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序章 異世界オーギュスタット
「うわああああぁぁぁぁ!?」
視界に一瞬、鉄の箱が見えた。
次の瞬間。
激しい衝撃が全身を襲い、いつの間にか俺は宙に浮いていた。
――人間は空を飛べるのか。
そんな場違いなことを考えていたのだが。
もちろん一介の人間たる俺が、物理の運動法則に逆らえるわけもなく。
すぐさま地面が近づいてきて、グチャッとかメキッとかいう、R15な音が体内に響いた。
「きゃああああぁぁぁ!?」
「ひ、人がはねられたぞ!!」
「轢き逃げだ!!」
「きゅ、救急車と警察を呼べ!!」
いきなりの非日常的な光景にパニックになる通行人たち。
その叫び声も、次第に他人事のように感じられてくる。アスファルトの上の血溜まりの中で、俺の意識はプッツリと途切れた。
……一度でいいから、超絶美人で性格のいい女の子と付き合ってみたかった。
†
さて、かくして俺、竜胆冬弥(高校三年生男子)は短い一生を終えたわけだが……死ぬにあたって、一つだけ思い残したことを述べておきたいと思う。
二十一世紀末に日本の平均的な中流家庭に生まれ、文武両道を高い水準で保っていた俺には――悩みがあった。
それはすなわち――。
彼女ができない。
自分で言うのもどうかと思うが、髪はいい匂いがするし、運動神経も悪くないと思う。
だが好きになった女子に告白してみれば、次々に大量の魚雷を食らうかのようにことごとく撃沈された。
一応そういうことに聡い友達数名曰く。
「あー、お前なら、まあそのうち彼女できるだろ」
「今はたまたま運が悪いだけだろ」
「ってか不安なら、出会い系に登録しろ、出会い系に」
褒め言葉とも励ましともわからない言葉を頂いた。
つまり俺には彼女ができる可能性はそれなりにあるというわけだ。
そう期待して学生時代を過ごしたのだが、なぜか最後まで撃沈され続けたのであった。
そんな現実に絶望した俺の目に、ある日留まったのは、VRMMORPGを題材にした某アニメーション。
俺がそのアニメを見たのは、テスト勉強が深夜まで続いた時のことだった。
五感をすべて駆使してプレイするVRMMORPGというゲーム世界で、主人公はリーダーシップを発揮して様々な困難を猫耳アバターのヒロインと共に乗り越えていく。
そして、ヒロインは主人公に惹かれ始め……。
ゲーム世界で結婚し、なんと現実の世界でも結ばれてハッピーエンドという、ファンタジー・SF・恋愛の要素を兼ね備えた神アニメである。
コレを見た時、俺はビビッときたね。俺に必要なのはこれだ! と。
俺は幼少期からファンタジーものが大好きで、猫耳や犬耳から、スライムっ娘やサキュバスっ娘までイケるクチだったから、そういう要素があって、しかも現実で恋人もできてしまうVRMMORPGの物語には、すぐにのめり込んだ。そのアニメ以外にも、VRMMOを題材にしたライトノベルやアニメに、片っ端から手を出したのだ。
そして、あの噂――ゲーム業界大手のA社が、VRMMORPGを現実のものとすべく研究開発しているらしいこと――を耳にしたのである。しかも、なんと数年以内に実現可能だというではないか。
俺は狂喜した。
その日から、俺はVRMMORPGが実現する日を何よりの楽しみにして、毎日を送ることとなった。
だが、半年ほど経ったある日の晩。
俺は高校に入った頃に両親を亡くしていたため、一人で寂しく夕食を食べながらテレビを観ていた。
アメリカで地震が起こったとか、フランスの映画スターが事故で死んだとか、どうも暗いニュースが多かったのでチャンネルを変えた。
そして目に留まったのは。
「――さきほど、ゲーム業界大手のA社が記者会見を行い、同社が開発を進めていたVRMMORPGのプロジェクトを中止する、と発表いたしました。同社によりますと、政府から中止の要請があり――」
そこから先の内容は、まったく耳に入ってこなかった。
VRMMORPG実現に向けた研究開発が中止になった。その言葉に、俺は頭の中が真っ白になってしまったのだ。
――一時間後。
まだ完全には立ち直れていなかったものの、わずかに自分を取り戻してきた俺は、外の空気を吸おうと家を出た。
俺は家の前の歩道を、あてもなくふらふらと進んだ。
そして突き当たりのT字路まで来た、その時。
甲高い急ブレーキの音が聞こえて、何だ!? と思う間もなく俺は宙に舞っていたんだ。
そんなこんなで、冒頭に戻るというわけだ。
それにしても、あっけない人生だった。彼女もできなかったし。
……生まれ変われるなら、VRMMORPGが実現した未来がいいなあ。
†
「冥界に、一名様、ご到着~っ!」
突如響いた大声に、俺は意識を取り戻した。
……冥界と聞こえた気がするが……。
見渡せば暗闇の中、半透明の人々が虚ろな目をして、いくつも列を作っている。列の先頭のすぐ先には大きな扉があった。
扉の上には「地球」という文字のイルミネーションが輝いている。
俺は思わず呟いた。
「……なるほど。確かに冥界っぽいな。それにしても、まさか本当に死者の国が存在するとは……」
「フハハハ! そのとおりである! ここは死者の国、冥界である! ようこそ、竜胆冬弥!」
むさ苦しい大声と共に目の前の暗闇が歪み、少しずつ人の形を成していく。
現れたのは、スキンヘッドの大男。首から髑髏のネックレスを下げ、上半身は裸であった。
……すげえ筋肉だ。
「だ、誰だオッサン?」
「フハハハ! 初対面の男にオッサンとは面白いのである! 至極悲惨な理由で死んでしまった竜胆冬弥とかいう男がいると聞いて飛んで来てみれば……こんな若造とは……!」
なっ……人が死んで気落ちしているのに笑う奴があるか!
しかもむさくるしいぞ! このオッサンの周りだけ、気温が高くないですかね!?
