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序章

3.悪役令嬢は攻略対象を思い出す

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 『とにキラ』の攻略対象はメインが5名、サブが3名、隠しキャラ2名いて、メインの各ルートにヒロインの前に立ちはだかるライバル令嬢が存在――全ルート私だけ確実に被弾して断罪か巻き込まれ断罪されちゃうのよね。

 と、落ち込んでいる場合ではなかったわ。

 ともかく、ライバルとなる悪役令嬢は全部で5人――だけど、ひとまずこの件は後回しで攻略対象からしっかりと思い出していこう。

 で、まずは私の婚約者である王太子であるクリフト殿下。金髪碧眼の超美男子。性格は冷静沈着で感情を表に出すのが苦手なクール系。実は可愛い系のモノが好きで、小動物系で可愛いヒロインに一目惚れするのよね。残念ながら私であるエステリアは長身でキツイ系の見た目なので、王太子からすると見た目から苦手なタイプなのよね。

 因みにキツイ系の美人が苦手な理由は母親であるキャロライン女王への苦手意識が大きいところなのよね。私の母であるステファニーとキャロライン女王は双子かと言われるくらい似ていて、当然、私もパッと見て親族だと分かる容姿なのだ。

 さらに因んじゃうけど、エステリアと性格も似ているのだ。これはシナリオ上で語られているところだけど、苛烈で行動力のある強烈な性格故に強い女王であり、その優秀さは周囲の国からも敬意を払われている。ただ、キャロライン女王は自身の子でも王太子であるクリフト殿下には非常に厳しく、また自分を基準に物事を考える傾向が強いせいでクリフト殿下はかなりの劣等感を抱いてしまっている。そして、母親そっくりの婚約者に対して嫌悪感を抱かないわけはないって感じなのよね。

 2人目は第二王子のリストリア殿下。容姿はクリフト殿下に似ているけど、少しクセっ毛があってどちらかと言えば可愛い系男子で表情も豊かなんだけど、実は性格が腹黒系。しかもドSで色々と問題の多いキャラ。私は苦手なタイプだけど、意外と人気があるんだよね。

 腹黒い性格になったのは兄への対抗心的な部分が大きくて、優秀な兄への劣等感は当然のことだけど、すごい自信家でもあるんだよね。エピソードで挫折を味わうシーンがあって、それを励ますヒロインにコロッといっちゃうんだよね。一部ではチョロイン的な扱いをされている残念王子。

 次、3人目はクリフト殿下の側近で騎士見習いのマルコ・グラファス侯爵令息。グラファス侯爵家の次男坊で脳筋系俺様キャラ。ノリが体育会系で考え方も行動も脳筋。まさに力こそパワーを体現しているんだけど、ガチムチではなく結構細マッチョ系の美男子なんだよね。

 見た目は好みだけど性格がアウト、結構色々と拗らせている意外と面倒なキャラ。

 4人目はクリフト殿下の良きライバルで親友でもあるアーネスト・パルプスト公爵令息。メガネ標準装備で黒髪長身のイケメン。貴族派閥なんだけど、自身の考えは歴史好きも講じて保守的。その所為で思い悩んでいる。

 ヒロインの自由で奔放な思考に染まってコロッと言っちゃうのよね。それでクリフト殿下と対立していくんだけど……そんなのでいいの? と、ツッコミをいれた記憶がある。

 5人目は筆頭侯爵家リブロス家の長男で次期宰相と目されているファルリオ・リブロス。赤毛のおっとりとした雰囲気の美男子で性格も良く落ち着いた感じのキャラである。

 メインキャラ5人の中ではイチオシのキャラだ。派閥的には中立派――と、いうよりも中途半端な立ち振舞で保守派、貴族派のどちらからも毛嫌いされている。脳筋キャラには軟弱だのなんだのと文句を言われている、ちょっと不遇な感じのキャラなのだ。

 と、そこまで思い出したところで、私の頭はオーバーヒートして再び熱にうなされるのであった。
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