっとしたくなって」
言葉通り、体中がぴったりとくっつくくらいに抱きしめられる。内側もまだ隙間なくくっついたままで、じわじわ熱い。
「キスして、るな」
「ん……」
甘えるようにおねだりをされて、唇をそっと合わせる。何度も啄むように唇を合わせていると、翼が突き上げるように腰を動かした。
「あ、んっ!」
下から突かれると、お腹の奥まで振動が響く。キスをしながら繋がり合っているうちに、一度達した体にはまた熱が宿った。先ほどまで処女だったのに下から遠慮なくずんずんと突かれて、それでも気持ちいいなんて信じられない。蜜を零しながらきゅうきゅうと熱杭を締めつけると、翼が『んっ』と悩ましげな声を上げた後に小さく震えた。
ああ、私の中でイッたんだ。そう思うとなんだか誇らしい気持ちになる。
白くて綺麗な額に何度か口づけてから抱きしめると、翼からも強く抱き返された。
「気持ちよかった……」
感極まったように言われて照れくさい気持ちになる。翼はこちらに顔を向けて、ふにゃりと可愛らしい笑みを浮かべた。その顔を見ていると胸が強く締めつけられる。
「大好き。るなのはじめての相手になれて、すごく嬉しい」
「つ、翼。その。そういうのは、もういいんじゃない?」
「ん?」
私の言葉を聞いた翼はきょとんとして首を傾げた。
これは、経験豊富な翼にとっては、よくあることなのだろう。だけど私にとっては違う。
体を合わせてたくさん好きだと言われたら。単純な私は気持ちをどんどん持っていかれてしまう。
これ以上手遅れになる前に元の友達に戻りたい。好きだと喚きながら、すがりつくようなことになる前に。
――私は単純な上に、重い女なのだ。
「最近彼女がいなかったから、魔が差したんでしょ? ちょっと珍味に手を出してみるかって……」
「るな!」
言い終える前に引き寄せられて、強い力で抱きしめられる。その腕から逃げようともがいたけれど、翼は逃してくれなかった。胸板に顔を押しつけるような形で抱きしめられて、大きな手で背中をさすられる。どうして優しくするのかと恨みがましい気持ちになって、涙がポロポロと零れ嗚咽が漏れた。
「るな、好きだから」
「嘘」
「本気で好き」
「そんなの嘘」
「嘘じゃないって」
「嘘だ」
『嘘』を繰り返す私を、翼は辛抱強くあやそうとした。背中を何度も撫で、優しく声をかけ、額や頬に口づけをする。
「なんでやり捨てる女にそんなに優しくするの」
「やり捨てないって。俺のイメージってどれだけ悪いんだ……いや、昔の自分の行いのせいか」
翼は『うーん』と唸ると、私をぎゅっと抱きしめて動かなくなった。その表情は窺えないけれど、きっと困り果てているのだろう。
「……俺、色々な人と付き合ったけど。好きになったのは、るながはじめてなんだ。他の子にはこんな風になったことなんてない」
意外な言葉を聞いて私の目は丸くなった。見上げると熱のある視線で、翼がこちらを見つめている。触れるだけのキスをされて身を竦めると、優しく頬を撫でられた。
「最初はなんだかんだで俺のいい加減なところも許してくれるいい子だな、ってだけのイメージだったんだけど。一緒にいるうちにどんどん好きになって、るなしかいらないって思うようになって。……女関係をぜんぶ切って、いかつい体の男が好きなんだって思ったからバスケだけじゃ足りないから筋トレもはじめた。だけど他の子と違って、るなは俺のことを好きになってくれる気配がないからめちゃくちゃ焦って……固い子だって知ってるのに、手を出した。体からでも好きになってくれないかなって」
待って、どういうことなの。これじゃ翼が私のことをめちゃくちゃ好きみたいじゃない。それに、私のために腹筋を割ったの? 怒涛のような情報量を飲み込みきれずぽかんとしながら見つめると、両手で頬を包まれる。そして啄むように口づけをされた。
「好き、大好き。俺、自分でも知らなかったけど、好きな子には重いタイプみたいで。結婚してっていうのも本気。るな、俺と結婚して」
