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第2章 新天地を求めて

第11話 やれば出来る!

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「では、説明して頂けますか」
「は、はい。あの……ですね……」

 今、伯爵を問い詰めているのは、この国の宰相という役職の人らしい。

 まれびとを王都に招聘する用意をしていたのに延期に次ぐ延期となり、しかもその予定は未定だとなれば、国王も流石にこれはと思ったのかどうかは分からないが、仔細を報告するようにと宰相を寄越したのだと言う。

「……と、いう訳ですのでヒロ様、ウララ様は落ち着くまでジッとしていて下さい」
「いや、それはいいんだけど……」
「伯爵様だけで大丈夫なの?」
「まあ、旦那様でダメなら奥様もいることですし……多分……」
「多分って……」

 今、この屋敷にオジーはいない。王都の屋敷で再び王家との連絡役になってもらっている。

 そんなオジーの元に国王より『仔細を報告せよ』と連絡があり、どうしようかと思っていたところに、今度は宰相から『お前の領に視察に行くから』とだけ連絡があり、急ぎぷぅを通して俺に連絡して来たので、オジーを連れ戻し伯爵様にありのままを報告したところ、オジーが見ているだけでハラリハラリと何本か抜け落ちたそうだ。

「あの時は視察が来るまで余裕が出来たと思ったんだけどねぇ~」
「思ったように捗らない……と」
「うん、そうね。だって、私リケ女じゃないし」
「なら、ググって見ました?」
「え?」
「へ?」
「なんで?」
「なんでって、分からないならググれば大概のことは分かるんじゃ?」
「あのさ、今私達はどこにいるのか分かって言ってる?」
「えっと、ジャミア領です」
「で?」
「え?」
「それで、バリ3どころか電波すらないここで、どうやってググれって言うのよ!」
「なんとなくやれば出来るかな……って」
「はぁ?」
「いや、ラノベじゃネット通販とかあったじゃないですか」
「うんうん、そうだね。ラノベ空想の世界じゃそういう設定もあったわね。で、試してみたの?」
「え? まさか、日本じゃないですし」
「……」
「ん? どうしました?」
「もう、いい。出して」
「はい」

 何故だか分からないが俺とのやりとりの末に凄く疲れた顔をした先輩が自分のスマホを出してくれとお願いされたので、俺はインベントリから先輩のスマホを出して渡す。

「あ~やっぱりね。そりゃ、そうだよね」と先輩は充電はバッチリなのに電波を受信していないと嘆く。

「ん? 充電は?」
「そうよ。あれ? バッチリって死語だった?」
「あ、いえ。そっちじゃなくて……」
「ん?」

 先輩のスマホがフル充電されていると言ったのが不思議に感じてしまう。

 確かにインベントリ内は時間経過はない。

 でも、先輩は仕事帰りにふらりとこちらへ来たので、フル充電されている状態というのも少しだけ妙に感じてしまった。

「もしかして」と俺も自分のスマホを取り出すと思った通りにフル充電されていた。

 そして、俺のスマホもアンテナは立っていない。

「でも、もしかしたらもしかするかも知れないし」とブラウザを起動し、『異世界に行ってみた』とググってみると、直ぐに検索結果が画面に表示されたので「お!」と、声に出る。

「どうしたの?」
「やってみたら出来ました……っぽい」
「え?」

 そう、先輩に告げれば先輩も自分のスマホで試して見たが「404」が表示される。

「出来ないじゃん!」
「あれ? ちょっと、貸してみて下さい。ん? 出来ましたよ。ほら」
「え、ウソ……」

 先輩のスマホ画面を先輩に見せれば確かに先輩のスマホにはググった結果が表示されている。

 なので、先輩ももう一度と確かめてみるが「出来ない!」と声を荒げる。

 だから、もう一度俺が操作すると出来る。

「どゆこと?」
「さあ?」

「もしかして……」と先輩が俺に身体を密着させた状態でスマホを操作すると、そこにはググった結果が表示されていた。

「え?」
「ヒロでテザリング?」
「んな訳「ほら!」……え、ウソでしょ」

 先輩が見せたスマホ画面にはテザリング先として俺の名前が表示されていた。

「説明して!」
「いや、ムリでしょ」
「他には何が出来るの? もしかして、アマゾンも出来ちゃうのかな?」
「いや、置き配も出来ないし、ムリでしょ」
「ムリなのはそこじゃないと思うけど、世界を跨ぐのは流石にムリなのかな。でも、ヒロのインベントリ内なら、届くんじゃないの? それにまだ口座は解約してないでしょ?」
「ん~それはどうですかね。だって、先輩の話じゃ俺が失踪する瞬間が報道されていた訳でしょ」
「じゃ、やってみたら?」
「ですから、届け先が「やってみて!」……はい」

 先輩に何度もムリだと言っているのに出来ている人がいるんだから、どういう仕組みかどうかよりも先にやってみるのが大事だと思うのと言い切られてしまう。

 だから、そのやった人達は現実世界の話じゃないんですけどと言おうとしても「やる前に出来ないと思うのはおかしい」とまた、言い切られてしまう。

「分かりました。でも、出来なかったからと言って怒らないで下さいよ」
「いいから、やってみるの!」
「はいはい」
「ハイは一回」
「はいはい……」

 俺はスマホの通販アプリを開き何を買い物かごに入れようかと悩んでみたが、そう言えばと最近というか、発泡酒しか口にしていないことを思い出し、どうせならとストロングチューハイをいくつか選び、序でにとウィスキーも何本か選択し、これでいいかと買い物を進めると配送先になんて入力すればと手が止まる。

「どうしたの?」
「いえ、配送先をどうしたものかと」
「そんなの、正直に入れればいいんじゃない」
「えっと、だから、その正直にって言われてもですよ。ここって何処ですか? 日本から来れますか?」
「あ~そうだね。でもさ、スマホが使えるのなら出来るんじゃないも」
「他人事……」

 先輩に聞くだけ無駄だと自宅住所は受け取れないから、『ここ』と入れてみるが、エラーとして弾かれるので、「そりゃそうだな」と頷き次に「自分インベントリ」と入れてみると次のステップへと進み決済までが終了した。

「え?」と不思議に思っていると先輩が「今度は何があったの?」と聞いて来たので、正直に「決済まで進みました」と答えると同時に『ピロピロリーン』と音が聞こえた。

「いや、まさかね」と思いインベントリを確認すると、そこにはさっき買い物かごに入れた商品が入っていた。

「マジ?」
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