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「おや、何故だい?」
ロナル様は口元に笑みを滲ませたまま首を傾げてガロウ隊長に視線を向けた。二人は幼馴染みである。
屈強の肉体を誇るガロウ・ロウモス隊長。
細身で穏やかな空気を持つロナル様。
この二人は禁断の愛を戦場で密やかに育んでいる、と乙女の妄想を駆り立てている。
周りにいる女達はこの二人の会話を聞き耳立てているのに違いない。
この二人がちょめちょめするとか、一向にかまわない。男同士の恋愛上等。男は心が脆弱だ。傷を舐め合い支えながら生きていけばいい。
だが、残念ながら二人とも女が好きなのだ。
「…お前は復帰したばかりで鍛練をしていない。身体が鈍っているだろう」
「いやだなぁ、私は毎日身体を動かしていたよ」
「それはリハビリだろう。お前をみすみす死に行かかせる事は出来ん。死神が瞳の奥で息づいている、そいつが居る限りはロナルを戦場に出すことはしない」
ガロウ隊長は淡々とした声で言う。
ロナル様の瞳が曇る。分かったよ、と低い声音で言うと背を向けて歩き出した。
追いかけようとする私の腕をガロウ隊長が掴んで引き留める。
「……放っておけ。死にたがりは迷惑だ」
「しかし、…」
心に闇を抱えている友を放っておく事は出来ない。奥方を亡くしてから雰囲気が変わったように思える。少しずつ心が蝕まれている、ような。
「そうだ、ユイは今回、ジュラン様の警護にあたることを任命する。王子自ら魔物退治に赴き次期剣王となる為、城のみなと民の信頼を得たいと申し出があった」
「お断りします」
即座に私は答えた。警護、何故殺したい相手の命を守らないといけない。
「王がジュラン様がやる気になっている!と喜ばれている。しかし、ユイを警護につけないとやる気がなくなる、とジュラン様が申されている。断る、…のか?」
ガロウ隊長は王様命の忠誠心の塊である。
その鋭い瞳に暗雲が立ち込める。
断ったら、ガロウ隊長が泣いちゃうかもしれない。
「……分かりました。その任務お受けします」
男は泣き虫だ。涙を実際流さなくとも、心で号泣する。女がそれに気が付かないふりをして面子を守ってやらないと。
それにガロウ隊長には色々と借りがある。
「助かる」
ガロウ隊長は安堵の笑みを滲ませた。ほっと息を吐き出す。あからさまな反応をするガロウ隊長を見て私は可笑しくて笑った。
それをじっ、とガロウ隊長が見つめて双眸を細める。
「……ユイ、…またあれをしたくなったらいつでも甘えに来い」
「もうしない。あれは一時の気の迷いだ」
過去に一度だけして、私が記憶を封じたことを言われて動揺する。ガロウ隊長から視線を外して私は討伐隊の準備に取り掛かった。
ロナル様は口元に笑みを滲ませたまま首を傾げてガロウ隊長に視線を向けた。二人は幼馴染みである。
屈強の肉体を誇るガロウ・ロウモス隊長。
細身で穏やかな空気を持つロナル様。
この二人は禁断の愛を戦場で密やかに育んでいる、と乙女の妄想を駆り立てている。
周りにいる女達はこの二人の会話を聞き耳立てているのに違いない。
この二人がちょめちょめするとか、一向にかまわない。男同士の恋愛上等。男は心が脆弱だ。傷を舐め合い支えながら生きていけばいい。
だが、残念ながら二人とも女が好きなのだ。
「…お前は復帰したばかりで鍛練をしていない。身体が鈍っているだろう」
「いやだなぁ、私は毎日身体を動かしていたよ」
「それはリハビリだろう。お前をみすみす死に行かかせる事は出来ん。死神が瞳の奥で息づいている、そいつが居る限りはロナルを戦場に出すことはしない」
ガロウ隊長は淡々とした声で言う。
ロナル様の瞳が曇る。分かったよ、と低い声音で言うと背を向けて歩き出した。
追いかけようとする私の腕をガロウ隊長が掴んで引き留める。
「……放っておけ。死にたがりは迷惑だ」
「しかし、…」
心に闇を抱えている友を放っておく事は出来ない。奥方を亡くしてから雰囲気が変わったように思える。少しずつ心が蝕まれている、ような。
「そうだ、ユイは今回、ジュラン様の警護にあたることを任命する。王子自ら魔物退治に赴き次期剣王となる為、城のみなと民の信頼を得たいと申し出があった」
「お断りします」
即座に私は答えた。警護、何故殺したい相手の命を守らないといけない。
「王がジュラン様がやる気になっている!と喜ばれている。しかし、ユイを警護につけないとやる気がなくなる、とジュラン様が申されている。断る、…のか?」
ガロウ隊長は王様命の忠誠心の塊である。
その鋭い瞳に暗雲が立ち込める。
断ったら、ガロウ隊長が泣いちゃうかもしれない。
「……分かりました。その任務お受けします」
男は泣き虫だ。涙を実際流さなくとも、心で号泣する。女がそれに気が付かないふりをして面子を守ってやらないと。
それにガロウ隊長には色々と借りがある。
「助かる」
ガロウ隊長は安堵の笑みを滲ませた。ほっと息を吐き出す。あからさまな反応をするガロウ隊長を見て私は可笑しくて笑った。
それをじっ、とガロウ隊長が見つめて双眸を細める。
「……ユイ、…またあれをしたくなったらいつでも甘えに来い」
「もうしない。あれは一時の気の迷いだ」
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