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「ルウミナちゃん、おはよう」
子供に向かって老婆が皺だらけの顔を更に皺でくしゃくしゃにして挨拶をした。目を愛しそうに細めている。
「ミルお婆ちゃんおはようございます!」
ルウミナと呼ばれた子供は立ち止まって笑顔で返事をかえした。一歩歩き出す度に違う婆さん、偏屈そうな爺さん、鼻を垂らしている子供、赤子をおぶっている若い青年がルウミナに向かって挨拶をする。
みんなが率先してルウミナから挨拶をされる前にルウミナに挨拶をしていた。
挨拶の花が咲いていく光景をキリトは毒気を抜かれる思いをして見つめた。
ルウミナが先生と呼ばれるところにたどり着いたのに時間がかかった。
「先生、おはようございます!」
「おはよう、ルウミナ。今日も元気ですね」
薬草を育てている土の栄養具合や害虫に喰われていないか、見ていた薬師の男が振り返った。
「私は元気ですけど、父が昨夜、獣に襲われたらしくて足に怪我をしたんです。薬草を下さい」
「薬草はこの一つしかないんだ。運が良かったね」
薬師の男が一つの薬草を大切に取る。
キリトにはルウミナと薬師の会話が聞こえてなかった。
猟師を襲ったのは俺だが、それは仲間を撃ち殺したからだと、殺気が漲る。それを感じ取ったのかルウミナが振り向くとキリトに気づいて目を大きく見開いた。
「大変!すごい怪我!!」
キリトの頭の怪我を見てルウミナは買ったばかりの薬草を傷口に押し当てた。
子供に向かって老婆が皺だらけの顔を更に皺でくしゃくしゃにして挨拶をした。目を愛しそうに細めている。
「ミルお婆ちゃんおはようございます!」
ルウミナと呼ばれた子供は立ち止まって笑顔で返事をかえした。一歩歩き出す度に違う婆さん、偏屈そうな爺さん、鼻を垂らしている子供、赤子をおぶっている若い青年がルウミナに向かって挨拶をする。
みんなが率先してルウミナから挨拶をされる前にルウミナに挨拶をしていた。
挨拶の花が咲いていく光景をキリトは毒気を抜かれる思いをして見つめた。
ルウミナが先生と呼ばれるところにたどり着いたのに時間がかかった。
「先生、おはようございます!」
「おはよう、ルウミナ。今日も元気ですね」
薬草を育てている土の栄養具合や害虫に喰われていないか、見ていた薬師の男が振り返った。
「私は元気ですけど、父が昨夜、獣に襲われたらしくて足に怪我をしたんです。薬草を下さい」
「薬草はこの一つしかないんだ。運が良かったね」
薬師の男が一つの薬草を大切に取る。
キリトにはルウミナと薬師の会話が聞こえてなかった。
猟師を襲ったのは俺だが、それは仲間を撃ち殺したからだと、殺気が漲る。それを感じ取ったのかルウミナが振り向くとキリトに気づいて目を大きく見開いた。
「大変!すごい怪我!!」
キリトの頭の怪我を見てルウミナは買ったばかりの薬草を傷口に押し当てた。
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