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◆小さくしてみました
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ガンツさんの作ったアタッチメントの耕運機の動作確認のために一階に下りて、トラクターを拝借する。
「お、ケイン。久しぶりだね、あっちの様子はもう見たの? すっかりキレイになったでしょ?」
「うん、見たよ。その様子だと、イーガンさんも見てないみたいだね」
「ん? それはどういう意味だい?」
「まあ、それは見てからのお楽しみってことで。で、どれを借りられるの?」
工房の入り口でイーガンさんに絡まれるが、軽く交わしてトラクターを借りたいんだけど。
「ケイン、ちょっと待とうか。向こうの雑草は俺たちが刈った。これは事実だよな」
「うん、試作品の性能評価のためだよね?」
「チッ。覚えていたか」
「そりゃあね。そんな忘れるほどの期間があった訳でもないし。あ、そうだ! それでね、ガンツさんとも話したんだけどさ、いくら動作確認のためとは言え、あそこまでしてもらって、なにも出さないってのはマズイだろうってことになってね。なにかイーガンさん達が納得するものを用意しようと思うんだけど、なにがいい?」
「「「「「おお!」」」」」
周りで聞いていた工員が歓声をあげる。
「おい、それは金か?」
「いや、違うな、酒だろ?」
「なにを言ってるんだ、ケインだぞ。そりゃ家とか……だろ?」
「ちょ、ちょっと待って!」
「いい加減にせい! そんないっぺんに言われても対処出来るか! ボビー、イーガン、お前らが纏めろ!」
「分かりました。親方」
「分かったよ。で、なにを用意してくれるんだ?」
「それは、ガンツさんにも相談したけど、まずは要望を聞いてからと思ってたからね」
「そうか。で、さっき奴らが言ってたようなのでもいいのか?」
「うん、流石に全員に家は無理だけど、お金かお酒ならなんとか出来るよ」
「「「「「おお! さすが!」」」」」
俺の言葉に逐一工員達が反応する。
「うるさいぞ! お前ら! もう少し待ってろ!」
「じゃあ、ケイン君の方ではまだなににするかは決めてないってことですか?」
「ええ、ボビーさん」
「なあ、ボビー、イーガン。ここで酒とか金に変えるのもいいんだが、もっと違うものをねだったらどうだ?」
ガンツさんが、ボビーさんとイーガンさんにニヤリと笑って見せる。
すると、それでなにかを思いついたのか、イーガンさんもニヤリと笑う。
「そうか、親父。あんたもなかなかだな」
「イーガンさん、私にはさっぱりですが?」
「まあまあ、ボビーさん。それじゃ、ケイン。それじゃ、俺達全員のお願いとして一つの建物でもいいのか?」
「建物ですか? まあ、この工房とかと同じくらいの規模であれば……ですね」
「そうか。じゃあ、一旦俺達で考えさせてもらうわ」
「そうですね。ここは焦ってお願いするよりも熟考させていただきましょう」
「「「「「ええ~!」」」」」
「あ~もう、うるさい! いいから、悪いようにはしないから、俺とボビーさんに任せとけって。それに金なら十分すぎるほどもらっているだろうが! 酒だって、蒸溜所から直で持っていっていると聞いてるぞ?」
「「「「「そ、そんなのデタラメだ!」」」」」
「そうか、ならお前らとグルの蒸溜所の責任者に確認してもいいんだぞ?」
「「「「「すみませんでした!!!」」」」」
何人かの工員がキレイな土下座を決める。
土下座は世界共通なのかな。
「じゃあ、ケイン。そういうことだ。しばらくは保留でな」
「分かったよ。じゃ、ガンツさん。動作確認と行こうか」
「おう、随分と時間くったな」
「まあ、いつものことだし」
「じゃあ、これでいいか。イーガン、これを借りてくぞ」
「ああ、いいよ」
ガンツさんが選んだトラクターに乗り込むと俺も一緒に乗り込む。すると、イーガンさんも乗り込んでこようとする。
「イーガンさん、狭いんですけど?」
「気にするな。俺も親父の作った物に興味がある。ほら、行こうじゃないか」