俺はそう突っ込みたい気持ちを抑えて、オッサンに訊ねた。
「なあオッサン? 俺、こっからどうすりゃいいんだ?」
「フハハハ! そもそもここは冥界である! すなわち死者を審判する場なのである! 人々はあの扉の奧で贖罪を行い、生前の罪の重さで死後の方向が決まるのである! 善人は天国へ、悪人は地獄へ、そしてどちらでもない者はそのまま来世へと転生していくのである!」
……おお、なんかファンタジー小説でそんな設定読んだな……。
ってかこのオッサン、見た目も言動も冥界に似合わない気がするんだよなあ。
「フハハハ! もちろん仕事中は冥界にふさわしいよう、姿を変えるのである!」
「心を読むなっ!」
冥界にふさわしい姿……? ってことは喋り方なんかもガラッと変わるのかな。
「フハハハ! そのとおりなのである!」
「だから、心を読むなって言っているだろっ!」
……おかしいぞ、俺は生前はこんな激しいツッコミ役ではなかったはずなんだが……。
まさかのファンタジー展開に、少々心が躍っているのかもしれない。
「フハハハ! やはりお主は面白いのである! 気に入ったのである! 何でもお主はVRMMORPGに似た世界に行きたがっていると聞いたのである! 友好の証として特別にこれをお主にやるのである!」
オッサンは俺に金色に光るカードを手渡してきた。
表面には「オーギュスタット専用」と彫られている。
「……まさか、そのオーギュスタットっていう世界に転生できて、しかもそれはVRMMORPGに似た世界なのか!?」
「フハハハ! そのとおりである! 通常、地球で生まれた者は来世も地球にしか転生できぬのだが、これは我輩のあっついあっつい厚意なのである! 竜胆冬弥よ、返事は決まっておるな……?」
もちろん決まっていた。
このオッサンは少々イラッとくるところがなきにしもあらずだが、これほど素晴らしいものをくれるのなら水に流してやろうじゃないか。
やべえ……来世のこと考えてたら、オイラ興奮してきたゾ。
友人たちにもう会えなくなると考えると悲しいけど、俺はもうこの現実を受け入れるつもりだ。
「フハハハ! そう言うと思っていたのである! ではしっかりと目を瞑るのである!」
言われたとおりにする。
「フハハハ! 目を瞑ったな? ではいざ行かん、オーギュスタットへ!」
突然、地面がなくなったように感じられ、しばらくすると浮遊している感覚に襲われる。
だがどのタイミングで目を開ければいいかわからず、俺はずっと目を瞑っていた。
†
どれくらい経っただろう。
目を開くと、完全な暗闇なのだろう、まったく何も見えず、自分が本当に目を開いているのかさえわからなかった。
「――転生準備プロセス完了。個人認識プロセスへ移行します」
「っひゃあ!?」
だから、頭の中に前触れもなく響いてきたその無機質な声に必要以上に驚いて、つい変な声が出てしまった。
「――個人の認識を完了、竜胆冬弥と一致。潜在値の測定も完了しました。また、『金券』の所持により、基本潜在値15に加えて特別付与潜在値100、合計115が確定潜在値となります」
「えっ、えーと……何を言ってるんだ……?」
俺は頭の中で一方的に紡がれる言葉が理解できず、困惑してそう呟いた。
「ご質問なら受け付けますよ?」
俺の呟きに反応したらしい声が、今度は前方の暗闇から聞こえてきた。
そして少しずつ暗闇に人の形が浮かび上がってくる。
女性だ。
藍色のロングヘアーをサイドアップで纏め、肌の色は病的なまでに白い。顔はさすがファンタジーっていうレベルの美形。胸や尻の膨らみは控えめで、コンシェルジュ風の制服を着て、優雅に立っている。
「やべえ、ファンタジーすげえ!」と叫びたくなるのを辛うじて抑える。
「ああ、申し遅れましたね。私は生命の護り人、アニエスカと申します。生命の護り人とは、数多の生命を新しい生命へと繋いでいく存在なのです」
どことなく名前がヨーロッパ風だったので、冥界でのネーミングも、地球と変わらないのかもしれない。
「今、これは何が起こってるんだ?」
俺は脳内で延々と無機質な声が流れている自分の頭を指差して言った。
「これは転生の儀式と呼ばれるもの。来世のあなたの情報を決定する場――えーと、地球世界で例えるのならば、ゲーム開始前のキャラメイクみたいなものだと思ってくれればいいですよ」
「へえ、じゃあ自分の外見を操作できたりもするの?」
「いえ、基本的には運次第です。もちろん、両親からの遺伝などの補正もありますが。また、このオーギュスタットの世界では『スキル』という概念が存在しまして――」
スキルも実装しているだと……!?
オーギュスタット世界は、俺の心を鷲掴みにしたいらしい。
「スキルは『一般スキル』と『特殊スキル』があります。一般スキルは後天的なもので日常生活でも手に入りますが、特殊スキルは先天的なもの、つまり誕生時に付与されるのみです。この転生の儀式では、転生者はまず『オプション』を選択します。さきほど、確定潜在値――わかりやすくポイントと呼びましょう――というものが表示されたかと思います。オプションは、そのポイント内で自由に選択することができます。そして特殊スキルは、オプション選択後に余ったポイントを全消費して、生まれる瞬間に追加されるのです。ご理解いただけましたでしょうか。……では、オプション一覧のデータはこちらです」
いきなり俺の脳内に膨大なデータが表示された。
【性別変更 男→女 5】
【種族変更 →人間族 10】
【種族変更 →猫人族 10】
……エトセトラ。
こんな感じでリストが並んでいる。
性別変更や人種変更って……思いっきり生命のルール無視してるよなあ。
「この末尾の、『5』とか『10』ってのは?」
「必要ポイント数ですね。ポイントをこれだけ消費して、このオプションを付与しますよ、ということです」
「なるほどなるほど……」
某野球クンポケの表サクセスの最初に得られるポイント制アイテムみたいなもんか? 俺はよく恋人の好感度がわかるメガネを選択していたものだったなぁ。それはさておき、俺はポイントを115持っているし、かなり余裕がありそうだ。
俺は頭の中でデータを下にスクロールしていく。
ふと目に留まるものがあった。
……というか、目に留まらなければ詰んでるレベルのものだった。
【記憶継承 20】
これがないと、異世界転生なんてものは意味がなくなるんだよ。
俺あっての俺だからな!
ごめん、自分でも何言いたいのかわからん。
しかし、このポイント数20って……結構少なくないか? そう考えると、前世の記憶を持っている奴はかなりいそうな気もするが……。
ちょっくら聞いてみるか。
「ちなみに、転生する人の平均所持ポイント数ってどんくらいなの?」
「そうですねえ……5~10くらいでしょうか? 多くても5くらいだと思いますが」
「えっ、ちょっと……俺100以上あるんだが!?」
なんかとんでもないポイントを得たらしい。
これも異世界転生モノの定番だよな。
「異世界行ったらチートでした」っていう設定は某小説投稿サイトでよく見たものだ。実は俺も執筆して投稿したことがあるが、一年経っても評価ポイントが10を超えなくて挫折したんだよな。
「えっ? 嘘っ!?」
素が出てるぜ、アニエスカさん。
というか、俺が言うまで気づかなかったのか。
「ま、まさか……これはあの幻の金……券!? 私、この仕事をしていて初めて見ました……! ああっ、感動を抑えきれない……っ!」
なぜか頬を薄いピンクに染め、びくんびくんと内股になって吐息を漏らしながら、劣情を誘う眼差しを向けてくる。
……なんだこれ。なんで興奮してるんですか、お姉さん!
