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◆全部、知られていました
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「では、僭越ながら私から説明させて頂きます」
「ああ、頼む」
「はい。私が考えるに警報が鳴ったのは……」
俺の目の前ではセバス様が俺が龍姉妹をこの屋敷に連れて来た瞬間に(とは言っても勝手に龍姉妹が着いて来ただけで俺は悪くないよね?)警報が鳴り出し、セバス様が俺に二人を連れ屋敷から出て行った後に警報が鳴り止んだことと、さっきの写真を俺が見せたことから、白髪に近い金髪の女性がこの写真に写っている龍だと推察されますと、綺麗に纏めた後に俺に向かって「何か誤りか補足があればお願いします」と言われたので何もありませんとだけ答えた。
「龍だと……」
「ケイン、お前は世界を滅ぼす気か……」
「ふふふ、さすがはケイン様です」
王太子が信じられないと呟き、デューク様は俺が何か起こすつもりなのかと的外れなことを言いだし、セバス様からは何故かお褒めの言葉を頂いた。
「いや、俺は巻き込まれただけなんですけどね」
「巻き込まれた?」
「ケインよ。それはお前が一番、言ってはいけない台詞だな」
「いつものことでございます。日常茶飯事ですね」
「セバス様?」
俺はユリシアさんに脅され巻き込まれだけのつもりだったのだが、王太子は俺の言葉に疑問符を浮かべ、デューク様はデューク様で騒ぎの原因はいつも俺だと暗に言っているし、セバス様もそれを肯定するので、俺がジト目でセバス様を見ればセバス様が俺に頭を下げる。
「これは失礼しました。ですが、旦那様の仰る様に旦那様の周囲で何か騒ぎが起これば、その騒動の中心には必ずと言っていいほどケイン様がいますので、強ち嘘とは言えません」
「あ~そう言われちゃうとなぁ……」
「分かったのなら、少しは自重しろ!」
「……はい」
セバス様の説明に頷きはしたものの、デューク様の言う自重しろは納得いかない。
なので、デューク様にはユリシアさんと遭遇したことを話して、俺が率先して連れて来た訳では無いことを話せばセバス様から「あぁ~」と声が漏れる。
そんなセバス様の声で俺も「あ!」と気付くが時既に遅かったようで、王太子とデューク様が俺の顔をジッと見て「全て話せ!」と迫る。
俺はセバス様に助けを求めるが、セバス様は無言で首を横に振るだけだった。
「ケインよ。私も一応手の者からある程度の報告は聞いている。内容としては、そこにいるデューク以上に熟知しているつもりだ」
「え?」
「だが、その私の耳にもまだ入っていないことがあると分かれば、このまま放置は出来ない。話して貰えるな」
「……セバス、これはどういうことだ? お前は知っているのか?」
「そうですね。原因となった龍以外はほぼ熟知しているかと思われます」
「ケイン……」
「えっと……そのですね」
王太子が諜報活動で俺やガンツさんの行動を把握しているのは、王太子自身からの報告で知ってはいたが、流石に昨日今日起きたことまでは、まだ報告書として上がってないだろうから龍姉妹のことを知らないのは無理もない。でも、デューク様に関しては必要以上のことは漏らさないようにセバス様と共謀して調整している。だから、王太子の方がデューク様より、俺達のことを知っているのはしょうがないことだと思う。
でも、それが面白くないのかセバス様を責めるように言うが、セバス様はセバス様で何故か俺達と言うか俺のことは熟知しているのだからしょうがない。
だから、この中で自分が一番知らされていないことが多いと知ったデューク様が俺を責めるような目で見てくるので、俺も「後からガンツさんに怒られるな」とか考えながらも、腹を括り話し始める。
「……って、ことです」
「つまりは、ケインはその……龍に脅され仕方なく同道を許したと……そう言いたい訳だな」
「まあ、端的に言えばそう言うことです」
「ふむ、そうか。では……敢えて、この国を侵略、もしくは世界を破滅に導こうとか、そういう気持ちはないということだな」
「はい! 決して、そんなことは考えてません!」
「でも、出来るのだろう?」
「はい、出来ます! あ……」
王太子は俺の話を聞いた後に俺の言い訳を呑んでくれた様に思えたが、その次の言葉が「世界征服」を疑う言葉だったので俺がそれを必死で否定すれば「やれば出来るのだろう」との誘い水に思わず「はい」と返事してしまったことで王太子は苦笑し、デューク様は顔を手で抑え天井を仰ぎ、セバス様は「さすが、ケイン様!」と拍手していた。
「ケインよ、少しいいか?」
「……はい。なんでしょうか?」
「その、お前の話の中で『空を飛んで』と何度かあったが、それは本当なのか?」
「あ……」
俺はデューク様からの質問に対し返答に困りセバス様を見れば、セバス様は黙って頷いたので俺も「はい」と答える。
「ならば、もう一つ聞く。俺はソレに乗ったことはあるのか?」
「……はい」
「そうか。ならば、俺がそれを覚えていないのはどういうことか説明は出来るのだろうな?」
「えっと、それは……」
「旦那様、それは私から」
「セバス、やはりお前の入れ知恵か。まあいい、話せ」
「はい。では……」
エルフの里まで行った時にデューク様は確かに飛行機に乗っている。だが、まだ公表するには時期尚早と言うことでセバス様と相談し、記憶を曖昧にすることにしたのだ。
そして、その理由をセバス様が今からデューク様に説明しようとしている。
