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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
156.悪役令嬢達は寄り道をする
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「閣下、合流する前に少しだけ寄り道をしますわ」
と、私がそう言うと皆が驚きの声を上げる。まぁ、それは当然予想通りのリアクションなので、私は笑顔で対応して上層9層の安全地帯をズンズン進む。
知りたくて知ったわけでは無いけれど、魔導洞窟の管理システムを把握してしまったが故に妙な動きをする者、そして、私達を監視していた者達の存在を確認出来た――と、言ってもそれが何者か? と、いうところは私の勝手な想像の域を出ない。
そして、少しだけ確かめなければならないと思う事があったのだ。
「エ……んんっ、リア嬢。君は今件での事で何か確かめるべき事がある。と、思っているか?」
と、閣下が綺麗な低音を響かせる。共に見ていた閣下は私の行動を理解しているのだろう。私は足を止めることなく「その通りですわ」と、だけ答える。そして、目的の場所に目的の者がいるか管理端末である板に映されている画像を見て歩く速度を上げる。
そして、安全地帯の住居区画にある一つの家に突入する。因みに後方にいる仲間達は驚いている事だろうが、残念ながらゆったりご挨拶をして訪問などしている状況では無いのだ。
家の扉を粉砕して突入すると、中にいた男達が驚きの声と共に私はその様子を確認する。
焦って声を上げた男達は見た目は冒険者風だが、騎士か隠密だろう。即座に腰に下げた武器を手にするが、私は即座に拘束魔法でその動きを封じる。
「――な、なんなんですか!? いきなりっ!!!」
と、スットボケているが、私が誰かキチンと認識しているハズだ。こういう状況でも魔力が揺れていない。
「さて、しばらくそこで大人しくしていてくださる?」
私はそう言って部屋の奥へ進もうとすると、魔法を察知して即座にそれを解除し、魔法を使った者を拘束魔法で縛り上げ、奥にある階段を下る前に拘束した者に視線を向ける。
「あまりに煩くすると、即座に殺しますわよ」
笑顔でそう言うと男は恐怖に顔を歪ませつつもコクコクと頷いた。全く、人を化物を見るような目で見るのはなんとも失礼な。と、思いつつも私は階段を下り、奥にある扉を魔導剣で斬り中へ進む。
「さて、ここにいるのは貴方で全てかしら……」
これは正直、独り言だ。私は男が武器を構えつつ魔法を展開するのを確認しつつ、魔法を霧散させ、素早く超高速展開した拘束魔法で動きを封殺する。
「一体、何なんだ!!!」
男は殺意ある視線でそう言った。
「私が何者で貴方が何者か、分かっているでしょう? それに私は少し訊きたい事があるだけですわ。まぁ、答え次第――と、いう部分ではありますが?」
と、お母様を意識した笑みを見せると、何故か男は「ヒィッ」と、情けない声を上げた。なぜ、そこまでビビるのだろうか。全く、失礼な話だ。
「王家の影がどうして、このような馬鹿な事をするのか教えて頂けますか?」
私がそう言うと男は首を横に振る。この怯え方はハズレ? いや、何かを隠している?
「リア嬢、彼等をひと纏めにしてから訊いた方が良いのではないか?」
「――そうですね。では少しお待ちください」
「いや、私が連れてこよう。しばしまたれよ」
と、閣下は素早く階段を上り、縄で縛り上げた男を四名連れて来る。あら? ひとり増えているわ。
「ひとり、多くなってますね」
「うむ、ルー殿が隠れていた者を見つけたようでね」
「あら、さすがルーね」
私がそう言うとエルーサがドヤ顔で微笑む。まぁ、とりあえず時間を掛けるのは面倒なので、サクサクと情報を得ていかねばならないので、纏められ、全員が縛り上げられるのを確認した上でさらに拘束魔法も追加しておく。
「我々が何をしたというのですか? こんなことをして、タダで済むとお思いか?」
と、真面目そうな男がそう言う。うん、これは嘘は無さそうだけど、残念ながら誰がこのような事をしたか、確認しなければ、今後もこういうった事が起こる可能性を考えないといけないのはとても面倒なのだ。
「――このような事ですか。私は本来守るべき者を守らず、暗殺や分断、王家に弓引く行動をする方がタダで済むとは思えないのですが、皆様の中にはこの意味が分かる者がいると思うのですが、如何ですか?」
私の言葉にパッと見て分かる反応をする者はいない。と、いうか――よく訓練されているということだろう。
「さすがに王家の影というところですね。閣下はどう思いますか?」
「ふむ……そうだな。この隠れていた者は除外だ。これはハーブスト家の密偵だ」
「あら? そうなのです?」
と、言うと男は一生懸命に首を縦に振る。
「いえ、怪しかったのでとりあえずそのままで良いと思いますよ」
エルーサは冷たく言い放つが、流石に男は勘弁して欲しいと訴える。あ、これは分かっててやったなエルーサ。ま、彼女が楽しげなので、これはこれでいいか。
「まぁ、ルーがそう言うならそれでいいわ。とりあえず大人しくしておきなさい。で、他の者達は言い訳はありますか?」
