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連載
◆無理と言いました
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ここからはケインの視点に戻ります。
ーーーーーーーーーー
ヨサックさんにいきなり呼ばれたから何事かと思ったけど、ドラゴニュータウンを有志五人と視察したいとのことだったので、ヨサックさんの家に向かいドラゴニュータウンでの視察を行った。その結果、ちょっとは移住に関しては少しだけ乗り気かなと思える程度だったけど、学校の話をしたら凄い食い付きだったので理由を聞いたら、すでに教えていた人は亡くなったらしく後継者もいないままらしい。
なので、子供達だけでも通わせたいとカイドー村の人に頼まれた。
それなら、ゲートの設置は必要になるよね。その前にガンボさんへ言っとかないとダメかな。
今なら、お酒という名の賄賂もあるし、お菓子も数種類はある。
よし、先にガンボさんに話を通すか。
ガンボさんに電話を掛けるとすぐに出たので、今から校長室に向かうからと言って電話を切る。
ゲートを校長室に繋いで、校長室へと出る。
「あ、いた! ガンボさん」
「ケインよ。あれは連絡とは言わん。前にも言ったが、ちゃんと相手の了解をだな……」
「ま、いいからいいから。これは賄賂という名のお土産ね。それとこっちもはい」
インベントリからお酒を数本とシュークリームを少しだけ出す。
マサオがじっと見ていたので、マサオにも一個だけと渡す。
「賄賂だと? またなにをするつもりだ?」
「俺はなにもしないよ。でも、お願いはあるかな」
「ふぅ~なんだ言ってみろ? この賄賂の見合うものなら聞いたやらんでもないぞ」
「ああ、それなら大丈夫。ちょっとカイドー村の子供達を入学させてやってほしいだけだからさ」
「カイドー村? 聞いたことはないな。カーティス達は知っているか?」
「ありますよ。と、言っても数十年も前ですがね」
「そうか、カーティスさんなら不思議じゃないか」
「ガンボさんも間接的には知っていると思ったんだけどな」
そう言って、ヨサックさん作のチーズをお皿に乗せて出す。
「チーズか!」
「そう、カイドー村の主力商品と言ってもいいんじゃないかな」
ガンボさんはシュークリームにも手を付けずにずっとテーブルの上に置いてあるもんだから、マサオがずっと見ている。
マサオ、よだれを拭きなさい。
カーティスさんも手をつけていないから、すでに食べ終わったメアリーがずっと見ている。
メアリーもよだれを拭こうね。
「で、そのカイドー村はどこにあるんじゃ?」
「ここだよ」
タブレットに地図を表示させ、カイドー村のある場所を指す。
「ここって、お前……王都の向こう側じゃないか。まさか、ゲートを使うつもりか?」
「うん、そう。それにドラゴニュータウンで酪農をしてもらうつもりで移住も勧めているから」
「また、人を無計画に増やしやがって……」
「まあ、まだ決定じゃないけどね。それより、そのお菓子は食べないの? さっきから二人のお菓子が狙われているんだけど?」
「「ん?」」
メアリーとマサオの視線に気付いた二人が慌ててテーブルの上のシュークリームを手に取り頬張る。
「「うま!」」
「でしょ? カイドー村の人達が移住してくれたら、もっと気軽に手にすることが出来るよ」
「ケイン、それはこのチーズも含めてと考えていいんじゃな?」
ガンボさんがクリームだらけの顔を近付けて俺に確認する。
「近いよ! それにクリームが顔っていうか髭だね、髭についているから」
「ん? おお、こりゃいかんな。メアリーよ、クリーンを頼めるか?」
「いいですよ。はい」
「おお、すまんな」
「ガンボさんはクリーンが苦手なの?」
「ああ、どうも苦手でな。おっと、理由は聞くなよ。ワシにも分からんのだからな」
「じゃあ、そういうことでよろしくね」
「ああ、分かった。土産までもろうたしの」
ゲートをどこに繋ごうかと考えて、ガンツさんがいるであろう教習所へと繋ぐ。
