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第三章 悪役令嬢は学院生活を送る
119.悪役令嬢は旅行する その7
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小さなお茶会と言っても夕食時の面子と基本変わらない。私、アリエル、ウィンディとアリエルの後ろにナスターシア、私の後ろにエルーサが控えるような形だ。違いと言えばテーブルにはエルーサが持ち込んでいるお茶とお茶菓子がある事くらいだ。
ちなみに私の前にはサンドウィッチが置かれている。先程の食事にあまり手を付けていなかったエルーサが気を利かせて空間収納に収納していたストックを出してくれている。
私はエルーサの気遣いに感謝しながらサンドウィッチを頬張っているとウィンディが不思議そうな顔を私を見ていた。
「どうしたのウィンディ?」
「いえ、先程はご飯にほとんど手をつけていなかったのにサンドウィッチは食べるんだなって思って。んー、美味しく無かったですか? 確かに美味しいかどうかって言われると微妙ですけど、どこもあんな感じだと思うんですよね」
「そうだぞ、エステリア。王宮ならまだしも、一応公爵家の別邸と考えれば十分な美味しさだったと思うけど?」
それは確かにそうかもしれないけど、我が家の味に慣れすぎちゃって幼い頃のトラウマがやってくるのよ。でも、そのあたりアリエルも分かってるみたいで視線は私のサンドウィッチに向かってることを考えると、アレか。
「って、欲しいなら欲しいって言ってよね。はい」
「サンキュー。うん、やっぱり公爵家の料理人は優秀だわ」
それを見てウィンディも涎を垂らしているわ。って、伯爵令嬢としてちょっとはしたないわよ。
「ほら、ウィンディも食べなさい。王城の宮廷料理人は公爵家から派遣して教育されてるから、同じような食事を提供しているハズでしょう?」
「まぁ、王宮だとそうね。でも、冒険者として街とかに出たら、だいたい味付けは塩と胡椒だし、ダンジョン内だと干し肉とか硬いパンくらいじゃない?」
「って、空間収納持ってるでしょ? 食事くらい入れておきなさいよ」
と、言うとアリエルとウィンディはポンと手を叩いた。
「なるほど!」
「確かにです! さすがエステリア様!!!」
あ、なんか色々察してしまったわ。この子達はそうだった……そういうところ抜けてるんだったわ。魔導洞窟や冒険に頭が行ってて他の事はポイッとしてたのね。
「今度はアレね。食事提供とかも考えるべきね――空間収納も適当に使ってない? 中の物はちゃんと整理したり処分しないと、パンパンになっちゃうわよ」
「え? 際限あるの?」
ちゃんと説明したような気がするけど、忘れちゃったのかしら。私は小さく溜息を吐く。
「ある程度の空間を魔法で広げて固定させているわけだけど、一定の広さを超えると魔法の維持自体が安定されなくなって崩壊するから、ある程度の広さを超えないように制限を持たせてあるのよ。広さで言えば普段アリエルが使っている部屋くらい――いければいいけど、それよりも狭いから、適当に入れてあると何も入れれなくなるわよ」
「ま、マジ?」
「マジで。だから魔物の死体とか入れっぱなしは絶対にダメ」
アリエルとウィンディは視線を逸らし鳴らない口笛を吹いて誤魔化そうと必死だけど、それは全く誤魔化せてないヤツじゃん!