美人にこんな風に見られているとなんだか落ち着かないので、俺は次の質問に移ることにした。
「金券ってそんなに珍しいの?」
扇情的なお姉さんは、信じられないという顔になって詰め寄ってきた。
おおっと、いい香りが……。
「め、珍しいというレベルではありませんっ! この金券の価値を知らないなんて罪ですよっ! いいですか? 先月この仕事を辞めた私の先輩によるとですねっ!」
退職とかあるのか……冥界って面白いな。
「ちょっと、聞いてますっ!? で、その先輩によるとですねっ、百年で一回でも金券を持つ転生者、金券さんに会えたら運がいいほう、ましてやこの仕事に就いている人は何人もいるのですからっ、金券さんを受け持った私は本当に、ほんと~~に、幸運なのです……っ!! 最後の金券さんが現れたのは今から二百年以上前なんですよ!? あなた、一体これをどこで……っ!?」
あーオッサン。あーた一体何者だよ。これは少々、いや、かなり俺の手に余りそうな……。
「えーと、フハハハ! って笑うオッサンに貰った」
「え、えーと、あれ? そんな人いたかなぁ……?」
「あれ? あの、存在感・命! って感じの人だぞ?」
「え、えー?」
オッサンが何者なのか、本気で怖くなってきた。こんなに貴重らしい金券をあっさり俺にくれるほどの人物なのに、冥界内に知らない人がいるってのはどういうことだ。
「わ、私としたことが、少々取り乱してしまいました……その人のことは私自身でのちのち調べます。では、儀式を再開しましょうか。【記憶継承】のオプションを行使、でよろしいでしょうか?」
「ああ」
アニエスカさんがこっそり小声で「記憶継承ってことは、もしかしてさっきの私の痴態が誤魔化せないってこと……? はわわわ……」と言うのが聞こえたが、涙目なのが結構可愛かったので黙っておこう。
「ほっ、他にご希望のオプションはございませんかっ?」
俺はデータを、今度はじっくりとスクロールする。
「いや、ないな」
他のオプションをつける必要はなさそうだった。
特殊スキルのほうに惹かれるからなあ。
だって「スキル」だぜ?
まさしくVRMMORPGの醍醐味、神髄!! なわけで。
「では、残りはすべて、特殊スキルにということでよろしいですね?」
「ああ!」
「わかりました……あ、それと、特殊スキルの中にはステータス下降補正のつくものや、はっきり言って迷惑だ、というものもありますが、もうキャンセルできないのでご注意ください」
「ナ、ナンダッテー!!」
いや、それ先に言えよ。
まあ、それでも俺の決心は変わらないけどな。
「といっても、そういったスキルは滅多にないので心配いらないですよ。では、そろそろ転生が始まります。あと完全に私用ですが、記憶を継承するのならば来世で私のことも覚えているはずです。もしまた冥界にいらっしゃったら、ぜひ私のところへ遊びに来てくださいね。では、ご武運を」
そう言うと、アニエスカさんは少しずつ暗闇に消えていった。
それと同時に、俺の脳内に、無機質な声がまた響いた。
「――転生プロセスを開始します」
すると足元から光が溢れ、俺はその光に吸い込まれるように落下した。
「うわぁああああぁぁぁあああああ!!」
落下の恐怖に思わず叫んでしまう。
そして視界は完全に光に包まれ、俺は意識を失った。
第一章 スライム・ヴェロニカ
「……あー、暇だわ」
窓際で頬杖をつき、退屈そうにあくびをしながら、金髪碧眼の少年――俺は呟いた。
二階にある自室の窓の外に広がるのは、波打つ黄金のような麦畑。風が運んでくる心地よい麦の香りに、どことなくノスタルジーな気分になる。
近くを流れる小川のせせらぎが、水を飲みに来る家畜や野生動物の鳴き声と共に聞こえてくる。
時折通りすぎる人々に手を振りながら、俺は村を囲う森の向こうに聳える山脈を見つめた。
ここロイム辺境伯領――通称ロイム村――は、ハルヴェリア王国北西部のベルガニー山脈の麓にある。そして今俺がいるこの家は、ロイム村領主の邸宅だ。
七年前、ロイム村領主のパブロ・ラ・フォンテーニュと妻エレーネの次男として、俺――レンデリック・ラ・フォンテーニュは生まれた。
つまるところ、俺は絶賛七歳児なう、なのであった。
俺の父様はロイム村の領主だが、過去のとある魔物の討伐によって、フォンテーニュ辺境伯の爵位を賜ったらしい。
だから一応貴族なんだよね、頭に「貧乏」がつくものの。
父様は、自ら進んで、しかも生き生きと畑作しているから村人にも好かれている。だから悪政領主に対する村人の反乱、とかいうありがちなイベントも起こらないだろう。森に囲まれていて何かと不便だけど、RPGの最初の村っていうイメージでとてものんびりしている。
牧歌的な雰囲気であるが、隣国である神聖皇国アドロワとの国境に近いためか、どうもここは地理的に重要らしい。
まあ、アドロワとの関係は今のところ良好みたいだから、軍事境界線っぽい物々しさはないけどな。
とはいえ、隣国の情勢が急変する可能性もなきにしもあらずだから、防衛として村人兼騎士たちが住んでいる。普段は耕作しかやることがないみたいで、彼らが毎日汗と泥に塗れてせっせと畑仕事をしている姿は見ていて飽きない。
国から派遣された騎士たちは、最初畑仕事を嫌がっていたらしい。だが自分たちで作った美味しい野菜を食べてからは意欲的になり、村人も今ではすっかり彼らを仲間として認めているのだそうだ。
そんなこんなで、今日もロイム村は平和なのであった。
ああ、あと俺の特殊スキルは以下のとおりだった。
〈テイムマスター 15〉
〈創造王 15〉
〈体術王 15〉
〈極限突破 20〉
〈王の系譜 20〉
〈冥界の加護 0〉
〈男は拳で語る 0〉
〈牡のフェロモン 5〉
〈絶倫 5〉
こんな感じで、スキルが俺の脳内に表示されるのだ。
一見強そうなスキルが並んでるけど……。
牡のフェロモンと絶倫ってなんですかね! いや、確かに俺の夢は「彼女を作る!」なんだけども。こう客観的に見ると恥ずかしいよな……?
