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◆バラバラの部品を見つけました
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「信号の位置だとこの辺なんだけどな……マサオ、何か見えない?」
『そう言われてもな~ん? んんん?』
「どうしたの?」
『ケイン、アレに見覚えないか?』
「どれ?」
『アレだよ。アレ!』
「え?」
機体底部に付けたモニターカメラの映像をマサオが器用に前足で指すが、前足がデカすぎてどこだか分からない。しょうがないので画像を拡大しながら、マサオにどれかを確認していると『そこ!』と言われたので、俺も拡大した画像をよく見ると思わず声が出る。
「え! これって……」
『あ~やっぱりか。どうりで見覚えあると思ったよ。ガンツ、成仏してくれ』
「もう、マサオ。気が早すぎだよ」
『そうか? でも、これだけ機体がバラバラなんだぞ。悲しいけど前を向こうぜ。ケイン』
「そうだけど……」
確かにマサオが言うように地面にはガンツさんの機体「ホーク号」がバラバラになっている。なってはいるんだけど、どこか違和感があるのでマサオの事故説は素直に受け入れられなかった。
そんな風に軽いショックを受けながらも違和感を払拭しようと上空からバラバラの部品を眺めていると違和感の正体が分かった気がした。
「あれ? バラバラじゃない」
『は? 何言ってんだ? よく見ろよ、あんなにバラバラなんだぞ』
「だからさ、確かにバラバラなんだけど並べられているでしょ。ほら、よく見てよ」
『ん? あ! そう言われれば確かにそういう風にも見えるな』
「でしょ。これは近くで見ないと分からないよ」
『だな。よし、降りよう』
「うん」
マサオも俺の言いたいことが分かってくれたのか、降りて調べようということになったので機体をゆっくりと降下させる。
機体を降りてから気付いたけど、どこかからお酒の匂いがプンプンしてくる。
「マサオ、匂う?」
『ああ、こりゃ酒の匂いだな。フンフン……どうやら、あっちの方から匂ってくるな』
「そうか。じゃあ、その方向にガンツさんがいる可能性があるんだね」
『そうかもな』
「じゃあ、行く前にこれを片付けようか。このまんまじゃ小さな部品とかなくしそうだし」
俺は機体をインベントリに収納した後に草むらに広げられたホーク号の部品もインベントリに収納する。
「よし、じゃあ行こうか」
『なんかあまり気が進まないけど、アンジェの為でもあるしな』
「だよね。アンジェさんの為に行こう」
『ああ、アンジェの為に!』
マサオが地面に鼻を近付け匂いを辿るが、別にそんなことをしなくても「絶対にそこでしょ」とハッキリした場所が目の前にある。でも、せっかくマサオが頑張っているしな~とか思っているとマサオがキリッとした顔で「ここだな」と言ったのが俺もさっきからココしかないと思っていた場所。いわゆる門を前にしている。
「えっと、入っていいのかな?」
『門番みたいなのもいないしいいんじゃないか』
「そうだね。じゃ、遠慮なく」
門の横の通用口みたいな小さい戸を開けて中へ入ると、そこには死屍累々といった感じでいかにもなドワーフのおじさん達が寝転がっている。
「うわぁ~ここまでは予想通りだけど……この中からガンツさんを探すの面倒だな~そうだ! マサオ、ガンツさんの匂い覚えているでしょ。ガンツさんを嗅ぎ分けてよ」
『……お前、本気で言っているのか? この俺にオジサンの匂いを嗅げと』
「そうだよ。だって俺には分からないもん」
『分からないもん……じゃねえ! なんで俺がオジサンの匂いを嗅がなきゃイケないんだよ~』
「さあ? ここには出来るのがマサオしかいないからじゃないの。ほら、さっさとやっちゃて!」
『どうしてもか……』
「うん、どうしても」
『俺がイヤだと言ってもか?』
「うん、だってマサオにしか出来ないことでしょ」
『だが、その前に見た目で分かるんじゃないのか?』
