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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
125.悪役令嬢は魔導洞窟で大盤振る舞いする
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空間収納から取り出した、一対の片刃の剣をウィンディに手渡す。彼女は少しポカンとした表情でそれを持つ。
「可変機構が入っていない、剣だけのタイプも実は造ってあったのよ。これは弾丸は使用しない造りなんだけど、魔術の記憶部分はそのままになっているわ。当然、銃として使えないけど使い方次第になるけど、記憶した魔術を簡単に魔力を通すだけで使えるから、やり方次第では色々な事が出来ると思うのよね」
「魔法での刃では無いんですね」
「一応、刀身は魔白金で出来てるから、魔剣扱いにはなると思う。強度に関しては一級品と言って問題無いから」
属性剣みたいな使い方とか面白いと思うんだよね。他にも毒とか相手を傷つけるだけで高効果の魔術とかを仕込んで攻撃に魔力を乗せて斬れば自動発動なんかも出来そうなのよね。
「とりあえず、使ってみます……うーん、握った感は大きは変わらないですけど、やっぱり重さが随分と変わりますね」
「無駄なパーツが無い分、そっちの方が軽いからね。で、アリエルなんだけど。アリエルはウィンディに比べて魔法も得意だけど、両手に可変式の魔銃を持つより、片手は剣、片手は魔銃のクーベルト閣下みたいなスタイルの方が向いていると思うのよね」
そう私がいうとアリエルは微妙な表情をした。
「やっぱり――そうなる?」
どうやら多少は思っていたらしい事で、両手に魔銃は臨機応変で考えると悪くは無いんだけど、やっぱり直接戦闘を考えた時に武器強度に不安があるのは問題だと思う。
「もう一つの提案だと、空間収納の使い方を工夫する方法ね」
これは私やお母様、エルーサなんかが得意とする方法だけど、適切な武器に素早く変更する手段として空間収納を使う方法だ。訓練はそれなりに必要になるけど、特に魔法が得意なアリエルは絶対に出来ると思う。と、アリエルに伝えた上で私は幾度か武器の持ち変えを空間収納を使って見せる。
「で、あれば魔銃、剣、魔導剣なんかも持ち替えで切り替えれるってことか……」
「そうよ。アリエルには魔導剣より、キチンとした魔剣の方がいいとは思うけどね――一応、今回ご提案する商品はコチラ!」
と、空間収納から一振りの剣を出す。これも魔白金を基本的に使った剣で魔道具として……ううん、杖としての機能を持った魔剣になる。
「思ってるよりシンプルな剣ね――」
アリエルはそう言いながら、手にした剣を持って立ち上がり二、三度軽く振るう。すると、妙な感じがしたのか、彼女は首を傾げる。
「ねぇ、これなに?」
「ふふーん、そう言いたくなるでしょう?」
「ってか、なんでこんなに軽いのよ、コレ。それに魔力が異常に通る感じがするんだけど――」
「さすがアリエル。よく分かったわねぇ、幾つかの名匠が打った魔剣を参考に造った一振りなんだけど、現状、まっさらな魔剣なの。機能としては魔術の記憶と魔力の増幅器ね。柄部分に大概の機能を入れてあるから、剣だけの力で言えば名だたる魔剣と同等クラスの魔力伝導率を持った凄く硬い剣ってところね」
ちなみに魔力伝導率の高い剣は魔力を通すだけで切れ味が上がったり、強度が増したりする。これは魔法を使用して切れ味や硬さを上げるのと同等の事をしていると考えた。逆に使い手がこうしたい――を叶えるには、真っ白で且つ機能として色々と出来る剣にすることで、汎用性が上がるのではないかという実験で作った剣だ。