……いや、主観的に見ても恥ずかしいな。
とりあえず、まあなんだ、詳細は次のような感じだ。
■特殊スキル
〈テイムマスター〉
……一般スキル【テイム】追加。隷属状態下の魔物の進化は、希少なユニーク系統を必ず辿る。
〈創造王〉
……一般スキル【鍛冶】【錬金】【調合】【建築】【王級工房】【鑑定】追加。
〈体術王〉
……体力、筋力、敏捷にステータス補正極大。
〈極限突破〉
……パーティ全体に作用。己の限界を突破し、最上位スキルまで必ず到達する。スキルの成長
速度が極大化される。
〈王の系譜〉
……王族に関わる運を高める。パラメータ補正【カリスマ極大】。一般スキル【指揮】追加。
〈冥界の加護〉
……パラメータ補正【魔力最大量極大】【闇系統魔法威力極大】【闇以外系統魔法威力極小】追加。
一般スキル【暗黒魔法】【混沌魔法】【煉獄魔法】追加。
〈男は拳で語る〉
……パラメータ補正【近接武器適性極小】追加。ただしナックル武器、遠距離武器は例外。
〈牡のフェロモン〉
……パラメータ補正【魅力極大】追加。一般スキル【甘いマスク】追加。
〈絶倫〉
……一部状況下でのパラメータ補正【スタミナ・体力極大】追加。一般スキル【精力回復】追加。
■一般スキル
【テイム】
……魔物を隷属状態下に置くことができる。ただし、隷属状態下に置くことができる数はスキル
レベルの値まで。隷属状態下に置くためには、自らの優位性を示す必要がある。
【鍛冶】
……鍛冶の適性を持つ。
【錬金】
……錬金の適性を持つ。
【調合】
……調合の適性を持つ。
【建築】
……建築の特性を持つ。
【王級工房】
……鍛冶・錬金・調合・建築に必要な道具が揃った「工房」を出現させる。
【鑑定】
……武器・防具・装飾品の能力値の読み取ることができる。対象により範囲は異なるものの、人
間や亜人、魔物の情報を読み取ることもできる。ある程度遠距離の離れた対象にも有効。
【指揮】
……指揮力が上がる。パーティ内の連携力、統率力が上がる。
【暗黒魔法】【混沌魔法】【煉獄魔法】
……【闇魔法】のユニーク上位スキル。
【甘いマスク】
……恋愛感情を抱かれやすい。
【精力回復】
……夜の営みの際、精力が尽きることがない。
【精力回復】の説明は何回見てもツッコミたくなる。まあ一部のVRMMORPGでは実際に夜のお行為ができるらしいですけどね、素晴らしいです。
問題は〈冥界の加護〉〈男は拳で語る〉のパラメータ補正だ。「~極小」って……これ、どう見てもステータス下降補正スキルですよね? アニエスカさん……何が「ステータス下降補正スキルは稀」だよ……二つも出てるじゃねえか! ファンタジーの王道――剣と魔法のほとんどが死んでるじゃねえか! 訴訟も辞さない……。
くそ……まあ〈冥界の加護〉については【闇系統魔法威力極大】があるからしょうがないと割り切ろう。普通の人は、こんなにたくさんスキル持ってないらしいしな。〈冥界の加護〉は簡単に言えば、一つ何かを極めるためには大いなる犠牲が必要ってことだな、たぶん。
でもなんとなく、あの変なオッサンが関係している気がするぞ。
いい人ぶって、実は厄介なモンよこしやがったな、あのハゲめ。
スキル欄を脳内でスクロールしていくと、次に表示されるのは自分のステータスだ。
レンデリック・ラ・フォンテーニュ
冒険者ランク:なし
ATK:67
DEF:45
SPD:54
MP:2149
LUK:9999
ATK・DEF・SPD・MP・LUKはそれぞれ「ATTACK=攻撃力」「DEFENSE=耐久力」「SPEED=敏捷性」「MAGICAL POWER=魔力量」「LUCK=幸運度」を表している。
LUKの値から、少なくともMAX値は9999以上だと予想できる。最初からMAX値のわけがないからな。LUKとMPはともかく、上から三つ目までの値がいずれも二桁である俺は、相対的に弱いのだと考えられる。
なぜならロイム村の、冒険経験のない一般的な成人男性のステータスがこちらだからだ。
村人A
冒険者ランク:なし
ATK:300
DEF:300
SPD:300
MP:300
LUK:300
な、村人の平均と比べて、俺はATK・DEF・SPDの三つがかなり低いんだ。俺はまだ七歳の子供だからっていうのもあるのだろうが、このままじゃただの平均より弱い一般人となりかねない。
それにしても「なんだよこのLUKの値は」って言われそうだが、生まれた時からこうだったんだからしょうがない。あのオッサンから金券を貰うことができたからLUKの値が高いのか、LUKの値が高かったから金券を貰えたのか、どっちなのかは不明だが。
ところで、俺は村の外に出ることを両親から禁止されている。
というのも、ロイム村付近にはしょっちゅう周囲の森林からはぐれた魔物が出没するのである。子供にとってはたとえ最弱レベルの魔物でも命の危険があるから、十歳になるまでは子供だけで村の外には出ないように教えられているのだ。
まあ時々、ロイム村の南東にある都市、ハーガニーから冒険者ギルドの要請を受けた冒険者が魔物を間引きに来るため、強力な魔物はまず存在しないのだが。
だったら、俺七歳児だけど魔法のスキルとかあるから、弱い魔物くらいなら問題ないんじゃない? ……ということで、魔物とエンカウントしてみたい。せっかくのVRMMORPG風世界に来ているのに、七年間も魔物遭遇なし、魔法使用なしのレベル1はありえないしな。そんなRPGがどこにあるんだよっていう。
七年間レベル1縛りプレイとか、そんなことしてる人がいたら見てみたい。
そこまでやり込んでたら廃人すら通り越してそうだから怖いけど。
「ねえねえ、デボラー。村の外に行っていいかな?」
「レンデリック様、それはいけません。外には魔物がたくさんいるのでございますよ」
今、俺の金髪を梳いているデボラは、フォンテーニュ家唯一のメイドである。確か二十六歳だったか……。相当美人なんだけど、この世界では結婚適齢期が十五歳で、それをかなり過ぎているためになかなか嫁ぎ先が見つからないそうだ。日本なら二十六でもまだ早いほうだと思うんだけどなあ……。
あと、七歳児のふりをするのは結構きつい。ついつい、普通に喋りそうになる。
言葉を喋れるようになった二歳児あたりはとくにきつかったぜ。うっかり変なこと喋って騒がれても大変だからな。
まあ、もう七歳になったんだから、少しは大人っぽく喋っても問題なさそうだが……。
「大丈夫だって。強い魔物はいないんでしょ?」
「弱い魔物でも、子供には十分危険な存在でございますから」