どうしよう。私自身重いタイプだと思っていたけれど、翼はそれ以上らしい。
「……本当に、私のことが好きなの?」
「好き、というか。愛してる」
「私、重いよ。一途じゃなかったら、たぶん刺す」
「うん、俺も一緒。よそ見なんて許さない。部屋に閉じ込めて、快楽漬けにして、俺のことしか考えられないようにしたい。それと、るなが望むことをぜんぶしてあげたい。奴隷にだってなったっていい」
「……めちゃくちゃ重い。けど、本当なら嬉しい」
背中に手を伸ばして抱きしめると、強い力で抱き返された。
「本当だから。るなが信じるまで頑張るから、結婚して」
耳元で甘く甘く囁かれて。私は、こくりとうなずいていた。
「よし、じゃあ今から婚姻届出しにいこう。いや、その前にお風呂かな。体中俺の手で洗ってあげる」
「ま、待って! 手でとかやめて! 恥ずかしいから」
「じゃあ、俺の体を使って洗う」
「どっかの風俗か! そもそも一緒にお風呂が恥ずかしいよ。私、スタイル悪いのに。それに、未成年って結婚するのには親の承諾が……」
「じゃあ明日。許可をもらいに行こう? 今日はゆっくり一緒に過ごそうか」
……重い、本当に重い。だけどそれが、心地いいと思ってしまう。
完全に信じるのには、まだ時間がかかりそうだけれど。
一途に想ってくれて、私のために腹筋を割ってくれる男の子なんて。理想の塊すぎて、断る理由がもう思いつかない。
「……大事に、してね」
小さな声でそう囁くと、心底嬉しそうな笑顔を浮かべた翼に唇を奪われた。
……私の想定していた百倍くらい翼が重いことに気づいたのは、学生結婚をしてしばらくしてからだった。
私は、処女だ。
当然大人の玩具なんて使ったことはない。しかし今、人間の舌という玩具とは比較にならないだろう自由な動きをする異物が、秘所をじっくりと嬲っている。
全体をゆるゆると優しく舐めて蕩けられさせ、両の親指でしっかりと花弁を開いてから蜜口に唇をつけられる。そして直接、蜜を啜られた。
「や、そこ。そこ、きもちいっ」
「ここにキスされるの、好き?」
「好きっ」
気持ちよさについ『好き』だと口にすると、しつこいくらいに何度も蜜口を虐められる。軽く啄むようにキスをされ、舌先を穴にゆるく埋められ。つい腰を動かして気持ちいいところに舌を当てようとすると、どこを舐めて欲しいのか察した翼にねっとりと舐め上げられた。
「は、ふ。ああっ! んっ」
お世辞にも可愛くない喘ぎ声を聞かれるのが嫌になって口に手を当てると、翼に不思議そうな表情で見つめられた。
「声、聞かせて」
「で、でも。可愛くないから」
「世界一、可愛いから。お願い」
「や! ああああっ!」
甘えるように言った後に、翼はクリトリスを吸い上げる。私は口に手を当てているのが意味のないくらいの喘ぎを上げて、激しくイッてしまった。
「もっと聞かせて」
「あっ、やぁっ!」
吸い上げられて赤くなったクリを、指で何度も擦られる。刺激がビリビリと体中を走り、息を荒くしながら悶えることしかできない。気持ちいい、けれど鮮烈すぎる。
「つばさ、つばさ」
快楽に翻弄され、上手く思考を働かせることができない。名前を呼びながら手を伸ばすと優しく指を絡められ、あやすように指の腹ですりすりと指を擦られた。
「つらい?」
「気持ちよすぎて、怖いっ……」
「ごめんね。でも解さないと挿れる時が大変だから」
軽々と上半身を抱え起こされ、膝の上に乗せられてから、胸にそっと抱きしめられる。そしてよしよしと頭を優しく撫でられた。張りのある胸に頬を擦り寄せていると次第に気持ちが落ち着いてくる。指で押すと、胸はしなやかな弾力を返した。
……翼が、なんというか甘ったるい。
歴代の彼女にもこんな感じだったのだろうか。じゃあどうして、毎回別れてしまうんだろう。こんなにお姫様みたいに甘やかされて、『好き』だの『可愛い』だのと言われたら、ふつうの女の子なら別れるという選択肢は生まれないように思う。
……それとも、こんな態度は一瞬だけなのかな。ありがちだけど、ヤッたら冷たくなるとか。
