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第33話 街を出るにあたって
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「いらっしゃい。あっ、君達か」
俺たちは冒険者ギルドの裏の倉庫を後にして、武器屋に移動していた。
料理ができるというリリの言葉を信じて、バングに魔物の解体だけを依頼して、食材を持ち込んで明日この街を出ることにした。
明日この街を出るにあたり、色々と用意しなければならないものがある。そのため、ガルドの鍛冶場までどのくらい時間がかかるかなどを聞くために武器屋に戻っていた。
武器屋に入ると、先程ガルドを接客していた店員が申し訳なさそうに笑みを浮かべていた。
俺たちを巻き込んでしまったことを少し気に病んでいるのかもしれない。
「もう準備できたのかい? やけに早いね」
「いえ、まだ準備できてないです。ガルドさんの鍛冶場まで行くのにどれくらい時間がかかるのかとか聞けてなかったので、それを聞いてから準備しようかと」
「ははっ、それもそうだ。まだ何も話せてなかったもんね。僕に分かることなら答えるよ。鍛冶場までは約半日はかかると思った方がいい」
「ありがとうございます。半日ですね。あと、鍛冶場から鉱石を取って帰ってくるまでどのくらいかかりますかね?」
「うーん。あっ、この前うちに来たガルドさんの弟子が五日間くらい山に籠ったって言ってたかな」
ガルドの弟子で五日もかかったということは、少し多めに準備しておいた方がいいだろう。食材は今解体してもらってる分があるから、それに加えてパンでも買っておくか。
「五日ですか……念のために一週間分くらい準備しておくか」
「まぁ、そのくらいあった方がいいだろうね。そうだ。ちょっと待っていてくれるかい?」
そう言うと、店員は少し席を外して二回に駆け上がっていった。それからしばらく経って、店員さんは大きなテントや寝袋などのアウトドアセットを抱えて下りてきた。
「え、どうしたんですか、それ?」
「これ、使ってくれないかい?」
「え、こんなに使わせてもらっていいんですか?」
「ガルドさんのわがままに巻き込んじゃったからね、せめてものお詫びだよ。結構揃えると高いからね、少し古いけどどうかな?」
「使わせて貰えるのならぜひ貸して欲しいです!」
俺が持っている野営用のテントなどは一人用だしやけに小さい。これからリリの分を含めて買うとなると、確かに中々お金が掛かる。
それを貸してもらえるというのなら、ぜひ借りたいものだ。
「ああ、持って行ってくれ。そうは言っても、全部持ってくのは大変かな?」
「いえ、アイテムボックスがあるのでそこは大丈夫です」
「アイテムボックス持ちなのか? なるほど、それなら持っていけるね」
「本当に助かりました。ありがとうございます」
俺は店員に頭を下げて後、すいすいっと貸してもらった野営グッズをアイテムボックスにしまっていった。
「高いステータスに【鑑定】と【アイテムボックス】持ちか……確かに、これほど適した人もいないかもしれないね」
「はい?」
「いや、こっちの話だよ。ああ、自己紹介がまだだったね。僕はルード。この店の店主だよ、よろしく」
「あ、よろしくお願いします。アイクって言います」
アイテムをしまい終えると、ルードが俺に手を差し出してきた。突然の自己紹介に驚きながら、俺は差し出された手を握った。
「それと、君は助手だったかな?」
「はい! 助手のリリです!」
「リリちゃん、アイクくんをよろしくね」
「ふふっ、任せてください!」
ルードはそのままリリとも握手をして自己紹介をしていた。ルードは年齢的にはバングと同じくらいだろか。なんだか気さくな良い人って感じだ。
「それじゃあ、明日の朝までに馬車のチケットは取っておくから、また朝にここに寄ってもらっていいかい?」
「分かりました。それじゃあ、また明日の朝に寄りますね」