「たとえば、魔術の記憶部分に超加熱を記憶して、魔力を通しながら斬る事で超加熱の効果を持った剣に出来る――みたいな、剣なんだけど。記憶部分は今後調整がいるとは思うけど、いまのところは6つ。そこも即座に記憶、発動って出来るようになるのには訓練が必要になると思う」
「なるほど――とりあえず、エステリアの言う事を聞いてみるかぁ……」
アリエルはそう言って、剣を空間収納へ仕舞った。
「で、最後にナスターシアね。元々持っている魔剣もかなり良い物だとは思うけど、残念ながら負荷が大きすぎて、気が付いたら壊れる――なんて事になるのは確実よ」
「は、はい――」
「なので、今回用意したのは~、こちら!!!」
と、私は両手剣を一振り取り出した。実は彼女の戦い方を見て思っていたのだ。少し、剣が短いのではないか――と、彼女が使っている魔剣は普通のロングソードと同じくらいの長さの剣だ。彼女のスタンスは前衛のタンク兼アタッカーだ。ったく、本当にアリエルを支えるって感じの戦闘スタイルなんだから。
「両手剣――ですか?」
「そうでーす。これも魔剣にあたるけど、強度自慢の両手剣になるわ。後、ナスターシアも状況に合わせて武器を変える練習もしなさい。護衛対象を守るべきが出来ない時なんて、マズいでしょ?」
「全く、仰る通りです。で、ですが……こちら、私なんかが頂いてよろしいのですか?」
「いいのよ。これも実験用で造った武器だから。まぁ、他にも変な武器を色々と用意はしてあったんだけど、誰も戦闘スタイルと合わなそうだったし」
因みに私とエルーサは武器から色々と共通で使えるようにしてある。これは敢えて言う必要もないから黙っているけど。
「にしても、エステリア。魔剣ってすっごく貴重な物だと思っているのだけど……」
「だから、整備だって予備の武器だってキチンと用意してあるわけじゃない?」
「予備の武器も魔剣って意味が分からないんだけど?」
そんな事を言われても知らん! そもそも、魔剣の定義は魔白金を使った武器であって、色々と魔法や魔術的な機能を持った武器を魔剣とは言わないんだよね。たぶん、神剣になる可能性も高いんだけど、これは言わない。色々と後が面倒そうだから。
「可変機構が入っていない、剣だけのタイプも実は造ってあったのよ。これは弾丸は使用しない造りなんだけど、魔術の記憶部分はそのままになっているわ。当然、銃として使えないけど使い方次第になるけど、記憶した魔術を簡単に魔力を通すだけで使えるから、やり方次第では色々な事が出来ると思うのよね」
「魔法での刃では無いんですね」
「一応、刀身は魔白金で出来てるから、魔剣扱いにはなると思う。強度に関しては一級品と言って問題無いから」
属性剣みたいな使い方とか面白いと思うんだよね。他にも毒とか相手を傷つけるだけで高効果の魔術とかを仕込んで攻撃に魔力を乗せて斬れば自動発動なんかも出来そうなのよね。
「とりあえず、使ってみます……うーん、握った感は大きは変わらないですけど、やっぱり重さが随分と変わりますね」
「無駄なパーツが無い分、そっちの方が軽いからね。で、アリエルなんだけど。アリエルはウィンディに比べて魔法も得意だけど、両手に可変式の魔銃を持つより、片手は剣、片手は魔銃のクーベルト閣下みたいなスタイルの方が向いていると思うのよね」
そう私がいうとアリエルは微妙な表情をした。
「やっぱり――そうなる?」
どうやら多少は思っていたらしい事で、両手に魔銃は臨機応変で考えると悪くは無いんだけど、やっぱり直接戦闘を考えた時に武器強度に不安があるのは問題だと思う。
「もう一つの提案だと、空間収納の使い方を工夫する方法ね」
これは私やお母様、エルーサなんかが得意とする方法だけど、適切な武器に素早く変更する手段として空間収納を使う方法だ。訓練はそれなりに必要になるけど、特に魔法が得意なアリエルは絶対に出来ると思う。と、アリエルに伝えた上で私は幾度か武器の持ち変えを空間収納を使って見せる。
