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◆ぷっちんしました
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リーサさんが夕食を作っている横で俺はカーネルさんの家で作った時と同じ様に魔導コンロをインベントリから取り出し、リーサさんの調理の邪魔にならないようにプリンを作る。途中、甘い匂いにかられて母さんだけでなく兄ズまで味見を期待して俺の側に来ようとしたが、そこにはマサオが寝転がり俺の邪魔をしないようにと追い払ってくれた。
「なんだよマサオも気になっているんだろ」
「そうだよ。少しくらいいいじゃないか」
「ダメなの?」
『気持ちは分かるが、今ここでケインの邪魔をして少しだけの味見で済ませるか、大人しく出来上がりを待って十分堪能するのとどっちがいいか分かるだろ』
「「「ぐっ……」」」
『分かったのなら、行ってくれ。俺だってお前達がケインの邪魔をしてプリンが食えなくなるのが一番辛いんだからな』
「そうよね。ケインに『作らない』って言われたら元も子もないわね」
「ケインなら考えられるね」
「そうなのか?」
「「そうなの!」」
「ぐっ……分かったよ」
兄ズと母さんはマサオに説得されて大人しくソファの方へと戻っていった。俺とリーサさんはその様子を黙って見ていたのだが、あのマサオが率先して俺を気遣ってくれたのがなんとなく嬉しく思えたので小声でマサオを呼ぶと、その口の中に『アーモンドチョコレート』を一粒だけ放り込む。
『甘っ! これだから、ケインの側にいるのはたまらないんだよ』
「えっ……それだけ……なの?」
『あっ、も、もちろんそれだけじゃないぞ。うん、ないぞ。ない!』
「ふ~ん、まあいいけど。引き続きお願いね」
『おう、任せろ!』
その後はスライム樹脂製の器に移して蒸すところまで終わらせたので、冷蔵庫の中に入れてからリーサさんを手伝い夕食の準備が出来上がる。
夕食が出来たと告げるといつもならダラダラとテーブルに着く兄ズが真っ先に椅子に座り配膳されるのを待っていた。
「えっと、兄さん達はどうしたの?」
「なにがだ?」
「そうだよ。いつも通りでしょ。おかしなこと言わないでよ」
「くくく、此奴らは夕食をさっさと済ませてケインの新作デザートを早く食いたいだけだろうよ」
「そういうヘレンさんもいつもより早いよね?」
「わ、ワシは違うぞ。断じて違うからな!」
「はいはい、分かりました。でも、夕食を早く食べたからって直ぐには出さないからね」
「「「え?」」」
「そりゃ、そうでしょ。夕食後のデザートは皆で揃って食べるのがルールでしょ」
「そうだった……」
「だから、言ったのに……」
「ワシは早めに家に帰るから……」
「じゃあ、ヘレンさんはここで「イヤじゃ! 夕食も食べさせてくれないのか!」……えっと、急ぐのならと思ったんだけど」
「あ、思い出した! それほど急いで帰る必要もなかったわ」
「「「……」」」
「な、なんじゃその目は……」
「別に」
夕食を早く食べ終えればデザートを誰より早く食べられると思っていたらしい兄ズとヘレンさんには皆が食べ終わってからデザートは出すんだから、早く食べても意味がないことを言うと、ヘレンさんは早く帰りたいからと自分だけは食後直ぐにでも出す様に言ってきたので、そんなに急ぐのなら直ぐに帰ればと言えば態度が急変したので兄ズだけでなく俺も含めその場にいる人達がヘレンさんをジッと見てしまう。
なんとか夕食を食べ終えたのだが、皆が皆、急いで食べなければみたいな雰囲気になり「ごちそうさま」も口の中に入ったまま言っていたりする。
「じゃあ、お待ちかねのデザートを出すから、テーブルの上を片付けてね」
「「「は~い!」」」
