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「王子、ありがと。おかげで早く掃除が終わった」

ギルにお礼を言った。王子、と私に呼ばれたギルは不思議そうな顔をする。しまった、王子ってあだな、まだ早かったかなぁと心の中で少し焦る。

「王子!カノンナーイス!ギル君にぴったりな愛称!」

クラスメイト女子はその呼び方を気に入ったようで安心する。
女子を敵に回すと面倒臭い。
学校なんてただの通過点に過ぎない。
適当に過ごしてやり過ごす、そう私は思っている。

「ギル、嫌だったから嫌っていいなよ?私が呼んでおいてあれだけど」

「僕が王子だなんて、光栄だね」

ギルはふわりと微笑んだ。王子らしい物腰が柔らかな対応だ。
きゃー!とクラスメイト女子が一斉に顔を赤くして騒いだ。
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