「で、あれば魔銃、剣、魔導剣なんかも持ち替えで切り替えれるってことか……」
「そうよ。アリエルには魔導剣より、キチンとした魔剣の方がいいとは思うけどね――一応、今回ご提案する商品はコチラ!」
と、空間収納から一振りの剣を出す。これも魔白金を基本的に使った剣で魔道具として……ううん、杖としての機能を持った魔剣になる。
「思ってるよりシンプルな剣ね――」
アリエルはそう言いながら、手にした剣を持って立ち上がり二、三度軽く振るう。すると、妙な感じがしたのか、彼女は首を傾げる。
「ねぇ、これなに?」
「ふふーん、そう言いたくなるでしょう?」
「ってか、なんでこんなに軽いのよ、コレ。それに魔力が異常に通る感じがするんだけど――」
「さすがアリエル。よく分かったわねぇ、幾つかの名匠が打った魔剣を参考に造った一振りなんだけど、現状、まっさらな魔剣なの。機能としては魔術の記憶と魔力の増幅器ね。柄部分に大概の機能を入れてあるから、剣だけの力で言えば名だたる魔剣と同等クラスの魔力伝導率を持った凄く硬い剣ってところね」
ちなみに魔力伝導率の高い剣は魔力を通すだけで切れ味が上がったり、強度が増したりする。これは魔法を使用して切れ味や硬さを上げるのと同等の事をしていると考えた。逆に使い手がこうしたい――を叶えるには、真っ白で且つ機能として色々と出来る剣にすることで、汎用性が上がるのではないかという実験で作った剣だ。
「たとえば、魔術の記憶部分に超加熱を記憶して、魔力を通しながら斬る事で超加熱の効果を持った剣に出来る――みたいな、剣なんだけど。記憶部分は今後調整がいるとは思うけど、いまのところは6つ。そこも即座に記憶、発動って出来るようになるのには訓練が必要になると思う」
「なるほど――とりあえず、エステリアの言う事を聞いてみるかぁ……」
アリエルはそう言って、剣を空間収納へ仕舞った。
「で、最後にナスターシアね。元々持っている魔剣もかなり良い物だとは思うけど、残念ながら負荷が大きすぎて、気が付いたら壊れる――なんて事になるのは確実よ」
「は、はい――」
「なので、今回用意したのは~、こちら!!!」
と、私は両手剣を一振り取り出した。実は彼女の戦い方を見て思っていたのだ。少し、剣が短いのではないか――と、彼女が使っている魔剣は普通のロングソードと同じくらいの長さの剣だ。彼女のスタンスは前衛のタンク兼アタッカーだ。ったく、本当にアリエルを支えるって感じの戦闘スタイルなんだから。
「両手剣――ですか?」
「そうでーす。これも魔剣にあたるけど、強度自慢の両手剣になるわ。後、ナスターシアも状況に合わせて武器を変える練習もしなさい。護衛対象を守るべきが出来ない時なんて、マズいでしょ?」
「全く、仰る通りです。で、ですが……こちら、私なんかが頂いてよろしいのですか?」
「いいのよ。これも実験用で造った武器だから。まぁ、他にも変な武器を色々と用意はしてあったんだけど、誰も戦闘スタイルと合わなそうだったし」
因みに私とエルーサは武器から色々と共通で使えるようにしてある。これは敢えて言う必要もないから黙っているけど。
「にしても、エステリア。魔剣ってすっごく貴重な物だと思っているのだけど……」
「だから、整備だって予備の武器だってキチンと用意してあるわけじゃない?」
「予備の武器も魔剣って意味が分からないんだけど?」
そんな事を言われても知らん! そもそも、魔剣の定義は魔白金を使った武器であって、色々と魔法や魔術的な機能を持った武器を魔剣とは言わないんだよね。たぶん、神剣になる可能性も高いんだけど、これは言わない。色々と後が面倒そうだから。
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