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◆打ちました
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タブレットにキーボードレイアウトを表示してタップさせるところまではいいとして、なにに? だよね。ここはメモ帳アプリになるのかな?
どうなるか、やってみるしかないよね。いざとなればいつもの様にファンタジー先生にお願いするとして。
「まずはキーボードレイアウトの表示だよね。表示位置は表面の下三分の一までの高さにするとして、その範囲内に収まるようにするとして、小文字、大文字変換はいるよね。いや、ここは定番のシフトキーだよね。なら、コピペも出来る様にしたいから、コントロールキーが欲しいよね。後は、挿入、削除、後退、改行、空白かな。タブキーは様子見でいいから。あと、カーソルキーはあった方がいいよね」
キーボードレイアウトを決めると、今度はテキストベースのメモ帳アプリが必要だよな。流石にドキュメント系のアプリはまだ、必要ない。いや、必要ないことはないけど、今は時間の勝負だし、ドキュメント作成のアプリに手を出したら、しばらくは現実世界に戻ってこれなくなりそうだしね。今は単純にテキストを入力するだけに絞ろう。
まずは、用紙代わりのファイルだよね。ファイルの概念は写真で、とりあえずは出来ているしフォルダもなんとなく出来ていた。なら、単純にファイルを開いて、中にテキストを入力して、保存が出来て、印刷が出来れば完成かな。
では、しばし集中してやってみますか。ファンタジー先生、見守っていてよ。
「これで、ワシなりの改良は出来たか。ケインはどうなったんじゃろうな」
ガンツがタイプライターの改良を完成させ、額の汗を拭いながら、部屋の中を見渡すと、タブレットを分解し、なにやらぶつくさと呟きながら、奮闘しているケインの姿があった。
「なんじゃ、苦労しとるようじゃの。まあ、ええか。ワシはワシで出来上がりを確認しようかの」
指をワキワキさせながら、タイプライターに向き直ると新しい用紙をセットし、気が向くままに指が滑るようにキーを打っていく。
「おう、さっきよりはいいな。やはり、ワシの様に指が太い連中もいるだろうし、この大きさは需要があるとみた。ふふふ」
「これで、ファイルの中にテキストを入力し保存は出来る様になったと。じゃ、後は印刷を試してみるか」
複合機を出して、タブレットとの接続を確認すると、確認用に適当に文字を入力したファイルを選択し、印刷を指定する。
すると、複合機からなにやら、文字が並んだ用紙が排出される。
「うん、こんなもんかな。ガンツさん、こっちは出来たよ」
「お、そうか。ワシも出来て、今確認しているところじゃ。ん? ケイン、その手に持っている用紙をちと、見せてもらっても?」
「あ? これ? いいよ、はい」
「おう、ありがとうな……って、これ! さっき、ワシがタイプしたヤツじゃ……いや、その用紙はここにある。ケイン? 説明してもらっても?」
「あ、気付いた? いや~確認用にね、なにか文字を打ち込む時にね、適当な文言が思い浮かばなくてさ、その時にさっき、ガンツさんがタイプしていた内容が思い浮かんでね、つい」
「つい、じゃねえよ! なにやってんだよ! ワシに黒歴史を歩ませるつもりか!」
「そんなこと言わずに。ほら、いらないなら、捨てればいいだけだし」
「ワシにアンジェへの想いが詰まった、この紙を捨てろと言うのか!」
「え~じゃあ、どうすんのさ? 額にでも入れる?」
「い、いや、そこまではせんでも」
「なら、綺麗に折って、しまっておけば。誰の目にもつかない鍵付きの引き出しとかさ」
「そうか。それならいいか」
「じゃ、落ち着いたところで。下にタイプライターを持っていって、作ってもらおうか」
「なんじゃ、そんなに数が必要か?」
「多分ね。すぐに足りなくなるよ。とりあえずは、カーティスさん達の学校に三台は持って行きたいし、父さんの店にもクリス兄さん用に一つは欲しいね」
