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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る

123.悪役令嬢は魔導洞窟へ向かう

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 冒険者ギルドを後にする際、リーニアンの街の冒険者ギルド長ザクス・バークレーは申し訳なそうに「出来るだけ、問題が起きないよう……」と、言っていた。けれども、別に私達が悪いわけでは無いパターンに関しては相手が悪いとしか言えない。

 一応、エルーサとナスターシアが立ち去る時にかなりの圧を放って、冒険者ギルドと併設の酒場から受付フロアにいた冒険者達を震え上がらせていた。

 かくして、私達はリーニアンの街を出発して魔導洞窟ダンジョン『アンダンテール大洞窟』へ向かった。

 街からは徒歩で約一時間ほどの山の麓に洞窟の入口があり、そこには村と町の間くらいの規模の集落が出来上がっており、冒険者ギルドの支部もある。ちなみにこちらの冒険者ギルド支部では『アンダンテール大洞窟』の入場管理くらいしかやっておらず、受付や依頼受領などのギルド業務は一切受け付けてはくれないらしい。

「なんだか、もっと人が沢山いるかと思ったけど――そうでもないのね」

 これが私の第一印象だ。しかし、皆はそうは思っていなかったようで、サラッとアリエルに反論された。

「リア。一級魔導洞窟ダンジョンだぞ? そもそも【鋼】以上でないと下層さえ、入れないんだから、これでも人が多いくらいだと思う。『バーレモントの大穴』みたいな観光名所ってわけでもない魔導洞窟ダンジョンだしね」

 なるほど。と、思いつつ【鋼】クラスの冒険者なんて腐るほどいると思うのだけど……とも、思うのだが、どうやら私の考えはズレているのかもしれない。

「んー、お忍びと言えども我が家の者や王家が動いてる?」
「その可能性は無くはないけど、それならもっと周囲に人間が増えない?」
「それも、確かに……【鋼】の冒険者とかもっと沢山いると思ったけど、そうでもないの?」

 私は納得いかなかったので、直球を投げてみた。それに返事をしたのはナスターシアだった。

「どうだでしょうか。私が把握している感じで言えば、最も人数が多いのは【銅】です。これは冒険者として登録だけしている者も多い為ではありますが、次に【鉄】が多い。【鉄】までは冒険者として簡単に位を上げれる事ですが、【鉄】から【鋼】になれるのは内三割といった具合です」
「なるほど。でも三割でも、結構な人数が存在すると思うんだけど?」
「そうですね。人数としては結構いると思います。しかし、一級魔導洞窟ダンジョンに潜ろうと思えば、上層でも最低で【鋼】でも大人数で徒党を組まねば難しいと考えられておりますので、実際【銀】以上でなければ来れない――と、考えるのが良いと思います」

 あー、生き残る事を考えると、想定ランクより上で安全マージンを取っておかないといけないって感じの場所なのか。なるほどだわ。

「なるほど理解したわ。ありがとう、シア」
「いいえ、お役に立てたのであれば……」

 と、少し照れた風に視線をそらすナスターシア。うん、良いツンデレね。

「では、そろそろ向かいたいと思います。今回はお嬢様方たっての希望である中層を目指しますので、出来るだけ上層に時間を掛けずに突破したいと思いますので――ついて来てください」

 エルーサはそう静かに行って、歩き始める。当然、私達も準備万端なので後ろを付いていく。魔導洞窟ダンジョンの入口になっている箇所には門兵が複数おり、冒険者の登録と、ランクを魔道具でチェックを受け、問題無しということで、洞窟内に向かう。

 『アンダンテール大洞窟』が難度が高い理由は狭い空間と多くの種類と、湧き量が豊富な魔物のおかげだ。上層においては魔物の数が多いだけで、魔物自体はそこまで強くない事は分かっているので、私達はともかく目の前にいる敵を殲滅しながら、ズンズンと先へ進んだ。
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