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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
152.悪役令嬢は魔導洞窟の中層で食事会をする
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第一級魔導洞窟『アンダンテール大洞窟』の中層にて、私の専属メイドである少女エルーサは落ち着いた雰囲気を装ってはいるけれど、確実にドヤ顔をしているように私には見えた。
まぁ、ドヤる気持ちも分からなくもないんだけどね。因みに何をドヤっているかというと、野営地の設置において、テーブルセット含め、並べられた料理達である。
「皆様、席に着いてくださいませ」
落ち着いた雰囲気を装っているエルーサが静かにそう言った。私と閣下は既に着席済みである。と、いうか閣下も随分慣れてきましたね。他の皆はよく分からない状況に困惑している様子。
一番初めに席に着いたのはメイスを装備した女性だ。えっと、パルパスフィ騎士爵のファウィラさんだっけか。思ったより図太い感じの性格をしている人なのかもしれないわね。彼女の様子を見てティラと呼ばれたユーデリー騎士爵のご令嬢でルーティラさんも席に着く。
一人呆然と立っている辺境伯領第三騎士団長のロベルト・ヒッテンハイム様は皆が席に着いた事で我を取り戻した彼は閣下に同席しても問題無いか確認を取った。
「あら? 誰も気にしませんわよ。ねぇ? クーベルト辺境伯様」
「そうだロディ。エステリア嬢もそう言っているのだ、さっさと座るがよい」
「は、はぁ……」
と、ロベルト様も席に座る。
「エルーサも席に着きなさい」
「え? 私もですか?」
「ええ、ちゃんと私の隣に席があるでしょ? 皆に同席させたのだから、貴女も同様ですよ」
私の言葉に少し考えてから、エルーサも席に着く。因みに現在のメンバーからすれば、家格的に閣下の配下達より上なのだから、そんな娘を立たせておくわけにはいかないでしょう。
「では、皆様いただきましょうか」
そう言って食事を始める。今回は我が家謹製のオムライスと温野菜のサラダ、デザートはプリンと焼き菓子。お茶は紅茶と緑茶の二種類から。そして、私が一口だけ先に食べ、皆に食事を促すと閣下がフォークを使ってサラダを食べ始める。
「あの、どこから何を言えば良いのか全く困ってしまいますが、こちらの食事やテーブル、椅子も含めですが、何もない空間から取り出していたように見えたのですが……」
「さすがパルパスフィ家の方ですね。優秀な魔導師を多く輩出している家ですし、魔法や魔術に関する事はとても気になると思います。お嬢様からご説明願えますか?」
と、エルーサが言った。少し自慢したい気持ちも分かるけれど、言ってもよいものか考えどころではあるけれど、エルーサが言っても大丈夫だと思っている。と、いうことなのでしょうね。
私は一応、閣下に視線を送ると、少し困った風な顔をしつつも小さく頷いた。
「他の方々も気にはなっているけれど、なかなか口に出すというのは難しい事も多くあると思います。ここは我々しかおりませんので良いということに致しましょう。ただし、ここでの事は口外無用に願います。もし、漏らしたら――まぁ、分かりますよね?」
と、一応念押しと最大限お母様譲りの微笑みで圧を掛ける。そして、私は空間収納から幾つか食べ物を取り出して、再び収納する。パッと見は手品みたいな感じよね。
「空間収納という魔道具を幾つかを私やエルーサは所持しているのです。特殊な空間は時間停止の機能も有しているので、食べ物などの保存にも有用ですから、魔導洞窟や戦場に持っていくと便利でしょ?」
私はにこやかにそう言うが、すぐにロベルト様が難しい表情を浮かべる。
「失礼しますエステリア様。エルーサ殿が武器を出していたのもソレですよね」
「そうね。気が付いても口にしてはいけないわ。後は分かるでしょう?」
多分だが、武器などを持って入れない場所に武器を隠して持ち込めるなど、実のところ結構な問題がある。まぁ、そこも実はある程度は解決する方法はあるんだけど、それをすると今度は別の問題があるので、どういう条件付けをするかは女王キャロラインやお母様が決める事なので、私からどうこう言う気は現状は無い。
「ともかくですが、我が屋では閣下の扱う魔銃など様々な魔道具を新たに研究、製作を行っているのですが多くは機密情報ばかりですから、見たとしても、知ってしまったとしても他言無用――口外禁止です」
「なるほどですわ。しかし、それらの魔道具は新たに造られた物で【失われし遺産】では無いのですね」
と、ファウィラ様は目を輝かせた。魔導師でも特に古い家系の人達は魔法や魔術に関しての興味は異常性があると聞いたことがあるけれど、こういう感じなのかもしれない。彼女の視線はどこか妙に熱を孕んでいるように見えた。まぁ、何かあれば閣下が対応してくれるでしょうから、放置しておきましょう。