教習所に出るとガンツさんを探すが、意外と教習車が多くガンツさんを探すのも大変だなとおもていると、坂道発進のところで戸惑っている教習車を見つける。
「多分、あれがジョシュアさんだろうな」
そう思い、目を凝らしてよく見ると教習車の中にはガンツさんらしき人が助手席に乗っているのが見えた。
まだ手こずっているんだな。邪魔しちゃ悪いかと思い退散することにした。
なら、次はどこに行こうかと考えていると竜人の里、アズマ村のことを思い出したので行ってみるか。求人もどうなっているのか確認したいし。
ではとゲートを竜人の里へと繋ぐ。
竜人の里に出ると里長のところへ行ってみる。
扉をノックし所在を確認する。
「誰じゃ?」
「お久しぶり」
「なんじゃケインか」
「なんだはないでしょ? いろいろ確認したいことがあるんだけどいい?」
「ああ、いいぞ。まあ、中に入れ。ワシも相談したいことがあるんじゃ」
「へ~」
里長に案内され家の中へと入る。
ソファに座ると聞かせてくれと言われたので、こちが確認したかったことを聞いてみる。
「まずはここを出て働きたいって人がどれくらいいるのかを確認したいんだけど、あとは農作業でもいいからって人がどれくらいいるのかだね」
「分かった。正直に言おう。全員じゃ」
「え? もう一度いい?」
「まあ、何度聞いても変わらんが全員じゃ」
里長の話では全員が移住を希望しているようだ。
「へ~大変だね」
「なんじゃ、手伝ってはくれんのか?」
「移動くらいは手伝ってもいいけど、あとは手は貸さないよ。もう、それは前に断ったでしょ」
「む、あれは本気じゃったのか?」
「本気もなにも今は、ドラゴニュータウンは開墾も終わって、なにを植えようかと相談しているところだし」
「待て! あそこはワシらがもらったのではないのか?」
「だから、何度も言ったのになにもしなかったから話は白紙に戻すってことになったでしょ? 前も猶予をあげたのになにもしなかったのは里長達じゃない。ねえ、もしかしてだけど、この里の人達にはちゃんと言ってないの?」
「……」
「無言てことは肯定と受け取るからね」
「すまん」
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ヨサックさんにいきなり呼ばれたから何事かと思ったけど、ドラゴニュータウンを有志五人と視察したいとのことだったので、ヨサックさんの家に向かいドラゴニュータウンでの視察を行った。その結果、ちょっとは移住に関しては少しだけ乗り気かなと思える程度だったけど、学校の話をしたら凄い食い付きだったので理由を聞いたら、すでに教えていた人は亡くなったらしく後継者もいないままらしい。
なので、子供達だけでも通わせたいとカイドー村の人に頼まれた。
それなら、ゲートの設置は必要になるよね。その前にガンボさんへ言っとかないとダメかな。
今なら、お酒という名の賄賂もあるし、お菓子も数種類はある。
よし、先にガンボさんに話を通すか。
ガンボさんに電話を掛けるとすぐに出たので、今から校長室に向かうからと言って電話を切る。
ゲートを校長室に繋いで、校長室へと出る。
「あ、いた! ガンボさん」
「ケインよ。あれは連絡とは言わん。前にも言ったが、ちゃんと相手の了解をだな……」
「ま、いいからいいから。これは賄賂という名のお土産ね。それとこっちもはい」
インベントリからお酒を数本とシュークリームを少しだけ出す。
マサオがじっと見ていたので、マサオにも一個だけと渡す。
「賄賂だと? またなにをするつもりだ?」
「俺はなにもしないよ。でも、お願いはあるかな」
「ふぅ~なんだ言ってみろ? この賄賂の見合うものなら聞いたやらんでもないぞ」
「ああ、それなら大丈夫。ちょっとカイドー村の子供達を入学させてやってほしいだけだからさ」
「カイドー村? 聞いたことはないな。カーティス達は知っているか?」
「ありますよ。と、言っても数十年も前ですがね」
「そうか、カーティスさんなら不思議じゃないか」
「ガンボさんも間接的には知っていると思ったんだけどな」
そう言って、ヨサックさん作のチーズをお皿に乗せて出す。
