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不思議の国へ。

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 大学生にもなって家族旅行に出かけると言う事実は、私にとって照れくささと面倒くささが入り混じった複雑な気分を湧き上がらせていた。
 どうせならば友達と出かけたほうが楽しい。そう思う気持ちはあるが、久方ぶりの旅行を楽しみにしていた両親に対する遠慮があって口にすることも出来ず。
 同時にロッジを一つ丸ごと借りると言う新しい体験に対する期待もまたあって、口では友達と出かけたかったと言いながらも悪い気分はしていなかったのだ。

 辿りついたロッジは近くに管理人が住む建物があって、バーベキューをするならその建物に行けば準備と後片付けは管理人がしてくれるし、レストランも入っているので普通の料理もそこで食べられる。
 どうやら両親は面倒な部分を受け持ってくれる旅館とアウトドアの良いとこどりをしたようなパッケージプランを申し込んでいたらしく、非日常を味わいながらも面倒な準備などはしなくても良いプランらしい。面倒が少なくていい、と思ってしまう私はアウトドアに向いていないのだろう。

 私の部屋だといって割り当てられた二階の一室はカントリー調のそこそこに可愛らしい部屋で、何故かぬいぐるみがたくさん置いてあった。私が両手で抱えてもまだ足りないくらい大きな胴回りのテディペアまである。多分床に寝かされていたら私が乗れるんじゃないか。
 もう少し幼い年齢の子供向けの部屋かと思ったが、ローチェストの上に置かれている陶器でできたウサギの置物などは一つうん十万もする高価なものらしく、壊さないようにと念入りに言い聞かされた。
 赤と黒の格子模様のジャケットを羽織り、シルクハットを被ったしゃれたウサギの陶器だ。そんなもの置いておくなよ、と思ったこの部屋を使うことになった人間はきっと私だけではないだろう。
 でも一回のリビング部分には大きな暖炉があって、非日常に浸るには充分すぎる環境だった。

 母と女子トークをしながらロッジの周辺を散歩し、父が焼いてくれたバーベキューでおなかを満たし、なんだかんだ言いながら旅行を満喫しているとあっという間に夜になった。
 天井に窓があるお風呂で夜空を満喫しながらじっくりと檜風呂を堪能したあと、あくび混じりに酒を飲んでいる両親に就寝の挨拶をして割り当てられた部屋に向かう。
 電気をつけずに入った室内で部屋の隅に置かれている大きなテディベアにびくっとしてしまったが、所詮ただの人形だ。陶器を壊さないようローチェストから距離をとって歩きながらベッドにもぐりこんだ私は、旅の疲れもありあっという間に夢の中へと旅立った。

 それからどれくらい眠っていたのだろうか。ふと目を覚ますと、しんとした室内はまだ暗く夜が明けてないのが見て取れた。
 特段喉が渇いたと言うわけでもなく何故目を覚ましたのか解らずに目をこすりながら上半身を起こせば、視界の端で何かが動いた気がして暗い室内を見渡す。
 何が動いたのだろうか。電気もつけずに目を凝らしていると、ローチェストの上の陶器のウサギがもぞもぞと動いているようだった。自分の見たものが信じられなくて、もう一度目を擦る。

「……うそぉ」

 寝起き特有の少しかすれた声で思わず呟く。
 見間違いかと思ったが、陶器のウサギは間違いなく動いていた。最初こそもぞもぞとかすかに身じろぐ程度だったが、私が見ている中その動きはどんどん大胆になっていく。同時につるりとした表面はふさふさとした毛皮に代わり、ぬらりとした目玉は光を反射する生きた瞳へと変化していった。
 最終的に二本足で自立するウサギへと変化しきったそいつは、まるで犬か猫のように身震いをしたかと思うとジャケットの中から懐中時計を取り出し、遅刻だ!!と叫んでからローチェストの上からぴょんと飛び降りる。
 そして誰も触れていないはずなのにカチャリと音を立てて開いたドアの向こうへと姿を消してしまって、想定外のものに出会って思考が停止していた私は呆然とそれを見送ることしかできなかった。

