お兄さまは結婚してくださらない!

遊虎りん

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心のなかでカナヤは己を責めていた。
リアから片時も離れず守ると誓ったのにそれができなかったのだ。満月のような黄金の瞳が怒りで悲しく濡れている。

寝室に到着すると大きく広いベットへとリアを横たわらせた。白い聖女の衣装を脱がせて、寝心地良い服へと着替えさせる。
カナヤは雄としての機能をうしなっている。
男でも女でもない。
リアの身の回りの世話をカナヤがしているのだ。
未発達ながらも美しいリアの一糸纏わぬ姿を見て変な気を起こすようなことはない。

「カナヤさん、なかないで」

カナヤは口を固く閉ざして一言も発しない。
謝罪の言葉を言って許される事を許していないのだ。
言い訳も、後悔も、怒りも、言える立場ではない。何のためにリアの側にいるのか。

「泣いていません」

「ないています。えーんえーんってないています。よしよし、カナヤさん、なかないで」

リアはカナヤの頭に指を添えるとゆっくりと撫でる。そして、指先でカナヤの頬を擽った。

「わたしはリア様をお守りする」

「ありがとうございます。わたくしは、星を奏でるような夜、みたいな黒いうさぎさんにみとれました。カナヤさんになら守られてもいいと思ったんです」

リアはカナヤとの出会いを思い出して目を細めた。
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