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大好きな母ちゃんに会えたらいいな、と空想するルウミナを見てキリトは夜空を見上げた。
遠い空から見守っているのだろうか。いや、とキリトは首を横に振った。
助けられなかった、無力な息子のことなど忘れて生まれ変わってくれたらいい。

静かなやわらかな空気につつまれている。
それを撃ち破ったのは銃声だ。どさり、と音がきこえる。

血の匂いが充満する。
無情なことがまた起きた。それを繰り返していたむくいでもあった。
ルウミナがキリトを咄嗟にかばって撃たれたのだ。

魔狼を撃ったはずなのに、血を流して倒れている愛しい娘を目の前にして猟師の男は絶叫した。信じられたい光景で魂が張り裂けそうだ。

キリトの足が震えた。一瞬でも考えたことが現実になってしまった。
ルウミナの死。

最後の薬草をキリトにあげてしまうおろかなこ。
怪我をした父親のために暗くて魔物がすむ怖い森に入ったむぼうなこ。

キリトと猟師の男の憎しみあいの間で犠牲になったのは、2つの魂のささえになるルウミナの命だった。

さっきまで無邪気に笑っていたルウミナの顔は青白く、かなしそうな表情をうかべていた。

死は突然で、有無をいわせず、奪われていく。
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