「……うそぉ」

 同じ言葉を繰り返す間抜けな私だったが、不意に気づく。もしあのウサギが帰ってこなかった場合、盗難か紛失を疑われるのでは?と。
 その嫌な想像に冷や水をかけられた気分になった私は慌ててベッドから転げ降りると、カーディガンを引っ掛けながらウサギの後を追うために部屋から飛び出した。

「ああ、ああ! 遅刻する!!」
「待って!」

 階下から聞こえる声を頼りに階段を駆け下りる。
 小さなウサギはぴょんぴょん跳ねながらリビングにあった暖炉の奥へと消えていって、私は暗闇が広がる暖炉のまで呆然と足を止めてしまった。
 火の入っていない暖炉の中には昼間見たときは観葉植物が入っていた筈だが、今は闇夜によって暗い影が落ちている。少し迷ってから暖炉の前に膝をつき、中を探るように手を突っ込む。
 見えないだけで観葉植物が置いてある筈だと思ったし、そこに陶器のウサギが隠れていれば回収して終了する筈だったからだ。

 しかしその直後、私は横着をせずに電気をつけて探せば良かったと後悔した。
 だって冷たい石床に着く筈だった掌は空を切り、私はそのまま暖炉の中へと落ちる羽目になったのだから。

「うそおおぉおーーーー!?」

 落下する時特有の浮遊感を全身に感じながら、私は暖炉の中へと落ちる。
 そこがワンダーランドへの入り口だったのだと、私はようやく知ったのだ。

 それからふと目が覚めると私は見知らぬ部屋で眠っていた。天井が自棄に高い十畳程の部屋で、一見北欧風に見える室内はソレでいて何処か歪だった。
 例えば木目の美しいチェストなどは私の身長の二倍ほどあるし、かと思うと部屋の隅に置かれているベッドはとても小さくてきっと赤ん坊しか眠れない。どれもこれも、サイズがとてもちぐはぐで、私はそんな部屋の暖炉の前に寝転がっていた。
 何故自分がこんなところにいるのか解らず、上半身を起こして頭をふる。そして目覚める前のことを思い出す。そうだ、私は暖炉に落ちたのだと。
 改めて周囲を見渡すが、やはり部屋の色んな物のサイズがちぐはぐであること意外目立つものはない。当然、といっていいのか解らないが、ウサギの姿も無かった。

「ここ、どこ……?」

 不安になりながらも上半身を起こし、そこで自分の服装が変化していることに気付く。
 眠りに着く前は確かにパジャマだった。Tシャツにハーフパンツと色気も何もない部屋着兼寝巻きの上にカーディガンを羽織って部屋を飛び出した。
 なのに今の自分は水色のワンピースの上に白いエプロンと随分とメルヘンチックな服装をしていた。コスプレの域に近いのではないだろうか。
 水色の膝丈のワンピースにパフスリーブ、まるで不思議の国のアリスのようだと思う。わけの解らない場所に居るというのに、気恥ずかしさが湧き上がる。
 立ち上がり、スカートの端を摘んでみる。スカートを膨らませているパニエは履き慣れないものだったが、肌触りが良いために然程違和感は無い。

「しょ、少女趣味……」

 はは、と引き連れた笑いが漏れた。黒い艶のある靴に白いハイソックス。どう考えても自分のものではない。
 頬を引きつらせながら全身を見下ろしていると、かすかに息を呑む音が聞こえた。弾かれたように顔をあげれば、私の腰くらいのサイズになったウサギが此方を覗いていた。ひたりと目があったかと思うと、ぴょんと飛び上がったウサギは姿を消す。