俺のお願いにいつもなら渋々といった感じで食器を流しに持っていくサム兄さんの足取りがなんとなくだけどスキップしているように見えてしまう。
「見てよケイン。サム兄さんがあんなに嬉しそうだよ。相当期待しているね」
「うん、俺もビックリだよ」
「あら、私はそれ以上よ」
「母さん……」
サム兄さんにも驚いたのだが、それを上回る勢いなのが母さんだった。
では、皆の期待に応えてプリン様を冷蔵庫から取り出すと小皿の上にプリンが入った器とスプーンを乗せてから皆の前に並べる。
「うわ~いい匂い。ね、食べていいんだよね」
「ちょっと待って」
「え? どうして?」
「それはね……」
デイヴがスプーンを右手に持ち食べ始めようとしたところで、俺から待ったがかかり泣きそうな顔になる。だから、俺は自分の真似をするようにと皆に言うとプリンが入った器を上下逆さまにして皿の上に伏せる。
「ケイン、そんなことしたら食べられないじゃない!」
「そうだよ、なんでそんなことするんだ!」
「ケイン、理由があるんでしょ。母さん達も落ち着いて話を聞こうよ」
母さんとサム兄さんが俺がしたことを責め立てるように言うがクリス兄さんだけは違った。さすがに我が家唯一の俺の一番の理解者だ。クリス兄さんの言葉に俺の口角も上がるというものだ。
「うん、クリス兄さん。ありがとう。母さん、サム兄さん、クリス兄さんの言う通りだよ。俺がそんな意地悪なことする訳ないでしょ」
「そうかな?」
「そうよね」
『結構、あったぞ』
「あれ? ま、いいか。これから俺がすることをちゃんと見ててよ。その前に皆も俺がやったように皿に器を伏せてもらえるかな」
「やるのね。本当に大丈夫なのよね? ちゃんと食べられるのよね?」
「やるのはいいけど、ちゃんと食べさせてくれよ」
「もう、二人とも早くしないと、ケインも先に進めないでしょ」
「分かったわよ」
「分かったよ」
クリス兄さんの言葉に母さんとサム兄さんは渋々といった感じで皿の上に器を伏せた。
「これでいいのよね」
「それで、これからどうやって食べるんだ?」
「確かにそうだよね。ん? あ! ケイン、コレが決め手なんだね」
「あちゃ~クリス兄さんには分かっちゃったか。そう、クリス兄さんが言うようにこれを……こうやって……」
「「「え?」」」
なんとか皆が器を皿に伏せたところでクリス兄さんが、底の仕掛けらしき物に気が付き俺に正解を求めてくる。なので、俺もクリス兄さんに感心しながら答え合わせとして、その器の底に少しだけ出ている突起物を『ぷっちん』する。
『ぷっちん』した器をゆっくりと上に引き上げれば底には真っ黒なカラメルが黄色くプルプルした物体の上から周囲に流れ出す。それと同時に濃厚な甘い匂いも周囲に広がる。
「あ~これよこれ! 帰って来たケインとマサオから溢れていた匂いよ!」
「すっげ~」
「まさか、こんなことになるなんて……」
皆がそれぞれプッチンしたのを確認してから、俺は感極まっている母さんにそっと合図を送ると母さんもそれが分かったのか、父さんに仕掛ける。
「お父さん、はい。ア~ン」
「ちょ、ちょっと止めろよ。子供達が見ているんだぞ」
「いいでしょ。はい、ア~ン」
「……あ、あ~ん」
「どう?」
「うん、甘くて美味しいな」
「じゃ、はい」
「ん?」
「今度はお父さんの番でしょ」
「あ、そうか。じゃ、ア~ン」
「うふ、美味しい。じゃ、もう一回!」
「え? 今度は俺の番じゃ「もう一回!」……ア~ン」
「う~ん、美味しい。もう一回!」
「え? ……ア~ン」
こんな調子で父さんは最初の一口以外は全部、母さんに「ア~ン」していき気付けば自分の前の皿にはカラメルが少しだけ残っていた。それに気付いた父さんは母さんの皿を見て口を開け「あ~ん」と言うが、母さんは自分の皿を抱えて少しキツメに父さんに言う。
