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◆お願いしてみました
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「はいよ、どちらさん?」
「カーネルさん、俺だよ。ヨサックだよ」
「あ~ヨサックかい。ちっと待ってな。よっと……ほい、お待たせ。ん? 見ない顔だね。それに随分と毛深い人だね」
「ちょっと、カーネルさん。ちゃんとよく見てよ、ほら!」
鶏舎と思われる小屋の横には小さな平屋が建っていて、ヨサックさんがその平屋の玄関を軽くノックすると現れたのは少し背が低いお爺さんだった。見た目的には俺より少しだけ高いのかな。だからなのか、玄関を覗き込むマサオを来客者だと思っていたみたいだが、ヨサックさんの指摘により胸元のポケットからメガネを取り出しサッと掛けると間違いに気付いた様でヨサックさん、マサオ、そして俺が立っているのが分かったみたいだ。
「おやおや、これはまた随分と小さなお客さんだね。どうしたんだい?」
「カーネルさん、鶏舎を増やしてもらえませんか?」
「ん? また突飛なことを言う子だね。ヨサック、詳しい話は聞かせてもらえるんだろうね」
「……あ、ああ。そうだな。中に入れてもらってもいいかな」
「ああ、お入り。長引きそうな感じだしな」
俺の言ったことが何か気に障ったのか、ふとカーネルさんの俺を見る目が厳しくなった気がした。でも、ここで鶏を扱っているのはカーネルさんだけみたいなので無理にでも話を聞いてもらうしかない。
「まあ、適当に座ってくれ」
「「はい」」
『俺も座るのか?』
「マサオは適当に寝そべっていて」
『おう、そうさせてもらう。まだ、疲れがとれていないみたいんだよ。まったく誰のせいでこうなったんだか』
「マサオだよね?」
『……そうともいうかな』
カーネルさんの家に入れてもらい、リビングの中ほどに置かれていた六人掛けのテーブルにヨサックさん、俺と座りマサオも椅子に座ろうとしていたが、今は俺の椅子の横でジッとしていて欲しいとお願いする。
するとお茶の用意をしていたカーネルさんが俺達の方を振り返ると「二人だよね?」と確認してくる。
「ええ、ココには俺とケイン君ですね。あ、そう言えばまだ紹介していなかったですね。この子が俺達がここに移住する切っ掛けをくれた子なんですよ」
「ケインと言います。初めまして」
『マサオだ』
「あれ? やっぱりだ。二人だけど声は三人聞こえるんだけど?」
「「あ~」」
『どうした?』
「え?」
カーネルさんが俺の足下にいるマサオを凝視している。そして、マサオから視線を逸らさないままでいたら、それに辛抱できなくなったマサオが俺に助けを求めてくる。
『ケ、ケイン……』
「ん? 喋ったのは君かな?」
『あ、ああ、そうだ。俺はマサオだ』
「……」
カーネルさんは自分の目の前で喋ったマサオのことが信じられないのかマサオを指差したまま俺達の方を見て口をパクパクさせている。
「カーネルさん、マサオのことは放っておいて話を聞いてもらえないかな」
「お願いします」
「いや、だって……犬が喋っているんだよ? ヨサック達はなんとも思わないの?」
「話すでしょ?」
「え? だって犬だよ?」
「話しますよ?」
「え? なんで? 犬だよ?」
『話してるだろ?』
「え? どうして?」
カーネルさんはマサオが話すことに納得出来ないようで俺達に向かってなんで不思議に思わないのかと確認してくる。なので、牧場を警備している守備隊のことを話してから、ここでは犬が話すのは普通のことだと無理矢理納得してもらう。
「もし納得出来ないのなら、今度守備隊の子達を紹介するから。今は彼、ケイン君の話を聞いてあげてよ」
「あ、ああ。分かった。まずは話を聞こうじゃないか」
カーネルさんは納得出来ないようだが、テーブルにお茶を並べた後に自分も俺達の対面に座るとテーブルの上に両肘を付き、両手を顔の前で合わせると話を聞く体勢になる。
「えっとですね。実は……」
俺はなるべく簡潔に有精卵から雌鶏を多数確保して鶏卵を大量に確保したいことを話す。
