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第6話
しおりを挟む僕はいつからか目を閉ざすとありもしない世界を想像するようになった。
空想、という遊びだ。
目を閉じるとやわらかい風がふいて、僕を包み込んでくれる。
そこでは僕は顔を上げれる。
大きな声を出せるんだ。
「なんで、僕はぜんぜん楽しくないんだよ!おもしろくもないし笑えないんだよ!!」
不満をおもいっきり叫んだ。
すると世界が炎に包まれる。
火山が爆発するんだ。怒りがその空間いっぱいに表現されて脆く崩始める。
壊れていく、でも、そこは真っ暗にならない。
燃え盛った世界は花びらが舞い降りて色とりどりの本来の姿を取り戻す。
美しい世界。
でも、そこには人間が一人もいない。
花や木や、雲の流れ、水の音は鮮明に想像できるけど人間が分からないからだ。
パパを出してみようか、と思っても不思議と出てこない。
ママを出してみようか、と思っても声しかこの世界に届かない。姿は見せずに、起きてきなさい!という声が聞こえるのみ。
僕は空想の世界でも一人ぼっちだった。
でも、最初から人間がいないのだからここは現実の世界よりも過ごしやすい。
うとうとと、抱き枕を抱き締めて隅っこに丸まっている時が何よりも幸せな時である。
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