転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!

ももがぶ

文字の大きさ
上 下
271 / 468
連載

◆いろんなお兄さんができました

しおりを挟む
夕食の後にリーサさんに相談があるからとソファに座ってもらう。
「俺達がいてもいいのか? なんなら、席を外すぞ?」
「父さん、別に聞かれて困ることじゃないから、いいよ」
「そうか」
そう言って、父さんはソファに座り直す。席を外すと言いながらも俺がなにをするつもりなのかが心配らしい。少しは信用して欲しいものだけど、さっき組合相手のケンカなら買っちゃいますと宣言したばかりだし、信用してもらうのは難しいか。
リーサさんもソファに座り、ついでというか、この話の主役であるデイヴとメアリーにも座ってもらう。

「で、ケイン。メアリーとデイヴもいることから、私達家族に関することだと思うんだが、あっているかな」
リーサさんの問いに頷く。
「そうか、入学式とやらがあるとメアリーに聞いたばかりだが、話はそのことだろう?」
また、頷く。
「ふむ。そうか、ケインの考えていることは分かった。私が様子を見てこようじゃないか」
「リーサさん、お願いしてもいいの?」
「ケイン、これは私達家族の問題だ。まあ、ケインも広義では既に家族だが、あの人の相手は難しいだろう。だから、まずは私が話をしてくるから」
「ありがとう、リーサさん」
「「???」」
俺とリーサさんの会話についていけずにポカーンとするメアリーとデイヴの二人。
「ねえ、ケイン。私達にはなにを言っているのかさっぱりなんだけど?」
「あ~ごめんね。メアリーはガンボさんといたから、知っていると思うんだけど、入学式に親と一緒に式に出るってのを話したじゃない。だから、デイヴもカーティスさんだけじゃなくリディアさんも一緒の方がいいんじゃないかなと思ったんだけど、どうかな?」
「私には分からないわよ。デイヴ、あんたはどう思うの?」
「僕? 僕はお父さんもお母さんも一緒がいい!」
「そうか、デイヴは一緒がいいんだね」
「うん、そう。ダメ?」
「いや、ダメじゃない。ダメじゃないから、リーサさんにお願いしようか」
「うん、分かった。リーサお姉さん、お願いします」
「分かった。デイヴの為にも頑張るからな」
「リーサさん、俺からもお願いがあるんだけど、いいかな?」
「なんだ? 改まって」
「実はさ、クレイグさんみたいに研究してくれる人を探しているんだ。もし、ドワーフタウンに来てくれるなら、クレイグさん同様の生活レベルは保証するからさ」
「そうか、分かった。なら、クレイグも連れて行くか」
「そうだね、その方がいいかもね」
「なら、ケインの話はこれで終わりでいいのかな?」
「うん、俺の話はここまで。聞いてくれてありがとうね」
「いや、私達家族の問題でもあるからな」
リーサさんにお礼を言うと、リーサさんの家の前にゲートを繋いで見送る。
リビングに戻ると父さんが難しい顔をしている。
「父さん、どうしたの? 難しい顔をしているけど」
「ああ、お前のことだ。どうしても組合に対してケンカを売るんだな?」
「父さん、俺からは売らないよ」
「なあ、いいか。お前にその気が無くても、あの紙を売るのなら、それは組合に対しケンカを売るのも同義だ。お前は自分からケンカを売らないと言っているが、お前のやっていることは正面からケンカを売る行為だ。それが分からないお前でもあるまい」
「やっぱり、父さんにはお見通しなんだね」
「まあな。で、お前の本心はなんだ?」
「別に本心という訳じゃないんだけどね」
「もったいぶらずに言えよ」
「じゃあ、言うけど反対しても無駄だからね」
「とりあえずはお前の話を聞いてからだ。さあ、話せ!」
「実はね、塩と砂糖も作れるようになったんだ。それだけ」
「お、お前は……紙だけじゃなく、塩と砂糖にもケンカを売るのか!」
「その内、胡椒とかもね」
「ハァ~なんでそうなる!」
「だって、海が近くにあるんだから、うまい塩が欲しいじゃない。それに砂糖も今以上の品質のが欲しいからね。これが揃うと、今度は胡椒が欲しくなるよね。なぜなら、美味しい食事には塩、砂糖、胡椒の調味量は基本でしょ。って、ことで順次展開していきたいと考えているんだ」
「まあ、いい。一気にはしないんだな。それだけは約束してくれるか?」
「うん、分かったよ」

「父さん、話は終わったの?」
「ああ、終わったと言うか、これ以上は頭が追いつかん」
「ケイン、ほどほどにね」
「うん、できるだけ頑張るよ。クリス兄さん」
「じゃあ、今度は僕からのお願いなんだけど、いい?」
「まずは聞いてからでいいかな?」
「それもそうだよね。じゃあ、まずは話すね。実はさ、さっきの帳票なんだけど、まとめて印刷することは出来ない? ほら、今はさ複合機でもある程度は数をこなせるけどさ、出来ればまとめてドンと欲しいんだけど、どうかな?」
「それなら、出来るよ。クリス兄さんのタブレットで原本を作って、表紙を作って、まとめる頁数を決めてくれれば、後は製本するだけだから」
「そうなんだね。で、後はなにを決めればいいのかな?」
「まずは、帳票の紙の大きさだよね。伝票サイズとか色々あるでしょ。まずはそれを決めてから、帳票に印刷する内容を決めてくれれば、後は印刷してまとめるから」
「分かったよ。準備するね」
「あ、ちょっと待って!」
「あれ、ケインが僕に話があるの?」
「そう、クリス兄さんは教師をする気はない?」
「教師? 僕が?」
「そう、算数でもいいけど、クリス兄さんが忙しいのは知っているから、週一か二か三で一時間でソロバンを教えてもらえればなと思ってさ」
「僕が? ソロバンを?」
「ダメ? ちゃんと報酬も約束するよ」
「いや、ダメじゃないけど……少し考えさせてもらえるかな?」
「うん、いいよ。十分に考えて」
「分かった。ありがとうね。とりあえず前向きに考えてみるから」
「うん、分かった」
それじゃあとソファから立ち上がろうとしたら、サム兄さんに止められる。
「なあ、俺にもなにか教えられることはないのか?」
「サム兄さんが? 人に教える? 本気?」
「お前、俺とクリスじゃ全然態度が違わないか?」
「そう? 気のせいじゃない」
「そうか、まあいいから、俺でも教えられることはないのかな?」
サム兄さんに、そう言われ思いつくのは体育教師だ。ひょっとしたら、本当に体育教師としてやっていけるかもしれないな。うん、面白そうだから頼んでみようかな。
「分かった。サム兄さんにも考えとくよ」
「そうか、頼むな」
サム兄さんからの無茶振りと言うか、俺にもなにかやらせろ的な発言から、サム兄さんの体育教師が決まる。そして授業としての体育を組み込むのなら、体操服も用意しないと。
しおりを挟む
感想 254

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

おもちゃ作りが楽しすぎて!!! ~転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい! 外伝~

ももがぶ
ファンタジー
「転生したから思いっきりモノ作りしたいしたい!」のスピンオフ作品です。 主にケインからの無茶振りで玩具作りに販売に四苦八苦するガンツさんの息子、サンガンの辛くも楽しい日々を書いていきますので、よろしくお願いします。

【完結】ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら

七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中! ※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります! 気付いたら異世界に転生していた主人公。 赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。 「ポーションが不味すぎる」 必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」 と考え、試行錯誤をしていく…

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。