「誰かに一緒に来てもらえばいいんじゃないかな?」
「レンデリック様の外出を止めなかった、としてその人がパブロ様に叱られてしまいます」
「僕が怪我しなければ、大丈夫でしょ?」
「でしたら、パブロ様に直談判してください。メイドの私に言われても困ります」
「何度もお願いしてるんだけど、その父様に、許可してもらえないんだよー」
「そうでしょう。それにレンデリック様は領主家の次男なのですから、あまり無理せず、もっと体を大事にしてくださいね」
「うーん……」
というわけで俺は、家族や村人の目を盗んで村の外に出る隙を探しているのだが、これがまた難しい。ロイム村を囲むように大きな防壁が立てられていて、唯一の出入り口は村人が交代で見張りをしているのだ。外出するという趣旨の書き置きはすでに準備してあるのだが。
あとはタイミングの問題であった。
「うわああああぁぁぁぁ!?」
視界に一瞬、鉄の箱が見えた。
次の瞬間。
激しい衝撃が全身を襲い、いつの間にか俺は宙に浮いていた。
――人間は空を飛べるのか。
そんな場違いなことを考えていたのだが。
もちろん一介の人間たる俺が、物理の運動法則に逆らえるわけもなく。
すぐさま地面が近づいてきて、グチャッとかメキッとかいう、R15な音が体内に響いた。
「きゃああああぁぁぁ!?」
「ひ、人がはねられたぞ!!」
「轢き逃げだ!!」
「きゅ、救急車と警察を呼べ!!」
いきなりの非日常的な光景にパニックになる通行人たち。
その叫び声も、次第に他人事のように感じられてくる。アスファルトの上の血溜まりの中で、俺の意識はプッツリと途切れた。
……一度でいいから、超絶美人で性格のいい女の子と付き合ってみたかった。
†
さて、かくして俺、竜胆冬弥(高校三年生男子)は短い一生を終えたわけだが……死ぬにあたって、一つだけ思い残したことを述べておきたいと思う。
二十一世紀末に日本の平均的な中流家庭に生まれ、文武両道を高い水準で保っていた俺には――悩みがあった。
それはすなわち――。
彼女ができない。
自分で言うのもどうかと思うが、髪はいい匂いがするし、運動神経も悪くないと思う。
だが好きになった女子に告白してみれば、次々に大量の魚雷を食らうかのようにことごとく撃沈された。
一応そういうことに聡い友達数名曰く。
「あー、お前なら、まあそのうち彼女できるだろ」
「今はたまたま運が悪いだけだろ」
「ってか不安なら、出会い系に登録しろ、出会い系に」
褒め言葉とも励ましともわからない言葉を頂いた。
つまり俺には彼女ができる可能性はそれなりにあるというわけだ。
そう期待して学生時代を過ごしたのだが、なぜか最後まで撃沈され続けたのであった。
そんな現実に絶望した俺の目に、ある日留まったのは、VRMMORPGを題材にした某アニメーション。
俺がそのアニメを見たのは、テスト勉強が深夜まで続いた時のことだった。
五感をすべて駆使してプレイするVRMMORPGというゲーム世界で、主人公はリーダーシップを発揮して様々な困難を猫耳アバターのヒロインと共に乗り越えていく。
そして、ヒロインは主人公に惹かれ始め……。
ゲーム世界で結婚し、なんと現実の世界でも結ばれてハッピーエンドという、ファンタジー・SF・恋愛の要素を兼ね備えた神アニメである。
コレを見た時、俺はビビッときたね。俺に必要なのはこれだ! と。
俺は幼少期からファンタジーものが大好きで、猫耳や犬耳から、スライムっ娘やサキュバスっ娘までイケるクチだったから、そういう要素があって、しかも現実で恋人もできてしまうVRMMORPGの物語には、すぐにのめり込んだ。そのアニメ以外にも、VRMMOを題材にしたライトノベルやアニメに、片っ端から手を出したのだ。
そして、あの噂――ゲーム業界大手のA社が、VRMMORPGを現実のものとすべく研究開発しているらしいこと――を耳にしたのである。しかも、なんと数年以内に実現可能だというではないか。
俺は狂喜した。
その日から、俺はVRMMORPGが実現する日を何よりの楽しみにして、毎日を送ることとなった。
だが、半年ほど経ったある日の晩。
俺は高校に入った頃に両親を亡くしていたため、一人で寂しく夕食を食べながらテレビを観ていた。
アメリカで地震が起こったとか、フランスの映画スターが事故で死んだとか、どうも暗いニュースが多かったのでチャンネルを変えた。
そして目に留まったのは。
「――さきほど、ゲーム業界大手のA社が記者会見を行い、同社が開発を進めていたVRMMORPGのプロジェクトを中止する、と発表いたしました。同社によりますと、政府から中止の要請があり――」
そこから先の内容は、まったく耳に入ってこなかった。
VRMMORPG実現に向けた研究開発が中止になった。その言葉に、俺は頭の中が真っ白になってしまったのだ。
――一時間後。
まだ完全には立ち直れていなかったものの、わずかに自分を取り戻してきた俺は、外の空気を吸おうと家を出た。
俺は家の前の歩道を、あてもなくふらふらと進んだ。
そして突き当たりのT字路まで来た、その時。
甲高い急ブレーキの音が聞こえて、何だ!? と思う間もなく俺は宙に舞っていたんだ。
そんなこんなで、冒頭に戻るというわけだ。
それにしても、あっけない人生だった。彼女もできなかったし。
……生まれ変われるなら、VRMMORPGが実現した未来がいいなあ。
†
「冥界に、一名様、ご到着~っ!」
突如響いた大声に、俺は意識を取り戻した。
……冥界と聞こえた気がするが……。
見渡せば暗闇の中、半透明の人々が虚ろな目をして、いくつも列を作っている。列の先頭のすぐ先には大きな扉があった。
扉の上には「地球」という文字のイルミネーションが輝いている。
俺は思わず呟いた。
「……なるほど。確かに冥界っぽいな。それにしても、まさか本当に死者の国が存在するとは……」
「フハハハ! そのとおりである! ここは死者の国、冥界である! ようこそ、竜胆冬弥!」
むさ苦しい大声と共に目の前の暗闇が歪み、少しずつ人の形を成していく。
現れたのは、スキンヘッドの大男。首から髑髏のネックレスを下げ、上半身は裸であった。
……すげえ筋肉だ。
「だ、誰だオッサン?」
「フハハハ! 初対面の男にオッサンとは面白いのである! 至極悲惨な理由で死んでしまった竜胆冬弥とかいう男がいると聞いて飛んで来てみれば……こんな若造とは……!」
なっ……人が死んで気落ちしているのに笑う奴があるか!
しかもむさくるしいぞ! このオッサンの周りだけ、気温が高くないですかね!?
