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◆ハッキリと言われました
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俺の様子に気付いたのか王太子殿下が、俺に謝るように話しかけてくる。
「ケイン、別に責めている訳じゃない。ただ、ここまでの魔道具を今まで見たことがなかったし、作ったのが少年だと分かって凄く興味が湧いてな。それに結果的には国に害を為す連中がいなくなったことには感謝しているくらいだ」
「はぁ……」
王太子殿下が俺に「感謝している」と言ってくる。
「それでだ。シャルディーア伯にも確認されたと思うが、君は……」
「なんでしょう?」
「君は王になるつもりはあるかい?」
「え?」
俺は俺自身の耳を疑うしかなかった。
「ガンツさん、俺の耳どうかしたのかな」
「ケイン、心配せんでもワシにも聞こえた。だから、ちゃんと返事するんだな。ちなみにワシはどっちでもいいぞ」
そう言って、ガンツさんはニヤリと笑う。
いや、俺は王様なんて興味ないからね。だから、王太子殿下にはきっぱりと答える。
「いいえ。そんなつもりはありません」
「そうか……それはそれで問題なんだがな。どうしたものか」
食事の最中にそんなことを俺に聞かれた上にそんな追い討ちを掛けるようなことを言われても困るんですけどね。
「殿下。だから私が申しましたでしょ。このケインは私が我が領地を治める気がないかと聞いた時にも逡巡することなくキッパリと『いらない』と言い、その理由を聞くと『面倒だから』と言ったんです。信じられないですよね。全く」
「そ、そうなのか……それは意外だな」
「ですよね。仮にも一つの領地を任せると言われれば、それは権力を手にすることを意味するわけですから、欲しがらないのがいるのかと、その時の私は自分の耳を疑いましたよ」
「そうか、ならばシャルディーア伯は国王を任せると言われたら受けるのかい?」
「まさか、そんな面倒な……あ!」
「そうか。それほど面倒か」
デューク様も王太子殿下との会話に慣れたのか、少し砕けた口調で話していたが、王太子殿下に国王になるかと言われたのを『面倒だから』と逡巡することなく断ってしまったのだ。
「あ、いや、殿下。これはその……言葉の綾と言いますか、流れと言いますか」
「いい。シャルディーア伯よ。本音を言うと私も、そう思うからな。だが、ケイン。君が作る魔道具は私の兄だけではなく色んな人の欲を刺激する物だ。その自覚はあるのかい?」
「ええ、それはなんとなくですけど」
「理解しているのなら、話は早い。要は私が危惧しているのはだ。君がどこかの国なり機関に攫われたりするのではということだ」
「攫われる……ですか」
「そうだ。あとは無理矢理な婚姻だな」
「婚姻……」
チラリとデューク様を一瞥するとデューク様はバツが悪そうに顔を背ける。
「それでだケイン。私の娘と婚約する気はないか?」
「「「ブッ!」」」
俺だけでなく、同じテーブルを囲んでいたデューク様を始め、アリー様、エリー様とマリー様にガンツさんまで吹き出してしまう。ショーン様だけは面白くなさそうな顔をしている。
「どうした? 私の娘では不服か?」
「いえ、そういう訳ではないのです。実は私には既に婚約者がいますので。ですから、お話は嬉しいのですが、お断りさせて下さい」
「ふむ。いや、話は聞いていたが、本当なのだな。もしかしたらと思い提案してみたのだがな。断られたのならしょうがない。諦めるとするか」
王太子殿下が自分の娘、いわゆる王女様を俺の婚約者にと提案してきたが、俺はリーサさんがいるので断るしかなかった。それはデューク様も分かっていることだし、エリー様達も婚約者ではなくなった。だけど、空気が読めない男はどこにでもいる。
「父上、私ではダメでしょうか?」
「ショーン、お前は何を言いたいんだ」
「ですから、私が……その……」
「ダメだ。私から言える話ではない。それにお前にはまだ、お前自身が誇れることもないだろう」
「うっ……」
デューク様の言葉にショーン様は言葉に詰まり、セバス様は嘆息し、アリー様達は「あ~あ、言っちゃった」と言う顔になる。
デューク様に正直に言われたショーン様はキッと俺を睨み付けるが、コレって俺のせいなの?
