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◆後ろ盾が脆く思えました
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デューク様とマサオの対面も無事に終わりはしたが、マサオに首輪が必要と言われたので、その場で首輪を拵えてマサオに着ける。
「どう窮屈さはない?」
『今はないが、元の大きに戻った時にはどうなる? まさか壊れもせずに首が絞まるとかないよな』
「それは大丈夫。強い力が掛かったら外れるようになっているから」
『そうか、それならいいか』
「ただ、外れたらちゃんと探して持ってくるんだよ。絶対に無くさない様にね」
『うっ……分かった善処しよう』
マサオに首輪を着けるのを黙って見ていたデューク様が話かけてくる。
「ケインは時間はあるのか?」
「そうですね、そろそろお昼にしようかと考えていましたけど、何かありますか?」
「ああ、明日は王都に出発するからな。少しは後ろ盾として話をさせてもらえればと思ってはいるがな」
「(ああ、さっきの根に持っているのかな)分かりました。いいですよ」
「なら、昼食も用意させよう。セバス、頼む」
「はい、では」
その場で内線電話を使い厨房へと連絡を取る。
「なあ、ケインよ。お前は俺が狙われると信じて疑わないよな」
「そうですね、俺の予想では限りなく当日の晩にでも襲われるでしょうね」
「それだよ。何故そう言い切れる。俺にはそれが不思議でならん」
「そうですか? 結構単純な話ですよ。まず明日王都へ向かいますよね」
「ああ、そうだ」
「それも車での移動ですから、必ずいろんな人の目に着きます」
「それもそうだな」
「なら、是が非でも手に入れたいと思う輩も増えますよね」
「そうだろうな。だが、そこだ。普通なら様子を見てからことに及ぶものだろ。いくら何でも当日に手を出すとは思えないんだがな」
「ですが、デューク様はエリー様の入学に付き添う形での訪問になります。そうなると滞在期間も短くなることは簡単に予測出来ます。しかも王都では、この街から売りに出される魔道具やドワーフタウンの開発が話題になっているとも聞きます」
「まあな。ってか、それはお前のしたことだろうが! 何を他人事の様に言いやがる」
「まあ、それは横に置いといて」
「置いとくのかよ! それで」
「そうなるとデューク様が王都から出るまでの一月弱の間に済ませなければならない」
「それくらいかな。で?」
「一月もあれば、他に狙う連中も準備を済ませるのには十分と考えますよね」
「そうかもな。あ~大体分かった。手柄と言うか目の前のお宝を狙うなら早い内にと考える連中がいてもおかしくないと言う訳だな」
「まあ、そんなところです」
「だけどよ、仮にも俺は貴族だぞ。そんな大それたことをする奴らがいると思うか?」
「でも、貴族だからこそ、何としてでも珍しいものや欲しい物は手段を問わずに手にしたいと思う輩も多いですよね」
「お前、のほほんとした見かけによらず厳しいな」
「まだ、褒めなくていいですよ」
「褒めとらんわ! で、続きは」
「そこで、これです」
テーブルに蒸留酒の瓶を十本、身を守ることに特化したブレスレットを五本出す。
「出来れば当日に王族に会って、これらを献上して下さい。お酒の趣味は分かりませんが酒好きなら喜ぶでしょう。そして、このブレスレットは魔法攻撃、物理攻撃に対して反応し障壁を張りますので、王族の方には喜ばれるかと思います」
「まあ、これだけあればな」
「ついでに、これも渡して置きましょう」
魔導ミキサー五台をテーブルに置く。
「お酒を飲むのなら、果実を絞るでしょうから」
「だな、これは喜ばれるだろうな。後は冷蔵庫があればいいが、あれは大きすぎて載せられんかった」
「そうですよね。なら、王都に俺が借りている倉庫があるので、そこに運び入れておきますので後で取りに来て下さい」
「ああ、そんなことを言ってた様な気がするな。場所はセバスに伝えといてくれ」
「分かりました。それでついでにですが、馬車はどうします?」
「それもあったな~当初はお前が改造した馬車で行く予定だったが、車が出てきたろう。それで馬車は置いて行こうと思っていたんだが、何か策があるのか?」
