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しおりを挟む女の子ってやつは好きじゃない。
同じ性別だけど、馴染めず彼女達の無邪気な気まぐれに時々疲れる。
母親が忙しくて家から幼稚園に預けられ、同年齢で家族以外の幼い人間達と過ごすようになった。
父親に可愛がられて、お姫様扱いされていたけど、幼稚園の砂のお城の前ではその他大勢の普通の子で、私より可愛いお姫様がたくさんいた。
ピンク色が似合う可愛い女の子達。
彼女達は幼くても女であることを自覚していた。
初めて私が女の子であることにコンプレックスを抱いた光景と似たものが目の前で繰り広げられている。
幼稚園くらいの3人の子供達。
「佑斗くんは私と結婚するの」
髪に可愛らしいピンク色のリボンをつけた女の子がつん、と顎をあげて言っている。
「えー、違うよ。佑くんはサラと結婚するんだもん!」
ピンク色の生地のフリルが付いたワンピースを着た少し舌足らずな声の女の子が負けじと反論する。
ピンク色を身につけた可愛い女の子二人。その真ん中にとらわれた佑斗君は困った顔をして佇んでいる。
「……結婚できるのはまだ先じゃん。彼氏彼女期間長過ぎだろ」
彼女達はまだ6歳かそこらである。将来の相手をここで決めるのは早いのではないか、と冷めた声で隣でハンバーガーを食べている幼馴染みに向けて言った。
「俺も似たような感じだし、あいつらを馬鹿に出来ないです」
ファーストフード店で購入した苦味がほどよくあるカフェオレの残りを飲みつつなんとも言えない顔の幼馴染みを見る。
黒髪の短髪で後ろは刈り上げている。身長は平均より高めで、顔立ちは整っている健康的な少年である。
バスケット部に所属しており、女子に人気がある。どうしよう、見知らぬ女子に告白された、と
相談された事が数回ある。
女の子にもてたい、という願望はなくて彼の場合、純粋にバスケットがしたい、らしい。
一方、私は男とも女ともいえない容姿をしていた。ボランティアで老人ホームにいったとき、認知症ではないカラオケが趣味のおじいさんに「男だか?女だが?」と首をかしげられた。
「一応、女です」と答えるとか「かわいそうに」と不憫な子を見るような眼差しを向けられた。
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