俺はそう突っ込みたい気持ちを抑えて、オッサンに訊ねた。
「なあオッサン? 俺、こっからどうすりゃいいんだ?」
「フハハハ! そもそもここは冥界である! すなわち死者を審判する場なのである! 人々はあの扉の奧で贖罪を行い、生前の罪の重さで死後の方向が決まるのである! 善人は天国へ、悪人は地獄へ、そしてどちらでもない者はそのまま来世へと転生していくのである!」
……おお、なんかファンタジー小説でそんな設定読んだな……。
ってかこのオッサン、見た目も言動も冥界に似合わない気がするんだよなあ。
「フハハハ! もちろん仕事中は冥界にふさわしいよう、姿を変えるのである!」
「心を読むなっ!」
冥界にふさわしい姿……? ってことは喋り方なんかもガラッと変わるのかな。
「フハハハ! そのとおりなのである!」
「だから、心を読むなって言っているだろっ!」
……おかしいぞ、俺は生前はこんな激しいツッコミ役ではなかったはずなんだが……。
まさかのファンタジー展開に、少々心が躍っているのかもしれない。
「フハハハ! やはりお主は面白いのである! 気に入ったのである! 何でもお主はVRMMORPGに似た世界に行きたがっていると聞いたのである! 友好の証として特別にこれをお主にやるのである!」
オッサンは俺に金色に光るカードを手渡してきた。
表面には「オーギュスタット専用」と彫られている。
「……まさか、そのオーギュスタットっていう世界に転生できて、しかもそれはVRMMORPGに似た世界なのか!?」
「フハハハ! そのとおりである! 通常、地球で生まれた者は来世も地球にしか転生できぬのだが、これは我輩のあっついあっつい厚意なのである! 竜胆冬弥よ、返事は決まっておるな……?」
もちろん決まっていた。
このオッサンは少々イラッとくるところがなきにしもあらずだが、これほど素晴らしいものをくれるのなら水に流してやろうじゃないか。
やべえ……来世のこと考えてたら、オイラ興奮してきたゾ。
友人たちにもう会えなくなると考えると悲しいけど、俺はもうこの現実を受け入れるつもりだ。
「フハハハ! そう言うと思っていたのである! ではしっかりと目を瞑るのである!」
言われたとおりにする。
「フハハハ! 目を瞑ったな? ではいざ行かん、オーギュスタットへ!」
突然、地面がなくなったように感じられ、しばらくすると浮遊している感覚に襲われる。
だがどのタイミングで目を開ければいいかわからず、俺はずっと目を瞑っていた。
†
どれくらい経っただろう。
目を開くと、完全な暗闇なのだろう、まったく何も見えず、自分が本当に目を開いているのかさえわからなかった。
「――転生準備プロセス完了。個人認識プロセスへ移行します」
「っひゃあ!?」
だから、頭の中に前触れもなく響いてきたその無機質な声に必要以上に驚いて、つい変な声が出てしまった。
「――個人の認識を完了、竜胆冬弥と一致。潜在値の測定も完了しました。また、『金券』の所持により、基本潜在値15に加えて特別付与潜在値100、合計115が確定潜在値となります」
「えっ、えーと……何を言ってるんだ……?」
俺は頭の中で一方的に紡がれる言葉が理解できず、困惑してそう呟いた。
「ご質問なら受け付けますよ?」
俺の呟きに反応したらしい声が、今度は前方の暗闇から聞こえてきた。
そして少しずつ暗闇に人の形が浮かび上がってくる。
女性だ。
藍色のロングヘアーをサイドアップで纏め、肌の色は病的なまでに白い。顔はさすがファンタジーっていうレベルの美形。胸や尻の膨らみは控えめで、コンシェルジュ風の制服を着て、優雅に立っている。
「やべえ、ファンタジーすげえ!」と叫びたくなるのを辛うじて抑える。
「ああ、申し遅れましたね。私は生命の護り人、アニエスカと申します。生命の護り人とは、数多の生命を新しい生命へと繋いでいく存在なのです」
どことなく名前がヨーロッパ風だったので、冥界でのネーミングも、地球と変わらないのかもしれない。
「今、これは何が起こってるんだ?」
俺は脳内で延々と無機質な声が流れている自分の頭を指差して言った。
「これは転生の儀式と呼ばれるもの。来世のあなたの情報を決定する場――えーと、地球世界で例えるのならば、ゲーム開始前のキャラメイクみたいなものだと思ってくれればいいですよ」
「へえ、じゃあ自分の外見を操作できたりもするの?」
「いえ、基本的には運次第です。もちろん、両親からの遺伝などの補正もありますが。また、このオーギュスタットの世界では『スキル』という概念が存在しまして――」
スキルも実装しているだと……!?
オーギュスタット世界は、俺の心を鷲掴みにしたいらしい。
「スキルは『一般スキル』と『特殊スキル』があります。一般スキルは後天的なもので日常生活でも手に入りますが、特殊スキルは先天的なもの、つまり誕生時に付与されるのみです。この転生の儀式では、転生者はまず『オプション』を選択します。さきほど、確定潜在値――わかりやすくポイントと呼びましょう――というものが表示されたかと思います。オプションは、そのポイント内で自由に選択することができます。そして特殊スキルは、オプション選択後に余ったポイントを全消費して、生まれる瞬間に追加されるのです。ご理解いただけましたでしょうか。……では、オプション一覧のデータはこちらです」
いきなり俺の脳内に膨大なデータが表示された。
【性別変更 男→女 5】
【種族変更 →人間族 10】
【種族変更 →猫人族 10】
……エトセトラ。
こんな感じでリストが並んでいる。
性別変更や人種変更って……思いっきり生命のルール無視してるよなあ。
「この末尾の、『5』とか『10』ってのは?」
「必要ポイント数ですね。ポイントをこれだけ消費して、このオプションを付与しますよ、ということです」
「なるほどなるほど……」
某野球クンポケの表サクセスの最初に得られるポイント制アイテムみたいなもんか? 俺はよく恋人の好感度がわかるメガネを選択していたものだったなぁ。それはさておき、俺はポイントを115持っているし、かなり余裕がありそうだ。
俺は頭の中でデータを下にスクロールしていく。
ふと目に留まるものがあった。
……というか、目に留まらなければ詰んでるレベルのものだった。
【記憶継承 20】
これがないと、異世界転生なんてものは意味がなくなるんだよ。
俺あっての俺だからな!
ごめん、自分でも何言いたいのかわからん。
しかし、このポイント数20って……結構少なくないか? そう考えると、前世の記憶を持っている奴はかなりいそうな気もするが……。
ちょっくら聞いてみるか。
「ちなみに、転生する人の平均所持ポイント数ってどんくらいなの?」
「そうですねえ……5~10くらいでしょうか? 多くても5くらいだと思いますが」
「えっ、ちょっと……俺100以上あるんだが!?」
なんかとんでもないポイントを得たらしい。
これも異世界転生モノの定番だよな。
「異世界行ったらチートでした」っていう設定は某小説投稿サイトでよく見たものだ。実は俺も執筆して投稿したことがあるが、一年経っても評価ポイントが10を超えなくて挫折したんだよな。
「えっ? 嘘っ!?」
素が出てるぜ、アニエスカさん。
というか、俺が言うまで気づかなかったのか。
「ま、まさか……これはあの幻の金……券!? 私、この仕事をしていて初めて見ました……! ああっ、感動を抑えきれない……っ!」
なぜか頬を薄いピンクに染め、びくんびくんと内股になって吐息を漏らしながら、劣情を誘う眼差しを向けてくる。
……なんだこれ。なんで興奮してるんですか、お姉さん!