「るな。なにか余計なこと考えてるよね?」
こつりと額同士を合わせられ、すりすりとされる。
「そりゃはじめてだし。色々考えるよ」
「そっか、そうだよね。もっと感じさせて、甘やかして、大事なはじめてを一生記憶に残るようにしないとね」
「は?」
なにを考えていたか追求されないように苦し紛れに発した一言は、妙なスイッチを入れてしまったらしい。翼は浮き立った表情で、私の顔中にキスを降らせた。
「待って、そこそこ気持ちいいくらいで……ひゃ!」
指が秘所に触れて、蜜穴にぐちりと埋まった。まだ指一本しか入っていないのに、妙に異物感を感じる。私はつい不安になって翼を見つめた。
「大丈夫、力を抜いて。ゆっくりゆっくり解すから」
翼は何度も優しくキスをする。そして指を一旦隘路から引き抜いた。
「気持ちいいこと、いっぱいしようね」
甘く囁かれ、後ろから抱きしめるような形に抱き直される。足をそっと開かされて、指先でクリトリスに触れられた。小さな果実のようなそれを指先で弄ばれると、信じられないくらいに気持ちいい。
「あっ。ああっ」
翼は片手でクリを虐めながら、もう片手の指で蜜口に触れる。そして入り口のあたりで指を浅く出入りさせた。そうしながら私の耳を食んだり、耳穴に舌を入れたりするのだから器用すぎる。これが、経験値の差……!
「つばさ、そんなにいっぱいはっ……」
「なに? 聞こえない」
「やぁっ、きこえないふり、しにゃいでっ、ああっ!」
「はぁ、可愛い。好きな子には俺、ご奉仕型だったんだなぁ」
翼がなにかを呟いているけれど、色々なところから与えられる刺激に夢中で聞き取れない。蜜口に侵入した指はいつの間にか二本になっていて、内側をやわやわと優しく刺激しながら開いていく。わずかに感じる違和感や痛みは、与えられるたくさんの快楽で溶けていって。いつしか内側を嬲られる感覚まで、快感へと変わった。
存分に膣内を解してから、翼は収めていた指を引き抜く。その引き抜かれる刺激にも感じてしまい、私は嬌声を上げた。
「そろそろ、いいかな。挿れたい、るな。俺のものになって」
優しく、体を横たえられる。視界の隅で翼がズボンごと下着を引き下ろすのが見えた。そして赤黒く、そそり立ったものが飛び出すのも。
「残念だけど、ゴムは着けないとね。……残念だけど」
……残念だけど、と二回も言われた。
翼は自分のバッグから取り出したゴムを手慣れた手つきで着けてから、私の足を抱え上げながら開かせる。そして入り口に熱杭の先端を押し当てた。大きい、よくよく見るととんでもない大きさだ。
「つばさ、それ、はいんない……あぅっ!」
「ごめんね、るな」
ぐぷっと太くなっている先端が入り口に埋まった。翼は一気に奥に進めることはせず、浅いところで慣らそうとするように杭を動かす。くぽくぽと甘く入り口を嬲られていると、じわじわと体が熱くなってくる。思わず腰を動かすと、熱が少しだけ奥へと進んだ。
「すご、やらしい下のお口が俺のを咥えてる」
「や、そんな言い方……ああっ!」
翼がゆっくりと腰を進め、ずるりと熱が入ってくる。さんざん翼が慣らしてくれたからか、思ったよりも痛みを感じない。けれどお腹が熱くて、苦しくて。眉根を寄せていると、優しい手つきで頬を撫でられた。
「つらい?」
そう訊ねてくる翼の方が、なんだかつらそうな顔をしている。慣れない私のために我慢をしてくれているのだと思うと申し訳ないのに嬉しくて、思わず笑みが零れてしまった。
「平気……」
頬に添えられた手に手を重ねてそう囁く。するとへらりと笑った翼に優しく口づけられて、とてもくすぐったい気持ちになる。翼はたくさんの啄むだけのキスをした後に、ゆるゆると腰を動かしはじめた。
ぐちぐちと結合部からやらしい音が立つ。お腹の中をすりすりと頬ずるように擦られて、じわりとした気持ちよさが広がっていく。
どうしよう、誰かと一つになるのがこんなに気持ちいいなんて。
……誰かと、じゃなくて翼とだから。だから気持ちいいの?
「るなの中、気持ちよすぎる」
感極まったように言われて気恥ずかしくてたまらない。
逞しい体をぎゅっと抱きしめながら揺さぶられていると、まるで両想い同士で抱き合っているみたいだ。
「気持ちいい、つばさっ」
「ほんと? 嬉しい」
平気そうだと判断したのか、腰を打ちつける速度が少しずつ速くなる。奥を突かれるたびに湧き上がる快感が強くなって、甘い声が止めどなく零れた。
「あっ、ああっ。つばさ、つばさ」
「るな、後で婚姻届を出しに行こうね」
「こんいん? なんでっ」
「るなをこんなにやらしくした責任を取らないと。結婚したら毎日セックスしよう。そしてたくさん俺の子供を産んで? ねぇ。お返事して、るな」
なんだかとんでもないことを言われているような気がする。だけどまったく悪い気はしなかったから、私はこくこくと何度もうなずいた。
「嬉しいな。ああ、るなが俺のお嫁さん……」
「ひゃぁんっ」
体が不意に持ち上げられ、翼の膝の上に乗せられる。自分の体重がかかって熱杭が奥深くまで刺さり、その衝撃で私は大きく体を震わせてイッてしまった。
「……もう……」
「ごめん。ぎゅっとしたくなって」
言葉通り、体中がぴったりとくっつくくらいに抱きしめられる。内側もまだ隙間なくくっついたままで、じわじわ熱い。
「キスして、るな」
「ん……」
甘えるようにおねだりをされて、唇をそっと合わせる。何度も啄むように唇を合わせていると、翼が突き上げるように腰を動かした。
「あ、んっ!」
下から突かれると、お腹の奥まで振動が響く。キスをしながら繋がり合っているうちに、一度達した体にはまた熱が宿った。先ほどまで処女だったのに下から遠慮なくずんずんと突かれて、それでも気持ちいいなんて信じられない。蜜を零しながらきゅうきゅうと熱杭を締めつけると、翼が『んっ』と悩ましげな声を上げた後に小さく震えた。
ああ、私の中でイッたんだ。そう思うとなんだか誇らしい気持ちになる。
白くて綺麗な額に何度か口づけてから抱きしめると、翼からも強く抱き返された。
「気持ちよかった……」
感極まったように言われて照れくさい気持ちになる。翼はこちらに顔を向けて、ふにゃりと可愛らしい笑みを浮かべた。その顔を見ていると胸が強く締めつけられる。
「大好き。るなのはじめての相手になれて、すごく嬉しい」
「つ、翼。その。そういうのは、もういいんじゃない?」
「ん?」
私の言葉を聞いた翼はきょとんとして首を傾げた。
これは、経験豊富な翼にとっては、よくあることなのだろう。だけど私にとっては違う。
体を合わせてたくさん好きだと言われたら。単純な私は気持ちをどんどん持っていかれてしまう。
これ以上手遅れになる前に元の友達に戻りたい。好きだと喚きながら、すがりつくようなことになる前に。
――私は単純な上に、重い女なのだ。
「最近彼女がいなかったから、魔が差したんでしょ? ちょっと珍味に手を出してみるかって……」
「るな!」
言い終える前に引き寄せられて、強い力で抱きしめられる。その腕から逃げようともがいたけれど、翼は逃してくれなかった。胸板に顔を押しつけるような形で抱きしめられて、大きな手で背中をさすられる。どうして優しくするのかと恨みがましい気持ちになって、涙がポロポロと零れ嗚咽が漏れた。
「るな、好きだから」
「嘘」
「本気で好き」
「そんなの嘘」
「嘘じゃないって」
「嘘だ」
『嘘』を繰り返す私を、翼は辛抱強くあやそうとした。背中を何度も撫で、優しく声をかけ、額や頬に口づけをする。
「なんでやり捨てる女にそんなに優しくするの」
「やり捨てないって。俺のイメージってどれだけ悪いんだ……いや、昔の自分の行いのせいか」
翼は『うーん』と唸ると、私をぎゅっと抱きしめて動かなくなった。その表情は窺えないけれど、きっと困り果てているのだろう。
「……俺、色々な人と付き合ったけど。好きになったのは、るながはじめてなんだ。他の子にはこんな風になったことなんてない」
