8 / 8
8
しおりを挟む
ぬくもりが熱さに変わり、シャツが肌にまとわりつくのを感じながら意識が浮上する。
犬養が満足するまで――は流石に玲央の体が持たなかった。あのあと一度だけまぐわい、犬養に支えられながらシャワーを浴びた。
汚れた部屋はそのままに、犬養の寝室で眠らされていたことを思い出す。
玲央の頭の下には犬養の腕が通っている。
犬養は玲央を我が子のように抱きながら、起きてなにかをしているようだった。
背後で手が動いている気配がして振り返ると、スマホの光が目を襲ってくる。
「うわ」
「おはよ」
犬養はスマホを投げ捨て、玲央を抱いた。
「暑いんだけど」
玲央が文句を言うと、犬養は無言で布団を剥ぐ。玲央を抱く腕はそのままだ。
「おかげでキャッチコピーできたわ」
「へえ」
「通るといいな~」
そういえばキャッチコピーなんて書けないと、玲央が来たときに嘆いていたのを思い出す。結局書けてしまうのだから、書けないなんて二度と言わないでほしい。
「レオ、ずいぶんえっちになっちゃったねえ」
片手が、玲央の筋肉でやわらかい胸を掬い上げるように揉み始めた。
嫌だと言える立場ではないので、じっと触られるしかない。
「こっち向いて」
黙ったまま振り向く。
裸の玲央と違って、犬養は上下スウェットだ。
誘われるまま、仰向けの犬養の上に乗った。犬養の手のひらが無遠慮に玲央の全身を撫で回す。たまに尻たぶを掴んでは後孔が広げるように左右に引っ張られた。
「んっ! ぅう……♡」
ねえレオ、と犬養が問いかけてくる。
指が尾てい骨をなぞっていた。その先には散々弄ばれ、まだ閉じていない気がする後孔がある。
今度こそ本当に無理だ。血の気が引いていく。慌てる玲央を、犬養は楽しそうに笑って見ていた。
「ゼリー出すの、気持ちよかった?」
「そんっ」
そんなわけないだろ、と出かかった言葉をどうにか押し込める。正解を言わなければまた犯されてしまう、尾てい骨に添えられた指はたぶんそういうことなのだ。
ふと、そんなわけない、と反抗したらどうなるのだろうと思ってしまった。玲央はまた犬のように躾けられ、オナホのように揺さぶられるのだろうか。
「……きもち、よかった」
心のざわめきに気付かないふりをして答える。
犬養は感情の読めない笑みを浮かべた。
「今度はどんなことしようね」
玲央は、無意識のうちに、犬養の頬にキスをする。これは媚びだ。余計な目に遭わないための予防線だ。
驚いているのか、玲央を撫で回す片手の動きが止まる。これは少し気分が良い。
「別に、普通のセックスだけでいいだろ」
「嫌だよ、もったいない」
玲央が犬養に抱きつくと、そのままぎゅ、と抱きしめられる。
不服にも、帰るのが億劫になって、このままここで眠ってしまいたいと思ってしまった。疲れているからだ。絶対に、たぶん、きっと、そのはずなのだ。
*
土曜は何度だってやってくる。
妹の美玲を見送って、玲央はすぐに家を出た。
――なぜわざわざ、殺したいほど憎い男のところに行かなければならないのだろう。でも、今日は、特に寒いから。
そう自分に言い聞かせながら、玲央は早足であのマンションへと向かった。
犬養が満足するまで――は流石に玲央の体が持たなかった。あのあと一度だけまぐわい、犬養に支えられながらシャワーを浴びた。
汚れた部屋はそのままに、犬養の寝室で眠らされていたことを思い出す。
玲央の頭の下には犬養の腕が通っている。
犬養は玲央を我が子のように抱きながら、起きてなにかをしているようだった。
背後で手が動いている気配がして振り返ると、スマホの光が目を襲ってくる。
「うわ」
「おはよ」
犬養はスマホを投げ捨て、玲央を抱いた。
「暑いんだけど」
玲央が文句を言うと、犬養は無言で布団を剥ぐ。玲央を抱く腕はそのままだ。
「おかげでキャッチコピーできたわ」
「へえ」
「通るといいな~」
そういえばキャッチコピーなんて書けないと、玲央が来たときに嘆いていたのを思い出す。結局書けてしまうのだから、書けないなんて二度と言わないでほしい。
「レオ、ずいぶんえっちになっちゃったねえ」
片手が、玲央の筋肉でやわらかい胸を掬い上げるように揉み始めた。
嫌だと言える立場ではないので、じっと触られるしかない。
