123 / 168
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
123.悪役令嬢は魔導洞窟へ向かう
しおりを挟む
冒険者ギルドを後にする際、リーニアンの街の冒険者ギルド長ザクス・バークレーは申し訳なそうに「出来るだけ、問題が起きないよう……」と、言っていた。けれども、別に私達が悪いわけでは無いパターンに関しては相手が悪いとしか言えない。
一応、エルーサとナスターシアが立ち去る時にかなりの圧を放って、冒険者ギルドと併設の酒場から受付フロアにいた冒険者達を震え上がらせていた。
かくして、私達はリーニアンの街を出発して魔導洞窟『アンダンテール大洞窟』へ向かった。
街からは徒歩で約一時間ほどの山の麓に洞窟の入口があり、そこには村と町の間くらいの規模の集落が出来上がっており、冒険者ギルドの支部もある。ちなみにこちらの冒険者ギルド支部では『アンダンテール大洞窟』の入場管理くらいしかやっておらず、受付や依頼受領などのギルド業務は一切受け付けてはくれないらしい。
「なんだか、もっと人が沢山いるかと思ったけど――そうでもないのね」
これが私の第一印象だ。しかし、皆はそうは思っていなかったようで、サラッとアリエルに反論された。
「リア。一級魔導洞窟だぞ? そもそも【鋼】以上でないと下層さえ、入れないんだから、これでも人が多いくらいだと思う。『バーレモントの大穴』みたいな観光名所ってわけでもない魔導洞窟だしね」
なるほど。と、思いつつ【鋼】クラスの冒険者なんて腐るほどいると思うのだけど……とも、思うのだが、どうやら私の考えはズレているのかもしれない。
「んー、お忍びと言えども我が家の者や王家が動いてる?」
「その可能性は無くはないけど、それならもっと周囲に人間が増えない?」
「それも、確かに……【鋼】の冒険者とかもっと沢山いると思ったけど、そうでもないの?」
私は納得いかなかったので、直球を投げてみた。それに返事をしたのはナスターシアだった。
「どうだでしょうか。私が把握している感じで言えば、最も人数が多いのは【銅】です。これは冒険者として登録だけしている者も多い為ではありますが、次に【鉄】が多い。【鉄】までは冒険者として簡単に位を上げれる事ですが、【鉄】から【鋼】になれるのは内三割といった具合です」
「なるほど。でも三割でも、結構な人数が存在すると思うんだけど?」
「そうですね。人数としては結構いると思います。しかし、一級魔導洞窟に潜ろうと思えば、上層でも最低で【鋼】でも大人数で徒党を組まねば難しいと考えられておりますので、実際【銀】以上でなければ来れない――と、考えるのが良いと思います」
あー、生き残る事を考えると、想定ランクより上で安全マージンを取っておかないといけないって感じの場所なのか。なるほどだわ。
「なるほど理解したわ。ありがとう、シア」
「いいえ、お役に立てたのであれば……」
と、少し照れた風に視線をそらすナスターシア。うん、良いツンデレね。
「では、そろそろ向かいたいと思います。今回はお嬢様方たっての希望である中層を目指しますので、出来るだけ上層に時間を掛けずに突破したいと思いますので――ついて来てください」
エルーサはそう静かに行って、歩き始める。当然、私達も準備万端なので後ろを付いていく。魔導洞窟の入口になっている箇所には門兵が複数おり、冒険者の登録と、ランクを魔道具でチェックを受け、問題無しということで、洞窟内に向かう。
『アンダンテール大洞窟』が難度が高い理由は狭い空間と多くの種類と、湧き量が豊富な魔物のおかげだ。上層においては魔物の数が多いだけで、魔物自体はそこまで強くない事は分かっているので、私達はともかく目の前にいる敵を殲滅しながら、ズンズンと先へ進んだ。
一応、エルーサとナスターシアが立ち去る時にかなりの圧を放って、冒険者ギルドと併設の酒場から受付フロアにいた冒険者達を震え上がらせていた。
かくして、私達はリーニアンの街を出発して魔導洞窟『アンダンテール大洞窟』へ向かった。
街からは徒歩で約一時間ほどの山の麓に洞窟の入口があり、そこには村と町の間くらいの規模の集落が出来上がっており、冒険者ギルドの支部もある。ちなみにこちらの冒険者ギルド支部では『アンダンテール大洞窟』の入場管理くらいしかやっておらず、受付や依頼受領などのギルド業務は一切受け付けてはくれないらしい。
