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◆裏側の人を呼んでみました
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『ブラジルの人、聞こえますかぁ!』
王太子達にどうやって説明すればいいのだろうかと考えていた時にふと、そんなギャグを思い出す。
「どうやって説明すれば……あ! そうだよ、重力だよ、引力だよ!」
「ケイン様?」
「ケイン、重力とは?」
「引力ってなんだ?」
俺の呟きにセバス様、王太子、デューク様が反応する。
「え~と、今から説明しますね。惑星の裏側の人達がどうしているのかって話ですよね」
「ああ、そうだ」
「俺にも分かる様に説明してくれよ」
「ケイン様、お手柔らかにお願いします」
「そんなに難しいことじゃないですよ。要はこういうことですから」
「「「ん?」」」
俺は土魔法で作った直径十センチメートルほどの球を手の平に載せ「いいですか、よく見てて下さいね」と王太子達に告げれば俺の前の大人三人は不思議そうにしながらも首を縦に振る。俺はそれを認めると「じゃあ、いきますよ」と声を掛け、手の平をひっくり返せば土の球は床に落ち形が崩れる。
「こういうことです」
「「「ん?」」」
「分かりましたか?」
「ただ、球を落としただけだろ?」
「ケイン、床掃除はしろよ」
「ケイン様、もう少し説明をお願いします」
「ん~」
彼の人は木から落ちた林檎を見て万有引力の法則を発表したけど、こっちではまだ誰も発表していないのかな? 下手に魔法があると物理法則がねじ曲げられるから難しいのかも知れないけど誰か発表しようよ……。
「えっとですね、俺が手の平を返したら下に落ちましたよね」
「そうだね。それが?」
「放せば下に落ちるのは当たり前だろうが」
「ケイン様、上には向かいませんよ?」
俺はふぅ~と嘆息してから「それが引力の仕業です」と言えば、三人は「引力ってなんだ?」と首を傾げる。
「え~さっきデューク様が言ったじゃないですか。下に落ちるのが当たり前だって」
「ああ、言ったな。だから、それがどうした?」
「だから、それが引力なんですって!」
「ん?」
「なるほど! そういうことですか、ケイン様」
「セバス様、分かってくれたんですね」
「セバス、どういうことだ?」
「ちょっと待って! ケイン、その『引力』の仕業で裏側の人達も地面に足が着いているんだね!」
「はい、その通りです」
「ちょ、ちょっと待て! ケイン、俺だけが分かってないのか?」
「ええ、そうみたいですよ。ふふふ」
「く……いや、でもおかしいだろ。なぜ、そうなるんだ?」
「ふふふ、デュークはまだ分からないようだな」
「旦那様……ご自分で仰っていたのに……」
「ぐぬぬ……」
三人の中で理解出来ないのはデューク様だけになったみたいだけど、このままじゃ可哀想だなと思いインベントリから磁石と鉄釘を取り出しデューク様の前に出す。
「デューク様、引力ってのは、こんな風に惑星が地面に縛り着ける力を指します。そして、惑星の上にいる人、物、全てが惑星の中心に引っ張られます」
「……ふむ、なるほど」
「デューク、本当に理解したのかい?」
「旦那様?」
「……分かっている。分かっているつもりだ。要は皆が中心に引っ張られているから、裏側の人間も立っていられる。そういうことなんだろ? ケインよ」
「ええ、合っていますよ」
「ほら、みろ!」
「不敬だな」
「旦那様……」
「あ……いえ、そんなつもりは……」
「ふふふ、まあいいよ。それに引力の説明は分かったけど、あまり口外はしないで欲しいかな」
「それは「しないでね?」……はい」
ここで追求しても面倒そうなので今はこれでいいかと納得した振りをすることにした。
「殿下、我々が立つ地面が丸かったことについても同様でしょうか?」
「そうだね。私達が率先して言うことでもないでしょ。今後、船の開発が進み大洋へと人が手を広げれば自然と分かるのではないかと思いますよ」
「それもそうですね」
「だから、その為にもケインには是非、大型船を「イヤですよ」……え?」
「ケイン、お前……」
「だって、まだ王太子の車もまだなのに船を作れって言われても困りますよ」
「ふふふ、それもそうか。まあ、いいよ。頭の片隅にでも入れといてよ」
「分かりました。じゃ、俺はこれで「まだだよ」……え?」
これで諸々の説明も終わったから帰ろうとすれば、王太子から「まだ」と呼び止められる。
「えっと、まだ何かありましたか?」
「紹介してもらってないけど?」
「ん?」
「だから、その龍だよ」
「えっと、いいんですか?」
「いいよ」
王太子に許諾されたので、屋敷の主人であるデューク様の方を見れば、諦めた様な顔付きで渋々と首を縦に振る。
「じゃあ、連れて来ますけど……」
「ああ、頼むよ」
王太子が和やかに俺を送り出してくれたので、俺は転移ゲートを遊具施設の試験場へと繋いだ瞬間に『ゴー!』という音と共に『キャ~!』と女性の可愛らしい悲鳴が聞こえてきた。
「ケイン、今のは?」
「じゃ、呼んで来ますね!」
面倒なことになりそうだったので、俺は王太子を振り切りマサオ達の元へと急ぐのだった。
王太子達にどうやって説明すればいいのだろうかと考えていた時にふと、そんなギャグを思い出す。
「どうやって説明すれば……あ! そうだよ、重力だよ、引力だよ!」
「ケイン様?」
「ケイン、重力とは?」
「引力ってなんだ?」
俺の呟きにセバス様、王太子、デューク様が反応する。
「え~と、今から説明しますね。惑星の裏側の人達がどうしているのかって話ですよね」
「ああ、そうだ」
「俺にも分かる様に説明してくれよ」
「ケイン様、お手柔らかにお願いします」
「そんなに難しいことじゃないですよ。要はこういうことですから」
「「「ん?」」」
俺は土魔法で作った直径十センチメートルほどの球を手の平に載せ「いいですか、よく見てて下さいね」と王太子達に告げれば俺の前の大人三人は不思議そうにしながらも首を縦に振る。俺はそれを認めると「じゃあ、いきますよ」と声を掛け、手の平をひっくり返せば土の球は床に落ち形が崩れる。
「こういうことです」
「「「ん?」」」
「分かりましたか?」
「ただ、球を落としただけだろ?」
「ケイン、床掃除はしろよ」
「ケイン様、もう少し説明をお願いします」
「ん~」
彼の人は木から落ちた林檎を見て万有引力の法則を発表したけど、こっちではまだ誰も発表していないのかな? 下手に魔法があると物理法則がねじ曲げられるから難しいのかも知れないけど誰か発表しようよ……。
「えっとですね、俺が手の平を返したら下に落ちましたよね」
「そうだね。それが?」
「放せば下に落ちるのは当たり前だろうが」
「ケイン様、上には向かいませんよ?」
俺はふぅ~と嘆息してから「それが引力の仕業です」と言えば、三人は「引力ってなんだ?」と首を傾げる。
「え~さっきデューク様が言ったじゃないですか。下に落ちるのが当たり前だって」
「ああ、言ったな。だから、それがどうした?」
「だから、それが引力なんですって!」
「ん?」
「なるほど! そういうことですか、ケイン様」
「セバス様、分かってくれたんですね」
「セバス、どういうことだ?」
「ちょっと待って! ケイン、その『引力』の仕業で裏側の人達も地面に足が着いているんだね!」
「はい、その通りです」
「ちょ、ちょっと待て! ケイン、俺だけが分かってないのか?」
「ええ、そうみたいですよ。ふふふ」
「く……いや、でもおかしいだろ。なぜ、そうなるんだ?」
「ふふふ、デュークはまだ分からないようだな」
「旦那様……ご自分で仰っていたのに……」
「ぐぬぬ……」
三人の中で理解出来ないのはデューク様だけになったみたいだけど、このままじゃ可哀想だなと思いインベントリから磁石と鉄釘を取り出しデューク様の前に出す。
「デューク様、引力ってのは、こんな風に惑星が地面に縛り着ける力を指します。そして、惑星の上にいる人、物、全てが惑星の中心に引っ張られます」
「……ふむ、なるほど」
「デューク、本当に理解したのかい?」
「旦那様?」
「……分かっている。分かっているつもりだ。要は皆が中心に引っ張られているから、裏側の人間も立っていられる。そういうことなんだろ? ケインよ」
「ええ、合っていますよ」
「ほら、みろ!」
「不敬だな」
「旦那様……」
「あ……いえ、そんなつもりは……」
「ふふふ、まあいいよ。それに引力の説明は分かったけど、あまり口外はしないで欲しいかな」
「それは「しないでね?」……はい」
ここで追求しても面倒そうなので今はこれでいいかと納得した振りをすることにした。
「殿下、我々が立つ地面が丸かったことについても同様でしょうか?」
「そうだね。私達が率先して言うことでもないでしょ。今後、船の開発が進み大洋へと人が手を広げれば自然と分かるのではないかと思いますよ」
「それもそうですね」
「だから、その為にもケインには是非、大型船を「イヤですよ」……え?」
「ケイン、お前……」
「だって、まだ王太子の車もまだなのに船を作れって言われても困りますよ」
「ふふふ、それもそうか。まあ、いいよ。頭の片隅にでも入れといてよ」
「分かりました。じゃ、俺はこれで「まだだよ」……え?」
これで諸々の説明も終わったから帰ろうとすれば、王太子から「まだ」と呼び止められる。
「えっと、まだ何かありましたか?」
「紹介してもらってないけど?」
「ん?」
「だから、その龍だよ」
「えっと、いいんですか?」
「いいよ」
王太子に許諾されたので、屋敷の主人であるデューク様の方を見れば、諦めた様な顔付きで渋々と首を縦に振る。
「じゃあ、連れて来ますけど……」
「ああ、頼むよ」
王太子が和やかに俺を送り出してくれたので、俺は転移ゲートを遊具施設の試験場へと繋いだ瞬間に『ゴー!』という音と共に『キャ~!』と女性の可愛らしい悲鳴が聞こえてきた。
「ケイン、今のは?」
「じゃ、呼んで来ますね!」
面倒なことになりそうだったので、俺は王太子を振り切りマサオ達の元へと急ぐのだった。
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