「なら、この工房にもいるな」
「でしょ。だから、ガンツさんの大きめのキーボードと、俺のを標準仕様で用意してもらいたいね」
「ワシのは工房用に回して、ケインのを一般用じゃな」
「そうだね。あ、セバス様にもあげたいから、俺仕様のを十台は欲しいかな」
「分かった。なら、いくぞ。製本はまた明日じゃな」
「そうだね」
そのまま、一階のイーガンさん、ボビーさんの元に行きタイプライターを見せ、作って欲しいとお願いする。
「おいおい、そんな簡単な説明だけか? もう少し教えてくれてもいいだろ?」
「え~分かったよ。じゃあ、イーガンさんでいいや。ほら、ここに座って」
イーガンさんをタイプライターの前に座らせ、実際にキーボードを叩いて、文字を印字してもらう。
「おお、これはなかなか、いいな。事務方の連中は喜ぶぞ。ねえ、ボビーさん」
「確かに。これなら、手書きの煩わしさから免れるというもの。助かります、親方、ケイン君」
「じゃあ、これも製造ラインを作ってね。ガンツさんのは指が太い人用だから、受注生産で。俺の方を一般仕様で」
「また、いきなりだな。だが、これは確かに売れるだろうな。それで?」
「『それで?』って?」
「ただ、持ってきただけじゃないだろ? いつまでに何台欲しいんだ?」
「さすが! イーガンさん。とりあえず、俺は一般仕様のを十台で、お願い」
「分かった。親方は?」
「ワシは、ここの工房の使う分だけじゃから、任せる」
「分かった。じゃ、ボビーさん少し話そうか」
「はぁ、今からですか。今日は早く帰れるかと思ったんですけどね」
「イーガンさん、無理はダメだよ?」
「その根本的な原因はお前だと分かって言ってるんだろうな?」
「ボビーさん、頑張って! じゃあね。ガンツさん、邪魔しちゃ悪いから行こうか」
「あ、ああ。ボビー相談ならいつでも、のるが……頑張れ!」
そう言い残しガンツさんと上の自室に逃げるように、この場を離れる。
「あ、ああ……」
がっくりと項垂れるボビーの肩をイーガンががっしりと掴む。
「イーガンさん、なんでこうなったんでしょうね」
「さあな。それよりも今は話し合いだ。ほら、いくぞ」
「はい……」
どうなるか、やってみるしかないよね。いざとなればいつもの様にファンタジー先生にお願いするとして。
「まずはキーボードレイアウトの表示だよね。表示位置は表面の下三分の一までの高さにするとして、その範囲内に収まるようにするとして、小文字、大文字変換はいるよね。いや、ここは定番のシフトキーだよね。なら、コピペも出来る様にしたいから、コントロールキーが欲しいよね。後は、挿入、削除、後退、改行、空白かな。タブキーは様子見でいいから。あと、カーソルキーはあった方がいいよね」
キーボードレイアウトを決めると、今度はテキストベースのメモ帳アプリが必要だよな。流石にドキュメント系のアプリはまだ、必要ない。いや、必要ないことはないけど、今は時間の勝負だし、ドキュメント作成のアプリに手を出したら、しばらくは現実世界に戻ってこれなくなりそうだしね。今は単純にテキストを入力するだけに絞ろう。
まずは、用紙代わりのファイルだよね。ファイルの概念は写真で、とりあえずは出来ているしフォルダもなんとなく出来ていた。なら、単純にファイルを開いて、中にテキストを入力して、保存が出来て、印刷が出来れば完成かな。
では、しばし集中してやってみますか。ファンタジー先生、見守っていてよ。
「これで、ワシなりの改良は出来たか。ケインはどうなったんじゃろうな」
ガンツがタイプライターの改良を完成させ、額の汗を拭いながら、部屋の中を見渡すと、タブレットを分解し、なにやらぶつくさと呟きながら、奮闘しているケインの姿があった。
「なんじゃ、苦労しとるようじゃの。まあ、ええか。ワシはワシで出来上がりを確認しようかの」
指をワキワキさせながら、タイプライターに向き直ると新しい用紙をセットし、気が向くままに指が滑るようにキーを打っていく。
「おう、さっきよりはいいな。やはり、ワシの様に指が太い連中もいるだろうし、この大きさは需要があるとみた。ふふふ」
「これで、ファイルの中にテキストを入力し保存は出来る様になったと。じゃ、後は印刷を試してみるか」
複合機を出して、タブレットとの接続を確認すると、確認用に適当に文字を入力したファイルを選択し、印刷を指定する。
すると、複合機からなにやら、文字が並んだ用紙が排出される。
「うん、こんなもんかな。ガンツさん、こっちは出来たよ」
「お、そうか。ワシも出来て、今確認しているところじゃ。ん? ケイン、その手に持っている用紙をちと、見せてもらっても?」
「あ? これ? いいよ、はい」
「おう、ありがとうな……って、これ! さっき、ワシがタイプしたヤツじゃ……いや、その用紙はここにある。ケイン? 説明してもらっても?」
「あ、気付いた? いや~確認用にね、なにか文字を打ち込む時にね、適当な文言が思い浮かばなくてさ、その時にさっき、ガンツさんがタイプしていた内容が思い浮かんでね、つい」
「つい、じゃねえよ! なにやってんだよ! ワシに黒歴史を歩ませるつもりか!」
「そんなこと言わずに。ほら、いらないなら、捨てればいいだけだし」
「ワシにアンジェへの想いが詰まった、この紙を捨てろと言うのか!」
「え~じゃあ、どうすんのさ? 額にでも入れる?」
「い、いや、そこまではせんでも」
「なら、綺麗に折って、しまっておけば。誰の目にもつかない鍵付きの引き出しとかさ」
「そうか。それならいいか」
「じゃ、落ち着いたところで。下にタイプライターを持っていって、作ってもらおうか」
「なんじゃ、そんなに数が必要か?」
「多分ね。すぐに足りなくなるよ。とりあえずは、カーティスさん達の学校に三台は持って行きたいし、父さんの店にもクリス兄さん用に一つは欲しいね」
「なら、この工房にもいるな」
「でしょ。だから、ガンツさんの大きめのキーボードと、俺のを標準仕様で用意してもらいたいね」
「ワシのは工房用に回して、ケインのを一般用じゃな」
「そうだね。あ、セバス様にもあげたいから、俺仕様のを十台は欲しいかな」
「分かった。なら、いくぞ。製本はまた明日じゃな」
「そうだね」
そのまま、一階のイーガンさん、ボビーさんの元に行きタイプライターを見せ、作って欲しいとお願いする。
「おいおい、そんな簡単な説明だけか? もう少し教えてくれてもいいだろ?」
「え~分かったよ。じゃあ、イーガンさんでいいや。ほら、ここに座って」
イーガンさんをタイプライターの前に座らせ、実際にキーボードを叩いて、文字を印字してもらう。
「おお、これはなかなか、いいな。事務方の連中は喜ぶぞ。ねえ、ボビーさん」
「確かに。これなら、手書きの煩わしさから免れるというもの。助かります、親方、ケイン君」
「じゃあ、これも製造ラインを作ってね。ガンツさんのは指が太い人用だから、受注生産で。俺の方を一般仕様で」
「また、いきなりだな。だが、これは確かに売れるだろうな。それで?」
「『それで?』って?」
「ただ、持ってきただけじゃないだろ? いつまでに何台欲しいんだ?」
「さすが! イーガンさん。とりあえず、俺は一般仕様のを十台で、お願い」
「分かった。親方は?」
「ワシは、ここの工房の使う分だけじゃから、任せる」
「分かった。じゃ、ボビーさん少し話そうか」
「はぁ、今からですか。今日は早く帰れるかと思ったんですけどね」
「イーガンさん、無理はダメだよ?」
「その根本的な原因はお前だと分かって言ってるんだろうな?」
「ボビーさん、頑張って! じゃあね。ガンツさん、邪魔しちゃ悪いから行こうか」
「あ、ああ。ボビー相談ならいつでも、のるが……頑張れ!」
そう言い残しガンツさんと上の自室に逃げるように、この場を離れる。
「あ、ああ……」
がっくりと項垂れるボビーの肩をイーガンががっしりと掴む。
「イーガンさん、なんでこうなったんでしょうね」
「さあな。それよりも今は話し合いだ。ほら、いくぞ」
「はい……」
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