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「この鶴、強そうだね。嘴がするどくて牙みたいでかっこいい!」

優翔は心に浮かんだ言葉をそのまま告げた。
普通の鶴を折ったと思っていた真生はまじまじと手元にある白い鶴を見つめた。

「そう?お見舞いの鶴なのに狂暴そうに見えちゃうのって大丈夫かな。」

不安そうな表情を浮かべて真生は首を傾げる。大柄で強そうなイメージが沸き起こるけど、目元は優しい彼に優翔は気弱な印象を持った。

「大丈夫だよ。おばあちゃんの病を千本の鋭い嘴でやっつける!」

「そうだね。佐々木のおばあちゃんを千羽の鶴で助けよう。俺も折り鶴作るの手伝ってもいい?」

「え、いいの?すっごく助かる。ありがとう」

「もちろん。一人で千羽の鶴折るの大変だし、おばあちゃんって可愛いじゃん。大切にしなきゃ」

「うん、僕のおばあちゃんもすっごく可愛い。ちょっと僕のママに時々注文をたくさんいうのは不満だけど」

優翔は子供ながらも悩んでいた。優翔に甘いおばあちゃん美智子は父親、翔に対しても甘くて母親、純子に色々言うのだ。
もっと父親の好きな料理を作れだのなんだの。
本当は美智子自ら翔の好物を作ってクール宅急便で送りたい、とぼやいていたのを耳にしたことがある。しかし、純子は家庭的な性格で自分が作った手料理を家族に振る舞いたいひとである。
料理が苦手なずぼらな嫁だったら美智子の手料理を両手を叩いて喜んだのに。世の中上手くはいかない。

「苦労してんだな」

無意識にため息を洩らしている優翔を見て真生は気の毒そうに声をかけた。

「ううん。そんなに。比較的に平和なすれ違いだから」

根本は父親の翔を好きだっていうことで恨みとかそういう類いのものではない。

「ねえ、真生君。懐いてもいい?僕、君のことLikeになっちゃったみたい。一目惚れしちゃった」

「LOVEじゃないのかよ。いいよ、俺も親とかの悩みにため息を洩らしている佐々木にきゅんとしたから」

えへへと2人は笑いあった。
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