「チーズか!」
「そう、カイドー村の主力商品と言ってもいいんじゃないかな」
ガンボさんはシュークリームにも手を付けずにずっとテーブルの上に置いてあるもんだから、マサオがずっと見ている。
マサオ、よだれを拭きなさい。
カーティスさんも手をつけていないから、すでに食べ終わったメアリーがずっと見ている。
メアリーもよだれを拭こうね。
「で、そのカイドー村はどこにあるんじゃ?」
「ここだよ」
タブレットに地図を表示させ、カイドー村のある場所を指す。
「ここって、お前……王都の向こう側じゃないか。まさか、ゲートを使うつもりか?」
「うん、そう。それにドラゴニュータウンで酪農をしてもらうつもりで移住も勧めているから」
「また、人を無計画に増やしやがって……」
「まあ、まだ決定じゃないけどね。それより、そのお菓子は食べないの? さっきから二人のお菓子が狙われているんだけど?」
「「ん?」」
メアリーとマサオの視線に気付いた二人が慌ててテーブルの上のシュークリームを手に取り頬張る。
「「うま!」」
「でしょ? カイドー村の人達が移住してくれたら、もっと気軽に手にすることが出来るよ」
「ケイン、それはこのチーズも含めてと考えていいんじゃな?」
ガンボさんがクリームだらけの顔を近付けて俺に確認する。
「近いよ! それにクリームが顔っていうか髭だね、髭についているから」
「ん? おお、こりゃいかんな。メアリーよ、クリーンを頼めるか?」
「いいですよ。はい」
「おお、すまんな」
「ガンボさんはクリーンが苦手なの?」
「ああ、どうも苦手でな。おっと、理由は聞くなよ。ワシにも分からんのだからな」
「じゃあ、そういうことでよろしくね」
「ああ、分かった。土産までもろうたしの」
ゲートをどこに繋ごうかと考えて、ガンツさんがいるであろう教習所へと繋ぐ。
教習所に出るとガンツさんを探すが、意外と教習車が多くガンツさんを探すのも大変だなとおもていると、坂道発進のところで戸惑っている教習車を見つける。
「多分、あれがジョシュアさんだろうな」
そう思い、目を凝らしてよく見ると教習車の中にはガンツさんらしき人が助手席に乗っているのが見えた。
まだ手こずっているんだな。邪魔しちゃ悪いかと思い退散することにした。
なら、次はどこに行こうかと考えていると竜人の里、アズマ村のことを思い出したので行ってみるか。求人もどうなっているのか確認したいし。
ではとゲートを竜人の里へと繋ぐ。
竜人の里に出ると里長のところへ行ってみる。
扉をノックし所在を確認する。
「誰じゃ?」
「お久しぶり」
「なんじゃケインか」
「なんだはないでしょ? いろいろ確認したいことがあるんだけどいい?」
「ああ、いいぞ。まあ、中に入れ。ワシも相談したいことがあるんじゃ」
「へ~」
里長に案内され家の中へと入る。
ソファに座ると聞かせてくれと言われたので、こちが確認したかったことを聞いてみる。
「まずはここを出て働きたいって人がどれくらいいるのかを確認したいんだけど、あとは農作業でもいいからって人がどれくらいいるのかだね」
「分かった。正直に言おう。全員じゃ」
「え? もう一度いい?」
「まあ、何度聞いても変わらんが全員じゃ」
里長の話では全員が移住を希望しているようだ。
「へ~大変だね」
「なんじゃ、手伝ってはくれんのか?」
「移動くらいは手伝ってもいいけど、あとは手は貸さないよ。もう、それは前に断ったでしょ」
「む、あれは本気じゃったのか?」
「本気もなにも今は、ドラゴニュータウンは開墾も終わって、なにを植えようかと相談しているところだし」
「待て! あそこはワシらがもらったのではないのか?」
「だから、何度も言ったのになにもしなかったから話は白紙に戻すってことになったでしょ? 前も猶予をあげたのになにもしなかったのは里長達じゃない。ねえ、もしかしてだけど、この里の人達にはちゃんと言ってないの?」
「……」
「無言てことは肯定と受け取るからね」
「すまん」
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