「待って!」

 話が聞けるかもしれない相手。唯一知っている相手。そして追いかけた目的。ウサギを追わないという選択肢はなく、ドアに飛びついた私は勢いよく開き、赤と黒の格子模様のジャケットを着たウサギを追いかける。
 短い廊下を駆け抜けて隣室へとたどり着いたかと思うと、ウサギは私の膝よりも小さな扉を抜けて行ってしまう。反射的に追いかけそうになったが、ガチャンと音を立てて鍵をかけられてしまった上、その小さな扉はどう考えても私ではくぐれそうにない。小さすぎる。
 なんてことだ。一気に手詰まりになってしまった。頭を抱えたい衝動を堪えながら、さてどうしたものかと室内を見渡す。手がかり探しと、他に外に出る手段が無いかの確認の為だった。

 どうやらココの部屋は先程よりももう少しだけ現代寄りらしい。北欧風の部屋でありながらテレビやロデオマシン、掃除機などが置かれている。
 そしてテーブルの上にはDrink me!!と書かれた札のついたガラス瓶が置いてあった。嫌な予感しかしない。

「落ちた先はワンダーランドでした……とでも言いたいわけ? てことはコレは私が見てる夢?」

 どう考えても不思議の国のオマージュだろう。もう自分は大学生なのに、深層心理ではこんな少女趣味なものが好きだったなんて、とショックを受けながらテーブルの上の瓶を手に取る。
 二百ミリリットルのペットボトル程度のサイズのそれの中には、透明な液体がたっぷりと入っていた。
 不思議の国のアリスはアニメを見たことがある程度だが、コレを呑むことで小さくなって扉が通れるようになる、というストーリーくらいは覚えている。

「……飲めと?」

 Drink me!!の文字を眺めながらそう呟く。そうすれば進めるのだろう、という予感はあった。
 何が入っているのか解らないものを口に含むことに抵抗感がないといえば嘘になるが、状況の打開の為だ。覚悟を決めて瓶の蓋を開け、中身を煽る。
 全部は飲まなかった。せいぜい二口か三口程度だ。蓋を閉めなおしてしばし待ってみるが、別に身体が小さくなるような気配は無い。

「……」

 もしかしてアリスのオマージュだというのは自意識過剰だったのだろうか。勘違いに気恥ずかしさが湧き、カッと顔が熱くなる。
 ソレを誤魔化すようにそう言えばドアには鍵が必要だったと思い出し、あの小さなドアを開けるための鍵を先に探すことにした。たとえ通れなくても、ドアを開けることが出来ればドアの向こう側について情報収集が出来る。損はしないはずだ。
 火照る顔を冷ましながら散々室内を探し回った結果、部屋の隅に置いてあったロデオマシンの中に鍵があった。何を言っているか解らないだろうが、無駄に高さのあるロデオマシンの胴部分に小さなガラスの扉がついていてそこに金色の鍵が一本入っていたのだ。
 扉に書かれていた文字曰く、一コース分ロデオマシンを使用すればその扉は開く仕組みになっているらしい。
 こんな面倒くさいところにしまうなら鍵じゃなくおやつか何かにしておいて欲しい。そうすればダイエットにも使えるだろう。

「……動かすだけで開くなら、開けておいた方がいい、か」

 少し悩んだものの、そう結論付けた私はこの無駄に高さのあるロデオマシンを動かすことにした。他の家具と同じようにサイズがおかしいこのロデオマシン、横幅は通常のものと同程度でありながら私の胸くらいの高さがあるのだ。隣には子供が使うようなステップが置かれていて、ソレを利用しないと跨れそうにない。
 胴部分に書かれた注意書きを読んだところ、機械だけが無駄に動かないようにセンサーが内蔵されているらしく、上に何かが乗っていないと動きが止まってしまうようだ。だからステップを利用して、取っ手のついたマシンの上によいしょと乗り上げる。高い。降りるときは注意しないといけないだろう。
 しっかりと体重をかけて馬乗りになると、自動的に電源が着いた。なるほど。同時に取っ手の下部分にあった小さな電子画面にコースを選択してくださいという文字が流れる。私は画面の下にある十字ボタンを操作して、全部で五つあるコースのうちどれを選ぶか悩む。

