121 / 154
第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
121.悪役令嬢はギルド職員と模擬戦をする
しおりを挟む
模擬戦は冒険者ギルドに併設されている建物の中で行う事になった。ここには失われし遺産による結界が施されているらしく、多少暴れても建物に被害が出るようにはならないらしい。
なるほど、後でその失われし遺産を見せて貰おう。
「さて、ルールは簡単だ。どちらかが戦闘不能になったら終わりだ。殺し合いじゃないから、ちゃんと加減はしてやる。回復魔法が使えるヤツも控えているから、傷が残ったりはしないだろう」
「分かりましたわ。武器や魔法は制限ナシでいいのかしら?」
「大規模殲滅魔法なんかは無しだ、さすがに結界が耐えれるか試したことがないからな。まぁ、そんな暇はねぇーだろうが……」
そう言って、オジ様は私からある程度の距離に離れて行く。そして、何かを思い出したようにポンと手を叩いた。
「忘れてたわ。俺はこの街の冒険者ギルドでギルド長をやっている、ザクス・バークレーだ」
「私は……そうね、ただのリアよ」
「リアね――では、はじめるぞ!」
そして、ザクス・バークレーと名乗ったギルド長のオジ様は魔法による肉体強化を使って距離を詰めようとする。けれど、そうはならずに不思議そうな顔をする。
「は?」
「あら、遊んでいるのかしら?」
そう言って私は魔導剣を空間収納から取り出して魔力の剣を顕現させる。
「……なんだ、その武器? 剣……なのか?」
と、オジ様は両手剣を構える。お互いの距離は変わらず、ジリジリと緊張感が高まっていく。再びオジ様は魔力を練って魔法を発動させようとする――が、魔法は発動しない。
「な、なぜだ? 魔法が……」
「――それは当然です。私が発動を解除していますから」
そう言って私は術式展開を素早く行い、超加速でオジ様に斬りかかる。
「っは? じょ、冗談じゃねぇ!」
オジ様は体勢を崩しながら、紙一重で私の剣を躱す。うーん、アリエルなら確実に仕留められたでしょうね……やっぱり、剣技はそこまでなのよねぇ。
「まさか、避けられるとは思わなかったです」
「ってか、マジで殺す気かよ!」
「それくらいで死なないでしょ、貴方!」
オジ様は私の剣激を両手剣でいなしながら、舌打ちをする。そして、私の動きをキチンと見ながら剣の柄を当てようと動く。けれども、私も見えているのよね。私はそれに当たらないように体を沈ませ、オジ様の脚をカニバサミの要領で挟みこもうとする。
それを見て焦ったのか、オジ様は再び身体強化の魔法を発動させようとするけれど、それも私に解除され、魔法は発動せずに私はそのままオジ様の脚を挟んだ両足を身体ごと捻る。オジ様は耐えられずに顔面から地面に着地する。
「ふごっ」
「あら、無様ね? 幼女に転ばされた気持ちはいかが?」
「チッ、ってか、何をやったんだ?」
「魔法を解除しただけですよ?」
と、いうとオジ様は冗談だろ? と、いった表情をした後に「ちょっと待て……」と言って武器を鞘に納めた。
「嬢ちゃんの勝ちでいいんだが、ひとつ試させてくれないか?」
「あら? いいんですか?」
「ああ、すまないが興味が別のところにいっちまったんでな。気になって仕方ない」
そう言って、オジ様は再び素早く距離を開けて、今度は高速術式を展開した広範囲の火炎魔法を複数展開する。あら、オジ様なかなか凄い魔術師じゃない。
「コイツは防げないだ――は?」
「いいえ、魔法を解除するだけなら、簡単ですから――私、魔法や魔術は得意なんです。ただ……」
そう言いながら、一つだけ展開した魔法を生かしてある。
「ってか、わざとか? 死ぬ気か? くらえ獄炎地獄ぅ!? ってぇ~~~~~!!!!」
オジ様は自分に魔法が返ってくるとは思ってもよらず、全身火達磨になってしまいます。あ、火傷って6割超えたら死んじゃうんですっけ?
そんな事を考えつつ、魔法を消して回復魔法を掛けてあげる。瞬時にしてオジ様の焼け爛れた皮膚は元通りになる。まぁ、服や装備がボロボロになったのは知りません。回復魔法では治せないのだから、知らん!