「こっち向いて」
黙ったまま振り向く。
裸の玲央と違って、犬養は上下スウェットだ。
誘われるまま、仰向けの犬養の上に乗った。犬養の手のひらが無遠慮に玲央の全身を撫で回す。たまに尻たぶを掴んでは後孔が広げるように左右に引っ張られた。
「んっ! ぅう……♡」
ねえレオ、と犬養が問いかけてくる。
指が尾てい骨をなぞっていた。その先には散々弄ばれ、まだ閉じていない気がする後孔がある。
今度こそ本当に無理だ。血の気が引いていく。慌てる玲央を、犬養は楽しそうに笑って見ていた。
「ゼリー出すの、気持ちよかった?」
「そんっ」
そんなわけないだろ、と出かかった言葉をどうにか押し込める。正解を言わなければまた犯されてしまう、尾てい骨に添えられた指はたぶんそういうことなのだ。
ふと、そんなわけない、と反抗したらどうなるのだろうと思ってしまった。玲央はまた犬のように躾けられ、オナホのように揺さぶられるのだろうか。
「……きもち、よかった」
心のざわめきに気付かないふりをして答える。
犬養は感情の読めない笑みを浮かべた。
「今度はどんなことしようね」
玲央は、無意識のうちに、犬養の頬にキスをする。これは媚びだ。余計な目に遭わないための予防線だ。
驚いているのか、玲央を撫で回す片手の動きが止まる。これは少し気分が良い。
「別に、普通のセックスだけでいいだろ」
「嫌だよ、もったいない」
玲央が犬養に抱きつくと、そのままぎゅ、と抱きしめられる。
不服にも、帰るのが億劫になって、このままここで眠ってしまいたいと思ってしまった。疲れているからだ。絶対に、たぶん、きっと、そのはずなのだ。
*
土曜は何度だってやってくる。
妹の美玲を見送って、玲央はすぐに家を出た。
――なぜわざわざ、殺したいほど憎い男のところに行かなければならないのだろう。でも、今日は、特に寒いから。
そう自分に言い聞かせながら、玲央は早足であのマンションへと向かった。
11
お気に入りに追加
48
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(1件)
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
膀胱を虐められる男の子の話
煬帝
BL
常におしがま膀胱プレイ
男に監禁されアブノーマルなプレイにどんどんハマっていってしまうノーマルゲイの男の子の話
膀胱責め.尿道責め.おしっこ我慢.調教.SM.拘束.お仕置き.主従.首輪.軟禁(監禁含む)
開発される少年たち・家庭教師の淫らな性生活
ありさわ優那
BL
派遣家庭教師として働く三枝は、行く先々で少年の精通をさせてやったり、性的に開発することを趣味としていた。三枝は、勉強を教えながらも次々に派遣先で少年を毒牙にかける。勉強よりも、エッチなことを求めるようになってしまった少年たちの行方は……。
R-18作品です。少し無理矢理(あまり嫌がりません)。
乳首開発描写多めです。
射精管理やアナル開発の描写もありますが、既に開発されちゃってる子も多く出ます。
※少年ごとにお話を書いていきます。初作品です。よろしくお願いします。
身体検査
RIKUTO
BL
次世代優生保護法。この世界の日本は、最適な遺伝子を残し、日本民族の優秀さを維持するとの目的で、
選ばれた青少年たちの体を徹底的に検査する。厳正な検査だというが、異常なほどに性器と排泄器の検査をするのである。それに選ばれたとある少年の全記録。
淫らに壊れる颯太の日常~オフィス調教の性的刺激は蜜の味~
あいだ啓壱(渡辺河童)
BL
~癖になる刺激~の一部として掲載しておりましたが、癖になる刺激の純(痴漢)を今後連載していこうと思うので、別枠として掲載しました。
※R-18作品です。
モブ攻め/快楽堕ち/乳首責め/陰嚢責め/陰茎責め/アナル責め/言葉責め/鈴口責め/3P、等の表現がございます。ご注意ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
いつもありがとうございます!
救いがあるのか、この後は…ご想像でもお楽しみいただけると嬉しいです!