「「「「「あ~! ずるい! イーガンさん、それはずるいぞ!」」」」」
「ほら、ケインがさっさとしないから……」
「俺のせいですか?」
「あ~もう、面倒じゃ。ケイン、ゲートを大きめに作ってやれ」
「もう、分かったよ」
トラクターに乗ったまま、ゲートを大きめにして、作った農地にトラクターと工員たちを潜らせる。
「お? 昨日までは雑草を刈って広々とした草原だったのに……」
「ふむ、ちゃんと整地されとるな」
「でしょ。マサオと一緒に走り回って、整地したんだよ」
『ケインはずっと乗り物だったじゃないか!』
「まあ、そう言わずに」
「「「「「すっげ~」」」」」
イーガンさんと一緒にトラクターから降りるとガンツさんの作った耕運機をインベントリから出す。
「じゃあ、ガンツさん。繋げるね」
「おう、頼むわ」
「これが親父が作ったヤツか」
「そう、これで土を耕すんだ。よし、これで接続OK。ガンツさん、繋いだから。後ろを上げて」
「おう」
ガンツさんが短く返事すると、接続した耕運機が持ち上げられる。
「じゃ、ガンツさん。そこの農地に入ってから後ろを下ろしてね。あと、下ろす時には動かした状態でお願いね」
「動かしてからか。分かった。ほら、そこ! 邪魔だし危ないぞ!」
興味津々で覗き込んでいた工員達を退げるとガンツさんの乗ったトラクターがゆっくりと農地に入る。農地に入って、後ろの耕運機までが農地に入ったところで、ガンツさんにOKと合図を出す。
すると、接続した耕運機が勢いよく回り出すと、接続部分のアームが下げられ土に食い込む。
「ガンツさん、食い込んだよ。ゆっくり進んで」
「了解だ!」
トラクターが進み、耕運機が土を掘り起こし耕していく。
「こりゃ、すごいな。これなら、ほとんどの農家が喜ぶぞ」
「ああ、俺の実家にも届けてやりてぇ」
「この広さじゃなくても狭くても耕すのはキツイからな」
「でも、この大きさじゃ無理だ……」
「そうだな。それにライセンスまで必要となると……」
「「「「「無理だな……」」」」」
最初は耕運機の働きに感動していた工員達が、見る見るうちに萎れていく。
「あの~大きいのなら、小さくすればいいんでしょ? ライセンスが必要なら、ライセンスがいらないように乗って使うんじゃなく、押して使えるような大きさにすればいいんじゃないかな?」
「「「「「!!!」」」」」
工員がガバッと顔を上げると、俺に向かって言う。
「ケイン! 君はなんてことを……」
「え? 俺、なんか言いました?」
「ああ、とんでもないことを言ったんだぞ! その責任は取ってもらうからな!」
「ええ! なんで? なんの責任なの?」
「さっき言っただろ!」
「え? なにを?」
「小さくすればいいって、言ったじゃないか!」
「まあ、確かに言いましたね。それが?」
「『それが?』じゃない! ケイン、君は自分が言ったことが分かってないみたいだな」
「ごめんなさい……」
「いや、謝ることじゃない。こっちが強く言い過ぎた。スマン」
「いえ、それは構いませんが。話を戻しますけど、責任ってのは?」
「ああ、それだがな。耕運機もそうだが、草刈り機も小さくは出来ないか?」
「出来ますよ」
「そうか、まあいきなり言っても無理だよな」
「だから、出来ますって!」
「いや、ケイン。もういい、俺達が悪かった」
「だから、出来ますって言ってるじゃないですか!」
「なに? それは本当かい?」
「ええ、まあ。構造は簡単ですよ。まあ、一つに一つの機能になってしまいますけどね」
「いや、それでも十分だ」
「そうですか。じゃあ、いいですか、ここに一番小さいエンジンがあります」
「ああ、あるな。それで?」
「これを支えるパイプと動力を伝えるシャフトの先に回転刃をつけると、はい! 出来上がり!」
「「「「「おお!」」」」」
「いいですか、このレバーについているスロットルを握ると先の回転刃が回って、草を刈ります。危険なので取り扱いには注意が必要になりますよ。その辺だけは注意してくださいね」
「「「「「分かった!」」」」」
近くの工員に渡すと我先にと争いが始まる。
「危険だと言いましたよね?」