「無詠唱で超高速回復――って、どういうこったい??? 人の魔法を乗っ取るなんて、出来るのかよ……」
「まぁ、何をしたかは教えませんが、私、そういうの得意なんです」
「お嬢ちゃん、【鋼】って言ってたよな……アレはウソだろ?」
「嘘じゃありませんよ。あの面子の中で私が一番ランクが低いのですから」
「え? ウソでしょ?」
「嘘を吐く理由はありませんよ?」
オジ様はとうとう項垂れてしまいました。ちょっと、可哀想な事をしたかしら? と、いうか観覧席で見ていたアホ達は不思議そうな顔で私達の様子を見ていますね。とりあえず、微笑んでおきますか――って、なんでビビって逃げて行くの?
なるほど、後でその失われし遺産を見せて貰おう。
「さて、ルールは簡単だ。どちらかが戦闘不能になったら終わりだ。殺し合いじゃないから、ちゃんと加減はしてやる。回復魔法が使えるヤツも控えているから、傷が残ったりはしないだろう」
「分かりましたわ。武器や魔法は制限ナシでいいのかしら?」
「大規模殲滅魔法なんかは無しだ、さすがに結界が耐えれるか試したことがないからな。まぁ、そんな暇はねぇーだろうが……」
そう言って、オジ様は私からある程度の距離に離れて行く。そして、何かを思い出したようにポンと手を叩いた。
「忘れてたわ。俺はこの街の冒険者ギルドでギルド長をやっている、ザクス・バークレーだ」
「私は……そうね、ただのリアよ」
「リアね――では、はじめるぞ!」
そして、ザクス・バークレーと名乗ったギルド長のオジ様は魔法による肉体強化を使って距離を詰めようとする。けれど、そうはならずに不思議そうな顔をする。
「は?」
「あら、遊んでいるのかしら?」
そう言って私は魔導剣を空間収納から取り出して魔力の剣を顕現させる。
「……なんだ、その武器? 剣……なのか?」
と、オジ様は両手剣を構える。お互いの距離は変わらず、ジリジリと緊張感が高まっていく。再びオジ様は魔力を練って魔法を発動させようとする――が、魔法は発動しない。
「な、なぜだ? 魔法が……」
「――それは当然です。私が発動を解除していますから」
そう言って私は術式展開を素早く行い、超加速でオジ様に斬りかかる。
「っは? じょ、冗談じゃねぇ!」
オジ様は体勢を崩しながら、紙一重で私の剣を躱す。うーん、アリエルなら確実に仕留められたでしょうね……やっぱり、剣技はそこまでなのよねぇ。
「まさか、避けられるとは思わなかったです」
「ってか、マジで殺す気かよ!」
「それくらいで死なないでしょ、貴方!」
オジ様は私の剣激を両手剣でいなしながら、舌打ちをする。そして、私の動きをキチンと見ながら剣の柄を当てようと動く。けれども、私も見えているのよね。私はそれに当たらないように体を沈ませ、オジ様の脚をカニバサミの要領で挟みこもうとする。
それを見て焦ったのか、オジ様は再び身体強化の魔法を発動させようとするけれど、それも私に解除され、魔法は発動せずに私はそのままオジ様の脚を挟んだ両足を身体ごと捻る。オジ様は耐えられずに顔面から地面に着地する。
「ふごっ」
「あら、無様ね? 幼女に転ばされた気持ちはいかが?」
「チッ、ってか、何をやったんだ?」
「魔法を解除しただけですよ?」
と、いうとオジ様は冗談だろ? と、いった表情をした後に「ちょっと待て……」と言って武器を鞘に納めた。
「嬢ちゃんの勝ちでいいんだが、ひとつ試させてくれないか?」
「あら? いいんですか?」
「ああ、すまないが興味が別のところにいっちまったんでな。気になって仕方ない」
そう言って、オジ様は再び素早く距離を開けて、今度は高速術式を展開した広範囲の火炎魔法を複数展開する。あら、オジ様なかなか凄い魔術師じゃない。
「コイツは防げないだ――は?」
「いいえ、魔法を解除するだけなら、簡単ですから――私、魔法や魔術は得意なんです。ただ……」
そう言いながら、一つだけ展開した魔法を生かしてある。
「ってか、わざとか? 死ぬ気か? くらえ獄炎地獄ぅ!? ってぇ~~~~~!!!!」
オジ様は自分に魔法が返ってくるとは思ってもよらず、全身火達磨になってしまいます。あ、火傷って6割超えたら死んじゃうんですっけ?