「……何がどう違うんだろう?」

 問題はそれだった。
 いかんせんロデオマシンなんて使ったことはないし、注意書きにもコースの説明までは書かれていなかった。少し悩んでから一番目のコースを選ぶ。大抵は一番目というのは一番威力が弱かったり、短いものだからだ。
 スタートボタンを押せばぐん、とロデオマシンが動き始め、慌てて両手で取っ手を握った。電子画面に集中強化コース 40minits の文字が流れ、四十分も乗っていなければならないのかと、選択肢を間違えたことを悟る。
 しかし乗っていなければ動かないのだから仕方がない。この部屋に他に窓はないし、他に打てる手が見つからないのだから素直に鍵をとるために乗り続けるしかない。
 それに先程得体の知れない液体を飲んだせいか下腹部の辺りがうずうずしていて、身体が火照り始めている。四十分も乗り続けていれば汗をかいて、嫌でも火照りは収まるだろう。

「っ!?」

 そう思っていたら、丁度体重をかけている座面の中央部分が突然震え始めた。電気マッサージ器でも当てたような強い振動に自然と腰が跳ねる。
 慌てて内腿に力を入れて体重をかけないようにするが、相変わらず座面は……丁度下着のクロッチ部分に当たる場所は強い振動を放ち続けている。

「なに、これっ!」

 失敗した、と思った。ロデオマシンは通常のものより背丈があり、動き続けている今安易に降りることはできない。それに降りてしまえばマシンは止まる。そうなれば鍵は取れないだろう。無理矢理降りようとすれば体を投げ出す形になり、怪我をするかもしれないというのも怖かった。
 それでも内腿で強くマシンを挟んで腰を浮かせていても、座面が震動しているのが伝わってくる。火照っている身体はソレを性的刺激として認識し、敏感な肉芽はそれだけで反応する。

「んっ……ふ、ぅ……っ」

 しかし何の準備もされていない肉芽にはそれが程よい刺激で、ぴったりと閉じた秘所の奥にあるそれに僅かに伝わってくる振動が欲望に火をつけた。
 こみ上げてくる欲情。とろ火にかけられたようにじっくりと火照った体を刺激され、段々と腰が揺れて官能が高まってくる。蜜壷の奥からじわじわと愛液が溢れ始め、下着の中では僅かな震動を受け続けていた肉芽が少しずつ膨らみ始めているのが解った。

「く……っう、足が……ぁっ」

 そうして身体に完全に火がついた頃には、足に限界が訪れ始めていた。こんなものに感じてなるものかと思うのに、ずっと力を入れていた内腿が限界を訴えるようにぷるぷると震え始めている。両手をマシンについて体を支えられれば別なのだろうが、取っ手を掴んでいなければ振り落とされそうで怖くて、手を離すことができない。
 じくじくと下腹部が疼いていた。火照る身体に自然と息が荒くなり、イきたいという欲と理性がぶつかり合う。しかしそれもすぐに限界が来る。特段鍛えている訳でもない肉体が先に敗北し、私は震える座面の上に腰を下ろす羽目になった。

「んぁあぁっ!」

 愛液でぐしょぐしょに濡れた下着越しにぷっくりと膨れていた肉芽が自重によって押しつぶされ、強い振動にさらされた。
 待っていましたというよに甘い痺れが腰から駆け上がり、瞼の裏でチカチカと火花が散る。肉芽に震動が伝わらないように体勢を整えようにも、マシンが前後に動き続けるせいで体勢を維持できない。
 座面が前後に動くたびにぐりっ、ぐりっと大きくなった肉芽を押しつぶされ、その度に強い振動が叩きつけられて、高ぶっていた肉体が絶頂を迎えるには充分すぎた。