「ふむ、話は分からないでもない「じゃあ……」ちょっと待て! 落ちつけ」
「はい」
カーネルさんが賛同してくれたと思い、身を乗り出したところでカーネルさんに制された。俺は椅子に座り直しカーネルさんをジッと見る。
「話は分かる」
「じゃあ……」
「だから、落ち着けと言っている」
「はい」
「話は分かる。分かるが実際問題として、それほど簡単に増やせないんだ。それは分かるな?」
「はい。一応は分かっているつもりです」
「なら、話はこれで終わりだ。俺の方でも増産計画を立てていない訳じゃない。これだけの土地を確保出来たし、直ぐ側には売り先がいくらでもあるんだ。だが、それは今じゃない。こちらの計画に合わせて欲しい。分かってくれたのなら今日のところは帰ってくれ」
「いえ、帰りません!」
「ちょ、ちょっとケイン君」
「……ヨサックよ。早く連れて帰れ! ウチのが帰って来る前にな」
「わ、分かりました。ほら、ケイン君。今日はここまでにして、ね? カーネルさんも計画しているって言うしさ。ね?」
「イヤです。それじゃ間に合わないんです!」
「頑固な小僧だな。いいから、帰れ!」
「イヤです! ちゃんと俺の話を聞いて下さい!」
「だから、いきなりの大量生産は無理だと言っただろ! 大体、雌鶏の数が足りないのにどうやって卵を増やせと言うんだ!」
「だから、俺の話を聞いて下さいって言っているでしょ! 俺の話を聞かない内に今は無理だから帰れはないでしょ!」
『そうだぞ。俺もおやつを食べてないからな! ケイン、俺は忘れていないぞ!』
「マサオ、今は黙っとこうね」
『ワフ~』
「ああ、分かったよ。聞くだけは聞いてやろうじゃないか。だが、いい加減な話だったら金輪際、小僧! お前は俺の前に姿を見せるなよ!」
「ええ、分かりました。そちらこそ寝る暇も無いくらいになるのは覚悟しといてくださいよ!」
「その話、面白そうじゃない。私にも聞かせてもらえるかい?」
「お前……帰ってたのか」
「さっきね。家の前まで来たらなんだか珍しく賑やかだったんでね。コソッと入らせてもらったよ」
「サマンサさん。お邪魔しています」
「お邪魔しています」
『ワフ……』
「カーネルさん、俺だよ。ヨサックだよ」
「あ~ヨサックかい。ちっと待ってな。よっと……ほい、お待たせ。ん? 見ない顔だね。それに随分と毛深い人だね」
「ちょっと、カーネルさん。ちゃんとよく見てよ、ほら!」
鶏舎と思われる小屋の横には小さな平屋が建っていて、ヨサックさんがその平屋の玄関を軽くノックすると現れたのは少し背が低いお爺さんだった。見た目的には俺より少しだけ高いのかな。だからなのか、玄関を覗き込むマサオを来客者だと思っていたみたいだが、ヨサックさんの指摘により胸元のポケットからメガネを取り出しサッと掛けると間違いに気付いた様でヨサックさん、マサオ、そして俺が立っているのが分かったみたいだ。
「おやおや、これはまた随分と小さなお客さんだね。どうしたんだい?」
「カーネルさん、鶏舎を増やしてもらえませんか?」
「ん? また突飛なことを言う子だね。ヨサック、詳しい話は聞かせてもらえるんだろうね」
「……あ、ああ。そうだな。中に入れてもらってもいいかな」
「ああ、お入り。長引きそうな感じだしな」
俺の言ったことが何か気に障ったのか、ふとカーネルさんの俺を見る目が厳しくなった気がした。でも、ここで鶏を扱っているのはカーネルさんだけみたいなので無理にでも話を聞いてもらうしかない。
「まあ、適当に座ってくれ」
「「はい」」
『俺も座るのか?』
「マサオは適当に寝そべっていて」
『おう、そうさせてもらう。まだ、疲れがとれていないみたいんだよ。まったく誰のせいでこうなったんだか』
「マサオだよね?」
『……そうともいうかな』
カーネルさんの家に入れてもらい、リビングの中ほどに置かれていた六人掛けのテーブルにヨサックさん、俺と座りマサオも椅子に座ろうとしていたが、今は俺の椅子の横でジッとしていて欲しいとお願いする。
するとお茶の用意をしていたカーネルさんが俺達の方を振り返ると「二人だよね?」と確認してくる。