そんな事を考えつつ、魔法を消して回復魔法を掛けてあげる。瞬時にしてオジ様の焼け爛れた皮膚は元通りになる。まぁ、服や装備がボロボロになったのは知りません。回復魔法では治せないのだから、知らん!
「無詠唱で超高速回復――って、どういうこったい??? 人の魔法を乗っ取るなんて、出来るのかよ……」
「まぁ、何をしたかは教えませんが、私、そういうの得意なんです」
「お嬢ちゃん、【鋼】って言ってたよな……アレはウソだろ?」
「嘘じゃありませんよ。あの面子の中で私が一番ランクが低いのですから」
「え? ウソでしょ?」
「嘘を吐く理由はありませんよ?」
オジ様はとうとう項垂れてしまいました。ちょっと、可哀想な事をしたかしら? と、いうか観覧席で見ていたアホ達は不思議そうな顔で私達の様子を見ていますね。とりあえず、微笑んでおきますか――って、なんでビビって逃げて行くの?
0
お気に入りに追加
49
あなたにおすすめの小説
ざまぁ対象の悪役令嬢は穏やかな日常を所望します
たぬきち25番
ファンタジー
*『第16回ファンタジー小説大賞【大賞】・【読者賞】W受賞』
*書籍化2024年9月下旬発売
※書籍化の関係で1章が近日中にレンタルに切り替わりますことをご報告いたします。
彼氏にフラれた直後に異世界転生。気が付くと、ラノベの中の悪役令嬢クローディアになっていた。すでに周りからの評判は最悪なのに、王太子の婚約者。しかも政略結婚なので婚約解消不可?!
王太子は主人公と熱愛中。私は結婚前からお飾りの王太子妃決定。さらに、私は王太子妃として鬼の公爵子息がお目付け役に……。
しかも、私……ざまぁ対象!!
ざまぁ回避のために、なんやかんや大忙しです!!
※【感想欄について】感想ありがとうございます。皆様にお知らせとお願いです。
感想欄は多くの方が読まれますので、過激または攻撃的な発言、乱暴な言葉遣い、ポジティブ・ネガティブに関わらず他の方のお名前を出した感想、またこの作品は成人指定ではありませんので卑猥だと思われる発言など、読んだ方がお心を痛めたり、不快だと感じるような内容は承認を控えさせて頂きたいと思います。トラブルに発展してしまうと、感想欄を閉じることも検討しなければならなくなりますので、どうかご理解いただければと思います。
転生王女は異世界でも美味しい生活がしたい!~モブですがヒロインを排除します~
ちゃんこ
ファンタジー
乙女ゲームの世界に転生した⁉
攻略対象である3人の王子は私の兄さまたちだ。
私は……名前も出てこないモブ王女だけど、兄さまたちを誑かすヒロインが嫌いなので色々回避したいと思います。
美味しいものをモグモグしながら(重要)兄さまたちも、お国の平和も、きっちりお守り致します。守ってみせます、守りたい、守れたらいいな。え~と……ひとりじゃ何もできない! 助けてMyファミリー、私の知識を形にして~!
【1章】飯テロ/スイーツテロ・局地戦争・飢饉回避
【2章】王国発展・vs.ヒロイン
【予定】全面戦争回避、婚約破棄、陰謀?、養い子の子育て、恋愛、ざまぁ、などなど。
※〈私〉=〈わたし〉と読んで頂きたいと存じます。
※恋愛相手とはまだ出会っていません(年の差)
ブログ https://tenseioujo.blogspot.com/
Pinterest https://www.pinterest.jp/chankoroom/
※作中のイラストは画像生成AIで作成したものです。
追放幼女の領地開拓記~シナリオ開始前に追放された悪役令嬢が民のためにやりたい放題した結果がこちらです~
一色孝太郎
ファンタジー
【小説家になろう日間1位!】
悪役令嬢オリヴィア。それはスマホ向け乙女ゲーム「魔法学園のイケメン王子様」のラスボスにして冥界の神をその身に降臨させ、アンデッドを操って世界を滅ぼそうとした屍(かばね)の女王。そんなオリヴィアに転生したのは生まれついての重い病気でずっと入院生活を送り、必死に生きたものの天国へと旅立った高校生の少女だった。念願の「健康で丈夫な体」に生まれ変わった彼女だったが、黒目黒髪という自分自身ではどうしようもないことで父親に疎まれ、八歳のときに魔の森の中にある見放された開拓村へと追放されてしまう。だが彼女はへこたれず、領民たちのために闇の神聖魔法を駆使してスケルトンを作り、領地を発展させていく。そんな彼女のスケルトンは産業革命とも称されるようになり、その評判は内外に轟いていく。だが、一方で彼女を追放した実家は徐々にその評判を落とし……?