「なんだか、もっと人が沢山いるかと思ったけど――そうでもないのね」
これが私の第一印象だ。しかし、皆はそうは思っていなかったようで、サラッとアリエルに反論された。
「リア。一級魔導洞窟だぞ? そもそも【鋼】以上でないと下層さえ、入れないんだから、これでも人が多いくらいだと思う。『バーレモントの大穴』みたいな観光名所ってわけでもない魔導洞窟だしね」
なるほど。と、思いつつ【鋼】クラスの冒険者なんて腐るほどいると思うのだけど……とも、思うのだが、どうやら私の考えはズレているのかもしれない。
「んー、お忍びと言えども我が家の者や王家が動いてる?」
「その可能性は無くはないけど、それならもっと周囲に人間が増えない?」
「それも、確かに……【鋼】の冒険者とかもっと沢山いると思ったけど、そうでもないの?」
私は納得いかなかったので、直球を投げてみた。それに返事をしたのはナスターシアだった。
「どうだでしょうか。私が把握している感じで言えば、最も人数が多いのは【銅】です。これは冒険者として登録だけしている者も多い為ではありますが、次に【鉄】が多い。【鉄】までは冒険者として簡単に位を上げれる事ですが、【鉄】から【鋼】になれるのは内三割といった具合です」
「なるほど。でも三割でも、結構な人数が存在すると思うんだけど?」
「そうですね。人数としては結構いると思います。しかし、一級魔導洞窟に潜ろうと思えば、上層でも最低で【鋼】でも大人数で徒党を組まねば難しいと考えられておりますので、実際【銀】以上でなければ来れない――と、考えるのが良いと思います」
あー、生き残る事を考えると、想定ランクより上で安全マージンを取っておかないといけないって感じの場所なのか。なるほどだわ。
「なるほど理解したわ。ありがとう、シア」
「いいえ、お役に立てたのであれば……」
と、少し照れた風に視線をそらすナスターシア。うん、良いツンデレね。
「では、そろそろ向かいたいと思います。今回はお嬢様方たっての希望である中層を目指しますので、出来るだけ上層に時間を掛けずに突破したいと思いますので――ついて来てください」
エルーサはそう静かに行って、歩き始める。当然、私達も準備万端なので後ろを付いていく。魔導洞窟の入口になっている箇所には門兵が複数おり、冒険者の登録と、ランクを魔道具でチェックを受け、問題無しということで、洞窟内に向かう。
『アンダンテール大洞窟』が難度が高い理由は狭い空間と多くの種類と、湧き量が豊富な魔物のおかげだ。上層においては魔物の数が多いだけで、魔物自体はそこまで強くない事は分かっているので、私達はともかく目の前にいる敵を殲滅しながら、ズンズンと先へ進んだ。
0
お気に入りに追加
53
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の独壇場
あくび。
ファンタジー
子爵令嬢のララリーは、学園の卒業パーティーの中心部を遠巻きに見ていた。
彼女は転生者で、この世界が乙女ゲームの舞台だということを知っている。
自分はモブ令嬢という位置づけではあるけれど、入学してからは、ゲームの記憶を掘り起こして各イベントだって散々覗き見してきた。
正直に言えば、登場人物の性格やイベントの内容がゲームと違う気がするけれど、大筋はゲームの通りに進んでいると思う。
ということは、今日はクライマックスの婚約破棄が行われるはずなのだ。
そう思って卒業パーティーの様子を傍から眺めていたのだけど。
あら?これは、何かがおかしいですね。
家族内ランクE~とある乙女ゲー悪役令嬢、市民堕ちで逃亡します~
りう
ファンタジー
「国王から、正式に婚約を破棄する旨の連絡を受けた。
ユーフェミア、お前には二つの選択肢がある。
我が領地の中で、人の通わぬ屋敷にて静かに余生を送るか、我が一族と縁を切り、平民の身に堕ちるか。
――どちらにしろ、恥を晒して生き続けることには変わりないが」
乙女ゲーの悪役令嬢に転生したユーフェミア。
「はい、では平民になります」
虐待に気づかない最低ランクに格付けの家族から、逃げ出します。
悪役令嬢なので舞台である学園に行きません!