「冷蔵庫と同じように馬車も馬付きで運びいれて置きますので、厩の人に伝えといて下さいね」
「ああ、ありがとうな。セバス頼むな」
「はい、賜りました」
「これで後ろ盾としては大丈夫そうか?」
「多分ですが、もし良からぬことを考える輩が多数いた場合は王都と言うか国の屋台骨が揺らぎかねないので、そこのところをちゃんと王様に伝えといて下さいね」
「お前、何を仕掛けるつもりだ?」
「俺は何もしないですよ。ただ……」
「『ただ』何だ?」
「俺の周りの人に手を出したら、どうなるかを知って欲しくてやった単なる自衛手段ですから」
「俺としてはその自衛手段ってのが気になるんだがな」
「この前話したじゃないですか」
「ああ、呪いが感染するってやつだろ。命令系統のトップにまで到達するとか」
「ええ、ですから木端役人とか貴族なら問題はないでしょうけど、公爵レベルまでいくと問題ですよね」
「だろうな。それでその呪いの解除方法はないのか?」
「ないですね。徳の高い聖職者ならとは言いたいですが、聖魔法はそんなことは関係ないですからね。ただ俺が仕掛けた呪いよりレベルが高ければ問題なく解呪出来ると思いますよ」
「そうか、ちなみにお前のレベルがどのくらいか聞いても?」
「多分ですが俺より上のレベルは存在しないでしょうね」
「じゃ、ダメってことじゃないか」
「いえ俺だって鬼じゃないですから、ちゃんと方法はありますって」
「ほう、それはどんな方法なんだ?」
「簡単です。心の底から反省して罪を悔いることですね」
「お前、それはほとんど不可能じゃないか。それにそのトップに掛かる呪いも同じレベルなんだろう?」
「ええ、命令系統の階層の位置に関係なく同レベルの呪いがかかりますね」
「ハァ~何か行くのが嫌になって来た」
「ダメですよ。ちゃんと後ろ盾として機能してもらわないと」
「何気にお前が一番恐ろしいわ」
「だって、それが目的なんですから」
『キュ~グルル~』
デューク様との会話に退屈していたマサオの腹が鳴る。
「マサオ……」
『しょうがねえだろ。俺だって好きで鳴らした訳じゃねえ』
「そろそろ、用意が出来る時間でしょう。旦那様」
「ああ、分かった、ケイン、飯食ったからって逃げるなよ。さっきの話の続きをしてもらうからな」
「はい」
「どう窮屈さはない?」
『今はないが、元の大きに戻った時にはどうなる? まさか壊れもせずに首が絞まるとかないよな』
「それは大丈夫。強い力が掛かったら外れるようになっているから」
『そうか、それならいいか』
「ただ、外れたらちゃんと探して持ってくるんだよ。絶対に無くさない様にね」
『うっ……分かった善処しよう』
マサオに首輪を着けるのを黙って見ていたデューク様が話かけてくる。
「ケインは時間はあるのか?」
「そうですね、そろそろお昼にしようかと考えていましたけど、何かありますか?」
「ああ、明日は王都に出発するからな。少しは後ろ盾として話をさせてもらえればと思ってはいるがな」
「(ああ、さっきの根に持っているのかな)分かりました。いいですよ」
「なら、昼食も用意させよう。セバス、頼む」
「はい、では」
その場で内線電話を使い厨房へと連絡を取る。
「なあ、ケインよ。お前は俺が狙われると信じて疑わないよな」
「そうですね、俺の予想では限りなく当日の晩にでも襲われるでしょうね」
「それだよ。何故そう言い切れる。俺にはそれが不思議でならん」
「そうですか? 結構単純な話ですよ。まず明日王都へ向かいますよね」
「ああ、そうだ」
「それも車での移動ですから、必ずいろんな人の目に着きます」
「それもそうだな」
「なら、是が非でも手に入れたいと思う輩も増えますよね」
「そうだろうな。だが、そこだ。普通なら様子を見てからことに及ぶものだろ。いくら何でも当日に手を出すとは思えないんだがな」
「ですが、デューク様はエリー様の入学に付き添う形での訪問になります。そうなると滞在期間も短くなることは簡単に予測出来ます。しかも王都では、この街から売りに出される魔道具やドワーフタウンの開発が話題になっているとも聞きます」
「まあな。ってか、それはお前のしたことだろうが! 何を他人事の様に言いやがる」
「まあ、それは横に置いといて」
「置いとくのかよ! それで」