俺はその様子をデューク様が怒らないようにと固唾を呑んで見守り、王太子はニヤニヤしながら見ていた。
「ああ、頼む」
「はい。私が考えるに警報が鳴ったのは……」
俺の目の前ではセバス様が俺が龍姉妹をこの屋敷に連れて来た瞬間に(とは言っても勝手に龍姉妹が着いて来ただけで俺は悪くないよね?)警報が鳴り出し、セバス様が俺に二人を連れ屋敷から出て行った後に警報が鳴り止んだことと、さっきの写真を俺が見せたことから、白髪に近い金髪の女性がこの写真に写っている龍だと推察されますと、綺麗に纏めた後に俺に向かって「何か誤りか補足があればお願いします」と言われたので何もありませんとだけ答えた。
「龍だと……」
「ケイン、お前は世界を滅ぼす気か……」
「ふふふ、さすがはケイン様です」
王太子が信じられないと呟き、デューク様は俺が何か起こすつもりなのかと的外れなことを言いだし、セバス様からは何故かお褒めの言葉を頂いた。
「いや、俺は巻き込まれただけなんですけどね」
「巻き込まれた?」
「ケインよ。それはお前が一番、言ってはいけない台詞だな」
「いつものことでございます。日常茶飯事ですね」
「セバス様?」
俺はユリシアさんに脅され巻き込まれだけのつもりだったのだが、王太子は俺の言葉に疑問符を浮かべ、デューク様はデューク様で騒ぎの原因はいつも俺だと暗に言っているし、セバス様もそれを肯定するので、俺がジト目でセバス様を見ればセバス様が俺に頭を下げる。
「これは失礼しました。ですが、旦那様の仰る様に旦那様の周囲で何か騒ぎが起これば、その騒動の中心には必ずと言っていいほどケイン様がいますので、強ち嘘とは言えません」
「あ~そう言われちゃうとなぁ……」
「分かったのなら、少しは自重しろ!」
「……はい」
セバス様の説明に頷きはしたものの、デューク様の言う自重しろは納得いかない。
なので、デューク様にはユリシアさんと遭遇したことを話して、俺が率先して連れて来た訳では無いことを話せばセバス様から「あぁ~」と声が漏れる。
そんなセバス様の声で俺も「あ!」と気付くが時既に遅かったようで、王太子とデューク様が俺の顔をジッと見て「全て話せ!」と迫る。
俺はセバス様に助けを求めるが、セバス様は無言で首を横に振るだけだった。
「ケインよ。私も一応手の者からある程度の報告は聞いている。内容としては、そこにいるデューク以上に熟知しているつもりだ」
「え?」
「だが、その私の耳にもまだ入っていないことがあると分かれば、このまま放置は出来ない。話して貰えるな」
「……セバス、これはどういうことだ? お前は知っているのか?」
「そうですね。原因となった龍以外はほぼ熟知しているかと思われます」
「ケイン……」
「えっと……そのですね」
王太子が諜報活動で俺やガンツさんの行動を把握しているのは、王太子自身からの報告で知ってはいたが、流石に昨日今日起きたことまでは、まだ報告書として上がってないだろうから龍姉妹のことを知らないのは無理もない。でも、デューク様に関しては必要以上のことは漏らさないようにセバス様と共謀して調整している。だから、王太子の方がデューク様より、俺達のことを知っているのはしょうがないことだと思う。
でも、それが面白くないのかセバス様を責めるように言うが、セバス様はセバス様で何故か俺達と言うか俺のことは熟知しているのだからしょうがない。
だから、この中で自分が一番知らされていないことが多いと知ったデューク様が俺を責めるような目で見てくるので、俺も「後からガンツさんに怒られるな」とか考えながらも、腹を括り話し始める。
「……って、ことです」
「つまりは、ケインはその……龍に脅され仕方なく同道を許したと……そう言いたい訳だな」
「まあ、端的に言えばそう言うことです」
「ふむ、そうか。では……敢えて、この国を侵略、もしくは世界を破滅に導こうとか、そういう気持ちはないということだな」
「はい! 決して、そんなことは考えてません!」
「でも、出来るのだろう?」
「はい、出来ます! あ……」
王太子は俺の話を聞いた後に俺の言い訳を呑んでくれた様に思えたが、その次の言葉が「世界征服」を疑う言葉だったので俺がそれを必死で否定すれば「やれば出来るのだろう」との誘い水に思わず「はい」と返事してしまったことで王太子は苦笑し、デューク様は顔を手で抑え天井を仰ぎ、セバス様は「さすが、ケイン様!」と拍手していた。
「ケインよ、少しいいか?」
「……はい。なんでしょうか?」
「その、お前の話の中で『空を飛んで』と何度かあったが、それは本当なのか?」
「あ……」
俺はデューク様からの質問に対し返答に困りセバス様を見れば、セバス様は黙って頷いたので俺も「はい」と答える。
「ならば、もう一つ聞く。俺はソレに乗ったことはあるのか?」
「……はい」
「そうか。ならば、俺がそれを覚えていないのはどういうことか説明は出来るのだろうな?」
「えっと、それは……」
「旦那様、それは私から」
「セバス、やはりお前の入れ知恵か。まあいい、話せ」
「はい。では……」
エルフの里まで行った時にデューク様は確かに飛行機に乗っている。だが、まだ公表するには時期尚早と言うことでセバス様と相談し、記憶を曖昧にすることにしたのだ。
そして、その理由をセバス様が今からデューク様に説明しようとしている。
俺はその様子をデューク様が怒らないようにと固唾を呑んで見守り、王太子はニヤニヤしながら見ていた。
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