美人にこんな風に見られているとなんだか落ち着かないので、俺は次の質問に移ることにした。
「金券ってそんなに珍しいの?」
扇情的なお姉さんは、信じられないという顔になって詰め寄ってきた。
おおっと、いい香りが……。
「め、珍しいというレベルではありませんっ! この金券の価値を知らないなんて罪ですよっ! いいですか? 先月この仕事を辞めた私の先輩によるとですねっ!」
退職とかあるのか……冥界って面白いな。
「ちょっと、聞いてますっ!? で、その先輩によるとですねっ、百年で一回でも金券を持つ転生者、金券さんに会えたら運がいいほう、ましてやこの仕事に就いている人は何人もいるのですからっ、金券さんを受け持った私は本当に、ほんと~~に、幸運なのです……っ!! 最後の金券さんが現れたのは今から二百年以上前なんですよ!? あなた、一体これをどこで……っ!?」
あーオッサン。あーた一体何者だよ。これは少々、いや、かなり俺の手に余りそうな……。
「えーと、フハハハ! って笑うオッサンに貰った」
「え、えーと、あれ? そんな人いたかなぁ……?」
「あれ? あの、存在感・命! って感じの人だぞ?」
「え、えー?」
オッサンが何者なのか、本気で怖くなってきた。こんなに貴重らしい金券をあっさり俺にくれるほどの人物なのに、冥界内に知らない人がいるってのはどういうことだ。
「わ、私としたことが、少々取り乱してしまいました……その人のことは私自身でのちのち調べます。では、儀式を再開しましょうか。【記憶継承】のオプションを行使、でよろしいでしょうか?」
「ああ」
アニエスカさんがこっそり小声で「記憶継承ってことは、もしかしてさっきの私の痴態が誤魔化せないってこと……? はわわわ……」と言うのが聞こえたが、涙目なのが結構可愛かったので黙っておこう。
「ほっ、他にご希望のオプションはございませんかっ?」
俺はデータを、今度はじっくりとスクロールする。
「いや、ないな」
他のオプションをつける必要はなさそうだった。
特殊スキルのほうに惹かれるからなあ。
だって「スキル」だぜ?
まさしくVRMMORPGの醍醐味、神髄!! なわけで。
「では、残りはすべて、特殊スキルにということでよろしいですね?」
「ああ!」
「わかりました……あ、それと、特殊スキルの中にはステータス下降補正のつくものや、はっきり言って迷惑だ、というものもありますが、もうキャンセルできないのでご注意ください」
「ナ、ナンダッテー!!」
いや、それ先に言えよ。
まあ、それでも俺の決心は変わらないけどな。
「といっても、そういったスキルは滅多にないので心配いらないですよ。では、そろそろ転生が始まります。あと完全に私用ですが、記憶を継承するのならば来世で私のことも覚えているはずです。もしまた冥界にいらっしゃったら、ぜひ私のところへ遊びに来てくださいね。では、ご武運を」
そう言うと、アニエスカさんは少しずつ暗闇に消えていった。
それと同時に、俺の脳内に、無機質な声がまた響いた。
「――転生プロセスを開始します」
すると足元から光が溢れ、俺はその光に吸い込まれるように落下した。
「うわぁああああぁぁぁあああああ!!」
落下の恐怖に思わず叫んでしまう。
そして視界は完全に光に包まれ、俺は意識を失った。
第一章 スライム・ヴェロニカ
「……あー、暇だわ」
窓際で頬杖をつき、退屈そうにあくびをしながら、金髪碧眼の少年――俺は呟いた。
二階にある自室の窓の外に広がるのは、波打つ黄金のような麦畑。風が運んでくる心地よい麦の香りに、どことなくノスタルジーな気分になる。
近くを流れる小川のせせらぎが、水を飲みに来る家畜や野生動物の鳴き声と共に聞こえてくる。
時折通りすぎる人々に手を振りながら、俺は村を囲う森の向こうに聳える山脈を見つめた。
ここロイム辺境伯領――通称ロイム村――は、ハルヴェリア王国北西部のベルガニー山脈の麓にある。そして今俺がいるこの家は、ロイム村領主の邸宅だ。
七年前、ロイム村領主のパブロ・ラ・フォンテーニュと妻エレーネの次男として、俺――レンデリック・ラ・フォンテーニュは生まれた。
つまるところ、俺は絶賛七歳児なう、なのであった。
俺の父様はロイム村の領主だが、過去のとある魔物の討伐によって、フォンテーニュ辺境伯の爵位を賜ったらしい。
だから一応貴族なんだよね、頭に「貧乏」がつくものの。
父様は、自ら進んで、しかも生き生きと畑作しているから村人にも好かれている。だから悪政領主に対する村人の反乱、とかいうありがちなイベントも起こらないだろう。森に囲まれていて何かと不便だけど、RPGの最初の村っていうイメージでとてものんびりしている。
牧歌的な雰囲気であるが、隣国である神聖皇国アドロワとの国境に近いためか、どうもここは地理的に重要らしい。
まあ、アドロワとの関係は今のところ良好みたいだから、軍事境界線っぽい物々しさはないけどな。
とはいえ、隣国の情勢が急変する可能性もなきにしもあらずだから、防衛として村人兼騎士たちが住んでいる。普段は耕作しかやることがないみたいで、彼らが毎日汗と泥に塗れてせっせと畑仕事をしている姿は見ていて飽きない。
国から派遣された騎士たちは、最初畑仕事を嫌がっていたらしい。だが自分たちで作った美味しい野菜を食べてからは意欲的になり、村人も今ではすっかり彼らを仲間として認めているのだそうだ。
そんなこんなで、今日もロイム村は平和なのであった。
ああ、あと俺の特殊スキルは以下のとおりだった。
〈テイムマスター 15〉
〈創造王 15〉
〈体術王 15〉
〈極限突破 20〉
〈王の系譜 20〉
〈冥界の加護 0〉
〈男は拳で語る 0〉
〈牡のフェロモン 5〉
〈絶倫 5〉
こんな感じで、スキルが俺の脳内に表示されるのだ。
一見強そうなスキルが並んでるけど……。
牡のフェロモンと絶倫ってなんですかね! いや、確かに俺の夢は「彼女を作る!」なんだけども。こう客観的に見ると恥ずかしいよな……?
