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第1章

18 人生論

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わいわいと賑やかに話がすすんでいく。

「俺の息子とスライムが大量発生している件の沼を調査して原因を突き止めて欲しいんだ。息子と協力して友情を育みつつ平和を取り戻してほしい、という我儘たっぷりのお願いなんだが」

先程シェオン達の家を取り囲んでいた騎士達の隊長であるルイスから、神様が困ったことを解決してくれるってよ、という話は聞いていた。
ガルロスはこの二人とは顔見知りであるが、ぶらり散歩している最中に偶然知り合った。王様だからという訳ではない。
怪しい家が突然城下町に出現したので調査してきます!と意気込む騎士達を止めなかった。
ルイスもシェオン達も悪いやつではない。
最初は誤解もするだろうが、きっと意気投合する。なんて楽観的にガルロスは考えていた。

「ミドッち、最初のお願いは友達になってくれっていうの何かほっこりすっし。俺っちも応援するっち!スライムなんてぼっこぼこにしてやんよ」

ボケ要因の二人はまったりとした空気を垂れ流していた。基本的な思考回路はにている。

「……僕はミドリが危険な目に遭わないようにするけど、友達作りは応援しないから」

マドカはむす、と正真正銘の不機嫌な顔で言った。特に機嫌が悪いわけでもない時でも、顔色を窺われたりする。怒っているのかな?と気を使われる。今は本当に機嫌が悪いから気を使って欲しいが、誰もそれに気が付かない。

「あの、王様ってどうやって気さくな感じになったんですか?話しやすいから秘訣あるのかなって」

翠は真剣な顔でガルロスに尋ねた。
因みに気さくな、は尊敬する意味で軽んじているわけではない。

「そうだなぁ、俺も若い頃は尖ってたんだ。荒ぶる黒獅子ってあだ名を付けられる程な。変わったのはガキが出来た頃か。人の親になるつーのは大きい」

「……っ!この子をうむしか!!」

「ミドリ、まだ早いから」

翠は目を大きく見開いて自らの腹部をなでなでと撫でながら真面目な顔で決意して叫ぶようにして言った。すかさずマドカが突っ込む。

「まあ、人生なるようにしかならん。駄目なときは駄目。しかし、最初から駄目って決めつけないでやってみるのが人生。駄目だと思ってたら意外とやれるのも人生」

「……それ、そこら辺の酒場にいるようなおっさんが言うのなら別にいいけど、王様のあんたが言うとこの国大丈夫かよって思うよ」

マドカが呆れたような顔を浮かべて言った。

「しかたないだろ、俺は王である前に一人のおっさんだ。人生ってやつを語りたくなる」

「……王様の人生論は前向きなので勉強になります。ぼくは、やる前に諦めてたから反省です」

翠は自分を恥じるように俯いた。

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