「ええ、ココには俺とケイン君ですね。あ、そう言えばまだ紹介していなかったですね。この子が俺達がここに移住する切っ掛けをくれた子なんですよ」
「ケインと言います。初めまして」
『マサオだ』
「あれ? やっぱりだ。二人だけど声は三人聞こえるんだけど?」
「「あ~」」
『どうした?』
「え?」
カーネルさんが俺の足下にいるマサオを凝視している。そして、マサオから視線を逸らさないままでいたら、それに辛抱できなくなったマサオが俺に助けを求めてくる。
『ケ、ケイン……』
「ん? 喋ったのは君かな?」
『あ、ああ、そうだ。俺はマサオだ』
「……」
カーネルさんは自分の目の前で喋ったマサオのことが信じられないのかマサオを指差したまま俺達の方を見て口をパクパクさせている。
「カーネルさん、マサオのことは放っておいて話を聞いてもらえないかな」
「お願いします」
「いや、だって……犬が喋っているんだよ? ヨサック達はなんとも思わないの?」
「話すでしょ?」
「え? だって犬だよ?」
「話しますよ?」
「え? なんで? 犬だよ?」
『話してるだろ?』
「え? どうして?」
カーネルさんはマサオが話すことに納得出来ないようで俺達に向かってなんで不思議に思わないのかと確認してくる。なので、牧場を警備している守備隊のことを話してから、ここでは犬が話すのは普通のことだと無理矢理納得してもらう。
「もし納得出来ないのなら、今度守備隊の子達を紹介するから。今は彼、ケイン君の話を聞いてあげてよ」
「あ、ああ。分かった。まずは話を聞こうじゃないか」
カーネルさんは納得出来ないようだが、テーブルにお茶を並べた後に自分も俺達の対面に座るとテーブルの上に両肘を付き、両手を顔の前で合わせると話を聞く体勢になる。
「えっとですね。実は……」
俺はなるべく簡潔に有精卵から雌鶏を多数確保して鶏卵を大量に確保したいことを話す。
「ふむ、話は分からないでもない「じゃあ……」ちょっと待て! 落ちつけ」
「はい」
カーネルさんが賛同してくれたと思い、身を乗り出したところでカーネルさんに制された。俺は椅子に座り直しカーネルさんをジッと見る。
「話は分かる」
「じゃあ……」
「だから、落ち着けと言っている」
「はい」
「話は分かる。分かるが実際問題として、それほど簡単に増やせないんだ。それは分かるな?」
「はい。一応は分かっているつもりです」
「なら、話はこれで終わりだ。俺の方でも増産計画を立てていない訳じゃない。これだけの土地を確保出来たし、直ぐ側には売り先がいくらでもあるんだ。だが、それは今じゃない。こちらの計画に合わせて欲しい。分かってくれたのなら今日のところは帰ってくれ」
「いえ、帰りません!」
「ちょ、ちょっとケイン君」
「……ヨサックよ。早く連れて帰れ! ウチのが帰って来る前にな」
「わ、分かりました。ほら、ケイン君。今日はここまでにして、ね? カーネルさんも計画しているって言うしさ。ね?」
「イヤです。それじゃ間に合わないんです!」
「頑固な小僧だな。いいから、帰れ!」
「イヤです! ちゃんと俺の話を聞いて下さい!」
「だから、いきなりの大量生産は無理だと言っただろ! 大体、雌鶏の数が足りないのにどうやって卵を増やせと言うんだ!」
「だから、俺の話を聞いて下さいって言っているでしょ! 俺の話を聞かない内に今は無理だから帰れはないでしょ!」
『そうだぞ。俺もおやつを食べてないからな! ケイン、俺は忘れていないぞ!』
「マサオ、今は黙っとこうね」
『ワフ~』
「ああ、分かったよ。聞くだけは聞いてやろうじゃないか。だが、いい加減な話だったら金輪際、小僧! お前は俺の前に姿を見せるなよ!」
「ええ、分かりました。そちらこそ寝る暇も無いくらいになるのは覚悟しといてくださいよ!」
「その話、面白そうじゃない。私にも聞かせてもらえるかい?」
「お前……帰ってたのか」
「さっきね。家の前まで来たらなんだか珍しく賑やかだったんでね。コソッと入らせてもらったよ」
「サマンサさん。お邪魔しています」
「お邪魔しています」
『ワフ……』
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