……いや、主観的に見ても恥ずかしいな。
とりあえず、まあなんだ、詳細は次のような感じだ。
■特殊スキル
〈テイムマスター〉
……一般スキル【テイム】追加。隷属状態下の魔物の進化は、希少なユニーク系統を必ず辿る。
〈創造王〉
……一般スキル【鍛冶】【錬金】【調合】【建築】【王級工房】【鑑定】追加。
〈体術王〉
……体力、筋力、敏捷にステータス補正極大。
〈極限突破〉
……パーティ全体に作用。己の限界を突破し、最上位スキルまで必ず到達する。スキルの成長
速度が極大化される。
〈王の系譜〉
……王族に関わる運を高める。パラメータ補正【カリスマ極大】。一般スキル【指揮】追加。
〈冥界の加護〉
……パラメータ補正【魔力最大量極大】【闇系統魔法威力極大】【闇以外系統魔法威力極小】追加。
一般スキル【暗黒魔法】【混沌魔法】【煉獄魔法】追加。
〈男は拳で語る〉
……パラメータ補正【近接武器適性極小】追加。ただしナックル武器、遠距離武器は例外。
〈牡のフェロモン〉
……パラメータ補正【魅力極大】追加。一般スキル【甘いマスク】追加。
〈絶倫〉
……一部状況下でのパラメータ補正【スタミナ・体力極大】追加。一般スキル【精力回復】追加。
■一般スキル
【テイム】
……魔物を隷属状態下に置くことができる。ただし、隷属状態下に置くことができる数はスキル
レベルの値まで。隷属状態下に置くためには、自らの優位性を示す必要がある。
【鍛冶】
……鍛冶の適性を持つ。
【錬金】
……錬金の適性を持つ。
【調合】
……調合の適性を持つ。
【建築】
……建築の特性を持つ。
【王級工房】
……鍛冶・錬金・調合・建築に必要な道具が揃った「工房」を出現させる。
【鑑定】
……武器・防具・装飾品の能力値の読み取ることができる。対象により範囲は異なるものの、人
間や亜人、魔物の情報を読み取ることもできる。ある程度遠距離の離れた対象にも有効。
【指揮】
……指揮力が上がる。パーティ内の連携力、統率力が上がる。
【暗黒魔法】【混沌魔法】【煉獄魔法】
……【闇魔法】のユニーク上位スキル。
【甘いマスク】
……恋愛感情を抱かれやすい。
【精力回復】
……夜の営みの際、精力が尽きることがない。
【精力回復】の説明は何回見てもツッコミたくなる。まあ一部のVRMMORPGでは実際に夜のお行為ができるらしいですけどね、素晴らしいです。
問題は〈冥界の加護〉〈男は拳で語る〉のパラメータ補正だ。「~極小」って……これ、どう見てもステータス下降補正スキルですよね? アニエスカさん……何が「ステータス下降補正スキルは稀」だよ……二つも出てるじゃねえか! ファンタジーの王道――剣と魔法のほとんどが死んでるじゃねえか! 訴訟も辞さない……。
くそ……まあ〈冥界の加護〉については【闇系統魔法威力極大】があるからしょうがないと割り切ろう。普通の人は、こんなにたくさんスキル持ってないらしいしな。〈冥界の加護〉は簡単に言えば、一つ何かを極めるためには大いなる犠牲が必要ってことだな、たぶん。
でもなんとなく、あの変なオッサンが関係している気がするぞ。
いい人ぶって、実は厄介なモンよこしやがったな、あのハゲめ。
スキル欄を脳内でスクロールしていくと、次に表示されるのは自分のステータスだ。
レンデリック・ラ・フォンテーニュ
冒険者ランク:なし
ATK:67
DEF:45
SPD:54
MP:2149
LUK:9999
ATK・DEF・SPD・MP・LUKはそれぞれ「ATTACK=攻撃力」「DEFENSE=耐久力」「SPEED=敏捷性」「MAGICAL POWER=魔力量」「LUCK=幸運度」を表している。
LUKの値から、少なくともMAX値は9999以上だと予想できる。最初からMAX値のわけがないからな。LUKとMPはともかく、上から三つ目までの値がいずれも二桁である俺は、相対的に弱いのだと考えられる。
なぜならロイム村の、冒険経験のない一般的な成人男性のステータスがこちらだからだ。
村人A
冒険者ランク:なし
ATK:300
DEF:300
SPD:300
MP:300
LUK:300
な、村人の平均と比べて、俺はATK・DEF・SPDの三つがかなり低いんだ。俺はまだ七歳の子供だからっていうのもあるのだろうが、このままじゃただの平均より弱い一般人となりかねない。
それにしても「なんだよこのLUKの値は」って言われそうだが、生まれた時からこうだったんだからしょうがない。あのオッサンから金券を貰うことができたからLUKの値が高いのか、LUKの値が高かったから金券を貰えたのか、どっちなのかは不明だが。
ところで、俺は村の外に出ることを両親から禁止されている。
というのも、ロイム村付近にはしょっちゅう周囲の森林からはぐれた魔物が出没するのである。子供にとってはたとえ最弱レベルの魔物でも命の危険があるから、十歳になるまでは子供だけで村の外には出ないように教えられているのだ。
まあ時々、ロイム村の南東にある都市、ハーガニーから冒険者ギルドの要請を受けた冒険者が魔物を間引きに来るため、強力な魔物はまず存在しないのだが。
だったら、俺七歳児だけど魔法のスキルとかあるから、弱い魔物くらいなら問題ないんじゃない? ……ということで、魔物とエンカウントしてみたい。せっかくのVRMMORPG風世界に来ているのに、七年間も魔物遭遇なし、魔法使用なしのレベル1はありえないしな。そんなRPGがどこにあるんだよっていう。
七年間レベル1縛りプレイとか、そんなことしてる人がいたら見てみたい。
そこまでやり込んでたら廃人すら通り越してそうだから怖いけど。
「ねえねえ、デボラー。村の外に行っていいかな?」
「レンデリック様、それはいけません。外には魔物がたくさんいるのでございますよ」
今、俺の金髪を梳いているデボラは、フォンテーニュ家唯一のメイドである。確か二十六歳だったか……。相当美人なんだけど、この世界では結婚適齢期が十五歳で、それをかなり過ぎているためになかなか嫁ぎ先が見つからないそうだ。日本なら二十六でもまだ早いほうだと思うんだけどなあ……。
あと、七歳児のふりをするのは結構きつい。ついつい、普通に喋りそうになる。
言葉を喋れるようになった二歳児あたりはとくにきつかったぜ。うっかり変なこと喋って騒がれても大変だからな。
まあ、もう七歳になったんだから、少しは大人っぽく喋っても問題なさそうだが……。
「大丈夫だって。強い魔物はいないんでしょ?」
「弱い魔物でも、子供には十分危険な存在でございますから」
「誰かに一緒に来てもらえばいいんじゃないかな?」
「レンデリック様の外出を止めなかった、としてその人がパブロ様に叱られてしまいます」
「僕が怪我しなければ、大丈夫でしょ?」
「でしたら、パブロ様に直談判してください。メイドの私に言われても困ります」
「何度もお願いしてるんだけど、その父様に、許可してもらえないんだよー」
「そうでしょう。それにレンデリック様は領主家の次男なのですから、あまり無理せず、もっと体を大事にしてくださいね」
「うーん……」
というわけで俺は、家族や村人の目を盗んで村の外に出る隙を探しているのだが、これがまた難しい。ロイム村を囲むように大きな防壁が立てられていて、唯一の出入り口は村人が交代で見張りをしているのだ。外出するという趣旨の書き置きはすでに準備してあるのだが。
あとはタイミングの問題であった。
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