3人play。

遊虎りん

文字の大きさ
上 下
60 / 67

59

しおりを挟む
「……王子様、素敵です」

ミーナがほんのりと頬を赤らめてうっとりとした乙女の顔でジュランとランジュの二人の顔を眺めている。
今までの私と奴等の会話が耳に入らない程、面の皮の見映えが良い事の証明である。
おっぱい躍りのくだりをもし、腹躍りの神グレソンが言ってたのなら気持ち悪いと眉を潜めるだろうが、ランジュの場合無かったことにされる。

(この面の皮の下にはアホ面が隠されているはずだ)

私は何かの考えに取りつかれたようにのろのろとランジュに近寄ると、指を伸ばして摘まむとむにゅっと面の皮を引っ張った。
横にランジュの頬が伸びる。そんなに顔が崩れず気品がある間抜け面だ。それが悔しくて腹が立つ。
頬を突然つねられてランジュはむう、と低く唸る。

「…っ!なに、痛いんだけど…僕の顔を玩具にしないでくれる?」

不満な顔。唇が尖るのを見ると人はそれを摘まみたくなるものだ。むに、とランジュの唇を指の腹で挟むとぴよぴよ、とさせる。

「ぼくは、へんたい、だよ。へんたい、おうじ、ぴよ!」

隣に居たジュランがランジュのひよこ口の動きに合わせて声をつけ始める。双子なので声が同じだ。たが、若干間が抜けている声色である。
面白い。ジュランと私は思わず吹き出して笑った。しかし、周囲の人間にはこの面白さは伝わらないだろう。仲間内の楽しさというやつか。

(いや、私はこいつらと馴れ合うつもりはない)

何だか無駄な接触を先程からしている気がする。
この双子は好きか嫌いか、と選択するならば迷わず嫌いを選ぶのに。
心のドアが開き始めている。しっかり鍵をかけ直さないと。こいつらと仲良くなるつもりはない。

「…っ、…二人とも僕で遊ばないでよ」

笑われるのが嫌いなのだろう、ランジュは不機嫌全会の顔でぺし、と私の手を払った。やり過ぎてしまった。この街の人達をランジュが魔術を使って安全な城へ移動してくれる約束を無かったことにされるかもしれない。このクソガキの機嫌を取らないと。

「…悪かった。ランジュが美しい面の皮をしているから嫉妬をしたんだ」

「面の皮…ユイって、表現が何か…まあ、いいや。美しい顔立ちなのは確かだよね」

「……認めたな」

「僕は美しくないよ。醜い男さ…って、否定するのは僕らしくないでしょ」

ふ、と笑ってランジュは肩を竦めた。
確かにランジュらしくはない。否定して後向き発言をするじめじめした男を見ていると横っ面を殴ってしっかりしろ!と叱りつけて鍛え直したくなる。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

悪役令嬢は王太子の妻~毎日溺愛と狂愛の狭間で~

一ノ瀬 彩音
恋愛
悪役令嬢は王太子の妻になると毎日溺愛と狂愛を捧げられ、 快楽漬けの日々を過ごすことになる! そしてその快感が忘れられなくなった彼女は自ら夫を求めるようになり……!? ※この物語はフィクションです。 R18作品ですので性描写など苦手なお方や未成年のお方はご遠慮下さい。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

マイナー18禁乙女ゲームのヒロインになりました

東 万里央(あずま まりお)
恋愛
十六歳になったその日の朝、私は鏡の前で思い出した。この世界はなんちゃってルネサンス時代を舞台とした、18禁乙女ゲーム「愛欲のボルジア」だと言うことに……。私はそのヒロイン・ルクレツィアに転生していたのだ。 攻略対象のイケメンは五人。ヤンデレ鬼畜兄貴のチェーザレに男の娘のジョバンニ。フェロモン侍従のペドロに影の薄いアルフォンソ。大穴の変人両刀のレオナルド……。ハハッ、ロクなヤツがいやしねえ! こうなれば修道女ルートを目指してやる! そんな感じで涙目で爆走するルクレツィアたんのお話し。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

王女、騎士と結婚させられイかされまくる

ぺこ
恋愛
髪の色と出自から差別されてきた騎士さまにベタ惚れされて愛されまくる王女のお話。 性描写激しめですが、甘々の溺愛です。 ※原文(♡乱舞淫語まみれバージョン)はpixivの方で見られます。

【完結】やさしい嘘のその先に

鷹槻れん
恋愛
妊娠初期でつわり真っ只中の永田美千花(ながたみちか・24歳)は、街で偶然夫の律顕(りつあき・28歳)が、会社の元先輩で律顕の同期の女性・西園稀更(にしぞのきさら・28歳)と仲睦まじくデートしている姿を見かけてしまい。 妊娠してから律顕に冷たくあたっていた自覚があった美千花は、自分に優しく接してくれる律顕に真相を問う事ができなくて、一人悶々と悩みを抱えてしまう。 ※30,000字程度で完結します。 (執筆期間:2022/05/03〜05/24) ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ 2022/05/30、エタニティブックスにて一位、本当に有難うございます! ✼••┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈••✼ --------------------- ○表紙絵は市瀬雪さまに依頼しました。  (作品シェア以外での無断転載など固くお断りします) ○雪さま (Twitter)https://twitter.com/yukiyukisnow7?s=21 (pixiv)https://www.pixiv.net/users/2362274 ---------------------

【完結】堕ちた令嬢

マー子
恋愛
・R18・無理矢理?・監禁×孕ませ ・ハピエン ※レイプや陵辱などの表現があります!苦手な方は御遠慮下さい。 〜ストーリー〜 裕福ではないが、父と母と私の三人平凡で幸せな日々を過ごしていた。 素敵な婚約者もいて、学園を卒業したらすぐに結婚するはずだった。 それなのに、どうしてこんな事になってしまったんだろう⋯? ◇人物の表現が『彼』『彼女』『ヤツ』などで、殆ど名前が出てきません。なるべく表現する人は統一してますが、途中分からなくても多分コイツだろう?と温かい目で見守って下さい。 ◇後半やっと彼の目的が分かります。 ◇切ないけれど、ハッピーエンドを目指しました。 ◇全8話+その後で完結

処理中です...