152 / 206
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
152.悪役令嬢は魔導洞窟の中層で食事会をする
しおりを挟む
第一級魔導洞窟『アンダンテール大洞窟』の中層にて、私の専属メイドである少女エルーサは落ち着いた雰囲気を装ってはいるけれど、確実にドヤ顔をしているように私には見えた。
まぁ、ドヤる気持ちも分からなくもないんだけどね。因みに何をドヤっているかというと、野営地の設置において、テーブルセット含め、並べられた料理達である。
「皆様、席に着いてくださいませ」
落ち着いた雰囲気を装っているエルーサが静かにそう言った。私と閣下は既に着席済みである。と、いうか閣下も随分慣れてきましたね。他の皆はよく分からない状況に困惑している様子。
一番初めに席に着いたのはメイスを装備した女性だ。えっと、パルパスフィ騎士爵のファウィラさんだっけか。思ったより図太い感じの性格をしている人なのかもしれないわね。彼女の様子を見てティラと呼ばれたユーデリー騎士爵のご令嬢でルーティラさんも席に着く。
一人呆然と立っている辺境伯領第三騎士団長のロベルト・ヒッテンハイム様は皆が席に着いた事で我を取り戻した彼は閣下に同席しても問題無いか確認を取った。
「あら? 誰も気にしませんわよ。ねぇ? クーベルト辺境伯様」
「そうだロディ。エステリア嬢もそう言っているのだ、さっさと座るがよい」
「は、はぁ……」
と、ロベルト様も席に座る。
「エルーサも席に着きなさい」
「え? 私もですか?」
「ええ、ちゃんと私の隣に席があるでしょ? 皆に同席させたのだから、貴女も同様ですよ」
私の言葉に少し考えてから、エルーサも席に着く。因みに現在のメンバーからすれば、家格的に閣下の配下達より上なのだから、そんな娘を立たせておくわけにはいかないでしょう。
「では、皆様いただきましょうか」
そう言って食事を始める。今回は我が家謹製のオムライスと温野菜のサラダ、デザートはプリンと焼き菓子。お茶は紅茶と緑茶の二種類から。そして、私が一口だけ先に食べ、皆に食事を促すと閣下がフォークを使ってサラダを食べ始める。
「あの、どこから何を言えば良いのか全く困ってしまいますが、こちらの食事やテーブル、椅子も含めですが、何もない空間から取り出していたように見えたのですが……」
「さすがパルパスフィ家の方ですね。優秀な魔導師を多く輩出している家ですし、魔法や魔術に関する事はとても気になると思います。お嬢様からご説明願えますか?」
と、エルーサが言った。少し自慢したい気持ちも分かるけれど、言ってもよいものか考えどころではあるけれど、エルーサが言っても大丈夫だと思っている。と、いうことなのでしょうね。
私は一応、閣下に視線を送ると、少し困った風な顔をしつつも小さく頷いた。
「他の方々も気にはなっているけれど、なかなか口に出すというのは難しい事も多くあると思います。ここは我々しかおりませんので良いということに致しましょう。ただし、ここでの事は口外無用に願います。もし、漏らしたら――まぁ、分かりますよね?」
と、一応念押しと最大限お母様譲りの微笑みで圧を掛ける。そして、私は空間収納から幾つか食べ物を取り出して、再び収納する。パッと見は手品みたいな感じよね。
「空間収納という魔道具を幾つかを私やエルーサは所持しているのです。特殊な空間は時間停止の機能も有しているので、食べ物などの保存にも有用ですから、魔導洞窟や戦場に持っていくと便利でしょ?」
私はにこやかにそう言うが、すぐにロベルト様が難しい表情を浮かべる。
「失礼しますエステリア様。エルーサ殿が武器を出していたのもソレですよね」