それを見て、注意したらピタリと止み、一人の工員が勝ち誇った顔で草刈機を手に持つと、近くの雑草を刈っていく。
「「「「「おお! これなら」」」」」
工員が草を刈っていく様子をしばらく見ているとイーガンさんが近くに寄って来る。
「ケイン、なかなか楽しそうなことをしているじゃないか?」
「イーガンさん」
「で、これはなんだ? まあ、見りゃ分かるがな。また、短時間でよくもまあ、こんな物を……」
「じゃあ、ついでだから、もう一つも作りますね」
イーガンさんの言葉を無視して、手押しの耕運機を作り出す。
「まずは先ほどと同じように小さめのエンジンを用意します」
「「「「「それで?」」」」」
「エンジンのシャフトに土を耕す爪を付けた回転軸を接続します。後はこれにカバーとハンドル、それを繋ぐパイプを取り付ければ、はい! 完成です!」
「「「「「おお!」」」」」
また、取り合いになりかけたので、注意するとピタリと止む。
まあ、この辺はドワーフの習性なのかな。ガンツさんも同じだし。
「じゃあ、俺がやってみるな」
工員の一人が、耕運機を担いで農地へと入ると、エンジンを起動し爪を地面に食い込ませ、耕していく。
「おお、こりゃいい! これなら、お年寄りでも扱えるぞ」
「なに! 俺に代われ!」
「いや、俺だ!」
また、取り合いになりそうだったので、「コホン」と軽く咳払いをすると、ピタリと止む。
「ケイン。これは大変な物を作ってしまったね」
「やっぱり?」
「ああ、これはしばらくは封印だね。まあ、あいつらの家族には試験モニターとか言って使ってもらってもいいが。ハァ~親父の気持ちが分かった気がするよ」
「イーガンさん、私もです」
「イーガンさん、ボビーさん。ごめんね。じゃあ、あれはなかったことで……」
「「いやいやいや、ダメだよ(です)!」」
「ケイン、君は人の話を聞いていたのかい?」
「あれはダメってことじゃ?」
「違う! しばらくは、身内だけで使うって言ったの! 販売とかその辺の話は親父と一緒に考えるから。あれを使うなって、言えば暴動が起きそうだし」
「確かに、そうですね……」
イーガンさんの言葉にボビーさんが肯定する。
「お、ケイン。久しぶりだね、あっちの様子はもう見たの? すっかりキレイになったでしょ?」
「うん、見たよ。その様子だと、イーガンさんも見てないみたいだね」
「ん? それはどういう意味だい?」
「まあ、それは見てからのお楽しみってことで。で、どれを借りられるの?」
工房の入り口でイーガンさんに絡まれるが、軽く交わしてトラクターを借りたいんだけど。
「ケイン、ちょっと待とうか。向こうの雑草は俺たちが刈った。これは事実だよな」
「うん、試作品の性能評価のためだよね?」
「チッ。覚えていたか」
「そりゃあね。そんな忘れるほどの期間があった訳でもないし。あ、そうだ! それでね、ガンツさんとも話したんだけどさ、いくら動作確認のためとは言え、あそこまでしてもらって、なにも出さないってのはマズイだろうってことになってね。なにかイーガンさん達が納得するものを用意しようと思うんだけど、なにがいい?」
「「「「「おお!」」」」」
周りで聞いていた工員が歓声をあげる。
「おい、それは金か?」
「いや、違うな、酒だろ?」
「なにを言ってるんだ、ケインだぞ。そりゃ家とか……だろ?」
「ちょ、ちょっと待って!」
「いい加減にせい! そんないっぺんに言われても対処出来るか! ボビー、イーガン、お前らが纏めろ!」
「分かりました。親方」
「分かったよ。で、なにを用意してくれるんだ?」
「それは、ガンツさんにも相談したけど、まずは要望を聞いてからと思ってたからね」
「そうか。で、さっき奴らが言ってたようなのでもいいのか?」
「うん、流石に全員に家は無理だけど、お金かお酒ならなんとか出来るよ」
「「「「「おお! さすが!」」」」」
俺の言葉に逐一工員達が反応する。
「うるさいぞ! お前ら! もう少し待ってろ!」
「じゃあ、ケイン君の方ではまだなににするかは決めてないってことですか?」
「ええ、ボビーさん」
「なあ、ボビー、イーガン。ここで酒とか金に変えるのもいいんだが、もっと違うものをねだったらどうだ?」
ガンツさんが、ボビーさんとイーガンさんにニヤリと笑って見せる。
すると、それでなにかを思いついたのか、イーガンさんもニヤリと笑う。
「そうか、親父。あんたもなかなかだな」
「イーガンさん、私にはさっぱりですが?」
「まあまあ、ボビーさん。それじゃ、ケイン。それじゃ、俺達全員のお願いとして一つの建物でもいいのか?」
「建物ですか? まあ、この工房とかと同じくらいの規模であれば……ですね」
「そうか。じゃあ、一旦俺達で考えさせてもらうわ」
「そうですね。ここは焦ってお願いするよりも熟考させていただきましょう」
「「「「「ええ~!」」」」」
「あ~もう、うるさい! いいから、悪いようにはしないから、俺とボビーさんに任せとけって。それに金なら十分すぎるほどもらっているだろうが! 酒だって、蒸溜所から直で持っていっていると聞いてるぞ?」
「「「「「そ、そんなのデタラメだ!」」」」」
「そうか、ならお前らとグルの蒸溜所の責任者に確認してもいいんだぞ?」
「「「「「すみませんでした!!!」」」」」
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「じゃあ、ケイン。そういうことだ。しばらくは保留でな」
「分かったよ。じゃ、ガンツさん。動作確認と行こうか」
「おう、随分と時間くったな」
「まあ、いつものことだし」
「じゃあ、これでいいか。イーガン、これを借りてくぞ」
「ああ、いいよ」
ガンツさんが選んだトラクターに乗り込むと俺も一緒に乗り込む。すると、イーガンさんも乗り込んでこようとする。
「イーガンさん、狭いんですけど?」
「気にするな。俺も親父の作った物に興味がある。ほら、行こうじゃないか」
「「「「「あ~! ずるい! イーガンさん、それはずるいぞ!」」」」」
「ほら、ケインがさっさとしないから……」
「俺のせいですか?」
「あ~もう、面倒じゃ。ケイン、ゲートを大きめに作ってやれ」
「もう、分かったよ」
トラクターに乗ったまま、ゲートを大きめにして、作った農地にトラクターと工員たちを潜らせる。
「お? 昨日までは雑草を刈って広々とした草原だったのに……」
「ふむ、ちゃんと整地されとるな」
「でしょ。マサオと一緒に走り回って、整地したんだよ」
『ケインはずっと乗り物だったじゃないか!』
「まあ、そう言わずに」
「「「「「すっげ~」」」」」
イーガンさんと一緒にトラクターから降りるとガンツさんの作った耕運機をインベントリから出す。
「じゃあ、ガンツさん。繋げるね」
「おう、頼むわ」
「これが親父が作ったヤツか」
「そう、これで土を耕すんだ。よし、これで接続OK。ガンツさん、繋いだから。後ろを上げて」
「おう」
ガンツさんが短く返事すると、接続した耕運機が持ち上げられる。
「じゃ、ガンツさん。そこの農地に入ってから後ろを下ろしてね。あと、下ろす時には動かした状態でお願いね」
「動かしてからか。分かった。ほら、そこ! 邪魔だし危ないぞ!」
興味津々で覗き込んでいた工員達を退げるとガンツさんの乗ったトラクターがゆっくりと農地に入る。農地に入って、後ろの耕運機までが農地に入ったところで、ガンツさんにOKと合図を出す。
すると、接続した耕運機が勢いよく回り出すと、接続部分のアームが下げられ土に食い込む。
「ガンツさん、食い込んだよ。ゆっくり進んで」
「了解だ!」
トラクターが進み、耕運機が土を掘り起こし耕していく。
「こりゃ、すごいな。これなら、ほとんどの農家が喜ぶぞ」
「ああ、俺の実家にも届けてやりてぇ」
「この広さじゃなくても狭くても耕すのはキツイからな」
「でも、この大きさじゃ無理だ……」
「そうだな。それにライセンスまで必要となると……」
「「「「「無理だな……」」」」」
最初は耕運機の働きに感動していた工員達が、見る見るうちに萎れていく。
「あの~大きいのなら、小さくすればいいんでしょ? ライセンスが必要なら、ライセンスがいらないように乗って使うんじゃなく、押して使えるような大きさにすればいいんじゃないかな?」