意外な言葉を聞いて私の目は丸くなった。見上げると熱のある視線で、翼がこちらを見つめている。触れるだけのキスをされて身を竦めると、優しく頬を撫でられた。
「最初はなんだかんだで俺のいい加減なところも許してくれるいい子だな、ってだけのイメージだったんだけど。一緒にいるうちにどんどん好きになって、るなしかいらないって思うようになって。……女関係をぜんぶ切って、いかつい体の男が好きなんだって思ったからバスケだけじゃ足りないから筋トレもはじめた。だけど他の子と違って、るなは俺のことを好きになってくれる気配がないからめちゃくちゃ焦って……固い子だって知ってるのに、手を出した。体からでも好きになってくれないかなって」
待って、どういうことなの。これじゃ翼が私のことをめちゃくちゃ好きみたいじゃない。それに、私のために腹筋を割ったの? 怒涛のような情報量を飲み込みきれずぽかんとしながら見つめると、両手で頬を包まれる。そして啄むように口づけをされた。
「好き、大好き。俺、自分でも知らなかったけど、好きな子には重いタイプみたいで。結婚してっていうのも本気。るな、俺と結婚して」
どうしよう。私自身重いタイプだと思っていたけれど、翼はそれ以上らしい。
「……本当に、私のことが好きなの?」
「好き、というか。愛してる」
「私、重いよ。一途じゃなかったら、たぶん刺す」
「うん、俺も一緒。よそ見なんて許さない。部屋に閉じ込めて、快楽漬けにして、俺のことしか考えられないようにしたい。それと、るなが望むことをぜんぶしてあげたい。奴隷にだってなったっていい」
「……めちゃくちゃ重い。けど、本当なら嬉しい」
背中に手を伸ばして抱きしめると、強い力で抱き返された。
「本当だから。るなが信じるまで頑張るから、結婚して」
耳元で甘く甘く囁かれて。私は、こくりとうなずいていた。
「よし、じゃあ今から婚姻届出しにいこう。いや、その前にお風呂かな。体中俺の手で洗ってあげる」
「ま、待って! 手でとかやめて! 恥ずかしいから」
「じゃあ、俺の体を使って洗う」
「どっかの風俗か! そもそも一緒にお風呂が恥ずかしいよ。私、スタイル悪いのに。それに、未成年って結婚するのには親の承諾が……」
「じゃあ明日。許可をもらいに行こう? 今日はゆっくり一緒に過ごそうか」
……重い、本当に重い。だけどそれが、心地いいと思ってしまう。
完全に信じるのには、まだ時間がかかりそうだけれど。
一途に想ってくれて、私のために腹筋を割ってくれる男の子なんて。理想の塊すぎて、断る理由がもう思いつかない。
「……大事に、してね」
小さな声でそう囁くと、心底嬉しそうな笑顔を浮かべた翼に唇を奪われた。
……私の想定していた百倍くらい翼が重いことに気づいたのは、学生結婚をしてしばらくしてからだった。
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悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~
一ノ瀬 彩音
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悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、
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R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。
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筋肉フェチ(ただしマッチョにあらず)な私好みのキュンキュンしたお話でした♡
めちゃくちゃ好みです( ・∇・)b
結婚してからの続きが欲しい…!
ありがとうございます!そのうち番外編として追加予定です!