「そうなるとデューク様が王都から出るまでの一月弱の間に済ませなければならない」
「それくらいかな。で?」
「一月もあれば、他に狙う連中も準備を済ませるのには十分と考えますよね」
「そうかもな。あ~大体分かった。手柄と言うか目の前のお宝を狙うなら早い内にと考える連中がいてもおかしくないと言う訳だな」
「まあ、そんなところです」
「だけどよ、仮にも俺は貴族だぞ。そんな大それたことをする奴らがいると思うか?」
「でも、貴族だからこそ、何としてでも珍しいものや欲しい物は手段を問わずに手にしたいと思う輩も多いですよね」
「お前、のほほんとした見かけによらず厳しいな」
「まだ、褒めなくていいですよ」
「褒めとらんわ! で、続きは」
「そこで、これです」
テーブルに蒸留酒の瓶を十本、身を守ることに特化したブレスレットを五本出す。
「出来れば当日に王族に会って、これらを献上して下さい。お酒の趣味は分かりませんが酒好きなら喜ぶでしょう。そして、このブレスレットは魔法攻撃、物理攻撃に対して反応し障壁を張りますので、王族の方には喜ばれるかと思います」
「まあ、これだけあればな」
「ついでに、これも渡して置きましょう」
魔導ミキサー五台をテーブルに置く。
「お酒を飲むのなら、果実を絞るでしょうから」
「だな、これは喜ばれるだろうな。後は冷蔵庫があればいいが、あれは大きすぎて載せられんかった」
「そうですよね。なら、王都に俺が借りている倉庫があるので、そこに運び入れておきますので後で取りに来て下さい」
「ああ、そんなことを言ってた様な気がするな。場所はセバスに伝えといてくれ」
「分かりました。それでついでにですが、馬車はどうします?」
「それもあったな~当初はお前が改造した馬車で行く予定だったが、車が出てきたろう。それで馬車は置いて行こうと思っていたんだが、何か策があるのか?」
「冷蔵庫と同じように馬車も馬付きで運びいれて置きますので、厩の人に伝えといて下さいね」
「ああ、ありがとうな。セバス頼むな」
「はい、賜りました」
「これで後ろ盾としては大丈夫そうか?」
「多分ですが、もし良からぬことを考える輩が多数いた場合は王都と言うか国の屋台骨が揺らぎかねないので、そこのところをちゃんと王様に伝えといて下さいね」
「お前、何を仕掛けるつもりだ?」
「俺は何もしないですよ。ただ……」
「『ただ』何だ?」
「俺の周りの人に手を出したら、どうなるかを知って欲しくてやった単なる自衛手段ですから」
「俺としてはその自衛手段ってのが気になるんだがな」
「この前話したじゃないですか」
「ああ、呪いが感染するってやつだろ。命令系統のトップにまで到達するとか」
「ええ、ですから木端役人とか貴族なら問題はないでしょうけど、公爵レベルまでいくと問題ですよね」
「だろうな。それでその呪いの解除方法はないのか?」
「ないですね。徳の高い聖職者ならとは言いたいですが、聖魔法はそんなことは関係ないですからね。ただ俺が仕掛けた呪いよりレベルが高ければ問題なく解呪出来ると思いますよ」
「そうか、ちなみにお前のレベルがどのくらいか聞いても?」
「多分ですが俺より上のレベルは存在しないでしょうね」
「じゃ、ダメってことじゃないか」
「いえ俺だって鬼じゃないですから、ちゃんと方法はありますって」
「ほう、それはどんな方法なんだ?」
「簡単です。心の底から反省して罪を悔いることですね」
「お前、それはほとんど不可能じゃないか。それにそのトップに掛かる呪いも同じレベルなんだろう?」
「ええ、命令系統の階層の位置に関係なく同レベルの呪いがかかりますね」
「ハァ~何か行くのが嫌になって来た」
「ダメですよ。ちゃんと後ろ盾として機能してもらわないと」
「何気にお前が一番恐ろしいわ」
「だって、それが目的なんですから」
『キュ~グルル~』
デューク様との会話に退屈していたマサオの腹が鳴る。
「マサオ……」
『しょうがねえだろ。俺だって好きで鳴らした訳じゃねえ』
「そろそろ、用意が出来る時間でしょう。旦那様」
「ああ、分かった、ケイン、飯食ったからって逃げるなよ。さっきの話の続きをしてもらうからな」
「はい」
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