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第1章

城の探索 1

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それから、自室を離れ歩きながら城の各部屋を紹介されていく。この城自体、広ずきて道が覚えきれず資料室やカノの部屋の場所などの自室から近い場所などしかあんまり記憶には残らなかった。昔から記憶力に対しては自信はない。カイが俺の代わりに色々と覚えてくれていたよな。カイは今、どうしているんだろうな。俺がそう思いふけてると、一通り道案内したグレイが後ろに振り返る。

「重要な場所はこれぐらいかな。道とか記録したか?」

「正直、迷子になる可能性しかない。いつも思うが、どの城でも広く設計されているんだ」

「そりゃ、金を持っているのを表すためだろう。まぁ、うちの魔王様は城で迷い込んだやつを罠にはめて殺すことぐらい考えてそうだけどな」

「ゾッとするようなこと言うなよ」

説明はされていないだけで、廊下や部屋にも罠の仕掛けとかあるんじゃないのか。廊下で注意しながら見渡していると、グレイが笑い声をあげる。

「わはは、分かりやすい反応だな! わざわざ、罠を仕掛けしなくても空間魔法や追撃魔法で敵を仕留めるぐらい簡単だしな」

「……そっちの方が怖い」

 冗談のように言うが、身の危険性が変わらない。城にいる限り、何処でも狙われても可笑しくはないということだろう。呪術がある指輪もあるし、逃走とかは考えない方がいいだろうな。
 道や部屋を把握は出来ていないが、他にも聞いていない場所があった。

「カノの部屋以外の幹部の場所を教えてもらっていないだが」

「あー、俺は元々城には住んでないんだけど、他の幹部は住んでるだっけ? 悪い、あいつら隠蔽魔法で部屋消してる可能性があるな」

「……隠蔽魔法使ってるのか」

 隠蔽魔法、人物や物を相手に認識できなくする魔法だったはず。暗殺者や盗賊などがよく使っていることを知っているが、部屋全体を認識できなくなるのは最上級魔法使いだけだろう。それを3人ともやっている時点、魔王の幹部だけはあるな。
 俺が深刻そうな顔をしていると、グレイがポケットから飴のような包みを取りだし俺に差し出す。

「まぁまぁ、そんな悩まなくてもいずれはあちらから巻き込んでいくと思うけどな」

「……俺、初対面から印象悪く嫌われていたけど」

「俺の勘は当たるぜ。お前が行動してもしなくても関係なく巻き込まれるて。その時の行動を気にしていたらいいんだよ」

「は、はあ」

 グレイの訳が分からないような勘に疑問思い浮かべながら、少しは安心する気持ちになる。知り合って間もないのに、多少は信じられるようなそんな気分にさせられる。まぁ、裏がありそうな本人の人格に対しては不信ではあるが。

「部屋の案内も終わったことだし、次は俺の用事に付き合ってくれないか」

「うん? あぁ、いいけど」

 俺が返事すると同時に強く引っ張って連れていく。どこに向かっているか知らないけど、子供の手を強く引っ張るなよ。

「もう少し優しく連れて行けよ。てか、引っ張らなくてもついていけるし!」

「あ、わりぃな。テンション上がっていたわ。子供とあんまり触れたことなかったから、力加減について知らなかったな」

 言った通りに前にいたグレイは横に並んで掴みながら移動する。離してはくれないんだな。足並みを合わせて移動してくれるから早足にならずに済んだ。でも、意外な事言っていたな。グレイの性格上、子供とか触れ合っているイメージがあったが。まだまだ、こいつの本性についてよく分からないな。
 数分先歩いていくと、ある扉の前で立ち止まった。部屋の扉には武器倉庫と書かれていた。魔族の武器が置かれている場所なのか。グレイは扉に手をかざすと、少しの間術式の表示された後消えていった。

「解除の魔法を使ったのか?」

「一応、武器倉庫だから閉鎖の魔法使っているんだよ。この部屋を使うのは俺かラルク、たまに魔王様しか使わないけどな」

「魔王も武器倉庫に訪れるのか? 魔法とかで戦っているイメージだけど」

「魔法で全部やれるから特に武器を使ってないらしいけど、本人自体が武器コレクターの所があるからな。よく人間の使う武器とかを買ったり、持ってきたりしては倉庫とかに保管してるみたいだ」

「なんか、意外だな」

 魔王がわざわざ人間から武器を集めている趣味があるのか。分からないけど魔族の武器職人とかに作らせたらいいのに。内心そう思いながら、武器倉庫に入るグレイについて行く。

「わぁ、こんなに武器あるのか」

 入った瞬間、子供のような喜び声を上げてしまった。珍しい武器集めているとかだと思っていたが、性能や素材がいい武器が揃っている。本格的な武器コレクターかもしれないな。大剣や大刀や槍などの武器が年代ごとに揃っているなこれ。カイ達の旅の時は予算とか気にしていて買ってなかったけど、一撃性が高い大剣とか欲しかったんだよな。

「はは、まるで子供みたいに喜んでいるな」

「いや、ここまで揃っているとは思ってなかったから。武器コレクターも頷けるよ。てっきり、魔具とか集めていると思っていた」

 魔具というのは武器に魔力を注いで染み込ませたりして、加護の能力を持たせたものだ。魔力を注がれた武器は魔力が少ない人間でも能力が使える。加護の能力は多種多様で毒や麻痺させたり、自動的に心臓に向かうものまである。強力な代わりに世界には魔具は少ない。魔力を注いで染み込む作業自体で、強力な魔法使いでありながら武器職人である必要ある。どっちの能力も半端なやつには作れない代物だ。

「もちろん、武器の中には魔具とかもあるぞ。……まぁ、魔王様は武器の性能や素材で選んでいる所あるけど」

「いい感性で選んでるな」

 



 



 









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