「これは私の分です!」
「え? でも、俺のはお前が……」
そんな様子を見て俺がニヤニヤしているとそれに気付いた父さんが俺をジロリと睨む。
『お前、えげつないことするな』
「そうかな~」
『褒めてないからな』
「なんだよマサオも気になっているんだろ」
「そうだよ。少しくらいいいじゃないか」
「ダメなの?」
『気持ちは分かるが、今ここでケインの邪魔をして少しだけの味見で済ませるか、大人しく出来上がりを待って十分堪能するのとどっちがいいか分かるだろ』
「「「ぐっ……」」」
『分かったのなら、行ってくれ。俺だってお前達がケインの邪魔をしてプリンが食えなくなるのが一番辛いんだからな』
「そうよね。ケインに『作らない』って言われたら元も子もないわね」
「ケインなら考えられるね」
「そうなのか?」
「「そうなの!」」
「ぐっ……分かったよ」
兄ズと母さんはマサオに説得されて大人しくソファの方へと戻っていった。俺とリーサさんはその様子を黙って見ていたのだが、あのマサオが率先して俺を気遣ってくれたのがなんとなく嬉しく思えたので小声でマサオを呼ぶと、その口の中に『アーモンドチョコレート』を一粒だけ放り込む。
『甘っ! これだから、ケインの側にいるのはたまらないんだよ』
「えっ……それだけ……なの?」
『あっ、も、もちろんそれだけじゃないぞ。うん、ないぞ。ない!』
「ふ~ん、まあいいけど。引き続きお願いね」
『おう、任せろ!』
その後はスライム樹脂製の器に移して蒸すところまで終わらせたので、冷蔵庫の中に入れてからリーサさんを手伝い夕食の準備が出来上がる。
夕食が出来たと告げるといつもならダラダラとテーブルに着く兄ズが真っ先に椅子に座り配膳されるのを待っていた。
「えっと、兄さん達はどうしたの?」
「なにがだ?」
「そうだよ。いつも通りでしょ。おかしなこと言わないでよ」
「くくく、此奴らは夕食をさっさと済ませてケインの新作デザートを早く食いたいだけだろうよ」
「そういうヘレンさんもいつもより早いよね?」
「わ、ワシは違うぞ。断じて違うからな!」
「はいはい、分かりました。でも、夕食を早く食べたからって直ぐには出さないからね」
「「「え?」」」
「そりゃ、そうでしょ。夕食後のデザートは皆で揃って食べるのがルールでしょ」
「そうだった……」
「だから、言ったのに……」
「ワシは早めに家に帰るから……」
「じゃあ、ヘレンさんはここで「イヤじゃ! 夕食も食べさせてくれないのか!」……えっと、急ぐのならと思ったんだけど」
「あ、思い出した! それほど急いで帰る必要もなかったわ」
「「「……」」」
「な、なんじゃその目は……」
「別に」
夕食を早く食べ終えればデザートを誰より早く食べられると思っていたらしい兄ズとヘレンさんには皆が食べ終わってからデザートは出すんだから、早く食べても意味がないことを言うと、ヘレンさんは早く帰りたいからと自分だけは食後直ぐにでも出す様に言ってきたので、そんなに急ぐのなら直ぐに帰ればと言えば態度が急変したので兄ズだけでなく俺も含めその場にいる人達がヘレンさんをジッと見てしまう。
なんとか夕食を食べ終えたのだが、皆が皆、急いで食べなければみたいな雰囲気になり「ごちそうさま」も口の中に入ったまま言っていたりする。
「じゃあ、お待ちかねのデザートを出すから、テーブルの上を片付けてね」
「「「は~い!」」」
俺のお願いにいつもなら渋々といった感じで食器を流しに持っていくサム兄さんの足取りがなんとなくだけどスキップしているように見えてしまう。
「見てよケイン。サム兄さんがあんなに嬉しそうだよ。相当期待しているね」
「うん、俺もビックリだよ」
「あら、私はそれ以上よ」
「母さん……」
サム兄さんにも驚いたのだが、それを上回る勢いなのが母さんだった。
では、皆の期待に応えてプリン様を冷蔵庫から取り出すと小皿の上にプリンが入った器とスプーンを乗せてから皆の前に並べる。
「うわ~いい匂い。ね、食べていいんだよね」
「ちょっと待って」
「え? どうして?」
「それはね……」
デイヴがスプーンを右手に持ち食べ始めようとしたところで、俺から待ったがかかり泣きそうな顔になる。だから、俺は自分の真似をするようにと皆に言うとプリンが入った器を上下逆さまにして皿の上に伏せる。
「ケイン、そんなことしたら食べられないじゃない!」
「そうだよ、なんでそんなことするんだ!」
「ケイン、理由があるんでしょ。母さん達も落ち着いて話を聞こうよ」
母さんとサム兄さんが俺がしたことを責め立てるように言うがクリス兄さんだけは違った。さすがに我が家唯一の俺の一番の理解者だ。クリス兄さんの言葉に俺の口角も上がるというものだ。
「うん、クリス兄さん。ありがとう。母さん、サム兄さん、クリス兄さんの言う通りだよ。俺がそんな意地悪なことする訳ないでしょ」
「そうかな?」
「そうよね」
『結構、あったぞ』
「あれ? ま、いいか。これから俺がすることをちゃんと見ててよ。その前に皆も俺がやったように皿に器を伏せてもらえるかな」
「やるのね。本当に大丈夫なのよね? ちゃんと食べられるのよね?」
「やるのはいいけど、ちゃんと食べさせてくれよ」
「もう、二人とも早くしないと、ケインも先に進めないでしょ」
「分かったわよ」
「分かったよ」
クリス兄さんの言葉に母さんとサム兄さんは渋々といった感じで皿の上に器を伏せた。
「これでいいのよね」
「それで、これからどうやって食べるんだ?」
「確かにそうだよね。ん? あ! ケイン、コレが決め手なんだね」
「あちゃ~クリス兄さんには分かっちゃったか。そう、クリス兄さんが言うようにこれを……こうやって……」
「「「え?」」」
なんとか皆が器を皿に伏せたところでクリス兄さんが、底の仕掛けらしき物に気が付き俺に正解を求めてくる。なので、俺もクリス兄さんに感心しながら答え合わせとして、その器の底に少しだけ出ている突起物を『ぷっちん』する。
『ぷっちん』した器をゆっくりと上に引き上げれば底には真っ黒なカラメルが黄色くプルプルした物体の上から周囲に流れ出す。それと同時に濃厚な甘い匂いも周囲に広がる。
「あ~これよこれ! 帰って来たケインとマサオから溢れていた匂いよ!」
「すっげ~」
「まさか、こんなことになるなんて……」
皆がそれぞれプッチンしたのを確認してから、俺は感極まっている母さんにそっと合図を送ると母さんもそれが分かったのか、父さんに仕掛ける。
「お父さん、はい。ア~ン」
「ちょ、ちょっと止めろよ。子供達が見ているんだぞ」
「いいでしょ。はい、ア~ン」
「……あ、あ~ん」
「どう?」
「うん、甘くて美味しいな」
「じゃ、はい」
「ん?」
「今度はお父さんの番でしょ」
「あ、そうか。じゃ、ア~ン」
「うふ、美味しい。じゃ、もう一回!」
「え? 今度は俺の番じゃ「もう一回!」……ア~ン」
「う~ん、美味しい。もう一回!」
「え? ……ア~ン」
こんな調子で父さんは最初の一口以外は全部、母さんに「ア~ン」していき気付けば自分の前の皿にはカラメルが少しだけ残っていた。それに気付いた父さんは母さんの皿を見て口を開け「あ~ん」と言うが、母さんは自分の皿を抱えて少しキツメに父さんに言う。
「これは私の分です!」
「え? でも、俺のはお前が……」
そんな様子を見て俺がニヤニヤしているとそれに気付いた父さんが俺をジロリと睨む。
『お前、えげつないことするな』
「そうかな~」
『褒めてないからな』
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