「そうね。気が付いても口にしてはいけないわ。後は分かるでしょう?」
多分だが、武器などを持って入れない場所に武器を隠して持ち込めるなど、実のところ結構な問題がある。まぁ、そこも実はある程度は解決する方法はあるんだけど、それをすると今度は別の問題があるので、どういう条件付けをするかは女王キャロラインやお母様が決める事なので、私からどうこう言う気は現状は無い。
「ともかくですが、我が屋では閣下の扱う魔銃など様々な魔道具を新たに研究、製作を行っているのですが多くは機密情報ばかりですから、見たとしても、知ってしまったとしても他言無用――口外禁止です」
「なるほどですわ。しかし、それらの魔道具は新たに造られた物で【失われし遺産】では無いのですね」
と、ファウィラ様は目を輝かせた。魔導師でも特に古い家系の人達は魔法や魔術に関しての興味は異常性があると聞いたことがあるけれど、こういう感じなのかもしれない。彼女の視線はどこか妙に熱を孕んでいるように見えた。まぁ、何かあれば閣下が対応してくれるでしょうから、放置しておきましょう。
「で、これからの予定の話をしたいと思うのですが、皆様よろしくて?」
そう言って私は次の予定について話始めるのでした。
まぁ、ドヤる気持ちも分からなくもないんだけどね。因みに何をドヤっているかというと、野営地の設置において、テーブルセット含め、並べられた料理達である。
「皆様、席に着いてくださいませ」
落ち着いた雰囲気を装っているエルーサが静かにそう言った。私と閣下は既に着席済みである。と、いうか閣下も随分慣れてきましたね。他の皆はよく分からない状況に困惑している様子。
一番初めに席に着いたのはメイスを装備した女性だ。えっと、パルパスフィ騎士爵のファウィラさんだっけか。思ったより図太い感じの性格をしている人なのかもしれないわね。彼女の様子を見てティラと呼ばれたユーデリー騎士爵のご令嬢でルーティラさんも席に着く。
一人呆然と立っている辺境伯領第三騎士団長のロベルト・ヒッテンハイム様は皆が席に着いた事で我を取り戻した彼は閣下に同席しても問題無いか確認を取った。
「あら? 誰も気にしませんわよ。ねぇ? クーベルト辺境伯様」
「そうだロディ。エステリア嬢もそう言っているのだ、さっさと座るがよい」
「は、はぁ……」
と、ロベルト様も席に座る。
「エルーサも席に着きなさい」
「え? 私もですか?」
「ええ、ちゃんと私の隣に席があるでしょ? 皆に同席させたのだから、貴女も同様ですよ」
私の言葉に少し考えてから、エルーサも席に着く。因みに現在のメンバーからすれば、家格的に閣下の配下達より上なのだから、そんな娘を立たせておくわけにはいかないでしょう。
「では、皆様いただきましょうか」
そう言って食事を始める。今回は我が家謹製のオムライスと温野菜のサラダ、デザートはプリンと焼き菓子。お茶は紅茶と緑茶の二種類から。そして、私が一口だけ先に食べ、皆に食事を促すと閣下がフォークを使ってサラダを食べ始める。
「あの、どこから何を言えば良いのか全く困ってしまいますが、こちらの食事やテーブル、椅子も含めですが、何もない空間から取り出していたように見えたのですが……」
「さすがパルパスフィ家の方ですね。優秀な魔導師を多く輩出している家ですし、魔法や魔術に関する事はとても気になると思います。お嬢様からご説明願えますか?」
と、エルーサが言った。少し自慢したい気持ちも分かるけれど、言ってもよいものか考えどころではあるけれど、エルーサが言っても大丈夫だと思っている。と、いうことなのでしょうね。
私は一応、閣下に視線を送ると、少し困った風な顔をしつつも小さく頷いた。