神々廻
恋愛
ある日、前世でプレイしていた乙女ゲーに転生した事に気付いたアリサ・モニーク。この乙女ゲーは悪役令嬢にハッピーエンドはない。そして、ことあるイベント事に死んでしまう.......
だが、ここは乙女ゲーの世界だが自由に動ける!よし、学園に行かなければ婚約破棄はされても死にはしないのでは!?
全8話完結 完結保証!!
侯爵令嬢の置き土産
ひろたひかる
恋愛
侯爵令嬢マリエは婚約者であるドナルドから婚約を解消すると告げられた。マリエは動揺しつつも了承し、「私は忘れません」と言い置いて去っていった。***婚約破棄ネタですが、悪役令嬢とか転生、乙女ゲーとかの要素は皆無です。***今のところ本編を一話、別視点で一話の二話の投稿を予定しています。さくっと終わります。
「小説家になろう」でも同一の内容で投稿しております。
転生したら赤ん坊だった 奴隷だったお母さんと何とか幸せになっていきます
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
転生したら奴隷の赤ん坊だった
お母さんと離れ離れになりそうだったけど、何とか強くなって帰ってくることができました。
全力でお母さんと幸せを手に入れます
ーーー
カムイイムカです
今製作中の話ではないのですが前に作った話を投稿いたします
少しいいことがありましたので投稿したくなってしまいました^^
最後まで行かないシリーズですのでご了承ください
23話でおしまいになります
うちの娘が悪役令嬢って、どういうことですか?
プラネットプラント
ファンタジー
全寮制の高等教育機関で行われている卒業式で、ある令嬢が糾弾されていた。そこに令嬢の父親が割り込んできて・・・。乙女ゲームの強制力に抗う令嬢の父親(前世、彼女いない歴=年齢のフリーター)と従者(身内には優しい鬼畜)と異母兄(当て馬/噛ませ犬な攻略対象)。2016.09.08 07:00に完結します。
小説家になろうでも公開している短編集です。
村娘になった悪役令嬢
枝豆@敦騎
恋愛
父が連れてきた妹を名乗る少女に出会った時、公爵令嬢スザンナは自分の前世と妹がヒロインの乙女ゲームの存在を思い出す。
ゲームの知識を得たスザンナは自分が将来妹の殺害を企てる事や自分が父の実子でない事を知り、身分を捨て母の故郷で平民として暮らすことにした。
村娘になった少女が行き倒れを拾ったり、ヒロインに連れ戻されそうになったり、悪役として利用されそうになったりしながら最後には幸せになるお話です。
※他サイトにも掲載しています。(他サイトに投稿したものと異なっている部分があります)
アルファポリスのみ後日談投稿しております。
もう死んでしまった私へ
ツカノ
恋愛
私には前世の記憶がある。
幼い頃に母と死別すれば最愛の妻が短命になった原因だとして父から厭われ、婚約者には初対面から冷遇された挙げ句に彼の最愛の聖女を虐げたと断罪されて塵のように捨てられてしまった彼女の悲しい記憶。それなのに、今世の世界で聖女も元婚約者も存在が煙のように消えているのは、何故なのでしょうか?
今世で幸せに暮らしているのに、聖女のそっくりさんや謎の婚約者候補が現れて大変です!!
ゆるゆる設定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる