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第2章 新天地を求めて
第39話 こう見えても王ですから
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今、俺の目の前にはこの国の王様というお方がソファに座り俺達に笑いかけているのだが、どう対応してよいものかと思案していると向こうから「どうした?」と声を掛けられたので、俺は恐る恐る考えていたことを口に出してみる。
「えっとですね……これは言っていいものかどうか分からないんですが……」
「構わん。申してみよ」
「……では、ホントに王様なんですか?」
「ぷっ」
「なっ! 不敬であるぞ!」
「ヒロ殿!!!」
「ヒロ?」
「ヒロ様……」
俺の一言に王は吹き出し、宰相は顔を真っ赤にして睨んでくるし伯爵は「やっちまったな」と天を仰ぎ先輩は「分かるけど言っちゃうかなぁ~」って感じでオジーは呆れ顔だ。
そして俺は「いや、だってさ」となんでそう思ったかを口に出して説明する。
「ふむ、なるほどな。ヒロ殿の中での王様のイメージとしては王冠を載せマントを羽織り王笏を持ち華美な服装をしている……と、そう思っていたわけだ」
「はい、勝手なイメージですけど……」
「あぁ~分かるわぁ~」
王は俺の説明になるほどと納得しながらも面白そうにしており、先輩も納得顔だ。
「いや、ヒロ殿には悪いがそれはないな」
「え? でも「まあ、聞け」……はい」
王が言うには確かに王冠も王笏にマントという装いはする時はあるが、平時ではなく行事として王たる威厳が必要な時だけだと言う。
ならば、今のこの時点でも王様として客たる俺達に対し威厳を示すべきではと言えば「メンドくさい」で終わらせられた。
「陛下、そんなことよりも態々ここまで足を運ばれた理由はなんでしょうか」
「そんなの早く会ってみたいからに決まっているじゃないか。宰相もそうなんだろ?」
「あ、いえ……私は……その……」
「あ~例のアレね」
「……はい」
「うん、それは私も気になっているところだけど……」
「はい?」
「え?」
王が俺達をチラリと見ているが、さっきまでの和やかな雰囲気ではなくどことなくキラリと光った気がした。
「ヒロ殿はどんなスキルを授かったのかな」
「え?」
王からの突然の質問にキョドった俺は伯爵の顔を見ると伯爵は静かに頷いたので話してもいいんだと理解し「あのですね」と俺が授かったスキルについて概要だけを説明する。
「なるほどねぇ……と、いうかなんとも羨ましいスキルだね」
「はぁ」
「ちなみにだけど、君のそのスキルは引き継がれるのかな?」
「はい?」
「うん、質問の意図がよく伝わらなかったみたいだね。では、改めて……コホン。ヒロ殿の空間魔法は子孫に引き継がれるのかな?」
「えっと、現時点では俺には子供がいないのでなんとも言えませんが、一般的にはどうなんですか?」
「まあ、普通は両親のどちらかのスキルが引き継がれるかな。だけど……」
「けど?」
「ヒロ殿の様に後天的に授けられたスキルの場合はどうなるのかは不明だ」
「え? でも、今まで客はいたんですよね?」
「いたね」
「じゃ「いたけど、君みたいな特異なスキルではなかったからね」……ああ、そういうことですか」
「そ。だから、君みたいな特異なスキルがどう引き継がれるのか興味はある。更に言えば、ウララ嬢と客同士で番となった場合にもスキルがどう引き継がれるのか興味があるね。どちらか一つなのか、それとも両方なのかとかね」
「え? 先輩とですか」
「何? イヤなの?」
「そうじゃなくて」
「じゃあ何?」
「……」
王からの質問は単純に俺のスキルが子孫に引き継がれるかどうかということだった。
そして客同士の場合にはどちらのスキルが引き継がれるのか、それとも両方引き継がれるのかとを知りたいらしい。
そして先輩が相手ならどうなのかと王に問われ「いや、でも、先輩には……」と口籠もれば、その先輩が「私じゃイヤなの?」と突っ掛かってくる理由が分からない。
「だからね、これは私からの提案なんだけど気を悪くせずに聞いてくれ」
「なんでしょう」
「君、種馬になってみないか?」
「はい?」
「ダメよ!」
王の突拍子もない言葉に俺は王の正気を疑い先輩は俺に代わって拒否する。
「ウララ嬢、君ではなくヒロ殿に聞いている。で、ヒロ殿はどうかな?」
「ヒロ!」
「……保留で」
「ヒロ!」
「ウララ、ちょっと落ち着こうか」
「なんで保留なの? ちゃんと断りなさいよ」
「今、ここで断ってもきっと色んな搦め手を用意してくると思うんだよねぇ」
「……確かにそうね。でも「ウララは俺の正式なパートナーではないでしょ」……ぐっ……そうだけど……」
「それにウララも俺とは距離をおいているでしょ」
「それは……」