「他の方々も気にはなっているけれど、なかなか口に出すというのは難しい事も多くあると思います。ここは我々しかおりませんので良いということに致しましょう。ただし、ここでの事は口外無用に願います。もし、漏らしたら――まぁ、分かりますよね?」
と、一応念押しと最大限お母様譲りの微笑みで圧を掛ける。そして、私は空間収納から幾つか食べ物を取り出して、再び収納する。パッと見は手品みたいな感じよね。
「空間収納という魔道具を幾つかを私やエルーサは所持しているのです。特殊な空間は時間停止の機能も有しているので、食べ物などの保存にも有用ですから、魔導洞窟や戦場に持っていくと便利でしょ?」
私はにこやかにそう言うが、すぐにロベルト様が難しい表情を浮かべる。
「失礼しますエステリア様。エルーサ殿が武器を出していたのもソレですよね」
「そうね。気が付いても口にしてはいけないわ。後は分かるでしょう?」
多分だが、武器などを持って入れない場所に武器を隠して持ち込めるなど、実のところ結構な問題がある。まぁ、そこも実はある程度は解決する方法はあるんだけど、それをすると今度は別の問題があるので、どういう条件付けをするかは女王キャロラインやお母様が決める事なので、私からどうこう言う気は現状は無い。
「ともかくですが、我が屋では閣下の扱う魔銃など様々な魔道具を新たに研究、製作を行っているのですが多くは機密情報ばかりですから、見たとしても、知ってしまったとしても他言無用――口外禁止です」
「なるほどですわ。しかし、それらの魔道具は新たに造られた物で【失われし遺産】では無いのですね」
と、ファウィラ様は目を輝かせた。魔導師でも特に古い家系の人達は魔法や魔術に関しての興味は異常性があると聞いたことがあるけれど、こういう感じなのかもしれない。彼女の視線はどこか妙に熱を孕んでいるように見えた。まぁ、何かあれば閣下が対応してくれるでしょうから、放置しておきましょう。
「で、これからの予定の話をしたいと思うのですが、皆様よろしくて?」
そう言って私は次の予定について話始めるのでした。
0
お気に入りに追加
61
あなたにおすすめの小説
前世軍医だった傷物令嬢は、幸せな花嫁を夢見る
花雨宮琵
恋愛
侯爵令嬢のローズは、10歳のある日、背中に刀傷を負い生死の境をさまよう。
その時に見た夢で、軍医として生き、結婚式の直前に婚約者を亡くした前世が蘇る。
何とか一命を取り留めたものの、ローズの背中には大きな傷が残った。
“傷物令嬢”として揶揄される中、ローズは早々に貴族女性として生きることを諦め、隣国の帝国医学校へ入学する。
背中の傷を理由に六回も婚約を破棄されるも、18歳で隣国の医師資格を取得。自立しようとした矢先に王命による7回目の婚約が結ばれ、帰国を余儀なくされる。
7人目となる婚約者は、弱冠25歳で東の将軍となった、ヴァンドゥール公爵家次男のフェルディナンだった。
長年行方不明の想い人がいるフェルディナンと、義務ではなく愛ある結婚を夢見るローズ。そんな二人は、期間限定の条件付き婚約関係を結ぶことに同意する。
守られるだけの存在でいたくない! と思うローズは、一人の医師として自立し、同時に、今世こそは愛する人と結ばれて幸せな家庭を築きたいと願うのであったが――。
この小説は、人生の理不尽さ・不条理さに傷つき悩みながらも、幸せを求めて奮闘する女性の物語です。
※この作品は2年前に掲載していたものを大幅に改稿したものです。
(C)Elegance 2025 All Rights Reserved.無断転載・無断翻訳を固く禁じます。
断罪イベント返しなんぞされてたまるか。私は普通に生きたいんだ邪魔するな!!
