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ざわり、とした。父親の気配を感じてコロロは自らの鼻をひくつかせる。まさか、とうちゃんが生き返ったのだろうか。と期待と不安が混じった複雑な感情が芽生える。
閉じた目蓋を開け、心もとない丸裸の無防備な姿で立ち上がった。
まだ夜は明けていない。
星が生まれたばかりの頃のようなしん、と静かな闇と新しい空気に包まれている。
おおーーん!!
遠くから紛れもないロクロの遠吠えがきこえる。
どくん、とコロロの小さな心臓が期待に跳ねあがった。
おおーーん!!
ココロも身体を反り返して声を精一杯はりあげる。
(とうちゃん!とうちゃん!!コロロはここにいるよ、とうちゃん!!)
返事を待つがしん、と辺りは静まり返る。焦れったい。ロクロの匂いがする方向にコロロは走り出した。
死んだ父親の匂いが、鳴き声がきこえるなんて可笑しな事である。しかし、奇跡を信じた。
死んだものに会いたいという気持ちは誰にでも芽生えても不思議ではない。
閉じた目蓋を開け、心もとない丸裸の無防備な姿で立ち上がった。
まだ夜は明けていない。
星が生まれたばかりの頃のようなしん、と静かな闇と新しい空気に包まれている。
おおーーん!!
遠くから紛れもないロクロの遠吠えがきこえる。
どくん、とコロロの小さな心臓が期待に跳ねあがった。
おおーーん!!
ココロも身体を反り返して声を精一杯はりあげる。
(とうちゃん!とうちゃん!!コロロはここにいるよ、とうちゃん!!)
返事を待つがしん、と辺りは静まり返る。焦れったい。ロクロの匂いがする方向にコロロは走り出した。
死んだ父親の匂いが、鳴き声がきこえるなんて可笑しな事である。しかし、奇跡を信じた。
死んだものに会いたいという気持ちは誰にでも芽生えても不思議ではない。
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