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「食事に困らせない、同然だ!可愛い妹を空腹にされるわけないだろう!」

神妙な空気を崩す声を芳があげる。ただ何かに巻き込まれただけの状況であることだけは理解できた。
棺と、綺麗な状態の死体と、魂。嫌な予感しかない。

「……っ!!」

芳と千比絽も魂だけの姿になっていた。今にも泣きそうな琉美を千比絽が後ろから抱き締めて抱き上げる。小さな背中をぽんぽんと優しく撫でた。

「……妹はまだ4歳の普通の子です。異世界へのおでかけもお泊まりも認めません」

「いや、師匠の真名を呼んだんだ。普通じゃありえねぇんだよ、おっさん!」

少年は舌打ちした。やはり3人バラバラにして食いしん坊だけをこの世界に連れ込めばよかった、と後悔する。
例え、心に大きな傷が残っても時間をかけてゆっくりと修復させればいいだけだ、と。

「私はこの子の兄であり保護者です。用件は私を通して下さい。必要とあらば、私が噛み砕いて琉美さんにお話します」

芳の声は落ち着いていた。普通を何よりも愛している。そして妹を愛している。普通の幸せで包み込んであげたい。

夜中、琉美は泣くのだ。今ではない、人達に謝り泣く。
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肉体は滅びて、解放されなければならない。
悲しく不幸な物語の主人公にはさせない。

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