王は俺に種馬になれと言って来た。
要は数打ちゃ当たるを実践するつもりなんだろうが、先輩が強く拒否するのも違うだろうと思うが、ひょっとしたらまだ脈があるのかなと期待してしまってもいいのかな。
「えっとですね……これは言っていいものかどうか分からないんですが……」
「構わん。申してみよ」
「……では、ホントに王様なんですか?」
「ぷっ」
「なっ! 不敬であるぞ!」
「ヒロ殿!!!」
「ヒロ?」
「ヒロ様……」
俺の一言に王は吹き出し、宰相は顔を真っ赤にして睨んでくるし伯爵は「やっちまったな」と天を仰ぎ先輩は「分かるけど言っちゃうかなぁ~」って感じでオジーは呆れ顔だ。
そして俺は「いや、だってさ」となんでそう思ったかを口に出して説明する。
「ふむ、なるほどな。ヒロ殿の中での王様のイメージとしては王冠を載せマントを羽織り王笏を持ち華美な服装をしている……と、そう思っていたわけだ」
「はい、勝手なイメージですけど……」
「あぁ~分かるわぁ~」
王は俺の説明になるほどと納得しながらも面白そうにしており、先輩も納得顔だ。
「いや、ヒロ殿には悪いがそれはないな」
「え? でも「まあ、聞け」……はい」
王が言うには確かに王冠も王笏にマントという装いはする時はあるが、平時ではなく行事として王たる威厳が必要な時だけだと言う。
ならば、今のこの時点でも王様として客たる俺達に対し威厳を示すべきではと言えば「メンドくさい」で終わらせられた。
「陛下、そんなことよりも態々ここまで足を運ばれた理由はなんでしょうか」
「そんなの早く会ってみたいからに決まっているじゃないか。宰相もそうなんだろ?」
「あ、いえ……私は……その……」
「あ~例のアレね」
「……はい」
「うん、それは私も気になっているところだけど……」
「はい?」
「え?」
王が俺達をチラリと見ているが、さっきまでの和やかな雰囲気ではなくどことなくキラリと光った気がした。
「ヒロ殿はどんなスキルを授かったのかな」
「え?」
王からの突然の質問にキョドった俺は伯爵の顔を見ると伯爵は静かに頷いたので話してもいいんだと理解し「あのですね」と俺が授かったスキルについて概要だけを説明する。
「なるほどねぇ……と、いうかなんとも羨ましいスキルだね」
「はぁ」
「ちなみにだけど、君のそのスキルは引き継がれるのかな?」
「はい?」
「うん、質問の意図がよく伝わらなかったみたいだね。では、改めて……コホン。ヒロ殿の空間魔法は子孫に引き継がれるのかな?」
「えっと、現時点では俺には子供がいないのでなんとも言えませんが、一般的にはどうなんですか?」
「まあ、普通は両親のどちらかのスキルが引き継がれるかな。だけど……」
「けど?」
「ヒロ殿の様に後天的に授けられたスキルの場合はどうなるのかは不明だ」
「え? でも、今まで客はいたんですよね?」
「いたね」
「じゃ「いたけど、君みたいな特異なスキルではなかったからね」……ああ、そういうことですか」
「そ。だから、君みたいな特異なスキルがどう引き継がれるのか興味はある。更に言えば、ウララ嬢と客同士で番となった場合にもスキルがどう引き継がれるのか興味があるね。どちらか一つなのか、それとも両方なのかとかね」
「え? 先輩とですか」
「何? イヤなの?」
「そうじゃなくて」
「じゃあ何?」
「……」
王からの質問は単純に俺のスキルが子孫に引き継がれるかどうかということだった。
そして客同士の場合にはどちらのスキルが引き継がれるのか、それとも両方引き継がれるのかとを知りたいらしい。
そして先輩が相手ならどうなのかと王に問われ「いや、でも、先輩には……」と口籠もれば、その先輩が「私じゃイヤなの?」と突っ掛かってくる理由が分からない。
「だからね、これは私からの提案なんだけど気を悪くせずに聞いてくれ」
「なんでしょう」
「君、種馬になってみないか?」
「はい?」
「ダメよ!」
王の突拍子もない言葉に俺は王の正気を疑い先輩は俺に代わって拒否する。
「ウララ嬢、君ではなくヒロ殿に聞いている。で、ヒロ殿はどうかな?」
「ヒロ!」
「……保留で」
「ヒロ!」
「ウララ、ちょっと落ち着こうか」
「なんで保留なの? ちゃんと断りなさいよ」
「今、ここで断ってもきっと色んな搦め手を用意してくると思うんだよねぇ」
「……確かにそうね。でも「ウララは俺の正式なパートナーではないでしょ」……ぐっ……そうだけど……」
「それにウララも俺とは距離をおいているでしょ」
「それは……」
王は俺に種馬になれと言って来た。
要は数打ちゃ当たるを実践するつもりなんだろうが、先輩が強く拒否するのも違うだろうと思うが、ひょっとしたらまだ脈があるのかなと期待してしまってもいいのかな。
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