「ホントにそう思う?」
『ああ、思うぞ。思わせてくれよ!』
「でもさ、見てよこれ。同じ様な髭面に樽の様な体型で顔の殆どが髭で隠されているから特徴なんか分かりもしないじゃない。これって間違い探しのレベルだよ。だから、頑張って!」
『ぐぬぬ……仕方ないか。要はガンツが分かればいいんだよな』
「そうだね。マサオに見分けが付くなら匂いを嗅がなくてもいいんじゃない」
『……うん、ムリだな』
「じゃあ、頑張って嗅ぐしかないね」
『いや、そうじゃない』
「え? どういうこと?」
『見つけるのが困難なら、本人に申告してもらえばいいんだよ。な? 簡単なことだろ』
「ん? どういうこと?」
『だからな、こうすればいいんだよ! ワオォォォォォ~ン!』
「うわっ……急に遠吠えなんかして……あ!」
『な、簡単だろ』
マサオに匂いを嗅いで貰ってガンツさんを探し出してもらおうかと思ったが、マサオが俺に任せろと言って遠吠えを一節かますと寝転がっていたドワーフのオジサン達が「なにごとだ!」とスクッと立ち上がった。そして、その中にまだ爆睡していたオジサン二人がいたので近付くとガンツさんとイーガンさんの二人だったので体を揺すって起こす。
「んんん? なんだアンジェよ。もう少し優しく「ガンツさん!」……ん? アンジェじゃない……えっと……」
「もう、ガンツさんってば!」
「お、ケインか。どうしたわざわざ起こしに来たのか?」
「ガンツさん、まだ寝惚けているの? ここがどこか覚えてる?」
「ここ? 何を言ってるんだ? ここは……ん? ここはどこだ?」
「ハァ~ガンツさん。アンジェさんから伝言ね」
「アンジェから?」
「うん、『帰ってきたら楽しみにしといて』だって」
「……ケイン、ワシをすぐに帰してくれ! 頼む、この通りだ!」
「ちょ、ちょっと待ってよガンツさん。その前にどうして電話が通じなかったのか、どうしてホーク号がバラバラだったのかを教えてくれるかな?」
『ケイン、また顔が悪いぞ』
「だから、こういう時は『悪い顔』だって。ほら、ガンツさん正直に言おうか? さあ!」
「怒るから言わない!」
『そう言われてもな~ん? んんん?』
「どうしたの?」
『ケイン、アレに見覚えないか?』
「どれ?」
『アレだよ。アレ!』
「え?」
機体底部に付けたモニターカメラの映像をマサオが器用に前足で指すが、前足がデカすぎてどこだか分からない。しょうがないので画像を拡大しながら、マサオにどれかを確認していると『そこ!』と言われたので、俺も拡大した画像をよく見ると思わず声が出る。
「え! これって……」
『あ~やっぱりか。どうりで見覚えあると思ったよ。ガンツ、成仏してくれ』
「もう、マサオ。気が早すぎだよ」
『そうか? でも、これだけ機体がバラバラなんだぞ。悲しいけど前を向こうぜ。ケイン』
「そうだけど……」
確かにマサオが言うように地面にはガンツさんの機体「ホーク号」がバラバラになっている。なってはいるんだけど、どこか違和感があるのでマサオの事故説は素直に受け入れられなかった。
そんな風に軽いショックを受けながらも違和感を払拭しようと上空からバラバラの部品を眺めていると違和感の正体が分かった気がした。
「あれ? バラバラじゃない」
『は? 何言ってんだ? よく見ろよ、あんなにバラバラなんだぞ』
「だからさ、確かにバラバラなんだけど並べられているでしょ。ほら、よく見てよ」
『ん? あ! そう言われれば確かにそういう風にも見えるな』
「でしょ。これは近くで見ないと分からないよ」
『だな。よし、降りよう』
「うん」
マサオも俺の言いたいことが分かってくれたのか、降りて調べようということになったので機体をゆっくりと降下させる。
機体を降りてから気付いたけど、どこかからお酒の匂いがプンプンしてくる。
「マサオ、匂う?」
『ああ、こりゃ酒の匂いだな。フンフン……どうやら、あっちの方から匂ってくるな』
「そうか。じゃあ、その方向にガンツさんがいる可能性があるんだね」
『そうかもな』