「ぁっ、ぁーっ、あ、やっ……こんな、ので♡ ……っん、ぁ……ぁ、あ……っ、~~っ!!♡♡」

 びくん、と腰が跳ねた。こんなものにイかされてしまったという屈辱に震えながらも、ようやく迎えることの出来た絶頂に恍惚とする。
 しかし陶酔できたのは一瞬だ。だって私がイったところでマシンは止まらない。相変わらず前後に動き続けているし、その間にも私の肉芽は何度も押しつぶされ、震動が与えられている。
 イったばかりの身体にはキツい責めだ。私は落ちないように必死に取っ手を握り締めることしか出来ない。

「ひっ、ぁっ、ぁー……あっ、ぐりっって、ぁっ、やあっ!♡♡ んっ、止まっ、ぁ、あーっ!♡」

 愛液に濡れた割れ目の中でぷくりとした肉芽。皮を被ったままのそれが、マシンが揺られる度に自分の体重で押しつぶされる。
 じくじくと疼く下腹部……もとい、子宮は肉芽から与えられる快楽に喜んでいるようでいて、その実膣内への刺激を待ちわびている。
 解る。解ってしまう。これはきっと、どれだけ肉芽で果てても身体は満足しない奴だ。それなのに、こりっ、ぐりっ、と肉芽が押しつぶされ強い震動に晒される度に腰は跳ね、甘い痺れに頭は白く染まり、蜜壷は何かを求めるように蠢き続ける。
 愛液はとめどなく溢れ続け下着で吸い切れる量をとっくに超えているせいで、震え続ける座面まで愛液でぬるぬるとし始めている。

「ぁ、ぁーっ、はっ……あ、んっ、あ、ぐりぐりっ、いやっ、あ、あと、どれだけ……っん、ぁ、また……きちゃ、ぁ……っ!!♡♡♡」

 びくんとまた体が大きく跳ねた。取っ手を強く握り締め、二度目の絶頂に唇を噛み締める。
 涙が滲む視界で取っ手の下にある電子画面を見れば、28minitsの文字が無情にも流れていった。まだ12分しか経っていないのだという事実に思わず息を呑む。

「うそ、まって、やっあ、ぁ、あっ、んーっ、あ、は……ぁんっ!♡♡♡♡」

 機械が声をかけて止まる筈も無く、ぐりっ、ぐりっと押しつぶされる肉芽。
 連続して絶頂などしたことがない身体は既に休息を欲しているのだが、マシンにはそんなことは関係ない。ただ単調に、無慈悲に私を揺らし続け、震動を与え続けるだけだ。

「ぁっ、ぁーっ!♡♡ はっ、あ、やぁっ、あっんっ、ぁーっ!♡♡♡」

 揺られ続けて十五分が経過した。三度絶頂していた。
 ぷっくりと膨れた肉芽はますます敏感になり、震動による快感を余すことなく全身に響かせてくる。私の蜜壷から溢れる愛液のせいで、座面はぬるぬるしていた。

「ふっ、うーっ、あっ、あーっ、もっ、イきたく、なっ♡ あっあーっ、クリッ、やぁっ!♡♡♡ あ、またっあ、くるっ、やらっあ、んっ、ぁああぁあっ!!♡♡♡♡♡」

 二十分が経過した。五度絶頂していた。
 頭が朦朧とし始めているのに、マシンは止まってくれない。内腿に力を込めて何とか快感を減らそうとするが、微弱な震動が伝わるのだけは抑えきれず、かえって欲情の火を燃え上がらせるだけだった。
 その上一度絶頂と絶頂の間にブランクを与えたせいで、再度足に力が込められず腰を下ろした時にビリビリと走った快感は先程の比ではなかった。
 背中を思い切り逸らせ、一際強い絶頂に部屋中に嬌声を響かせた。