「で、これからの予定の話をしたいと思うのですが、皆様よろしくて?」
そう言って私は次の予定について話始めるのでした。
まぁ、ドヤる気持ちも分からなくもないんだけどね。因みに何をドヤっているかというと、野営地の設置において、テーブルセット含め、並べられた料理達である。
「皆様、席に着いてくださいませ」
落ち着いた雰囲気を装っているエルーサが静かにそう言った。私と閣下は既に着席済みである。と、いうか閣下も随分慣れてきましたね。他の皆はよく分からない状況に困惑している様子。
一番初めに席に着いたのはメイスを装備した女性だ。えっと、パルパスフィ騎士爵のファウィラさんだっけか。思ったより図太い感じの性格をしている人なのかもしれないわね。彼女の様子を見てティラと呼ばれたユーデリー騎士爵のご令嬢でルーティラさんも席に着く。
一人呆然と立っている辺境伯領第三騎士団長のロベルト・ヒッテンハイム様は皆が席に着いた事で我を取り戻した彼は閣下に同席しても問題無いか確認を取った。
「あら? 誰も気にしませんわよ。ねぇ? クーベルト辺境伯様」
「そうだロディ。エステリア嬢もそう言っているのだ、さっさと座るがよい」
「は、はぁ……」
と、ロベルト様も席に座る。
「エルーサも席に着きなさい」
「え? 私もですか?」
「ええ、ちゃんと私の隣に席があるでしょ? 皆に同席させたのだから、貴女も同様ですよ」
私の言葉に少し考えてから、エルーサも席に着く。因みに現在のメンバーからすれば、家格的に閣下の配下達より上なのだから、そんな娘を立たせておくわけにはいかないでしょう。
「では、皆様いただきましょうか」
そう言って食事を始める。今回は我が家謹製のオムライスと温野菜のサラダ、デザートはプリンと焼き菓子。お茶は紅茶と緑茶の二種類から。そして、私が一口だけ先に食べ、皆に食事を促すと閣下がフォークを使ってサラダを食べ始める。
「あの、どこから何を言えば良いのか全く困ってしまいますが、こちらの食事やテーブル、椅子も含めですが、何もない空間から取り出していたように見えたのですが……」
「さすがパルパスフィ家の方ですね。優秀な魔導師を多く輩出している家ですし、魔法や魔術に関する事はとても気になると思います。お嬢様からご説明願えますか?」
と、エルーサが言った。少し自慢したい気持ちも分かるけれど、言ってもよいものか考えどころではあるけれど、エルーサが言っても大丈夫だと思っている。と、いうことなのでしょうね。
私は一応、閣下に視線を送ると、少し困った風な顔をしつつも小さく頷いた。
「他の方々も気にはなっているけれど、なかなか口に出すというのは難しい事も多くあると思います。ここは我々しかおりませんので良いということに致しましょう。ただし、ここでの事は口外無用に願います。もし、漏らしたら――まぁ、分かりますよね?」
と、一応念押しと最大限お母様譲りの微笑みで圧を掛ける。そして、私は空間収納から幾つか食べ物を取り出して、再び収納する。パッと見は手品みたいな感じよね。
「空間収納という魔道具を幾つかを私やエルーサは所持しているのです。特殊な空間は時間停止の機能も有しているので、食べ物などの保存にも有用ですから、魔導洞窟や戦場に持っていくと便利でしょ?」
私はにこやかにそう言うが、すぐにロベルト様が難しい表情を浮かべる。
「失礼しますエステリア様。エルーサ殿が武器を出していたのもソレですよね」
「そうね。気が付いても口にしてはいけないわ。後は分かるでしょう?」
多分だが、武器などを持って入れない場所に武器を隠して持ち込めるなど、実のところ結構な問題がある。まぁ、そこも実はある程度は解決する方法はあるんだけど、それをすると今度は別の問題があるので、どういう条件付けをするかは女王キャロラインやお母様が決める事なので、私からどうこう言う気は現状は無い。
「ともかくですが、我が屋では閣下の扱う魔銃など様々な魔道具を新たに研究、製作を行っているのですが多くは機密情報ばかりですから、見たとしても、知ってしまったとしても他言無用――口外禁止です」
「なるほどですわ。しかし、それらの魔道具は新たに造られた物で【失われし遺産】では無いのですね」
と、ファウィラ様は目を輝かせた。魔導師でも特に古い家系の人達は魔法や魔術に関しての興味は異常性があると聞いたことがあるけれど、こういう感じなのかもしれない。彼女の視線はどこか妙に熱を孕んでいるように見えた。まぁ、何かあれば閣下が対応してくれるでしょうから、放置しておきましょう。
「で、これからの予定の話をしたいと思うのですが、皆様よろしくて?」
そう言って私は次の予定について話始めるのでした。
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