「じゃあ、行く前にこれを片付けようか。このまんまじゃ小さな部品とかなくしそうだし」
俺は機体をインベントリに収納した後に草むらに広げられたホーク号の部品もインベントリに収納する。
「よし、じゃあ行こうか」
『なんかあまり気が進まないけど、アンジェの為でもあるしな』
「だよね。アンジェさんの為に行こう」
『ああ、アンジェの為に!』
マサオが地面に鼻を近付け匂いを辿るが、別にそんなことをしなくても「絶対にそこでしょ」とハッキリした場所が目の前にある。でも、せっかくマサオが頑張っているしな~とか思っているとマサオがキリッとした顔で「ここだな」と言ったのが俺もさっきからココしかないと思っていた場所。いわゆる門を前にしている。
「えっと、入っていいのかな?」
『門番みたいなのもいないしいいんじゃないか』
「そうだね。じゃ、遠慮なく」
門の横の通用口みたいな小さい戸を開けて中へ入ると、そこには死屍累々といった感じでいかにもなドワーフのおじさん達が寝転がっている。
「うわぁ~ここまでは予想通りだけど……この中からガンツさんを探すの面倒だな~そうだ! マサオ、ガンツさんの匂い覚えているでしょ。ガンツさんを嗅ぎ分けてよ」
『……お前、本気で言っているのか? この俺にオジサンの匂いを嗅げと』
「そうだよ。だって俺には分からないもん」
『分からないもん……じゃねえ! なんで俺がオジサンの匂いを嗅がなきゃイケないんだよ~』
「さあ? ここには出来るのがマサオしかいないからじゃないの。ほら、さっさとやっちゃて!」
『どうしてもか……』
「うん、どうしても」
『俺がイヤだと言ってもか?』
「うん、だってマサオにしか出来ないことでしょ」
『だが、その前に見た目で分かるんじゃないのか?』
「ホントにそう思う?」
『ああ、思うぞ。思わせてくれよ!』
「でもさ、見てよこれ。同じ様な髭面に樽の様な体型で顔の殆どが髭で隠されているから特徴なんか分かりもしないじゃない。これって間違い探しのレベルだよ。だから、頑張って!」
『ぐぬぬ……仕方ないか。要はガンツが分かればいいんだよな』
「そうだね。マサオに見分けが付くなら匂いを嗅がなくてもいいんじゃない」
『……うん、ムリだな』
「じゃあ、頑張って嗅ぐしかないね」
『いや、そうじゃない』
「え? どういうこと?」
『見つけるのが困難なら、本人に申告してもらえばいいんだよ。な? 簡単なことだろ』
「ん? どういうこと?」
『だからな、こうすればいいんだよ! ワオォォォォォ~ン!』
「うわっ……急に遠吠えなんかして……あ!」
『な、簡単だろ』
マサオに匂いを嗅いで貰ってガンツさんを探し出してもらおうかと思ったが、マサオが俺に任せろと言って遠吠えを一節かますと寝転がっていたドワーフのオジサン達が「なにごとだ!」とスクッと立ち上がった。そして、その中にまだ爆睡していたオジサン二人がいたので近付くとガンツさんとイーガンさんの二人だったので体を揺すって起こす。
「んんん? なんだアンジェよ。もう少し優しく「ガンツさん!」……ん? アンジェじゃない……えっと……」
「もう、ガンツさんってば!」
「お、ケインか。どうしたわざわざ起こしに来たのか?」
「ガンツさん、まだ寝惚けているの? ここがどこか覚えてる?」
「ここ? 何を言ってるんだ? ここは……ん? ここはどこだ?」
「ハァ~ガンツさん。アンジェさんから伝言ね」
「アンジェから?」
「うん、『帰ってきたら楽しみにしといて』だって」
「……ケイン、ワシをすぐに帰してくれ! 頼む、この通りだ!」
「ちょ、ちょっと待ってよガンツさん。その前にどうして電話が通じなかったのか、どうしてホーク号がバラバラだったのかを教えてくれるかな?」
『ケイン、また顔が悪いぞ』
「だから、こういう時は『悪い顔』だって。ほら、ガンツさん正直に言おうか? さあ!」
「怒るから言わない!」
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