柊
ファンタジー
「ミレイユ・ギルマン!」
ミレヴン国立宮廷学校卒業記念の夜会にて、突如叫んだのは第一王子であるセルジオ・ライナルディ。
「お前のような性悪な女を王妃には出来ない! よって今日ここで私は公爵令嬢ミレイユ・ギルマンとの婚約を破棄し、男爵令嬢アンナ・ラブレと婚姻する!!」
そう宣言されたミレイユ・ギルマンは冷静に「さようでございますか。ですが、『性悪な』というのはどういうことでしょうか?」と返す。それに反論するセルジオ。彼に肩を抱かれている渦中の男爵令嬢アンナ・ラブレは思った。
(やっべえ。これ前世の投稿サイトで何万回も見た展開だ!)と。
※pixiv、カクヨム、小説家になろうにも同じものを投稿しています。
誰からも愛されない悪役令嬢に転生したので、自由気ままに生きていきたいと思います。
木山楽斗
恋愛
乙女ゲームの悪役令嬢であるエルファリナに転生した私は、彼女のその境遇に対して深い悲しみを覚えていた。
彼女は、家族からも婚約者からも愛されていない。それどころか、その存在を疎まれているのだ。
こんな環境なら歪んでも仕方ない。そう思う程に、彼女の境遇は悲惨だったのである。
だが、彼女のように歪んでしまえば、ゲームと同じように罪を暴かれて牢屋に行くだけだ。
そのため、私は心を強く持つしかなかった。悲惨な結末を迎えないためにも、どんなに不当な扱いをされても、耐え抜くしかなかったのである。
そんな私に、解放される日がやって来た。
それは、ゲームの始まりである魔法学園入学の日だ。
全寮制の学園には、歪な家族は存在しない。
私は、自由を得たのである。
その自由を謳歌しながら、私は思っていた。
悲惨な境遇から必ず抜け出し、自由気ままに生きるのだと。
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。
アホ王子が王宮の中心で婚約破棄を叫ぶ! ~もう取り消しできませんよ?断罪させて頂きます!!
アキヨシ
ファンタジー
貴族学院の卒業パーティが開かれた王宮の大広間に、今、第二王子の大声が響いた。
「マリアージェ・レネ=リズボーン! 性悪なおまえとの婚約をこの場で破棄する!」
王子の傍らには小動物系の可愛らしい男爵令嬢が纏わりついていた。……なんてテンプレ。
背後に控える愚か者どもと合わせて『四馬鹿次男ズwithビッチ』が、意気揚々と筆頭公爵家令嬢たるわたしを断罪するという。
受け立ってやろうじゃない。すべては予定調和の茶番劇。断罪返しだ!
そしてこの舞台裏では、王位簒奪を企てた派閥の粛清の嵐が吹き荒れていた!
すべての真相を知ったと思ったら……えっ、お兄様、なんでそんなに近いかな!?
※設定はゆるいです。暖かい目でお読みください。
※主人公の心の声は罵詈雑言、口が悪いです。気分を害した方は申し訳ありませんがブラウザバックで。
※小説家になろう・カクヨム様にも投稿しています。
『悪役』のイメージが違うことで起きた悲しい事故
ラララキヲ
ファンタジー
ある男爵が手を出していたメイドが密かに娘を産んでいた。それを知った男爵は平民として生きていた娘を探し出して養子とした。
娘の名前はルーニー。
とても可愛い外見をしていた。
彼女は人を惹き付ける特別な外見をしていたが、特別なのはそれだけではなかった。
彼女は前世の記憶を持っていたのだ。
そして彼女はこの世界が前世で遊んだ乙女ゲームが舞台なのだと気付く。
格好良い攻略対象たちに意地悪な悪役令嬢。
しかしその悪役令嬢がどうもおかしい。何もしてこないどころか性格さえも設定と違うようだ。
乙女ゲームのヒロインであるルーニーは腹を立てた。
“悪役令嬢が悪役をちゃんとしないからゲームのストーリーが進まないじゃない!”と。
怒ったルーニーは悪役令嬢を責める。
そして物語は動き出した…………──
※!!※細かい描写などはありませんが女性が酷い目に遭った展開となるので嫌な方はお気をつけ下さい。
※!!※『子供が絵本のシンデレラ読んでと頼んだらヤバイ方のシンデレラを読まれた』みたいな話です。
◇テンプレ乙女ゲームの世界。
◇ふんわり世界観。ゆるふわ設定。
◇ご都合展開。矛盾もあるかも。
◇なろうにも上げる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる