318 / 468
連載
◆就職の案内に来ました
しおりを挟む
「ほら、入りなよ」
「……お邪魔します」
アレックスさんが家の玄関を開き中へと俺達を招き入れる。
「父さん、客だよ」
「客? 珍しいな……って、ケインか」
ソファに座っていたダルクさんが振り向きながら、言う。俺で悪かったね。
「まあ、座れ。で、なんだ?」
「働き先を確保したから、働きたいって人を募集しに来たんだけど……まだ、有効かな?」
「はぁ~やっとか。村の連中からはまだかまだかとせっつかれて来たが……やっとか。もちろん、まだ有効だぞ」
「そうなんだ。じゃあ、こっちが募集する職種としては内装業、船員といろんな店の従業員に路面電車の運転手に……「ま、待て!」……え? まだ説明の途中なんだけど?」
スゥ~ハァ~とダルクさんが深呼吸をしてから、話し出す。
「内装は分かる。家の中の仕事だろう。店の従業員も分かる。だが……船員ってなんだ? 路面電車の運転手ってなんだ? 路面電車は多分、あの魔導電車に関わることか?」
「え~と、説明が必要?」
「当たり前だ!」
少し怒り気味のダルクさんの横で、ジッとこちらを見ているアレックスさんが気になる。
アレックスさんは顎に手を当て、何かを考えているっぽい。
「ケイン君、少し聞いていいかな」
「どうぞ」
「ありがとう。内装や従業員に対する指導はそちらでやってもらえると思っていいんだよね」
「ええ、それは各担当でやる予定ではいます。いきなり、働けってことはないですね」
「そうなんだね。じゃあ、船員と運転手についてはどうかな?」
「船員はドワーフタウンと王都間の航路を担当してもらいます。また、船を動かすのには車と同じ様にライセンスを必要とするので、ドワーフタウンで取得してもらいます。電車については、王都での実地訓練を予定しています。こんなところでいいですか?」
「うん、ありがとう。十分、理解出来たよ。あとは、どんな職種を募集予定だい?」
「そうですね、あとは服飾関連でしょうか? 魔導ミシンを使っての縫製がメインになるかと思います」
「意外と色んな職種を募集しているんだね、じゃあ、働く人の住むところはどうなるのかな?」
「王都には、職場の近くに集合住宅を用意しています。ドワーフタウンにも希望するのであれば、住むことは可能ですが基本は転移ゲートを使っての移動をお願いします」
「って、ことは王都で働く人には、とりあえずの住居が用意されているということなんだね」
「はい、そうです」
「うん、だいたい分かった。父さん、この件は俺に任せてくれないかな」
アレックスさんがダルクさんにそうお願いする。
「ふむ。ケインはどう思う?」
「正直に言えば、前科者のダルクさんよりは信用できるかと言われれば微妙です。俺はアレックスさんのことをよく知らないので」
「非道いなぁケイン君」
アレックスさんが微笑み俺を見ているが、どうしても心底信用することを、俺の中の何かが拒否している。
「前科者か……まあ、そう言われてもしょうがないか。わかった。まずはやってみろ。だが、まずは何をするんだ? ケイン」
「そうですね。希望する職種の人を集めて貰ったら、後はこちらで用意した面接官に簡単な審査をしてもらいます。なので、希望する職種につけないことがあることもちゃんと告知しといてくださいね。あ! あとは、ドラゴニュータウンでの農作業もありますよ。こちらはやる気さえあれば、土地も提供すると言っといて下さい」
「本当なら、俺達の土地だったのに……」
「父さん」
まだ諦め切れてないのかダルクさんがぼやく。
「じゃあ、こっちの準備が終わったら連絡するけど……そうだな、二、三日もらってもいいかな?」
「ええ、構いません」
「そう、助かるよ。じゃあ、また連絡するね」
アレックスさんにそう言われソファから立ち上がり、ダルクさんの家を出る。
アレックスさんの考えていることが不明だから、少し不安が残るけど、まあいっか。
『ケイン、次はどこだ?』
「次は竜人の里だね」
竜人の里へ出ると、里長を探す。
「ああ! ケインだ!」
「ケインだ!」
ドズさんの子供達のダズとリズが走ってくる。
「久しぶり! 元気だった?」
「「元気!」」
二人が俺の手を引っ張り、グルグルと回り出す。
「ケインはどうしたの?」
「この犬は何? さわってもいいの?」
やっと止まったと思ったら、今度は質問攻めだ。
「ちょっと、落ち着こうか」
「「え~」」
「里長はいるかな?」
「多分、いると思うよ」
「ナーガさんもいるよ」
「そういや、そんな人もいたね」
「いますよ。ここにね」
『げ!』
不意に後ろから声を掛けられ振り返る。
「えっと、もしかしてだけど……ナーガさん?」
「もしかしなくても、そうです。ケインには色々とお世話になったわね。本当にいろいろと……」
「随分と痩せたみたいですね。最初会った時には、もう少しぽっちゃりさんだったのにね」
「ええ、あの鏡のお陰でね」
「ケインが来ていると聞いたが……ああ、遅かったか」
里長がナーガさんに絡まれていた俺を見て、しまったという顔になる。
「で、ケインの用はなんだ?」
「就職のお世話です」
「……お邪魔します」
アレックスさんが家の玄関を開き中へと俺達を招き入れる。
「父さん、客だよ」
「客? 珍しいな……って、ケインか」
ソファに座っていたダルクさんが振り向きながら、言う。俺で悪かったね。
「まあ、座れ。で、なんだ?」
「働き先を確保したから、働きたいって人を募集しに来たんだけど……まだ、有効かな?」
「はぁ~やっとか。村の連中からはまだかまだかとせっつかれて来たが……やっとか。もちろん、まだ有効だぞ」
「そうなんだ。じゃあ、こっちが募集する職種としては内装業、船員といろんな店の従業員に路面電車の運転手に……「ま、待て!」……え? まだ説明の途中なんだけど?」
スゥ~ハァ~とダルクさんが深呼吸をしてから、話し出す。
「内装は分かる。家の中の仕事だろう。店の従業員も分かる。だが……船員ってなんだ? 路面電車の運転手ってなんだ? 路面電車は多分、あの魔導電車に関わることか?」
「え~と、説明が必要?」
「当たり前だ!」
少し怒り気味のダルクさんの横で、ジッとこちらを見ているアレックスさんが気になる。
アレックスさんは顎に手を当て、何かを考えているっぽい。
「ケイン君、少し聞いていいかな」
「どうぞ」
「ありがとう。内装や従業員に対する指導はそちらでやってもらえると思っていいんだよね」
「ええ、それは各担当でやる予定ではいます。いきなり、働けってことはないですね」
「そうなんだね。じゃあ、船員と運転手についてはどうかな?」
「船員はドワーフタウンと王都間の航路を担当してもらいます。また、船を動かすのには車と同じ様にライセンスを必要とするので、ドワーフタウンで取得してもらいます。電車については、王都での実地訓練を予定しています。こんなところでいいですか?」
「うん、ありがとう。十分、理解出来たよ。あとは、どんな職種を募集予定だい?」
「そうですね、あとは服飾関連でしょうか? 魔導ミシンを使っての縫製がメインになるかと思います」
「意外と色んな職種を募集しているんだね、じゃあ、働く人の住むところはどうなるのかな?」
「王都には、職場の近くに集合住宅を用意しています。ドワーフタウンにも希望するのであれば、住むことは可能ですが基本は転移ゲートを使っての移動をお願いします」
「って、ことは王都で働く人には、とりあえずの住居が用意されているということなんだね」
「はい、そうです」
「うん、だいたい分かった。父さん、この件は俺に任せてくれないかな」
アレックスさんがダルクさんにそうお願いする。
「ふむ。ケインはどう思う?」
「正直に言えば、前科者のダルクさんよりは信用できるかと言われれば微妙です。俺はアレックスさんのことをよく知らないので」
「非道いなぁケイン君」
アレックスさんが微笑み俺を見ているが、どうしても心底信用することを、俺の中の何かが拒否している。
「前科者か……まあ、そう言われてもしょうがないか。わかった。まずはやってみろ。だが、まずは何をするんだ? ケイン」
「そうですね。希望する職種の人を集めて貰ったら、後はこちらで用意した面接官に簡単な審査をしてもらいます。なので、希望する職種につけないことがあることもちゃんと告知しといてくださいね。あ! あとは、ドラゴニュータウンでの農作業もありますよ。こちらはやる気さえあれば、土地も提供すると言っといて下さい」
「本当なら、俺達の土地だったのに……」
「父さん」
まだ諦め切れてないのかダルクさんがぼやく。
「じゃあ、こっちの準備が終わったら連絡するけど……そうだな、二、三日もらってもいいかな?」
「ええ、構いません」
「そう、助かるよ。じゃあ、また連絡するね」
アレックスさんにそう言われソファから立ち上がり、ダルクさんの家を出る。
アレックスさんの考えていることが不明だから、少し不安が残るけど、まあいっか。
『ケイン、次はどこだ?』
「次は竜人の里だね」
竜人の里へ出ると、里長を探す。
「ああ! ケインだ!」
「ケインだ!」
ドズさんの子供達のダズとリズが走ってくる。
「久しぶり! 元気だった?」
「「元気!」」
二人が俺の手を引っ張り、グルグルと回り出す。
「ケインはどうしたの?」
「この犬は何? さわってもいいの?」
やっと止まったと思ったら、今度は質問攻めだ。
「ちょっと、落ち着こうか」
「「え~」」
「里長はいるかな?」
「多分、いると思うよ」
「ナーガさんもいるよ」
「そういや、そんな人もいたね」
「いますよ。ここにね」
『げ!』
不意に後ろから声を掛けられ振り返る。
「えっと、もしかしてだけど……ナーガさん?」
「もしかしなくても、そうです。ケインには色々とお世話になったわね。本当にいろいろと……」
「随分と痩せたみたいですね。最初会った時には、もう少しぽっちゃりさんだったのにね」
「ええ、あの鏡のお陰でね」
「ケインが来ていると聞いたが……ああ、遅かったか」
里長がナーガさんに絡まれていた俺を見て、しまったという顔になる。
「で、ケインの用はなんだ?」
「就職のお世話です」
1
お気に入りに追加
4,888
あなたにおすすめの小説
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
お前じゃないと、追い出されたが最強に成りました。ざまぁ~見ろ(笑)
いくみ
ファンタジー
お前じゃないと、追い出されたので楽しく復讐させて貰いますね。実は転生者で今世紀では貴族出身、前世の記憶が在る、今まで能力を隠して居たがもう我慢しなくて良いな、開き直った男が楽しくパーティーメンバーに復讐していく物語。
---------
掲載は不定期になります。
追記
「ざまぁ」までがかなり時間が掛かります。
お知らせ
カクヨム様でも掲載中です。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
メインをはれない私は、普通に令嬢やってます
かぜかおる
ファンタジー
ヒロインが引き取られてきたことで、自分がラノベの悪役令嬢だったことに気が付いたシルヴェール
けど、メインをはれるだけの実力はないや・・・
だから、この世界での普通の令嬢になります!
↑本文と大分テンションの違う説明になってます・・・
オタクおばさん転生する
ゆるりこ
ファンタジー
マンガとゲームと小説を、ゆるーく愛するおばさんがいぬの散歩中に異世界召喚に巻き込まれて転生した。
天使(見習い)さんにいろいろいただいて犬と共に森の中でのんびり暮そうと思っていたけど、いただいたものが思ったより強大な力だったためいろいろ予定が狂ってしまい、勇者さん達を回収しつつ奔走するお話になりそうです。
投稿ものんびりです。(なろうでも投稿しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。