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◆酔えませんでした
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デューク様のお屋敷の厩舎へと向かうと、既に馬車と馬が準備されていた。
「こんばんは、ケインです。王都へ送る馬車はこれでいいですか?」
側にいた厩務員と思われる人に話しかける。
「ええ、そうです」
「で、誰が乗って行くんです?」
「あ、それなら私が」
「では、御者席に。俺も横に乗りますがいいですか?」
「ええ、どうぞ」
「では」
御者席に乗り込み、ゲートを王都の倉庫の中へ繋ぐと、御者のお兄さんに中へ入ってもらうようにお願いする。
馬車が進んで、倉庫の中へ入るとゲートを閉じる。
「もう少ししたら、セバス様が来るので、しばらくはこの中で待っていてもらっていいですか。あと、持っていく冷蔵庫はあそこにおいてあるので積み込みもお願いしますね」
「はい、分かりました」
「では、俺はこれで失礼します。また、後ほど」
ゲートを家のリビングに繋いで、潜っていく。
「どう、携帯電話の操作は問題ない?」
兄さん達に聞いてみると二人とも問題ないと言われたので、じゃ王都のお店に戻るねと言いかけて思い出す。
「父さん、この間撮った家族写真を二人に渡してあげて」
「あれか、ちょっと待ってろ」
そう言って、父さんが寝室へと入っていく。
「なら、ワシも帰るかな。ケイン、明日、今日買った酒の移動はよろしくな」
「うん、いいよ。じゃ、送るね」
「おう、頼む」
ガンツさんの家の前にゲートを繋いでガンツさんが潜っていくのを見送りゲートを閉じる。
「「……」」
「ほら、親父。これを持って行ってくれ。ん? また呆けて。今度はなんだ?」
「ただ、ガンツさんを送っただけなんだけどね」
「そうか、まあいい。ほら親父。起きて」
「はっまた俺は……」
「私はなにを見せられたんだ……」
「まあ、いいから。親父これを持っていってくれ」
「お父さんも。はい、これ」
「「なんだこれ? これ……おい!」」
「それは俺達の家族写真ってやつだ」
「そうよ。うまく撮れてるでしょ!」
「「いや、そういうことじゃない!」」
「まあ、聞かれても俺には答えられないし」
「私も。だって、それを作ったのは……」
母さんが意味ありげに俺の方を見るとおじいさん達も納得したように頷く。
「やっぱり、ケインか……」
「お前は本当にマギーの息子なのか?」
「さあ?」
「ちょっと、ケイン。そこは自信持って答えなさいよ!」
「だって、俺は産まれてきたところを見たわけじゃないし」
「ははは、そりゃそうじゃ。じゃが、取り上げたのはワシじゃ。間違いなくケインはマギーの子じゃぞ。これでいいか? じいさん達」
「「あ、ああ。分かった」」
「じゃ、いい? 繋ぐよ」
そう言って、ゲートをドラゴさんの自室へとゲートを繋ぐ。
「はい、いいよ。潜って」
「あ、ああ。ほれ、ジュリアンも行くぞ」
「ああ」
二人がゆっくりとした足取りでゲートを潜る。
「親父、後で連絡するから、お袋にもよろしくな!」
「お父さん、お母さんにも言っといてね!」
「「ああ、でも信じてくれるかな?」」
「そこは頑張って!」
母さんが明るく締めたところで、ゲートを閉じる。
~ゲートを閉められた後のドラゴの自室にて~
「「は~」」
二人して嘆息し、互いに見つめ合う。
「「なあ……」」
「ドラゴ、なにかあるなら先に言えよ」
「ああ、なら言うが。一杯どうだ?」
「奇遇だな。私もそう思っていたところだ」
「なら、ちょっと待ってな」
そう言うと自室から出て行く。
「しかし、どう話したらいいものか」
「そうだな、どうしたらいいかな」
そこへ戻ってきたドラゴが氷が入ったグラスと酒を持って戻って来るとジュリアンの呟きに同調するように応える。
「なあ、もう面倒だから、いっそのこと全員集めて、その前でマギー達に話してもらった方がいいんじゃないかと思うんだが」
「ああ、それはいい考えだと思うが、互いの家族全員となると結構な人数になるぞ。どこに集めるって言うんだ」
「それもそうだな。ふぅ~なあ、この酒、うまいな。多少酒精が強いがな」
「これもケインが作ったそうだ」
「は~? これをか?」
「ああ、ついでに言うとグラスに氷が入っているだろ?」
「そういえば、そうだな。それがどうした?」
「これもケインだ」
「は~? どういうことだ?」
「ケインが、この前王都に来た時にな『冷蔵庫』ってのをもらったんだ。その冷蔵庫に冷凍庫ってのが付いていてな。勝手に氷が出来るんだ。すごいだろ」
「ああ、すごいな。これが本当ならエラいことだぞ」
「そうだよな~他のヤツが知ったら、どうなるんだろうな」
すると、急に空間に穴が空いたと思ったら、ケインが出てきてテーブルの上に置いていた魔道具を手に取る。
「あ~やっぱり、スイッチが入りっぱなしだった」
ケインが、防音の魔道具のスイッチらしきものを操作する。
「これで、魔道具のスイッチは切れたから。はい、約束通りあげるねドラゴさん」
「あ、ああ。ありがとうな」
「うん、じゃあね」
ケインがゲートを潜り、ゲートを閉じる。
「その魔道具もケインか」
ジュリアンがドラゴが手にする魔道具を指して言う。
それに対し黙って頷くドラゴ。
「「は~」」
黙ってグラスを煽る二人の祖父だった。
「こんばんは、ケインです。王都へ送る馬車はこれでいいですか?」
側にいた厩務員と思われる人に話しかける。
「ええ、そうです」
「で、誰が乗って行くんです?」
「あ、それなら私が」
「では、御者席に。俺も横に乗りますがいいですか?」
「ええ、どうぞ」
「では」
御者席に乗り込み、ゲートを王都の倉庫の中へ繋ぐと、御者のお兄さんに中へ入ってもらうようにお願いする。
馬車が進んで、倉庫の中へ入るとゲートを閉じる。
「もう少ししたら、セバス様が来るので、しばらくはこの中で待っていてもらっていいですか。あと、持っていく冷蔵庫はあそこにおいてあるので積み込みもお願いしますね」
「はい、分かりました」
「では、俺はこれで失礼します。また、後ほど」
ゲートを家のリビングに繋いで、潜っていく。
「どう、携帯電話の操作は問題ない?」
兄さん達に聞いてみると二人とも問題ないと言われたので、じゃ王都のお店に戻るねと言いかけて思い出す。
「父さん、この間撮った家族写真を二人に渡してあげて」
「あれか、ちょっと待ってろ」
そう言って、父さんが寝室へと入っていく。
「なら、ワシも帰るかな。ケイン、明日、今日買った酒の移動はよろしくな」
「うん、いいよ。じゃ、送るね」
「おう、頼む」
ガンツさんの家の前にゲートを繋いでガンツさんが潜っていくのを見送りゲートを閉じる。
「「……」」
「ほら、親父。これを持って行ってくれ。ん? また呆けて。今度はなんだ?」
「ただ、ガンツさんを送っただけなんだけどね」
「そうか、まあいい。ほら親父。起きて」
「はっまた俺は……」
「私はなにを見せられたんだ……」
「まあ、いいから。親父これを持っていってくれ」
「お父さんも。はい、これ」
「「なんだこれ? これ……おい!」」
「それは俺達の家族写真ってやつだ」
「そうよ。うまく撮れてるでしょ!」
「「いや、そういうことじゃない!」」
「まあ、聞かれても俺には答えられないし」
「私も。だって、それを作ったのは……」
母さんが意味ありげに俺の方を見るとおじいさん達も納得したように頷く。
「やっぱり、ケインか……」
「お前は本当にマギーの息子なのか?」
「さあ?」
「ちょっと、ケイン。そこは自信持って答えなさいよ!」
「だって、俺は産まれてきたところを見たわけじゃないし」
「ははは、そりゃそうじゃ。じゃが、取り上げたのはワシじゃ。間違いなくケインはマギーの子じゃぞ。これでいいか? じいさん達」
「「あ、ああ。分かった」」
「じゃ、いい? 繋ぐよ」
そう言って、ゲートをドラゴさんの自室へとゲートを繋ぐ。
「はい、いいよ。潜って」
「あ、ああ。ほれ、ジュリアンも行くぞ」
「ああ」
二人がゆっくりとした足取りでゲートを潜る。
「親父、後で連絡するから、お袋にもよろしくな!」
「お父さん、お母さんにも言っといてね!」
「「ああ、でも信じてくれるかな?」」
「そこは頑張って!」
母さんが明るく締めたところで、ゲートを閉じる。
~ゲートを閉められた後のドラゴの自室にて~
「「は~」」
二人して嘆息し、互いに見つめ合う。
「「なあ……」」
「ドラゴ、なにかあるなら先に言えよ」
「ああ、なら言うが。一杯どうだ?」
「奇遇だな。私もそう思っていたところだ」
「なら、ちょっと待ってな」
そう言うと自室から出て行く。
「しかし、どう話したらいいものか」
「そうだな、どうしたらいいかな」
そこへ戻ってきたドラゴが氷が入ったグラスと酒を持って戻って来るとジュリアンの呟きに同調するように応える。
「なあ、もう面倒だから、いっそのこと全員集めて、その前でマギー達に話してもらった方がいいんじゃないかと思うんだが」
「ああ、それはいい考えだと思うが、互いの家族全員となると結構な人数になるぞ。どこに集めるって言うんだ」
「それもそうだな。ふぅ~なあ、この酒、うまいな。多少酒精が強いがな」
「これもケインが作ったそうだ」
「は~? これをか?」
「ああ、ついでに言うとグラスに氷が入っているだろ?」
「そういえば、そうだな。それがどうした?」
「これもケインだ」
「は~? どういうことだ?」
「ケインが、この前王都に来た時にな『冷蔵庫』ってのをもらったんだ。その冷蔵庫に冷凍庫ってのが付いていてな。勝手に氷が出来るんだ。すごいだろ」
「ああ、すごいな。これが本当ならエラいことだぞ」
「そうだよな~他のヤツが知ったら、どうなるんだろうな」
すると、急に空間に穴が空いたと思ったら、ケインが出てきてテーブルの上に置いていた魔道具を手に取る。
「あ~やっぱり、スイッチが入りっぱなしだった」
ケインが、防音の魔道具のスイッチらしきものを操作する。
「これで、魔道具のスイッチは切れたから。はい、約束通りあげるねドラゴさん」
「あ、ああ。ありがとうな」
「うん、じゃあね」
ケインがゲートを潜り、ゲートを閉じる。
「その魔道具もケインか」
ジュリアンがドラゴが手にする魔道具を指して言う。
それに対し黙って頷くドラゴ。
「「は~」」
黙ってグラスを煽る二人の祖父だった。
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