私の笑顔に妙な反応をした男が一人、引き攣った表情をしたのが一人、絶望の表情を浮かべた者が一人、呆然としている者が一人。この中に国を裏切った者が絶対にいるのだ。さて、どうしてくれようか。
と、私がそう言うと皆が驚きの声を上げる。まぁ、それは当然予想通りのリアクションなので、私は笑顔で対応して上層9層の安全地帯をズンズン進む。
知りたくて知ったわけでは無いけれど、魔導洞窟の管理システムを把握してしまったが故に妙な動きをする者、そして、私達を監視していた者達の存在を確認出来た――と、言ってもそれが何者か? と、いうところは私の勝手な想像の域を出ない。
そして、少しだけ確かめなければならないと思う事があったのだ。
「エ……んんっ、リア嬢。君は今件での事で何か確かめるべき事がある。と、思っているか?」
と、閣下が綺麗な低音を響かせる。共に見ていた閣下は私の行動を理解しているのだろう。私は足を止めることなく「その通りですわ」と、だけ答える。そして、目的の場所に目的の者がいるか管理端末である板に映されている画像を見て歩く速度を上げる。
そして、安全地帯の住居区画にある一つの家に突入する。因みに後方にいる仲間達は驚いている事だろうが、残念ながらゆったりご挨拶をして訪問などしている状況では無いのだ。
家の扉を粉砕して突入すると、中にいた男達が驚きの声と共に私はその様子を確認する。
焦って声を上げた男達は見た目は冒険者風だが、騎士か隠密だろう。即座に腰に下げた武器を手にするが、私は即座に拘束魔法でその動きを封じる。
「――な、なんなんですか!? いきなりっ!!!」
と、スットボケているが、私が誰かキチンと認識しているハズだ。こういう状況でも魔力が揺れていない。
「さて、しばらくそこで大人しくしていてくださる?」
私はそう言って部屋の奥へ進もうとすると、魔法を察知して即座にそれを解除し、魔法を使った者を拘束魔法で縛り上げ、奥にある階段を下る前に拘束した者に視線を向ける。
「あまりに煩くすると、即座に殺しますわよ」
笑顔でそう言うと男は恐怖に顔を歪ませつつもコクコクと頷いた。全く、人を化物を見るような目で見るのはなんとも失礼な。と、思いつつも私は階段を下り、奥にある扉を魔導剣で斬り中へ進む。
「さて、ここにいるのは貴方で全てかしら……」
これは正直、独り言だ。私は男が武器を構えつつ魔法を展開するのを確認しつつ、魔法を霧散させ、素早く超高速展開した拘束魔法で動きを封殺する。
「一体、何なんだ!!!」
男は殺意ある視線でそう言った。
「私が何者で貴方が何者か、分かっているでしょう? それに私は少し訊きたい事があるだけですわ。まぁ、答え次第――と、いう部分ではありますが?」
と、お母様を意識した笑みを見せると、何故か男は「ヒィッ」と、情けない声を上げた。なぜ、そこまでビビるのだろうか。全く、失礼な話だ。
「王家の影がどうして、このような馬鹿な事をするのか教えて頂けますか?」
私がそう言うと男は首を横に振る。この怯え方はハズレ? いや、何かを隠している?
「リア嬢、彼等をひと纏めにしてから訊いた方が良いのではないか?」
「――そうですね。では少しお待ちください」
「いや、私が連れてこよう。しばしまたれよ」
と、閣下は素早く階段を上り、縄で縛り上げた男を四名連れて来る。あら? ひとり増えているわ。
「ひとり、多くなってますね」
「うむ、ルー殿が隠れていた者を見つけたようでね」
「あら、さすがルーね」
私がそう言うとエルーサがドヤ顔で微笑む。まぁ、とりあえず時間を掛けるのは面倒なので、サクサクと情報を得ていかねばならないので、纏められ、全員が縛り上げられるのを確認した上でさらに拘束魔法も追加しておく。
「我々が何をしたというのですか? こんなことをして、タダで済むとお思いか?」
と、真面目そうな男がそう言う。うん、これは嘘は無さそうだけど、残念ながら誰がこのような事をしたか、確認しなければ、今後もこういうった事が起こる可能性を考えないといけないのはとても面倒なのだ。
「――このような事ですか。私は本来守るべき者を守らず、暗殺や分断、王家に弓引く行動をする方がタダで済むとは思えないのですが、皆様の中にはこの意味が分かる者がいると思うのですが、如何ですか?」
私の言葉にパッと見て分かる反応をする者はいない。と、いうか――よく訓練されているということだろう。
「さすがに王家の影というところですね。閣下はどう思いますか?」
「ふむ……そうだな。この隠れていた者は除外だ。これはハーブスト家の密偵だ」
「あら? そうなのです?」
と、言うと男は一生懸命に首を縦に振る。
「いえ、怪しかったのでとりあえずそのままで良いと思いますよ」
エルーサは冷たく言い放つが、流石に男は勘弁して欲しいと訴える。あ、これは分かっててやったなエルーサ。ま、彼女が楽しげなので、これはこれでいいか。
「まぁ、ルーがそう言うならそれでいいわ。とりあえず大人しくしておきなさい。で、他の者達は言い訳はありますか?」
私の笑顔に妙な反応をした男が一人、引き攣った表情をしたのが一人、絶望の表情を浮かべた者が一人、呆然としている者が一人。この中に国を裏切った者が絶対にいるのだ。さて、どうしてくれようか。
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