幼馴染みと、キス。

遊虎りん

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番外編

比奈偏3 葬儀のあと。

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周りの大人達が忙しく動いている。母を旅立たせる準備と、この世から存在を消し去る事務的な手続き。昨日、銀行行ってきたのにね。
ぼんやりと考えては、新しい涙が浮かぶ。それを堪えて引っ込めるが、また考えては涙が出ての繰返しで疲れた。
葬儀が終わった。

「比奈、…少し休め。顔色悪い、目を瞑るだけでいいから」

「大丈夫だよ、平気。昴、ありがとう。私は本当に大丈夫だから、帰っていいよ」

駄目だ。心配させては駄目だ。
私は可哀相じゃない。世の中にはたくさん、親と死別した人はいるんだから。いつまでも泣いてたりしちゃ駄目だ。
笑ったつもりだったけど、失敗してしまったらしい。昴の顔が一瞬泣きそうに歪んだように見えた。

「…俺のひざ枕、今しか出来ないぞ」

「それはひざ枕をしないといけませんね」

昴は膝を叩いて私を呼び寄せる。こくん、と頷いて私は昴の膝の上に頭を乗せて目を閉ざした。
目を閉ざすとすーと居敷が遠ざかる。涙をたくさん、我慢したり出したりしたから自分でも思っているよりずっと疲れていたらしい。
私は眠った。


ひな、……ひな、……

低い誰かが私を呼ぶ声。身動きが取れない。ぴーん、と体が張り詰める。気配がする。

「おい、比奈、大丈夫か?」

「……ん、す、ばる?大丈夫」

魘されている私に気づいて昴は声を掛けてくれた。顔の血の気が引いているのが分かる。

「今日、俺の家に泊まれよ。姉貴と一緒に寝たら?」

「うん、そうしてもらえると助かる」

心配かけたくないけど、一人でいるのが怖くて私はお願いした。

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