小説家になろう様にて日間ハイファンタジーランキング1位!
更新予定:毎日二回(12:00、18:00)
※本作品は他サイトでも連載中です。
冤罪で殺された悪役令嬢は精霊となって自分の姪を守護します 〜今更謝罪されても手遅れですわ〜
犬社護
ファンタジー
ルーテシア・フォンテンスは、《ニーナ・エクスランデ公爵令嬢毒殺未遂事件》の犯人として仕立て上げられ、王城地下の牢獄にて毒殺されてしまうが、目覚めたら精霊となって死んだ場所に佇んでいた。そこで自分の姪と名乗る女の子《チェルシー》と出会い、自身の置かれた状況を知る。
《十八年経過した世界》
《ルーテシアフォンテンスは第一級犯罪者》
《フォンテンス家の壊滅》
何故こんな事態となったのか、復讐心を抑えつつ姪から更に話を聞こうとしたものの、彼女は第一王子の誕生日パーティーに参加すべく、慌てて地上へと戻っていく。ルーテシアは自身を殺した犯人を探すべく、そのパーティーにこっそり参加することにしたものの、そこで事件に遭遇し姪を巻き込んでしまう。事件解決に向けて動き出すものの、その道中自分の身体に潜む力に少しずつ目覚めていき、本人もこの力を思う存分利用してやろうと思い、ルーテシアはどんどん強くなっていき、犯人側を追い詰めていく。
そんな危険精霊に狙われていることを一切知らない犯人側は、とある目的を達成すべく、水面下で策を張り巡らせていた。誰を敵に回したのか全てを察した時にはもう手遅れで……
美幼女に転生したら地獄のような逆ハーレム状態になりました
市森 唯
恋愛
極々普通の学生だった私は……目が覚めたら美幼女になっていました。
私は侯爵令嬢らしく多分異世界転生してるし、そして何故か婚約者が2人?!
しかも婚約者達との関係も最悪で……
まぁ転生しちゃったのでなんとか上手く生きていけるよう頑張ります!
【完結】悪役令嬢に転生したけど、王太子妃にならない方が幸せじゃない?
みちこ
ファンタジー
12歳の時に前世の記憶を思い出し、自分が悪役令嬢なのに気が付いた主人公。
ずっと王太子に片思いしていて、将来は王太子妃になることしか頭になかった主人公だけど、前世の記憶を思い出したことで、王太子の何が良かったのか疑問に思うようになる
色々としがらみがある王太子妃になるより、このまま公爵家の娘として暮らす方が幸せだと気が付く
悪役令嬢は永眠しました
詩海猫
ファンタジー
「お前のような女との婚約は破棄だっ、ロザリンダ・ラクシエル!だがお前のような女でも使い道はある、ジルデ公との縁談を調えてやった!感謝して公との間に沢山の子を産むがいい!」
長年の婚約者であった王太子のこの言葉に気を失った公爵令嬢・ロザリンダ。
だが、次に目覚めた時のロザリンダの魂は別人だった。
ロザリンダとして目覚めた木の葉サツキは、ロザリンダの意識がショックのあまり永遠の眠りについてしまったことを知り、「なぜロザリンダはこんなに努力してるのに周りはクズばっかりなの?まかせてロザリンダ!きっちりお返ししてあげるからね!」
*思いつきでプロットなしで書き始めましたが結末は決めています。暗い展開の話を書いているとメンタルにもろに影響して生活に支障が出ることに気付きました。定期的に強気主人公を暴れさせないと(?)書き続けるのは不可能なようなのでメンタル状態に合わせて書けるものから書いていくことにします、ご了承下さいm(_ _)m
【完結】私だけが知らない
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
ファンタジー
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる