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私のミッション(鷲尾彩)
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私、鷲尾彩のミッション、それはレーザー兄妹と呼ばれている水野兄妹と行動を共にし、二人が探している凛様の偽物とレーザー兄妹の父親を見つけ出す事。レーザー兄妹の父親を探す理由は聞いていないけど、私たちをお導きになる凛様の偽物なんて、存在自身が許せない。
必ずミッションをクリアしてみせる。
そう。たとえ、気に入らない兄妹と時間を共にし続けたとしても。
初めて会った時、兄の引き締まった顔つきは、ちょっと好みだし好感を抱いた。一緒に凛様のために行動できるなんてうれしいと思いもした。でも、この兄、女の子の胸を突然揉んだ事があるなんて、変態。しかも、女の子なら誰でもいい的なオーラを感じてしまう。
どうして、胸を揉もうとするの?
どうして、一人の女の子に集中できないの?
かわいい子にあわよくば的ないやらしい考えを纏っていそうな気配を感じてしまうと、うんざりしてしまう。
しかも、そんな気配を時々妹にも向けていそうなところが、特に許せない。いいえ、嫌悪感MAX。
まあ、それは時々妹が見せる愛情表現っぽい態度にも原因がある訳で、そんな態度をとる妹も好きになれない。
「軍の補給部隊はそこまで来ている」
今、私は教会傘下に入る一歩手前だったコロニーに来ていて、視界の先ではジャングルジムの上に立つ一人の男が教会ではなく、軍側からの働きかけに応じようと群衆を唆している。
「そこまで来ているのか」
「軍の方が信じられるだろう」
その言葉に心を乱されている群衆たち。愚かとしか言いようがないけれど、それはここの人たち自身が決める事。
熱弁もその内容が愚かなら、熱弁をふるう男は全くのピエロだ。そして、ピエロが口にする馬鹿らしい話は、私の思考回路が拒否反応を起こしてしまう。私の耳に入ってくるピエロの言葉は、人の言葉ではなく、ただの雑音でしかない。
レーザー兄妹たちは何が面白くて、こんなつまらない話を聞いているのか?
愚かな者には、ピエロの言葉が心に染み入るのかも知れない。
長々と続くピエロの言葉の嵐に、私の思考回路は停止気味。時々、意識が吹き飛び、眠気が襲ってくる。
すぅぅぅっと、私の意識が闇に吸い込まれそうになった。
いけない、いけない、寝てはいけない。て言うか、徹夜した訳でもないのに、立ったままうとうとするって……。
思考がそこでまた闇に吸い込まれていった。
かくっ。
膝に力が抜けた瞬間、意識が戻って来た。
マジで寝てしまうところだった。
「この前、教会は軍に大敗した。
その犠牲は大きく、停戦を軍に申し入れているぐらいだ」
「おぉぉぉ」
ジャングルジムの男の言葉に大きな喚声が沸き起こっている。
あれ?
さっきまで私の横にいたレーザー兄妹たちがいない。
でも、二人の臭いは薄れてはおらず、近くにいるのは確実。一度覚えたにおいは忘れたりはしない。
周りを見ると、二人は背後に立っていた。
うとうとしている間に、移動したらしい。
「どうかしたの? 鷲尾さん」
矢野さんが言った。
「いいえ」
そうは言ったけど、少しふくらはぎに違和感がある。
ピリッとした少しの痛みのような感覚。膝がかくっとした時に何かあったのかな?
痛みのような感覚のある右足をひょいと上げて、ふくらはぎを見てみると、3cmほどの長さの血のかさぶたが一直線に伸びていた。
何これ?
どこかで、引っ掻いた?
「あらあ、ちょっと怪我してるじゃない」
矢野さんが言った。元々は暴漢たちに襲われているところを助けた大人の女性。
正体不明で、大人の貫禄を活かしてか、今ではこのグループのボス的存在。
「ええ、何でしょう」
心当たりのない私がそう言うと、矢野さんはしゃがみ込んで、私のふくらはぎの傷をまじまじと見つめ始めた。同性とは言え、そのアングルで足を見られるのは好きじゃない。
「どうしたの?」
次にそう言ったのは、ちょっと屈み込んだ体勢のレーザー兄妹の兄だ。
「お兄ちゃん、またスカートの中、覗こうとしてないよね?」
妹の方が、兄の襟首辺りを掴んでそう言った。どうやら、過去にしゃがみ込んで、女の子のスカートの中を覗いた事があるらしい。
この男なら、あり得る話だ。
「あかね。鷲尾さんが誤解するだろ」
「だって、他の女に気を取られているなんて、嫌なんだもん」
それは妹の言葉じゃない。
そんなところが、この子にも嫌悪感を抱かせる。
こんな変な兄妹はアニメかラノベの中で十分。リアルな世界では要らない。
もっとも、私は二次元の世界の中でも、こんな兄妹は要らないけど。
「怪我は大したことないですから」
そう誰とはなしに言って、レーザー兄妹から距離を取るために、少し離れた。
「で、どうするの?」
矢野さんがレーザー兄妹に顔を向けて、言った。
「聞いて回ると言うのもありますが、やはりあの男に聞くのが一番じゃないでしょうか?」
レーザー兄妹の兄が、ジャングルジムの上に立っている男を指さして言った。
「まあ、このコロニーの中では、それなりの立場なんでしょうから、それはいいかも」
今やボス的存在の矢野さんが賛同した。これで方針は決まり。
私たちはジャングルジムの男の演説が終わるのを待った。
長々と続くピエロの雑音と、時折沸き起こる群衆たちのどよめきと喚声。
全く無駄な時間。
愚かさに取り込まれた空間の中、ピエロの言葉を私の思考回路が拒絶していても、今度は眠くはならない。
さっき、膝かっくんした時に、思考回路が完全に覚醒したのかも知れない。
長く感じたピエロの演説は、群衆たちの拍手喝さいで締めくくられた。
解散する群衆たちは口々に軍への救援を支持していた。
「軍が来てくれるのなら、そりゃあ軍だろ」
「教会には悪評もあるからなぁ」
どうやら、このコロニーは愚かにも教会の傘下に加わらず、軍に頼る事になりそう。
まあ、凛様たちが本気になれば、ここの人たちの意見など関係ないと言う事に気づいていないみたい。
「行くぞ」
レーザー兄妹の兄はそう言うと、逆流している人の流れの中に飛び込んで行った。
「さすがに、あの中には行けないわ」
「私も」
矢野さんの言葉に犬塚さんが同意した。
はっきり言って、私もそう。逆流している人ごみの中に突っ込むって、変。
それだけ、レーザー兄妹の兄は何にでも突っ込むのが好きなのかも知れない。
はっ! ちょっと変な事を想像してしまった。
変態が私にうつりかけている。危ない、危ない。
しばらくすると、目の前に流れていた人ごみはなくなり、その後からジャングルジムの男を連れて、レーザー兄妹の兄がやって来た。
「どうも、堀口晃です。
レーザー兄妹だそうですねっ!」
第一声はそれで、視線はレーザー兄妹の妹に向けられている。
「ファンですっ!」
次にはそう言って、レーザー兄妹の妹に手を差し出した。
「はあ」
ほぼ無表情な顔つきと、乗り気のない口調で、レーザー兄妹の妹が手を差し出すと、堀口と言う男は嬉しそうな顔つきで、その手をがしっとつかんで握手した。
妹の愛想の無い表情は、兄にいつも見せているものとはまるで別ものだ。いくら知らない相手とは言え、相手が喜んでいるのだから、兄に見せている嬌態の10%くらいの愛想はあってもいいんじゃないの? と思ってしまう。
「さっき見せてもらった写真の人たちを探しているって聞きました。
あの二人なら、知ってますよ。このコロニーの中にいます。
案内しましょうか?」
「本当ですか?」
「よかったな」
堀口と言う男の言葉に、レーザー兄妹たちがうれしそうな表情を浮かべている。私も、「やったぁ」と言う嬉しさは同じだけど、そんな事は表には出さず、黙り込んでおく。
堀口と言う男の後について行く私たちが連れて行かれたのは、少し離れた場所に建つ小さなビルの近くだった。
元々はいくつもの小さな会社の事務所が入っていたと思われるビルを差して、堀口と言う男は言った。
「あれです。
あの中にいるみたいですよ」
ちょうどその時だった。
ビルの入り口から一人の少女が姿を現した。
その少女の付近を歩く女の人達と比較しても、その子の背は高い。
肩までの黒のストレートヘアも凛様と同じ。
ふくよかな頬を左右に配置した顔の中央には通った鼻筋、そして大きな瞳。
間違いない。
憎むべき凛様の偽物。
「凛」
「颯太」
レーザー兄妹の兄の言葉に、凛様の偽物が答えた。
「俺のお父さんもこの中なのか?」
「うん」
凛様の偽物がそう答えた頃には、すでにレーザー兄妹の妹をはじめ、矢野さんに犬塚さん、服部さんも、凛様の偽物を取り囲んでいた。
「あ、鷲尾さんはどうするの?」
思い出したかのように、レーザー兄妹の妹が言った。
「あ、私の事にはおかまいなく」
そう。私のミッションはこれでほぼ完了。
となれば、どうして、あの好きになれないレーザー兄妹と一緒にいなければならないだろうか。
「じゃあ、私たちはちょっと中で話をしてくるね」
レーザー兄妹の妹はそう言うと、みんなと共にビルの中に姿を消した。
ともかく、彼らはあのビルの中にいる。
私は建物の物陰に隠れると、ポケットの中から教会の特別な一部の者だけが使える携帯電話を取り出して、凛様に直接電話をかけた。
必ずミッションをクリアしてみせる。
そう。たとえ、気に入らない兄妹と時間を共にし続けたとしても。
初めて会った時、兄の引き締まった顔つきは、ちょっと好みだし好感を抱いた。一緒に凛様のために行動できるなんてうれしいと思いもした。でも、この兄、女の子の胸を突然揉んだ事があるなんて、変態。しかも、女の子なら誰でもいい的なオーラを感じてしまう。
どうして、胸を揉もうとするの?
どうして、一人の女の子に集中できないの?
かわいい子にあわよくば的ないやらしい考えを纏っていそうな気配を感じてしまうと、うんざりしてしまう。
しかも、そんな気配を時々妹にも向けていそうなところが、特に許せない。いいえ、嫌悪感MAX。
まあ、それは時々妹が見せる愛情表現っぽい態度にも原因がある訳で、そんな態度をとる妹も好きになれない。
「軍の補給部隊はそこまで来ている」
今、私は教会傘下に入る一歩手前だったコロニーに来ていて、視界の先ではジャングルジムの上に立つ一人の男が教会ではなく、軍側からの働きかけに応じようと群衆を唆している。
「そこまで来ているのか」
「軍の方が信じられるだろう」
その言葉に心を乱されている群衆たち。愚かとしか言いようがないけれど、それはここの人たち自身が決める事。
熱弁もその内容が愚かなら、熱弁をふるう男は全くのピエロだ。そして、ピエロが口にする馬鹿らしい話は、私の思考回路が拒否反応を起こしてしまう。私の耳に入ってくるピエロの言葉は、人の言葉ではなく、ただの雑音でしかない。
レーザー兄妹たちは何が面白くて、こんなつまらない話を聞いているのか?
愚かな者には、ピエロの言葉が心に染み入るのかも知れない。
長々と続くピエロの言葉の嵐に、私の思考回路は停止気味。時々、意識が吹き飛び、眠気が襲ってくる。
すぅぅぅっと、私の意識が闇に吸い込まれそうになった。
いけない、いけない、寝てはいけない。て言うか、徹夜した訳でもないのに、立ったままうとうとするって……。
思考がそこでまた闇に吸い込まれていった。
かくっ。
膝に力が抜けた瞬間、意識が戻って来た。
マジで寝てしまうところだった。
「この前、教会は軍に大敗した。
その犠牲は大きく、停戦を軍に申し入れているぐらいだ」
「おぉぉぉ」
ジャングルジムの男の言葉に大きな喚声が沸き起こっている。
あれ?
さっきまで私の横にいたレーザー兄妹たちがいない。
でも、二人の臭いは薄れてはおらず、近くにいるのは確実。一度覚えたにおいは忘れたりはしない。
周りを見ると、二人は背後に立っていた。
うとうとしている間に、移動したらしい。
「どうかしたの? 鷲尾さん」
矢野さんが言った。
「いいえ」
そうは言ったけど、少しふくらはぎに違和感がある。
ピリッとした少しの痛みのような感覚。膝がかくっとした時に何かあったのかな?
痛みのような感覚のある右足をひょいと上げて、ふくらはぎを見てみると、3cmほどの長さの血のかさぶたが一直線に伸びていた。
何これ?
どこかで、引っ掻いた?
「あらあ、ちょっと怪我してるじゃない」
矢野さんが言った。元々は暴漢たちに襲われているところを助けた大人の女性。
正体不明で、大人の貫禄を活かしてか、今ではこのグループのボス的存在。
「ええ、何でしょう」
心当たりのない私がそう言うと、矢野さんはしゃがみ込んで、私のふくらはぎの傷をまじまじと見つめ始めた。同性とは言え、そのアングルで足を見られるのは好きじゃない。
「どうしたの?」
次にそう言ったのは、ちょっと屈み込んだ体勢のレーザー兄妹の兄だ。
「お兄ちゃん、またスカートの中、覗こうとしてないよね?」
妹の方が、兄の襟首辺りを掴んでそう言った。どうやら、過去にしゃがみ込んで、女の子のスカートの中を覗いた事があるらしい。
この男なら、あり得る話だ。
「あかね。鷲尾さんが誤解するだろ」
「だって、他の女に気を取られているなんて、嫌なんだもん」
それは妹の言葉じゃない。
そんなところが、この子にも嫌悪感を抱かせる。
こんな変な兄妹はアニメかラノベの中で十分。リアルな世界では要らない。
もっとも、私は二次元の世界の中でも、こんな兄妹は要らないけど。
「怪我は大したことないですから」
そう誰とはなしに言って、レーザー兄妹から距離を取るために、少し離れた。
「で、どうするの?」
矢野さんがレーザー兄妹に顔を向けて、言った。
「聞いて回ると言うのもありますが、やはりあの男に聞くのが一番じゃないでしょうか?」
レーザー兄妹の兄が、ジャングルジムの上に立っている男を指さして言った。
「まあ、このコロニーの中では、それなりの立場なんでしょうから、それはいいかも」
今やボス的存在の矢野さんが賛同した。これで方針は決まり。
私たちはジャングルジムの男の演説が終わるのを待った。
長々と続くピエロの雑音と、時折沸き起こる群衆たちのどよめきと喚声。
全く無駄な時間。
愚かさに取り込まれた空間の中、ピエロの言葉を私の思考回路が拒絶していても、今度は眠くはならない。
さっき、膝かっくんした時に、思考回路が完全に覚醒したのかも知れない。
長く感じたピエロの演説は、群衆たちの拍手喝さいで締めくくられた。
解散する群衆たちは口々に軍への救援を支持していた。
「軍が来てくれるのなら、そりゃあ軍だろ」
「教会には悪評もあるからなぁ」
どうやら、このコロニーは愚かにも教会の傘下に加わらず、軍に頼る事になりそう。
まあ、凛様たちが本気になれば、ここの人たちの意見など関係ないと言う事に気づいていないみたい。
「行くぞ」
レーザー兄妹の兄はそう言うと、逆流している人の流れの中に飛び込んで行った。
「さすがに、あの中には行けないわ」
「私も」
矢野さんの言葉に犬塚さんが同意した。
はっきり言って、私もそう。逆流している人ごみの中に突っ込むって、変。
それだけ、レーザー兄妹の兄は何にでも突っ込むのが好きなのかも知れない。
はっ! ちょっと変な事を想像してしまった。
変態が私にうつりかけている。危ない、危ない。
しばらくすると、目の前に流れていた人ごみはなくなり、その後からジャングルジムの男を連れて、レーザー兄妹の兄がやって来た。
「どうも、堀口晃です。
レーザー兄妹だそうですねっ!」
第一声はそれで、視線はレーザー兄妹の妹に向けられている。
「ファンですっ!」
次にはそう言って、レーザー兄妹の妹に手を差し出した。
「はあ」
ほぼ無表情な顔つきと、乗り気のない口調で、レーザー兄妹の妹が手を差し出すと、堀口と言う男は嬉しそうな顔つきで、その手をがしっとつかんで握手した。
妹の愛想の無い表情は、兄にいつも見せているものとはまるで別ものだ。いくら知らない相手とは言え、相手が喜んでいるのだから、兄に見せている嬌態の10%くらいの愛想はあってもいいんじゃないの? と思ってしまう。
「さっき見せてもらった写真の人たちを探しているって聞きました。
あの二人なら、知ってますよ。このコロニーの中にいます。
案内しましょうか?」
「本当ですか?」
「よかったな」
堀口と言う男の言葉に、レーザー兄妹たちがうれしそうな表情を浮かべている。私も、「やったぁ」と言う嬉しさは同じだけど、そんな事は表には出さず、黙り込んでおく。
堀口と言う男の後について行く私たちが連れて行かれたのは、少し離れた場所に建つ小さなビルの近くだった。
元々はいくつもの小さな会社の事務所が入っていたと思われるビルを差して、堀口と言う男は言った。
「あれです。
あの中にいるみたいですよ」
ちょうどその時だった。
ビルの入り口から一人の少女が姿を現した。
その少女の付近を歩く女の人達と比較しても、その子の背は高い。
肩までの黒のストレートヘアも凛様と同じ。
ふくよかな頬を左右に配置した顔の中央には通った鼻筋、そして大きな瞳。
間違いない。
憎むべき凛様の偽物。
「凛」
「颯太」
レーザー兄妹の兄の言葉に、凛様の偽物が答えた。
「俺のお父さんもこの中なのか?」
「うん」
凛様の偽物がそう答えた頃には、すでにレーザー兄妹の妹をはじめ、矢野さんに犬塚さん、服部さんも、凛様の偽物を取り囲んでいた。
「あ、鷲尾さんはどうするの?」
思い出したかのように、レーザー兄妹の妹が言った。
「あ、私の事にはおかまいなく」
そう。私のミッションはこれでほぼ完了。
となれば、どうして、あの好きになれないレーザー兄妹と一緒にいなければならないだろうか。
「じゃあ、私たちはちょっと中で話をしてくるね」
レーザー兄妹の妹はそう言うと、みんなと共にビルの中に姿を消した。
ともかく、彼らはあのビルの中にいる。
私は建物の物陰に隠れると、ポケットの中から教会の特別な一部の者だけが使える携帯電話を取り出して、凛様に直接電話をかけた。
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