「「「「「!!!」」」」」
工員がガバッと顔を上げると、俺に向かって言う。
「ケイン! 君はなんてことを……」
「え? 俺、なんか言いました?」
「ああ、とんでもないことを言ったんだぞ! その責任は取ってもらうからな!」
「ええ! なんで? なんの責任なの?」
「さっき言っただろ!」
「え? なにを?」
「小さくすればいいって、言ったじゃないか!」
「まあ、確かに言いましたね。それが?」
「『それが?』じゃない! ケイン、君は自分が言ったことが分かってないみたいだな」
「ごめんなさい……」
「いや、謝ることじゃない。こっちが強く言い過ぎた。スマン」
「いえ、それは構いませんが。話を戻しますけど、責任ってのは?」
「ああ、それだがな。耕運機もそうだが、草刈り機も小さくは出来ないか?」
「出来ますよ」
「そうか、まあいきなり言っても無理だよな」
「だから、出来ますって!」
「いや、ケイン。もういい、俺達が悪かった」
「だから、出来ますって言ってるじゃないですか!」
「なに? それは本当かい?」
「ええ、まあ。構造は簡単ですよ。まあ、一つに一つの機能になってしまいますけどね」
「いや、それでも十分だ」
「そうですか。じゃあ、いいですか、ここに一番小さいエンジンがあります」
「ああ、あるな。それで?」
「これを支えるパイプと動力を伝えるシャフトの先に回転刃をつけると、はい! 出来上がり!」
「「「「「おお!」」」」」
「いいですか、このレバーについているスロットルを握ると先の回転刃が回って、草を刈ります。危険なので取り扱いには注意が必要になりますよ。その辺だけは注意してくださいね」
「「「「「分かった!」」」」」
近くの工員に渡すと我先にと争いが始まる。
「危険だと言いましたよね?」
それを見て、注意したらピタリと止み、一人の工員が勝ち誇った顔で草刈機を手に持つと、近くの雑草を刈っていく。
「「「「「おお! これなら」」」」」
工員が草を刈っていく様子をしばらく見ているとイーガンさんが近くに寄って来る。
「ケイン、なかなか楽しそうなことをしているじゃないか?」
「イーガンさん」
「で、これはなんだ? まあ、見りゃ分かるがな。また、短時間でよくもまあ、こんな物を……」
「じゃあ、ついでだから、もう一つも作りますね」
イーガンさんの言葉を無視して、手押しの耕運機を作り出す。
「まずは先ほどと同じように小さめのエンジンを用意します」
「「「「「それで?」」」」」
「エンジンのシャフトに土を耕す爪を付けた回転軸を接続します。後はこれにカバーとハンドル、それを繋ぐパイプを取り付ければ、はい! 完成です!」
「「「「「おお!」」」」」
また、取り合いになりかけたので、注意するとピタリと止む。
まあ、この辺はドワーフの習性なのかな。ガンツさんも同じだし。
「じゃあ、俺がやってみるな」
工員の一人が、耕運機を担いで農地へと入ると、エンジンを起動し爪を地面に食い込ませ、耕していく。
「おお、こりゃいい! これなら、お年寄りでも扱えるぞ」
「なに! 俺に代われ!」
「いや、俺だ!」
また、取り合いになりそうだったので、「コホン」と軽く咳払いをすると、ピタリと止む。
「ケイン。これは大変な物を作ってしまったね」
「やっぱり?」
「ああ、これはしばらくは封印だね。まあ、あいつらの家族には試験モニターとか言って使ってもらってもいいが。ハァ~親父の気持ちが分かった気がするよ」
「イーガンさん、私もです」
「イーガンさん、ボビーさん。ごめんね。じゃあ、あれはなかったことで……」
「「いやいやいや、ダメだよ(です)!」」
「ケイン、君は人の話を聞いていたのかい?」
「あれはダメってことじゃ?」
「違う! しばらくは、身内だけで使うって言ったの! 販売とかその辺の話は親父と一緒に考えるから。あれを使うなって、言えば暴動が起きそうだし」
「確かに、そうですね……」
イーガンさんの言葉にボビーさんが肯定する。
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