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第二章 悪役令嬢は暗躍する

65.悪役令嬢は条件達成の目標を考える

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「とりあえず、貴族派がどういったところと繋がっているのか――と、いう情報集められたら如何でしょうか? また、旦那様や奥様に協力していだきましょう」

 確かにそうよね。貴族派閥でもどこらへんから攻めるのかが重要かもしれないけど、パルプスト公爵の邪魔が入りそうなので、当然だけどお父様やお母様に協力をしてもらわなければ私だけではどうすることも出来ないでしょうね。

「中立派の囲い込みとかも出来るかしら?」
「それは保守派への転向を促すということでしょうか? それをすると、貴族派――特に危険な思想の持主や王家の転覆を狙っている者達がより対決姿勢を露わにする可能性があるのでは無いでしょうか?」

 あー、確かに。それは確かにそうだよね。どうやったら上手くこの政争をなんとなく膠着状態に持っていく手は無いかしら。そもそも、私自身の目的達成はクリフト殿下とは婚約を解消または破棄することで、断罪を確実に回避すること。

 で、女王キャロラインから出された条件達成はアリエルが立太子出来て、王家の体制が盤石状態となること。派閥争いはどうしても無くならないだろうけど、外敵からの調略を防ぐには一部の貴族に対しては粛清という形も必要になってくるだろう。

 その中で最も重要な点となってくるのは貴族派閥の弱体化。これは絶対必要だと思うんだよね。そもそもヒロインちゃんの家も貴族派閥だ。国家転覆――いいえ、下剋上と言った方がいいかしら――を狙っている貴族に関しては最低でも抑え込まないとダメ。

「貴族派閥の弱体化を目指すなら、どうするのが一番いいかしら……」

 私がそういうとエルーサは小さく「そうですね」と、言ってゆっくりと目を閉じる。

「出来るかどうかは別の話ですが、保守派閥、貴族派閥、中立派閥のバランスを整えるというのは如何でしょう。全てが同程度であれば、お互いが牽制し合う状態を作れると思うのです。そうすれば、必然的に最も強くなるのが王権になるかと」

 おお、まるで天下三分の計だ。さすがに三国志的な感じにはならないだろうけど、パワーバランスを整えて膠着状態を作れればチャンスはあるのか――って、ことは結局、現状最大派閥の貴族派の切り崩しが必要になるわね。

「と、いうことは貴族派閥の貴族を中立に持っていければある程度は拮抗するかしら?」
「特に力を持っている貴族が分散してしている状態を作れれば御の字かと」

 現状で言えば、公爵3家は保守派がハーブスト、ヴィジタリアで貴族派がパルプスト。ここは我が家が中立に立てば均衡が保てるのかな? 侯爵家は保守派がグラファス、貴族派がリフィール、中立派がリブロス、レシアス、アーマリア、クーベルト辺境伯とい感じね。

 侯爵家が中立が多いのは独立性が高い家が多い――特殊な家が多いというのもあるけど、どちらにも付かないで立場を曖昧にしている家が多いとも言える。

 逆に伯爵あたりも中立を保っている家が多いけど、ジゼットバス伯爵やガイゼルグラー伯爵などが貴族派閥なのよね。子爵、男爵となってくると圧倒的に貴族派閥が多くなり、過激な思想の成り上がり貴族もチラホラいる。騎士爵を持つ貴族は実際に王国騎士として働いている者が多いので保守派が多くなる。

 けれど、国内の力関係を考えれば、公爵、侯爵、伯爵あたりまでを上手くバランスを取れるようにして、外敵との結びつきを遮断してやれば条件達成という感じになるかもしれない。

 とりあえずマイルストーンとしては、10歳までにある程度の情報をまとめて、14歳の高学入学までに派閥の切り崩しをして、16歳の学園卒業までに婚約破棄の出来る環境にする。

 協力者としては、我が家のお父様、お母様は当然だけど、ヴィジタリア公爵とリブロス侯爵、レシアス侯爵、アーマリア侯爵あたりには協力して貰えるようにしないとマズそうね。

 可能であればクーベルト辺境伯にも協力して貰えるか画策しておこう。

 問題は伯爵家……なのよね。意外と影響力を持った家というのが存在している。とりあえず、とりまきのちゃん達の家には協力してもらおう。
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