「クリがっ、あっ、こわれっちゃ、あっイくっ♡♡ あ、んっ、こわれるっ、やっ、とめてぇっ、だれかっ、だれか、あっ、あっぁああーっ!!♡♡♡♡♡」

 二十五分が経過した。十二度絶頂していた。
 二十分を過ぎた辺りから揺れ方が変わった。乗馬をするように大きくグラインドしていた動きではなく、小刻みに前後に揺れるようになった。
 そのせいで常に震動が与えられるようになった上、これ以上ないと言う位に大きくなった肉芽への痛いくらいの刺激に私は泣きじゃくっていた。降りようと思う余裕すら無くし、ひたすらにこの責めが終わるのを待ち続けている。
 びしゃびしゃに濡れた座面からついに愛液が溢れ、太ももを伝うようになっていた。絶頂と絶頂の感覚が狭まり、息も絶え絶えになりながら必死に取っ手を握り締めていた。

「ひっ、ぃあ、あー……あっ♡♡ あっひ、んっ、ひぅっ♡ うーっあ、あっああっあ♡ まひゃ、あっ、ぁ、あ……ひぃんっ!!♡♡♡♡♡」

 三十分が経過した。十八度絶頂していたが、最早自分で正しい絶頂回数など数えられていない。
 イく度に息が止まり、息も絶え絶えになりながら必死に取っ手を握り締めている。ロデオマシンに揺さぶられながらビンビンに立ち上がった肉芽から響く快感にがくがくと震え続けている。
 イきすぎたせいで頭は痛いし、涙は絶え間なく流れ続けている。それなのにじんじんと子宮が疼いている。中を擦りあげて、奥を突き上げて、精子をかけて欲しいと子宮が降りてきているのだ。

「ぃうっ♡ あ、あっあ゛ぁー♡♡ あっ♡ んっ♡ あ゛っ♡♡ あ、あ♡ ああ、イっ……♡♡ は、ぁ、あーっ♡♡♡♡♡♡」

 三十五分が経過した。絶頂回数は数えられていない。まともに思考が働いていない。ただ痙攣し、絶頂する肉塊と成り果てている。
 マシンから落ちそうになり、上半身を突っ伏すように体勢を変えた。全て終わった後何故降りなかったのかと聞かれたら、既に降りると言う正常な思考回路すら存在しなかったからだと答えるだろう。
 ただただ腰を跳ねさせ、絶頂し、痙攣し続けた。体勢を変えたせいで肉芽が押しつぶされる角度が変わり、ソレがまた絶頂を誘発させていた。
 犬のように舌を突き出し必死に呼吸をしていた。飲み下せない唾液が顎を伝い、ぽたぽたと落ちていた。溢れた愛液は足を伝い、靴を汚していた。

「ぁ゛ー♡♡ あ、んぅっ!♡♡♡♡ は、ぁ……ぁ♡♡ ぁんっ♡ ん……ひんっ!♡♡♡♡♡」

 四十分が経過した。絶頂回数は不明。
 マシンが止まり、鍵の入った扉が開いた後も私はマシンの上から動けなかった。しばらくの間は余韻で絶頂を強制されていたし、少しでも動けば肉芽が擦られそれがまた絶頂を誘発していた。
 顔は涙や涎でぐちゃぐちゃで、今すぐ目を閉じて気絶してしまいたいのを堪えながらずり落ちるようにマシンから降りる。

 しばし床に突っ伏して休んでいたのだが、ソレでも子宮がじくじくと疼き続けていて自然と涙が出た。
 からからに乾いていた喉を潤したくて重い身体を動かし、テーブルの上に置いてあった瓶を手に取る。震える手で瓶を開け、中のものを一口二口と飲み干したところで瓶を取り落としてしまい、中身が床にぶちまけられる。

「ぁ……」

 勿体無いと思いながら床にぶちまけられた水の上に手をつこうとした。が、ただの水溜りのはずのそれは何故か底無し沼のように私を飲み込む。
 ああ、あの時の暖炉のようだ。そう思いながら、身体が水底に沈んでいくのと同じように私の意識もまた沈んでいった。
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