「とりあえず、ナスターシアはどれくらい把握しているの?」
私がそう言うと、まさか自分に訊かれると思っていなかったのか、上ずった声で「へっ?」と言った。うーん、ここは似た者コンビなのか。
「エルーサ、私が予備で持っている分を幾つか渡すので、ナスターシアに渡してキチンと扱い方とアリエルの荷物整理を――明日の予定は全部ナシで、ウィンディもね。とりあえず整理だけしていらない物は処分。分かった?」
全員が焦った声で「はいっ」と言って、本日は解散の流れになり、私は大きな溜息を吐いた。明日からの楽しい冒険が一日減ったよ。もう、何やってんだか――などと思いつつも空間収納の改良案を思いつき、メモを書き始めたのだけど、いつの間にか眠ってしまい。起きたらベッドの上だった。
ちなみに私の前にはサンドウィッチが置かれている。先程の食事にあまり手を付けていなかったエルーサが気を利かせて空間収納に収納していたストックを出してくれている。
私はエルーサの気遣いに感謝しながらサンドウィッチを頬張っているとウィンディが不思議そうな顔を私を見ていた。
「どうしたのウィンディ?」
「いえ、先程はご飯にほとんど手をつけていなかったのにサンドウィッチは食べるんだなって思って。んー、美味しく無かったですか? 確かに美味しいかどうかって言われると微妙ですけど、どこもあんな感じだと思うんですよね」
「そうだぞ、エステリア。王宮ならまだしも、一応公爵家の別邸と考えれば十分な美味しさだったと思うけど?」
それは確かにそうかもしれないけど、我が家の味に慣れすぎちゃって幼い頃のトラウマがやってくるのよ。でも、そのあたりアリエルも分かってるみたいで視線は私のサンドウィッチに向かってることを考えると、アレか。
「って、欲しいなら欲しいって言ってよね。はい」
「サンキュー。うん、やっぱり公爵家の料理人は優秀だわ」
それを見てウィンディも涎を垂らしているわ。って、伯爵令嬢としてちょっとはしたないわよ。
「ほら、ウィンディも食べなさい。王城の宮廷料理人は公爵家から派遣して教育されてるから、同じような食事を提供しているハズでしょう?」
「まぁ、王宮だとそうね。でも、冒険者として街とかに出たら、だいたい味付けは塩と胡椒だし、ダンジョン内だと干し肉とか硬いパンくらいじゃない?」
「って、空間収納持ってるでしょ? 食事くらい入れておきなさいよ」
と、言うとアリエルとウィンディはポンと手を叩いた。
「なるほど!」
「確かにです! さすがエステリア様!!!」
あ、なんか色々察してしまったわ。この子達はそうだった……そういうところ抜けてるんだったわ。魔導洞窟や冒険に頭が行ってて他の事はポイッとしてたのね。
「今度はアレね。食事提供とかも考えるべきね――空間収納も適当に使ってない? 中の物はちゃんと整理したり処分しないと、パンパンになっちゃうわよ」
「え? 際限あるの?」
ちゃんと説明したような気がするけど、忘れちゃったのかしら。私は小さく溜息を吐く。
「ある程度の空間を魔法で広げて固定させているわけだけど、一定の広さを超えると魔法の維持自体が安定されなくなって崩壊するから、ある程度の広さを超えないように制限を持たせてあるのよ。広さで言えば普段アリエルが使っている部屋くらい――いければいいけど、それよりも狭いから、適当に入れてあると何も入れれなくなるわよ」
「ま、マジ?」
「マジで。だから魔物の死体とか入れっぱなしは絶対にダメ」
アリエルとウィンディは視線を逸らし鳴らない口笛を吹いて誤魔化そうと必死だけど、それは全く誤魔化せてないヤツじゃん!
「とりあえず、ナスターシアはどれくらい把握しているの?」
私がそう言うと、まさか自分に訊かれると思っていなかったのか、上ずった声で「へっ?」と言った。うーん、ここは似た者コンビなのか。
「エルーサ、私が予備で持っている分を幾つか渡すので、ナスターシアに渡してキチンと扱い方とアリエルの荷物整理を――明日の予定は全部ナシで、ウィンディもね。とりあえず整理だけしていらない物は処分。分かった?」
全員が焦った声で「はいっ」と言って、本日は解散の流れになり、私は大きな溜息を吐いた。明日からの楽しい冒険が一日減ったよ。もう、何やってんだか――などと思いつつも空間収納の改良案を思いつき、メモを書き始めたのだけど、いつの間にか眠ってしまい。起きたらベッドの上だった。
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