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プロローグ
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ドロドロと醜く腐敗した肌が異臭を放ち溶けていく。赤く濁った瞳が崩れる。
やっと、闇の世界に堕ちる事が出来る。
悦びに震える。だが、光が見えて自分に手を差し伸べる人がいた。
『ハリス!俺の、手を取るんだ!』
力強い声。黄金の髪が神々しく光輝いている。
男神のように雄々しく引き締まった体。太く凛々しい眉、荒削りだが男らしい魅力的な顔立ち。愛しい、兄。
ごぷごぷと煮えたぎる地獄の血沼に沈もうとしている弟を助けようとしている。
自分に触れたら駄目だ、兄の魂が汚れる。
「兄上…っ、来ないでくれ!」
ハリスは自分の悲痛な叫び声で目が覚める。
は、っと目を見開いて上半身を勢い良く起こす。呼吸が荒く不規則で息苦しい。
大粒の汗が額に浮かんで、つう、と顎先から伝い落ちた。
酷く頭が痛い。汗で濡れた黒い髪を指で掻きあげ、ため息を洩らす。一糸纏わぬ青白い裸体。線が細く頼りない身体が月明かりで照らされている。
ハリスは生まれたままの姿で寝るの好んでいた。
やっと、闇の世界に堕ちる事が出来る。
悦びに震える。だが、光が見えて自分に手を差し伸べる人がいた。
『ハリス!俺の、手を取るんだ!』
力強い声。黄金の髪が神々しく光輝いている。
男神のように雄々しく引き締まった体。太く凛々しい眉、荒削りだが男らしい魅力的な顔立ち。愛しい、兄。
ごぷごぷと煮えたぎる地獄の血沼に沈もうとしている弟を助けようとしている。
自分に触れたら駄目だ、兄の魂が汚れる。
「兄上…っ、来ないでくれ!」
ハリスは自分の悲痛な叫び声で目が覚める。
は、っと目を見開いて上半身を勢い良く起こす。呼吸が荒く不規則で息苦しい。
大粒の汗が額に浮かんで、つう、と顎先から伝い落ちた。
酷く頭が痛い。汗で濡れた黒い髪を指で掻きあげ、ため息を洩らす。一糸纏わぬ青白い裸体。線が細く頼りない身体が月明かりで照らされている。
ハリスは生まれたままの姿で寝るの好んでいた。
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