「ケイン、別に責めている訳じゃない。ただ、ここまでの魔道具を今まで見たことがなかったし、作ったのが少年だと分かって凄く興味が湧いてな。それに結果的には国に害を為す連中がいなくなったことには感謝しているくらいだ」
「はぁ……」
王太子殿下が俺に「感謝している」と言ってくる。
「それでだ。シャルディーア伯にも確認されたと思うが、君は……」
「なんでしょう?」
「君は王になるつもりはあるかい?」
「え?」
俺は俺自身の耳を疑うしかなかった。
「ガンツさん、俺の耳どうかしたのかな」
「ケイン、心配せんでもワシにも聞こえた。だから、ちゃんと返事するんだな。ちなみにワシはどっちでもいいぞ」
そう言って、ガンツさんはニヤリと笑う。
いや、俺は王様なんて興味ないからね。だから、王太子殿下にはきっぱりと答える。
「いいえ。そんなつもりはありません」
「そうか……それはそれで問題なんだがな。どうしたものか」
食事の最中にそんなことを俺に聞かれた上にそんな追い討ちを掛けるようなことを言われても困るんですけどね。
「殿下。だから私が申しましたでしょ。このケインは私が我が領地を治める気がないかと聞いた時にも逡巡することなくキッパリと『いらない』と言い、その理由を聞くと『面倒だから』と言ったんです。信じられないですよね。全く」
「そ、そうなのか……それは意外だな」
「ですよね。仮にも一つの領地を任せると言われれば、それは権力を手にすることを意味するわけですから、欲しがらないのがいるのかと、その時の私は自分の耳を疑いましたよ」
「そうか、ならばシャルディーア伯は国王を任せると言われたら受けるのかい?」
「まさか、そんな面倒な……あ!」
「そうか。それほど面倒か」
デューク様も王太子殿下との会話に慣れたのか、少し砕けた口調で話していたが、王太子殿下に国王になるかと言われたのを『面倒だから』と逡巡することなく断ってしまったのだ。
「あ、いや、殿下。これはその……言葉の綾と言いますか、流れと言いますか」
「いい。シャルディーア伯よ。本音を言うと私も、そう思うからな。だが、ケイン。君が作る魔道具は私の兄だけではなく色んな人の欲を刺激する物だ。その自覚はあるのかい?」
「ええ、それはなんとなくですけど」
「理解しているのなら、話は早い。要は私が危惧しているのはだ。君がどこかの国なり機関に攫われたりするのではということだ」
「攫われる……ですか」
「そうだ。あとは無理矢理な婚姻だな」
「婚姻……」
チラリとデューク様を一瞥するとデューク様はバツが悪そうに顔を背ける。
「それでだケイン。私の娘と婚約する気はないか?」
「「「ブッ!」」」
俺だけでなく、同じテーブルを囲んでいたデューク様を始め、アリー様、エリー様とマリー様にガンツさんまで吹き出してしまう。ショーン様だけは面白くなさそうな顔をしている。
「どうした? 私の娘では不服か?」
「いえ、そういう訳ではないのです。実は私には既に婚約者がいますので。ですから、お話は嬉しいのですが、お断りさせて下さい」
「ふむ。いや、話は聞いていたが、本当なのだな。もしかしたらと思い提案してみたのだがな。断られたのならしょうがない。諦めるとするか」
王太子殿下が自分の娘、いわゆる王女様を俺の婚約者にと提案してきたが、俺はリーサさんがいるので断るしかなかった。それはデューク様も分かっていることだし、エリー様達も婚約者ではなくなった。だけど、空気が読めない男はどこにでもいる。
「父上、私ではダメでしょうか?」
「ショーン、お前は何を言いたいんだ」
「ですから、私が……その……」
「ダメだ。私から言える話ではない。それにお前にはまだ、お前自身が誇れることもないだろう」
「うっ……」
デューク様の言葉にショーン様は言葉に詰まり、セバス様は嘆息し、アリー様達は「あ~あ、言っちゃった」と言う顔になる。
デューク様に正直に言われたショーン様はキッと俺を睨み付けるが、コレって俺のせいなの?
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