俺はルードさんに俺を任せると言われて嬉しそうなリリを連れて、武器屋を後にした。
俺たちは冒険者ギルドの裏の倉庫を後にして、武器屋に移動していた。
料理ができるというリリの言葉を信じて、バングに魔物の解体だけを依頼して、食材を持ち込んで明日この街を出ることにした。
明日この街を出るにあたり、色々と用意しなければならないものがある。そのため、ガルドの鍛冶場までどのくらい時間がかかるかなどを聞くために武器屋に戻っていた。
武器屋に入ると、先程ガルドを接客していた店員が申し訳なさそうに笑みを浮かべていた。
俺たちを巻き込んでしまったことを少し気に病んでいるのかもしれない。
「もう準備できたのかい? やけに早いね」
「いえ、まだ準備できてないです。ガルドさんの鍛冶場まで行くのにどれくらい時間がかかるのかとか聞けてなかったので、それを聞いてから準備しようかと」
「ははっ、それもそうだ。まだ何も話せてなかったもんね。僕に分かることなら答えるよ。鍛冶場までは約半日はかかると思った方がいい」
「ありがとうございます。半日ですね。あと、鍛冶場から鉱石を取って帰ってくるまでどのくらいかかりますかね?」
「うーん。あっ、この前うちに来たガルドさんの弟子が五日間くらい山に籠ったって言ってたかな」
ガルドの弟子で五日もかかったということは、少し多めに準備しておいた方がいいだろう。食材は今解体してもらってる分があるから、それに加えてパンでも買っておくか。
「五日ですか……念のために一週間分くらい準備しておくか」
「まぁ、そのくらいあった方がいいだろうね。そうだ。ちょっと待っていてくれるかい?」
そう言うと、店員は少し席を外して二回に駆け上がっていった。それからしばらく経って、店員さんは大きなテントや寝袋などのアウトドアセットを抱えて下りてきた。
「え、どうしたんですか、それ?」
「これ、使ってくれないかい?」
「え、こんなに使わせてもらっていいんですか?」
「ガルドさんのわがままに巻き込んじゃったからね、せめてものお詫びだよ。結構揃えると高いからね、少し古いけどどうかな?」
「使わせて貰えるのならぜひ貸して欲しいです!」
俺が持っている野営用のテントなどは一人用だしやけに小さい。これからリリの分を含めて買うとなると、確かに中々お金が掛かる。
それを貸してもらえるというのなら、ぜひ借りたいものだ。
「ああ、持って行ってくれ。そうは言っても、全部持ってくのは大変かな?」
「いえ、アイテムボックスがあるのでそこは大丈夫です」
「アイテムボックス持ちなのか? なるほど、それなら持っていけるね」
「本当に助かりました。ありがとうございます」
俺は店員に頭を下げて後、すいすいっと貸してもらった野営グッズをアイテムボックスにしまっていった。
「高いステータスに【鑑定】と【アイテムボックス】持ちか……確かに、これほど適した人もいないかもしれないね」
「はい?」
「いや、こっちの話だよ。ああ、自己紹介がまだだったね。僕はルード。この店の店主だよ、よろしく」
「あ、よろしくお願いします。アイクって言います」
アイテムをしまい終えると、ルードが俺に手を差し出してきた。突然の自己紹介に驚きながら、俺は差し出された手を握った。
「それと、君は助手だったかな?」
「はい! 助手のリリです!」
「リリちゃん、アイクくんをよろしくね」
「ふふっ、任せてください!」
ルードはそのままリリとも握手をして自己紹介をしていた。ルードは年齢的にはバングと同じくらいだろか。なんだか気さくな良い人って感じだ。
「それじゃあ、明日の朝までに馬車のチケットは取っておくから、また朝にここに寄ってもらっていいかい?」
「分かりました。それじゃあ、また明日の朝に寄りますね」
俺はルードさんに俺を任せると言われて嬉しそうなリリを連れて、武器屋を後にした。
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