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第一章 悪役令嬢は動き出す
50.悪役令嬢は王女達と秘密の話をする
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「な、なんですか……これ?」
周囲を警戒するようにウィンディ嬢は席を立って身構える。
「大丈夫よ、ウィンディ様。これは防音の魔道具超改良版を起動しただけだから」
「防音? ですか??? なんだか、結界のような……」
結界と言われれば、間違ってないんだよね。結局のところ、色々対応出来るように組んだら、防音と認識阻害以外に魔法、物理の防御も組み込んだおかげで、かなーり強固な結界を作る魔道具になっちゃったんだよね。
その辺りを即座に読み解くなんて、あれからウィンディ嬢は随分と勉強したみたいね。
「一応、目的としては防音効果抜群で読唇術とかにも対応する為に外から内には認識阻害されるようにしてあるわ。まぁ、敵襲とかあったら嫌だから魔法、物理に対応した防御結界も組み込んであるけどね」
「え、えーっと、全然わかんないです」
「ウィンディ、リアはそういう娘なんです。魔法レベルの魔術を使った魔道具を作り出す変態だから、気にしたら負けよ」
酷い言いようじゃないマリー。今度納品予定の魔導ミシンを倍額で売り付けてやろうかしら?
「ちょ、なんだか変な事考えてない? ね、ねぇ!」
「あら? なんのことかしらぁ?」
悪役令嬢らしく言ったら、なんで皆引くのよ……な、納得出来ない!!!
「っと、そろそろいい?」
アリエルが呆れ顔でそう言った。アンタが私に防音の魔道具超改良版を使わせたんじゃない。
「ええ、いいわよ。皆も大丈夫かしら?」
私が皆を見回すと若干顔を引きつらせながらも、コクリと頷く。
「前回のお茶会の時、私が暴走したのは見ていたと思う」
そう言うとその場の空気が少し下がったような雰囲気が漂う。皆の表情も先よりも随分固い。リンリィ嬢に至っては顔色が良くない。
「思い出したくない事かもしれないけど、あの時、私は思考が真っ白で自身を律する事が全く出来なかった……で、もしかして強制力のようなモノがあるのかと思ったの。だから、皆も気を付けて欲しいと思うのよ」
正直なところ、気を付けててもどうにかなるか分からないけど、そういうモノがあると思うだけでも、普段の行動が変わる――と、信じたい。
「あと、皆が知っているゲームの知識を書類にまとめたりもしておきたいの」
それは私も考えた事があるけど、なんだか書面で持っていると色々とセキュリティ的にマズそうな気がするのよねぇ。
「あのっ、私……自室に自分が覚えている部分に関しては紙に書いて置いてあります」
と、リンリィ嬢が言った。まぁ、真面目な彼女らしい。それを聞いたウィンディ嬢が元気よく手を挙げた。
「私も書いてます! ちゃんと他の人が見ても分からないように日本語で!」
ちょっと意外だけど、アレかな? 忘れるのが怖かったとか、そんな理由かしら。それを考えたらアリエルとかも書いてそうだけど、どうなのかしら?
「私の分も合わせれば、結構な分量になるかしら?」
「おおっ、アリエル様もですか!」
ウィンディ嬢とアリエルはかなり気が合う感じよね。別にオツムがアレだなんて思ってないからね。ちょっとおバカなところも可愛いところだと思ってるくらいだからね!
「リンリィ嬢も日本語で書いているのかしら?」
「あ、はい、一応セキュリティ上必要かと思ってそうしています。子供の悪戯書き程度に思われているハズですし」
「で、アリエルが編纂するの?」
私がそういうと彼女は微妙な表情を見せる。言い出しっぺなのにやりたくないってどういうことよ?
「あ、私がやりましょうか?」
「さすが、リンリィ! おねしゃす!!!」
周囲を警戒するようにウィンディ嬢は席を立って身構える。
「大丈夫よ、ウィンディ様。これは防音の魔道具超改良版を起動しただけだから」
「防音? ですか??? なんだか、結界のような……」
結界と言われれば、間違ってないんだよね。結局のところ、色々対応出来るように組んだら、防音と認識阻害以外に魔法、物理の防御も組み込んだおかげで、かなーり強固な結界を作る魔道具になっちゃったんだよね。
その辺りを即座に読み解くなんて、あれからウィンディ嬢は随分と勉強したみたいね。
「一応、目的としては防音効果抜群で読唇術とかにも対応する為に外から内には認識阻害されるようにしてあるわ。まぁ、敵襲とかあったら嫌だから魔法、物理に対応した防御結界も組み込んであるけどね」
「え、えーっと、全然わかんないです」
「ウィンディ、リアはそういう娘なんです。魔法レベルの魔術を使った魔道具を作り出す変態だから、気にしたら負けよ」
酷い言いようじゃないマリー。今度納品予定の魔導ミシンを倍額で売り付けてやろうかしら?
「ちょ、なんだか変な事考えてない? ね、ねぇ!」
「あら? なんのことかしらぁ?」
悪役令嬢らしく言ったら、なんで皆引くのよ……な、納得出来ない!!!
「っと、そろそろいい?」
アリエルが呆れ顔でそう言った。アンタが私に防音の魔道具超改良版を使わせたんじゃない。
「ええ、いいわよ。皆も大丈夫かしら?」
私が皆を見回すと若干顔を引きつらせながらも、コクリと頷く。
「前回のお茶会の時、私が暴走したのは見ていたと思う」
そう言うとその場の空気が少し下がったような雰囲気が漂う。皆の表情も先よりも随分固い。リンリィ嬢に至っては顔色が良くない。
「思い出したくない事かもしれないけど、あの時、私は思考が真っ白で自身を律する事が全く出来なかった……で、もしかして強制力のようなモノがあるのかと思ったの。だから、皆も気を付けて欲しいと思うのよ」
正直なところ、気を付けててもどうにかなるか分からないけど、そういうモノがあると思うだけでも、普段の行動が変わる――と、信じたい。
「あと、皆が知っているゲームの知識を書類にまとめたりもしておきたいの」
それは私も考えた事があるけど、なんだか書面で持っていると色々とセキュリティ的にマズそうな気がするのよねぇ。
「あのっ、私……自室に自分が覚えている部分に関しては紙に書いて置いてあります」
と、リンリィ嬢が言った。まぁ、真面目な彼女らしい。それを聞いたウィンディ嬢が元気よく手を挙げた。
「私も書いてます! ちゃんと他の人が見ても分からないように日本語で!」
ちょっと意外だけど、アレかな? 忘れるのが怖かったとか、そんな理由かしら。それを考えたらアリエルとかも書いてそうだけど、どうなのかしら?
「私の分も合わせれば、結構な分量になるかしら?」
「おおっ、アリエル様もですか!」
ウィンディ嬢とアリエルはかなり気が合う感じよね。別にオツムがアレだなんて思ってないからね。ちょっとおバカなところも可愛いところだと思ってるくらいだからね!
「リンリィ嬢も日本語で書いているのかしら?」
「あ、はい、一応セキュリティ上必要かと思ってそうしています。子供の悪戯書き程度に思われているハズですし」
「で、アリエルが編纂するの?」
私がそういうと彼女は微妙な表情を見せる。言い出しっぺなのにやりたくないってどういうことよ?
「あ、私がやりましょうか?」
「さすが、リンリィ! おねしゃす!!!」
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